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BtoBマーケティングって何するの?注目される背景や基本の流れを解説

BtoBマーケティングって何するの?注目される背景や基本の流れを解説

日本のBtoB企業は、製造部門への投資に比べるとマーケティングへの投資や研究があまり盛んではないとされてきましたが、時代の流れを受けマーケティングへの投資が加熱しています。

背景には、各業界の市場の成熟にともなってスペック説明営業ではなく提案型営業が必要とされるようになったこと、Webの発達や新型コロナウイルスの流行を受けて取引先選定における情報収集のオンラインシフトが進んだことが挙げられます。

本記事では、BtoBマーケティングの概要や、具体的な施策、活用できるツールや、近年のトレンドなどについて紹介していきます。

目次

1.BtoBマーケティングとは? 

BtoBマーケティングとは、営業個別の対応が必要とされるBtoBビジネスの商慣習を前提に、効率の良い商談創出や営業組織の仕組み化を目指す取り組みです。

マーケティングの定義としては「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(販路)」「Promotion(販促)」の4つを組み合わせた「4P」の考え方(マーケティング・ミックス)が広く知られています。一方でBtoBマーケティングは、Webサイトの活用やMA・SFAの導入など「Promotion(販促)」の部分について言及されることが多く、しばしばデジタルマーケティングの推進やマーケティング・営業組織のDXと近しい意味で使われます。

BtoBマーケティングや営業DXに関してもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事や無料診断シートをお試しください。

関連記事:「取るべき施策が分かるBtoBマーケティング8パターンの戦略

関連記事:「自社の営業DXの現在地が分かる!営業DX診断シート【課題解決策付き】無料ダウンロード

BtoBマーケティングが重要視される理由

BtoBビジネスにおいてマーケティングが重要視されるようになった理由は大きく2つあります。

1つ目は日本経済の長引く不況により企業が投資に慎重になり、足で稼いで関係性を作ることで売り込む営業活動が限界を迎えつつあるためです。Webなどに投資をし市場からの認知や信頼を獲得すること、商談においては顧客の課題解決ストーリーを企画提案するソリューション営業を実施することが必要になりました。

2つ目はビジネスにおけるWeb活用が進み、顧客の情報収集に変化が生じたためです。日常生活で飲食店を選ぶ際に食べログやGoogleマップで検索・情報収集をしてお店を選ぶ行動は一昔前から一般的でしたが、ビジネス上の取引先選定においても同様の行動が一般化しています。

アメリカの調査会社コーポレートエグゼクティブボードが発表したレポートによると、BtoBビジネスでは顧客の購買プロセスの57%が営業担当者に会う前にすでに終わっている※1、と明らかにされました。当然アメリカと日本では商慣習が違うため一概に同じとは言えませんでしたが、日本においても2020年から流行が続く新型コロナウイルスも、この流れに拍車をかけました。

※1参照:Think with Google「B2B マーケティングにおけるデジタルの進化」より

BtoBビジネスにおける購買プロセス
BtoBビジネスにおける購買プロセス

アウトバウンド施策から、インバウンド施策とソリューション提案へ

BtoB事業の取引先選定において、自らWebで収集した情報で取引先を比較検討する顧客が増えた結果、アウトバウンド施策が通用しづらくなっています。アウトバウンド施策とは、見込み顧客リストに営業が自ら働きかける手法で、具体的にはテレアポや飛び込み営業などが該当します。

Web活用が進む前は、アウトバウンド施策による営業の情報提供は企業にとって貴重でした。しかし、企業の担当者が簡単に情報収集できるようになったことで、不要なタイミングでのテレアポや飛び込み営業をうっとうしいと感じるようになりました。

従来の営業手法から脱するために、マーケティングに投資をするBtoB企業が増えています。インターネットやイベントなどを活用して市場や顧客にとって有益な情報発信を行い、認知や信頼を獲得することで、結果的に顧客から自社に連絡をしてくるよう促すインバウンド施策が代表的です。

トライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査2022年」によると、仕事上の製品・サービスの情報源として、「企業のWebサイトから」が66.7%と1位になっており、従来型の「営業員・技術員からのオフラインでの説明」を超える結果になっています。

BtoBビジネスにおける仕事上の製品・サービスの情報源
BtoBビジネスにおける仕事上の製品・サービスの情報源※2

さらにWebサイトの売上貢献度を示す「サイト効果」はBtoBサイトがBtoCサイトを大きく上回っており、BtoB企業が営業効率を高める上でWebサイトに取り組むことは、優先される課題だといえます。

BtoBとBtoCサイト効果比較
BtoBとBtoCサイト効果比較※3

※2・3引用: トライベック・ブランド戦略研究所「BtoBサイト調査2022年」より

また顧客の情報収集方法の変化はただアポが取りにくいだけでなく、商談そのものにも変化をもたらしました。

商談前に顧客が商品や競合企業との違いについて調査をしていることが当たり前になったので、商談中に伝えるべき内容が変化しているのです。これまではカタログを中心に商品のスペックや特徴を伝えることの多かった法人営業が、市場の成熟や投資に慎重な日本経済の影響を受け、顧客に購入を動機付けて後押しするための個別の企画提案が必要になりつつあります。

この取り組みはソリューション営業、または営業自身で付加価値を作るコンサルティング営業と呼ばれます。

一方で労働市場における高度営業人材の不足や高利益率のビジネスモデルへの注目を背景に、営業の介在しないセルフサーブ型のSaaSも増えており、PLG(Product Led Growth)と呼ばれる概念も注目を集めています。

インバウンドマーケティングや、コンサルティング営業、PLGなどに関して、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

関連記事:「インバウンドマーケティングとは?注目される背景や実施のステップを紹介

関連記事:「営業コンサルティングとは?料金体系やBtoB特化の会社を解説

関連記事:「取るべき施策が分かるBtoBマーケティング8パターンの戦略

     (「第3章 PLGに基づきWebベースで事業拡大」へ)

顧客との関係性の維持がより重要になった

BtoBマーケティングはWebやデジタルツールを活用して営業活動の再現性を高める営みでもあり、プロモーション施策と顧客データの管理はセットで考える必要があります

BtoBマーケティングに注力する企業が増えた結果、インバウンドリード獲得の増加、そして営業担当が個別に保有していた名刺のデータ化が進み、各社で保有するハウスリストの数が飛躍的に伸びました。この結果、営業担当が個別に連絡・訪問していた受注前の見込み顧客との関係性維持を人力で丁寧に行うことが難しくなっています

そこで効率良く見込み顧客と関係性を維持するため、MAやSFAといったツールを活用しながら顧客の状況に応じて適切な情報発信を続けるマーケティング活動が重要になっています。

特にMAを用いることで、見込み顧客のメールマガジンの閲覧状況やWebサイトの閲覧履歴に応じた個別の自動メールが可能になり、これまで営業担当が立ち話で伝えていたような情報提供を代替するような役目を担いつつあるのです。

また受注後の顧客との関係性においても変化が生じています。Webの発達により一度契約したサービスや発注した製品であっても、再度の比較・検討を行い、より良いサービスや製品があれば乗り換えるケースが増えており、顧客との関係維持がより重要になりました。営業担当の視点で言うと、顧客離反のリスクが高まっているといえます。

特にソフトウェア業界においては、購入時にまとまった金額がかかる買い切り型から、毎月少額の課金をするサブスクリプション型を採用するSaaSが主流になりつつあり、乗り換えやすさに拍車をかけています。そこで顧客のソフトウェア活用と成果創出を支援するカスタマーサクセスと呼ばれる概念が注目を集めるようになりました。

MAやSFAなど、BtoBマーケティングの基礎知識に関しては、こちらの記事をぜひ参考にしてください。

関連記事:「MA(マーケティングオートメーション)とは?機能や選び方のポイントを解説

関連記事:「SFAとは?CRMとの違いや現場に定着させるためのコツを紹介

関連記事:「SaaS型とは?サービス活用のメリットや代表的な例を紹介

関連記事:「カスタマーサクセスとは?注目が集まる背景や導入のメリットを解説

BtoBマーケティングの全体像

BtoBマーケティングは以下の4ステップで整理されます。

BtoBマーケティングの4ステップ
BtoBマーケティングの4ステップ

BtoBマーケティングは単なる情報発信の強化ではなく、「認知〜接触〜商談・契約〜活用の一連の流れを充実させて事業を拡大させること」ととらえて戦略を設計することが重要なのです。  

2.BtoBマーケティングの施策例15選

BtoBマーケティングの代表的な施策を一覧化しました。

【1】Webサイト
【2】コンテンツSEO
【3】Web広告
【4】マス広告
【5】プレスリリース
【6】SNS
【7】展示会・イベント
【8】LP(ランディングページ)
【9】アクセス解析
【10】ホワイトペーパー
【11】メールマガジン
【12】インサイドセールス
【13】セミナー・ウェビナー
【14】SFA分析
【15】セールスイネーブルメント


いずれの施策においても以下の三点を念頭に設計することが重要です。

①誰に(Who)何を(What)伝えるのか

マーケティング施策はサイト改善や広告運用やメルマガなどの小手先のテクニック論につい走りがちですが、結局は顧客とのコミュニケーションが一番に考えるべき施策といえます。どんな人にどんなメッセージを伝えることが最も商品の価値を伝えられるのか、選んでもらえるのかを考え尽くすことが最も重要です。

ここが定まらないままメディアへの露出や広告投資を進めても、そこに意図はないため場当たり的な施策になってしまうでしょう。

②施策のつながり、メッセージの一貫性はあるか

BtoBビジネスは顧客の購買プロセスが長期化する傾向にあるため、単一の施策実施で大きく売り上げにインパクトを与えられることは稀です。集客やリード獲得に効果があるもの、休眠顧客を掘り起こすもの、営業活動を効率化するものなど、施策ごとに目的が異なります。それぞれの施策の特徴を押さえて、全体として売上増加に寄与する戦略を設計しましょう。

またマーケティング活動に投資を進めて社内の役割分担が進んだ結果、広告やWebサイト、メールマガジンなどのタッチポイントに応じてメッセージがバラバラになってしまうことがあります。これでは見込み顧客に正しく商品の強みやポジショニングを伝えることができません。それぞれの施策の役割を理解して分担しながらも、伝えるべきメッセージは一貫性を持たせることを意識しましょう。

おすすめなのは、カスタマージャーニーマップを作成することです。ターゲットの行動を可視化して、どのタイミングでどの施策を通じて情報を届けるのかを整理することで、よりメッセージに一貫性を持たせることができるでしょう。

カスタマージャーニーマップに関して、もっと知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

関連記事:BtoBにおけるカスタマージャーニーマップとは?【無料テンプレ配布中】ペルソナ記入方法付き

③効果測定の準備はできているか

日々新しい手法が登場するBtoBマーケティングにおいては、短い期間で様々な施策を試しては、最も投資対効果の高い施策に再投資を重ねていくPDCAサイクルが重要です。

投下した予算がCPA(リード獲得単価)で見るとどうなのか、アポ単価で見るとどうなのか。施策実施前には効果測定の準備をしっかりとしましょう。

【1】Webサイト

日常のちょっとした業務課題をWeb検索で解決することも多いBtoBビジネスでは、その受け皿となるWebサイトの構築・充実は最優先課題です。

検索流入はもちろんのこと、Web広告、SNS、展示会など他のタッチポイントで接触を持った見込み顧客が流入しサービスについて調べることも予測されますし、商談前後や相見積もり中など購買プロセスの途中においても見込み顧客が閲覧に来るため、まさにBtoBマーケティングの施策のハブになるのがWebサイトです。

BtoBマーケティングの観点ではWebサイトの目標を、CV数(リード獲得数)、商談創出数とすることが一般的です。この場合、コンテンツSEOやWeb広告などに投資をして集客には成功したものの、Webサイトの構成やUIの問題によりリード獲得数にあまり貢献しなかった、またはリードは獲得できたが商談につながらないものばかりだった、ということが往々にして生じます。

Webサイトの新規制作やリニューアルを検討する場合は、売り上げにつながる見込み顧客の姿、すなわちターゲット像を明確にした上で、逆算して集客チャネルやコンテンツを設計することが重要です。

Webサイトの役割
Webサイトの役割

自社のWebサイト構築に関して、もっと知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

関連記事:「オウンドメディアの意味とは?運用事例や成功のポイントまで解説

関連記事:『売れるBtoBサイトにする「セルフチェックリスト120」無料ダウンロード付き

【2】コンテンツSEO

コンテンツSEOとは、顧客の悩みを解決するコンテンツをWebサイト上で発信することで、検索流入の増加を狙う施策です。BtoBビジネスはその性質上、取引先の選定は企業への信頼が重要であり、コンテンツ発信においても小手先のテクニックに傾倒するのではなく、市場や顧客から信頼を得られるような独自ノウハウ発信が求められます。

Web広告と比べた場合、コンテンツを一度掲載してしまえば、そのキーワードで検索する人がいる限り半永久的に流入を期待できる点が魅力的です。また、検索を経て自社のコンテンツにたどり着いた人が、将来的にサービスの利用を検討した場合に、「見たことがある会社だ」と思ってもらえれば購入につながりやすくなるでしょう。

検索上位表示にあたってはGoogleのクローリングロボットによるドメイン評価が重要であるため、即効性はあまり期待できないものの、中長期的に見ると大きな効果が期待できる施策です。

コンテンツSEOに関して、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

関連記事:「コンテンツSEOとは?概要・メリット・作り方の手順を徹底解説

【3】Web広告

Web広告は、サービスの存在を知ってもらったり、思い出してもらったりするために活用されています。

一口に広告といっても、その種類は多岐にわたります。代表的なものでは、Webサイトに表示されるディスプレイ広告や、検索エンジンに連動したリスティング広告、過去にサイトを訪れた人をターゲットにしたリターゲティング広告、SNSに表示されるSNS広告などがあります。

BtoBビジネスは購入できる主体が当然限定されるため、消費者向けの消耗品などと異なり、媒体とその配信設定を絞って広告を配信することが投資対効果の観点で重要です。例えばリスティング広告は検索キーワード、すなわち顧客の悩みや課題に対して広告を出稿できることから、BtoB企業でも始めやすい施策といえます。

Web広告に関しては、ぜひこちらの記事を参考にしてください。

関連記事:「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介

【4】マス広告

マス広告とは、マスメディア(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)に掲載する広告のことです。

多くの人に届くがゆえ、顧客が限定されるBtoB企業ではあまり検討されてきませんでしたが、昨今はテレビCMにおいて投資対効果をシミュレーションするサービスが増えてきたこともあり、利用が増えています。Web広告と比べると費用が高くなる傾向にありますが、当然より幅広い人の目に触れるため知名度の向上は大きく期待できます。

例えば意思決定者の年齢層が高いケースや、大企業向けの商品で多くの人に認知されることで社内決裁が進みやすくなるケースでは、マス広告への投資を選ぶ企業が増えています。業界が成熟していない新興市場も、検索やSNSで能動的に情報収集をする人が少ないため、マス広告で市場そのものを作るアプローチを取るスタートアップも増えつつあります。

マス広告への投資は予算が厳しい、または一度小規模にテストしたいというニーズへの対応として、ビジネスマンが移動に使うタクシーや電車、バスといった場所に掲示する交通広告の利用も増えています。

【5】SNS運用

BtoBマーケティングにおけるSNS運用は、市場からの認知・信頼獲得やWebサイトへの集客を目的に実施される施策です。

SNSに応じて利用するユーザーに傾向があるため、業界や商品の特徴、運用目的に応じてSNSを選定することが求められます。TwitterはSaaSなどIT業界の企業が利用することが多く、その拡散性の高さや気軽さから人気です。Instagramは画像中心のメディアのため、BtoB業界の中でもクリエイティブ系の企業や消費者向け製品の部品メーカーなどの情報発信で多く使われる傾向にあります。

採用活動で使われることも一般化しつつあります。Facebookは企業公式ページの開設が過去に流行したこともあり広報部門の企業公式情報の発信に使われることが多いほか、そのターゲティング精度の高さから業界問わずホワイトペーパーやセミナー集客を目的にした広告運用が多く活用されます。

SNS活用に関して、具体例でさらに詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

関連記事:「BtoB企業こそSNS活用を!顧客のLTV向上を実現するSNSマーケティング戦略とは【セミナーレポート】

【6】プレスリリース

プレスリリースは新商品の発表や調査レポートの発行をメディア向けのリリースにまとめ、プレスリリース配信サービスに掲載したり、メディアに直接アプローチしたりすることで記事化を狙い、市場から認知や信頼の獲得を目指す施策です。

広報部門が担当する企業もありますが、昨今はマーケティング部門が中長期的なSEOの取り組みまたはソートリーダーシップの獲得を目的にプレスリリースを戦略的に活用する企業も増えています。

無料または非常に小さい金額で配信をできるため、セミナー開催などに合わせて試しにやってみて損はない施策の一つといえるでしょう。

集客施策ごとの違い
集客施策ごとの違い

プレスリリースに関しては、こちらの記事で掲載されるコツまで解説しています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:「【ポイントは6つ!】プレスリリースの書き方は?具体例や掲載されるコツまで紹介!

【7】展示会・イベント

展示会への出展も、自社のサービスを知ってもらうための施策の一つです。

展示会に来る方は、自社の業界に興味を持っている方なため、見込み顧客の獲得にもつながりやすいのです。何を出展の目標とするのか、何を指標として達成度を測るのかを、予め明確にしましょう。展示会の成果を測る指標としては、名刺の獲得枚数、来場者のアンケート記入数、商談創出数などが一般的です。

今すぐ商品購入を検討している顧客の数は決して多くないことが普通のため、獲得リードに対しての関係性維持・商談化の方法をセットで検討することが重要になります。

【8】LP(ランディングページ)

LPとは、Web広告をクリックした際の遷移先として設定されることが多い、縦長1枚もののWebページのことです。

一般にWebサイトは複数のページで構成され、ユーザーの課題や興味に応じて最適なコンテンツに向かえるようにサイトマップを設計しますが、LPは最短でCVに向かわせるためにリンク要素を少なくして1枚のストーリーを読み込ませる構成とすることが一般的です。

リスティング広告、SNS広告、メールなど、タッチポイントごと、または広告クリエイティブごとに合わせたストーリーを設計したLPとし、「まさに自分の課題を解決するための商品だ」と思わせることが重要です。

LP(ランディングページ)に初めて取り組まれる方には、こちらの記事がおすすめです。

関連記事:【初心者向け】LPの簡単な作り方|無料ツールや依頼相場も解説

【9】アクセス解析

Webサイトのアクセス解析は各種のマーケティング施策の投資対効果を高める上で、定期的に実施すべき施策です。

自然検索流入を多く獲得できているキーワードは何か、流入したユーザーがよく見ているコンテンツは何か、CVに至る経路はどのようなものが多いか。それぞれが意図と違うならばUIやコンテンツを改善し、流入したユーザーを高い確率でCVに至らしめるWebサイトに成長させていきます。

Webサイトは制作してからがスタートであり、ユーザーの行動を定量分析しながら改善を重ねることでリード獲得・商談創出に寄与するWebサイトを目指しましょう。

アクセス解析にはツールの利用がおすすめです。ぜひこちらの記事を参考にしてください。

関連記事:「アクセス解析ツールを使うと何が分かる?解析の目的や実施方法、ツールを紹介

【10】ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、 商品に対する新規の見込み顧客の購入意欲を高めてもらうことを目的にした無料で配布するお役立ち資料のことです。

新規の見込み顧客がダウンロードする際に、名前や住所、メールアドレスなどをフォーム入力いただきリード獲得の施策として用いることが一般的です。

白書の名の通り、中立的な立場で書かれた商品選定に役立つ内容であり、購買フェーズに応じてマーケットリサーチ系や選び方ガイド系が多く見られるテーマです。

ホワイトペーパーに関して、さらに制作手順まで知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

関連記事:「ホワイトペーパーとは?目的・テーマ・制作手順を解説

【11】メールマガジン

メールマガジンは、長い購買プロセスにおいて顧客との関係性を維持し、忘れないでいてもらうために有効な施策です。

継続的に送信することで、ユーザーが自社商品のことを思い出す頻度も増えてくるでしょう。ただし、ユーザーにとって価値のある情報を、適切な頻度で提供できなければ、ユーザーにブロックされたり、迷惑メールに分類されたりしやすくなります。

また、メールマガジンはユーザーの許可なく送りつけることはできません。メールアドレスを取得する際に、メールマガジンを受信許可(オプトイン)を取得しましょう。

成功するメールマガジン運用に関しては、こちらの2つの記事がおすすめです。

関連記事:「メールマーケティングとは?5つの手法や進め方などこれから始める方へ必須知識を解説

関連記事:「無料で試せるメール配信システム20選【有料版も含めたDL比較表付き】

【12】インサイドセールス

インサイドセールスとは、見込み顧客のもとを直接訪ねるのではなく、電話やビデオ通話、メール、チャットなどを用いて、リモートで行う営業活動です。

Salesforce社が実践する分業型の営業体制を解説した書籍「THE MODEL」で一躍有名になりました。営業リストをなぞるようにただテレアポをする組織ではなく、営業プロセスの潤滑油として見込み顧客に個別の情報提供を実施する過程で課題が顕在化した見込み顧客を判定し、営業(フィールドセールス)にヒアリング情報と共にトスアップする役割を担います。

インサイドセールスについては「インサイドセールスとは?テレアポとの違い、導入の効果を解説」でも紹介していますのでご覧ください。

【13】セミナー・ウェビナー

セミナーは課題テーマに興味を持つ見込み顧客を集客し、課題解決の指南をすることで信頼を獲得できる施策です。

コンサルティングなど担当者のノウハウそのものが商品の事業ではかつてより王道の施策で、昨今は製造業やソフトウェアビジネスにおいてもその商品が新規性の高い価値提案をしている場合に、市場を啓蒙する施策として実施される傾向にあります。

また、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大にともない、Web上でセミナーを実施する「ウェビナー」も数を増やしています。セミナーの場合は会場の確保や準備にコストがかかりがちでしたが、ウェビナーは主催者・参加者双方よりその手軽さに人気を博しています。

BeMARKEで実施したウェビナーの成功事例を配布しています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:「ウェビナー運営は何をする?うまくいく運営のコツ7つ解説!【188名集客成功事例配布中】

【14】SFA分析

SFA分析は営業活動のデータをもとに分析し、営業の振る舞いやコンテンツのメッセージの改善を図る施策です。

顧客の属性や接触チャネル、商談時に伝えた提案内容などを、商品・営業担当・受失注の結果などの軸で分析をすることが一般的です。分析の結果見えてきた課題は営業部門だけで改善するのではなく、必要に応じてWebサイトや広告の見せ方を改善することが重要です。

SFAの導入をこれから検討される方には、こちらの記事がおすすめです。

関連記事:「SFA導入に失敗しないため、4つのよくある事例から対処法を学ぼう

関連記事:「最新SFA/CRM(営業支援ツール)営業タイプ別おすすめ13選!【比較表つき】

【15】セールスイネーブルメント

セールスイネーブルメントとは高度化する営業活動を、データ分析とコンテンツの観点でサポートする概念及び組織を指します。

SFA分析を通じて分かった営業課題を解決するために営業資料を改善または新規制作するほか、社内研修を充実させて、受注率の向上及び営業担当の早期戦力化を目指します。データをもとにした改善が肝であり、過去の営業活動は個人のセンスや力量によるとされがちだったものを、誰もが売れる組織を目指してBtoB企業各社が取り組むことが増えています。

セールスイネーブルメントについては「セールスイネーブルメントとは? 注目される背景や期待できる効果を解説」でさらに詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

3.BtoBマーケティングのプロモーション上のポイント

1つ目は、BtoB企業は自社の課題解決を目的として商品を購入するという点です。

BtoB企業は、ブランド目的というよりは自社の課題解決を目的として商品を購入します。このため企業にとって投資対効果の高い商品であることを説明しない限り、売り上げは伸びません。

2つ目のポイントは、BtoB企業における意思決定は組織で行われるという点です。

BtoBの商取引では、1人の担当者が決裁することはあまりありません。商品の単価が高ければ高いほど、チームの決裁、課長の決裁、部長の決裁と、複数人による決裁を経て購入に至ります。このため直接の担当者だけでなく、決裁フローにおける各担当者を説得し、信頼を得る必要があるでしょう。

このことは、裏を返せば「意思決定に営業が介在する」という3つ目のポイントにつながります。

BtoBマーケティングでは、プロモーションやデジタルマーケティングの段階ですべての情報を顧客に伝える必要はありません。マーケティングの役割は顧客に接触するところまでになり、営業担当者にバトンを渡すことです。その後、営業担当者が顧客に個別具体的な提案を行うというプロセスをたどります。

4つ目のポイントは、BtoB企業における検討期間は長期にわたるという点です。

BtoB企業では、初見の営業担当者から即日に高単価の商品を購入することなどほぼ皆無です。既存の取引がある場合を除き、新商品の導入には半年から1年、場合によってはそれ以上の長期間の検討期間を経て導入に至ります。このため、初回接触から購入に至るまでの関係性維持が重要なポイントです。

BtoBマーケティングのプロモーション上のポイント
BtoBマーケティングのプロモーション上のポイント

4.BtoBマーケティングに活用できるツール

ここでは、BtoBマーケティングに活用できる4つのツールを紹介していきます。

MA

MAとは「Marketing Automation」の略で、マーケティング業務の一部を自動化・効率化できるツールです。

BtoCビジネスよりも接触から購買までの期間が長くなりがちなBtoBビジネスにおいては、特に購買意欲の醸成、見込み顧客の選別の工程を効率化するツールとして発展してきました。具体的には、各見込み顧客の関心度を管理するスコアリング機能や、関心度に応じて送信するメールを変えるシナリオメール機能が代表例です。

そのほかWebサイトの更新やパーソナライズ、接客機能などツールベンダーによって工夫を凝らした機能が搭載されています。いずれもメールでコンテンツを届けてこれに対する見込み顧客の反応を記録する機能がベースであるため、活用にあたってはWebコンテンツの充実が欠かせません。

MAについて詳しくは「MA(マーケティングオートメーション)とは? 機能や選び方のポイントを解説」をご覧ください。

SFA・CRM

SFAは「Sales Force Automation」の略で、営業支援システムとも呼ばれます。営業における案件の管理や、各商談の状況を管理・共有することで、営業活動の効率化を支援してくれます。

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では顧客管理システムと訳します。概念上の相違点こそありますが、BtoBマーケティングのツールとして利用する上では、どちらを選ぶか迷う必要はありません。

これまで各営業担当に属人的に委ねられブラックボックスとなっていた案件管理や顧客情報管理を標準化することで、営業活動の生産性を高めることができます。情報がオープンになるため、チームで協力した営業活動を実現できますが、これには各営業担当に情報を入力してもらう働きかけが重要です。

また歴史のある大企業の中には、社内に複数の顧客管理システムが同居しており、その同期や名寄せがうまくいっておらず非効率になっている場合があります。このような企業がSFAやCRMを導入する場合は、一意のIDで顧客データを統合できる名寄せサービスの導入も検討してみましょう。もちろんMAとの連携も重要です。

SFAについて詳しくは「SFAとは? 必要性や現場に定着させるためのコツを紹介」をご覧ください。

CMS

CMSとは「Contents Management System」のことで、HTMLコーディングなどWeb制作の専門知識がなくても、Webサイトの更新・管理を行えるツールです。

人気の背景にはWebサイトの更新はコーポレートサイトを管理する部門が一括で行っていたことが多かったところ、サービスや目的別でWebサイトを構築する企業が増えた結果、事業部門がより手軽なWeb制作・更新ツールを求めるようになったことが挙げられます。

無料のものから有料のものまでいくつかの選択肢がありますが、SEO対策の充実度合いやセキュリティ、サポート体制など、各サービスごとに異なっているので、比較・検討の上、自社に合ったものを導入してください。

また昨今はMAやCRMとの連携、アクセス解析機能など、よりマーケティング目的のWeb運用が便利になる機能が求められる傾向にあります。

CMSについて詳しくは「CMSとは? メリット・種類・選ぶ基準などわかりやすく解説」をご覧ください。

5.BtoBマーケティングのトレンド

BtoBマーケティングは近年さらに科学が進み、トレンドが時代と共に変化しています。最新のトレンドを押さえながら、効果的なBtoBマーケティングを展開していきましょう。ここでは、近年BtoBマーケティングのトレンドを3つ紹介します。

①独自性あるコンテンツによる信頼の獲得

低品質なコンテンツが検索上位に表示されにくくするためにGoogleが2012年にパンダアップデートを実施したことをきっかけに、検索上位表示を狙ったコピペ中心の低品質なコンテンツはかつてより見られなくなりました。

しかし現在も、E-E-A-Tを意識したコンテンツ制作をしないことには上位表示は難しいものの、BtoB業界であってもWebマーケティングに注力している企業が多い業界においては、検索結果画面が類似の構成の記事ばかりということも珍しくはありません。

こうした対応はアクセス数を増やす上では依然として有効ですが、購買の意思決定において企業への信頼がより重要なBtoB業界では、目先の集客を目的にしたコンテンツSEOはあまり意味がないとも言えます。

そこで昨今は業界において手本となるようなアイデアや考え方を示すことで、市場からの信頼を獲得するソートリーダーシップの考え方に則り、コンテンツ発信に取り組む企業が増えています。

検索結果画面を参考に記事を制作するのではなく、営業やカスタマーサクセスなど顧客との最前線にいる担当者へのヒアリングや、独自の調査レポートをベースに記事を制作するのです。特にノウハウそのものが商品であるコンサルティング業界や、カスタマーサクセスが付加価値をつけるSaaS企業などは「今後より一層考え方を信頼できるか?それを判断するためのコンテンツが充実しているか?」が求められるでしょう。

②分業型の営業体制

営業体制をマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4部門に分けて効率化を図る考え方が、SaaS企業を中心に一般化しつつあります。長期化しがちな顧客との関係性を、工程ごとにKPIの異なるチームとして細分化して管理することで、見込み顧客の流れをパイプラインに見立てて効率化する考え方です。

しかし分業型の営業体制を取り入れること自体はブームが過ぎ去りつつあり、昨今はいわば各チームのKPI近視眼ともいうべき事象をどう解決するかが論点になることが多くなっています。

例えばマーケティング部門がリード獲得数、CPAを追いかけるあまり、商談に至らないリードが増える。インサイドセールス部門が商談数を追いかけるあまり、課題が顕在化しておらず商品に興味のない顧客とのアポイントメントが発生してしまう、というような事象です。

解決策としては、各部門同士が後工程にリードを引き継ぐ基準を言語化して合意することや、全工程を管理するCRO(チーフ・レベニュー・オフィサー)を設置して連携をさせること、Webサイトの流入から商談状況・受注状況を統合してモニタリングできるダッシュボードを作成して受注単価の良いプロモーション施策を実施できる体制を作ること、などに取り組む企業が増えています。

分業と連携型組織の比較
分業と連携型組織の比較

③法人営業の高度化と、PLG

顧客各社ごとに個別の企画提案を実施するソリューション営業やコンサルティング営業が増えており、データ分析やマーケティングコンテンツの考え方を求められるようになるなど、法人営業に必要なスキルはより高度になっています。

人手不足の労働市場において、高単価のBtoB商材を新規の顧客に安定して提案・販売できる営業人材は非常に希少な人材であり採用が難しいため、セールスイネーブルメントなど育成や標準化のサービスが増加しています。

一方で、営業が介在せずにWeb上で商品の購入が完了できるSaaSとして、先に紹介したようなPLG(Product Led Growth)と呼ばれる考え方が海外のSaaS企業を中心に人気を博しており、日本でも増加傾向にあります。

④企業をターゲットにしたマーケティング

ABMは企業(Account)に対して働きかける手法です。

できるだけ多くの見込み顧客を獲得し、その後選定していくリードをベースにしたマーケティング手法とは異なり、ABMでは最初から、自社のサービスが最も価値を提供できる特定のセグメントまたは企業そのものをリストアップし、そこに合わせたマーケティング施策を実施します。

顧客になりうる企業の数が少ないニッチ業界の製造業などにおいてはABM自体は以前からあった考え方ですが、MAやSFAそしてさまざまな企業の属性情報が取得できるABMツールの発達により取り組みやすくなったころから、再度注目されています。

6.まとめ

BtoBマーケティングの概要や、具体的な施策、活用できるツールや昨今のトレンドなどについて紹介してきました。 新たなツールの登場や、世の中の動きを受け、BtoBマーケティグの手法も徐々に変わっていきます。 その時々のトレンドを押さえながら、効果的なBtoBマーケティングを展開してください。


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この記事を書いた人

山下 航希
山下 航希

コンテンツマーケティングを軸にしたリード獲得をベースに、営業体制のDXコンサルティングを主導。エンタープライズ企業のマーケティング体制整備の実績あり。

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    引き合いを
    増やしたい
  • 営業活動の
    DXを
    進めたい
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