基本ノウハウ
若者からシルバー世代まで幅広いユーザーが活用しているSNSは、広告配信面としての価値も年々増しています。登録されたユーザー情報をもとにターゲティングできるなどさまざまなメリットがあるSNS広告ですが、その種類は多く、違いがよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、SNS広告の概要やメリットに加えて、FacebookやInstagram、Twitterなど主要な6種類のSNS広告の特徴について解説します。
SNS広告とは、FacebookやInstagram、Twitterなど、SNSの画面上に表示される広告のことです。
広告表示にユーザーのアクションを必要としないプッシュ型広告である点や、精度の高いターゲティングが可能な点を強みとしており、潜在層への認知拡大やブランディング、自社サイトの集客などに役立ちます。
SNS広告以外のWeb広告については下記の記事でも解説しています。
関連記事:Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介
さまざまなメリットがあるSNS広告ですが、中でも代表的なものは下記の通りです。
SNS広告は、年齢や性別、勤務先や趣味など、ユーザーが登録したアカウント情報やSNS上でのユーザーの行動を元に広告を配信できるため、精度の高いターゲティングを行えます。
ターゲティングの精度が高ければ、自社製品・サービスに興味を持ってくれそうなユーザーに的を絞って広告を配信でき、効率的な集客が可能です。つまり自社製品・サービスとの関連性が薄く関心が低いユーザー、成果の見込めないユーザーへの広告配信も減らせるため、費用対効果を高められるのです。
SNS広告は、特定のユーザーに向けて企業側から配信できるプッシュ型広告であるため、潜在顧客をはじめとした幅広いユーザーにアプローチできます。
対して同じWeb広告の一種であるリスティング広告などは、ユーザーが検索や閲覧といったアクションを起こした際にのみ表示されるプル型広告であり、課題やニーズを自覚していない潜在層にはアプローチできません。プッシュ型であり潜在層にもリーチしやすい点はSNS広告の強みといえます。
またSNSは、ユーザー同士で情報を共有できるという特徴もあり、自社が配信した広告がユーザー間で拡散される効果も期待できます。
SNS広告は、ユーザーそれぞれのタイムラインに溶け込む形で広告が配信されるため、他のWeb広告よりも受け入れられやすく、クリックにもつながりやすくなっています。
人々が触れる日々の情報量が増加している昨今、あからさまな広告は場合によってはユーザーに嫌悪感を持たれる可能性もありますが、タイムラインに溶け込むSNS広告であれば、そうしたリスクも少なく済むでしょう。
主要なSNSはすべて広告出稿が可能です。SNSの種類によってユーザー層や広告の表示方法、課金形式などが異なるため、自社のターゲット層や商品・サービスの強み、広告予算に応じて適切なSNS広告を選択すると良いでしょう。ここからは、代表的な課金タイプと主要SNS広告の特徴について紹介します。
SNS広告の課金タイプにはさまざまな種類が存在します。課金形式と対応するSNS、特徴は以下の通りです。
課金形式 | 対応しているSNS | 特徴 |
---|---|---|
インプレッション課金 | Facebook / Instagram / Twitter / LINE / YouTube /TikTok | 広告が1,000回表示されるごとに課金される |
クリック課金 | Facebook / Instagram / Twitter / LINE / YouTube /TikTok | 広告がクリックされるごとに課金される |
インストール課金 | Facebook / Instagram / Twitter /LINE | 広告経由でアプリなどがインストールされるごとに課金される |
動画再生課金 | Instagram / Twitter / TikTok | 動画広告が視聴されるごとに課金される |
エンゲージメント課金 | いいねやリツイートなどエンゲージメントが発生するごとに課金される | |
フォロワー課金 | 広告経由でフォローが発生するごとに課金される | |
友だち追加課金 | LINE | 広告経由で友だち追加が発生するごとに課金される |
期間契約型 | TikTok | 事前の契約期間に応じて金額が固定される |
広告の特徴 | 実名登録による精度の高いターゲティング |
種類 | 画像広告 / 動画広告 / カルーセル広告 / キャンバス広告 / スライドショー / コレクション広告 / ダイナミック広告 / リード獲得広告 / クーポン広告 / イベント広告 / |
主な課金タイプ | インプレッション課金 クリック課金 |
国内ユーザー数 | 2,600万人 |
メインユーザーの年齢層 | 30~50代 |
Facebookは新規登録時に実名が推奨されているため実名登録率が高いSNSであり、ビジネスシーンでも利用が多いという特徴があります。Facebook広告は氏名や年齢、居住地や勤務先などの個人データを元に配信できるため、精度の高いターゲティングが期待できるでしょう。
広告の種類については、画像広告や動画広告、スライドショー広告など10種類以上が用意されており、目的に合わせて選択できます。
費用については、主に表示回数によって費用が発生するインプレッション課金と、クリック数に応じて費用が発生するクリック課金の2種類が用意されており、広告費の上限は自身で設定します。
関連記事:Facebook広告とは?出稿するメリットや成功させるポイントも解説
広告の特徴 | ビジュアル訴求に優れている |
種類 | 画像広告 / 動画広告 / カルーセル広告 / コレクション広告 / |
主な課金タイプ | インプレッション課金 クリック課金 インストール課金 動画再生課金 |
国内ユーザー数 | 3,300万人 |
メインユーザーの年齢層 | 20~30代 |
InstagramはFacebookと同じくMeta社によって運営されており、Facebookに登録された個人情報を元に広告配信が可能であるため、Facebookと同様に精度の高いターゲティングが期待できるSNS広告です。
Instagramはビジュアル訴求をメインとした作りになっているため、インパクトのある画像で人を惹きつける、印象的な画像でブランディングを行うといった方法が向いています。
広告の種類については、画像や動画を単に表示する以外にも、複数の画像を横並びに表示できるカルーセル広告や、メインビジュアルと商品画像を表示するコレクション広告など豊富に用意されているのも特徴です。
費用についてはインプレッション課金とクリック課金に加え、アプリインストールによって費用が発生するインストール課金と、動画の再生数に応じて費用が発生する動画再生課金があり、広告費の上限も自己設定です。
広告の特徴 | トレンドに強く、広告の二次拡散に期待できる |
種類 | 画像広告 / 動画広告 / カルーセル広告 / モーメント広告 / テキスト広告 / |
主な課金タイプ | インプレッション課金 エンゲージメント課金 フォロワー課金 インストール課金 クリック課金 動画再生課金 |
国内ユーザー数 | 4,500万人 |
メインユーザーの年齢層 | 20~40代 |
Twitterはユーザーが今の状況や気持ちを投稿するリアルタイム性が特徴のSNSであり、ユーザーのツイートや検索ワードに応じてカスタマイズされた広告の配信もリアルタイムで行えるため、アクティブユーザーに訴求できるという強みがあります。
広告配信の形は主に3種類あり、タイムライン上に広告を表示させるオーソドックスなスタイルのプロモ広告、タイムラインに自社アカウントを表示させてフォロワー獲得を目指すアカウント獲得広告、タイムライン上ではなくトレンドリスト内に表示させるTwitterテイクオーバーに分かれます。
費用は、これまで紹介したインプレッション、クリック、インストール、動画再生に加え、フォロー時に費用が発生するフォロー課金、いいねやリツイート数に応じて費用が発生するエンゲージメント課金があります。
広告の特徴 | 高いアクティブ率と豊富な広告配信面 |
種類 | 画像広告 / 動画広告 / カルーセル広告 / |
主な課金タイプ | インプレッション課金 クリック課金 友だち追加課金 |
国内ユーザー数 | 9,400万人 |
メインユーザーの年齢層 | 全世代 |
日本国内での利用頻度が高く、アクティブユーザーも多いコミュニケーションアプリであるLINEの広告は、どの年齢層にもアプローチしやすいため、幅広い層にリーチを広げたい場合に適しています。
トークリストの上部に表示されるSmart Channelやニュースタブに表示されるLINE NEWS、タイムラインに表示する広告など多種多様な広告掲載面が用意されており、画像広告と動画広告、カルーセル広告という3種類のフォーマットで配信可能です。
広告費用はインプレッション課金とクリック課金に加えて、友だち追加されたときに費用が発生する友だち追加課金の3種類となっています。
広告の特徴 | 若者世代からシルバー世代まで、幅広い世代にリーチできる |
種類 | バンパー広告 / スキッパブル広告 / ノンスキッパブル広告 / ディスカバリー広告 / マストヘッド広告 / アウトストリーム広告 / |
主な課金タイプ | インプレッション課金 クリック課金 |
国内ユーザー数 | 7,000万人 |
メインユーザーの年齢層 | 全世代 |
大手動画配信サービスのYouTubeは、利用者数が多く幅広い年齢層に利用されています。若い世代だけでなくシルバー世代も多く活用しており、さまざまな商品やサービスの広告に適しています。基本的にはYouTubeの動画の中でCMのように広告が配信されるため、構造的に視聴されやすい点が強みです。
スキップができないバンパー広告や5秒後にスキップできるスキッパブル広告、15秒以下でのスキップができないノンスキッパブル広告、検索画面や関連動画に表示されるディスカバリー広告、ホーム画面上部に表示されるマストヘッド広告、YouTube外の提携チャネルに配信できるアウトストリーム広告の6種類があります。費用はインプレッション課金とクリック課金の2種類です。
広告の特徴 | 10~20代の若者世代にリーチできる |
種類 | 静止画広告 / 動画広告 / 起動画面広告 / インフィード広告 / チャレンジ広告 / 運用型広告 / |
主な課金タイプ | 動画再生課金 インプレッション課金 クリック課金 期間契約型 |
国内ユーザー数 | 950万人 |
メインユーザーの年齢層 | 10~20代 |
ショート動画で10~20代の若者を中心に流行しているTik Tokは、比較的低単価の若者向け商品やサービスとの相性が良い傾向にあります。
広告フォーマットは静止画広告と動画広告の2種類があり、アプリ起動時に大きく表示される起動画面広告や動画のおすすめとして表示されるインフィード広告、ハッシュタグを使ったチャレンジ広告、そして一般投稿に混ざって配信される運用型広告の4種類が存在します。
費用は動画再生課金とインプレッション課金、クリック課金、期間契約型の4種類です。
最後に、SNS広告の運用で注意すべきポイントを見ていきましょう。代表的な注意点は以下の3つです。
SNS広告は該当するSNSの利用者にしか訴求できないため、そのSNSのユーザー層と製品・サービスのターゲットが合致していないと期待する成果を出せません。
特に50代以上の層はInstagramやTikTokなど一部のSNSの利用率が低い傾向にあります。そうした層をターゲットにした製品・サービスの場合は、LINE広告やFacebook広告などを利用した方が有効である可能性があります。自社の商材向きのターゲットに届けられるかどうかをまず精査しましょう。
SNS広告は効果測定が容易で、配信から改善までスピーディにPDCAを回せる点がメリットです。SNS広告のメリットを生かして成果を最大化するためには、素早くPDCAを回せる体制を整えておく必要があります。
マーケティング担当者と社内デザイナーで協力体制を築き、クリエイティブを複数パターン作って効果の大きい広告を調査できるようにする、スケジュールに改善を前提とした日程をあらかじめ設けておくなどして、素早くPDCAを回せる環境づくりを行いましょう。
SNS広告を運用するなら、目的に応じてSNS別にKPIを設定するようにしましょう。SNS広告にはクリック数、インプレッション数、コンバージョン数などKPIに設定しやすい複数の指標がありますが、SNSごとのシステムやユーザー層の違いもあり、KPIを一律の目標値にしても正しい評価ができない場合があります。また、どのような目的の広告運用なのかによっても重視すべき指標は変わります。
認知度を高める目的のYouTube広告ではどれだけ見られたかを重視する、コンバージョン獲得が目的のFacebook広告ではどれだけクリックされたかを重視するといった具合に、目的別にSNSを使い分けることも意識しながらKPIを設定するようにしましょう。
SNS広告はそれぞれの特徴や強みを理解した上で選択していくことが大切です。本記事で紹介した各SNS広告の特徴を参考にしつつ、自社製品・サービスに最も向いているSNS広告を探してみてください。