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元プルデンシャルのトップ営業マンが語る「売れる営業の本質」とは

元プルデンシャルのトップ営業マンが語る「売れる営業の本質」とは

企業において「売り上げ」をつくるために欠かせない営業職。その市場規模は大きく、さらに求人数は年々増加しています。しかし、積極的に採用している企業が増えている一方で、51.9%の営業パーソンが「営業職はつらい仕事である」とも回答しています※。

そこで今求められる営業の本質とは何か、売れる営業の心得について、元プルデンシャルのトップ営業マンであり、「Life is Sales -人生は営業-」株式会社Lisを創業したCEOの浅井 央氏にお聞きしました。

※参考:営業職社会人に聞いた、ぶっちゃけ営業って「辛い」「楽しい」どっち?! 5割が選んだホンネは……

目次

今求められる「営業の本質」4つの考え方

企業が業績を伸ばすために「営業」が重要であることは、これまでも、テクノロジーが進化した現代でも同様です。

現代の営業組織では、「インサイドセールス」「チャーンレート」「カスタマーサクセス」などさまざまな概念や組織形態が生まれ、売り方のテクニックやツールが注目される機会が増えています。

営業の領域に新たな考えやアイデアが生まれてくること自体は素晴らしいと思います。しかし同時に、商いの基本がおざなりになっているのではないかと感じることもあります。

営業ではテクニックやツールに踊らされることなく、顧客との信頼関係を構築することが重要です。

今回は、私が考える「営業の本質」についてご紹介します。

営業の本質【1】主語は「自分」ではなく「顧客」

私が考える営業の本質は顧客との信頼構築です。顧客と信頼関係を構築し、価値を提案し続けることができれば、顧客は自然と対価を払ってくれます。今一度、この本質に立ち返るべきだと考えています。

分かりやすい例として、昔ながらの商店街に店を構える繁盛店があります。

繁盛店の店主は、店に訪れる顧客の顔と好みを覚え彼らが喜ぶことをすれば、信頼につながり、商品をリピートして買ってくれるようになり店の繁盛と存続につながることを経験的に知っています。だから積極的に顧客が喜ぶ提案をすることに集中するのです。

一方で、営業担当者が不信感を持たれてしまうケースも一定数存在します。

なぜ信頼関係を構築できないのか。それは、営業担当者の一つひとつの行動が「顧客」起点ではなく、「自分」や「自社」起点になっているからです。自社の営業目標達成のみを優先した営業活動や機能説明ばかりの商談が典型的なケースです。自社の都合で動くあまり、顧客が本当に欲しいものは何か想像することをないがしろにしてしまうのです。

顧客と信頼関係を作るために、まずは徹底的に顧客を知る必要があります。

営業の本質【2】データをもとに相手を理解する

顧客と信頼関係を構築するには、顧客理解が重要です。では実際に何をすべきなのか。私がこれまで実践してきたことをご紹介します。

その鍵は「データの収集と分析」にあると思います。

法人向け営業の場合は契約経路や数、解約率やプロダクトの利用率などのデータを見れば、顧客の行動をつぶさに読み取れます。どのサイトを経由して自社サイトに来たのか、どのページに何秒滞在して、どこで意思決定をしたのか。契約は何ヶ月続き、いつサポートの申し込みがあり、どのような理由で解約・継続をしているのか。すべてデータから把握できます。

それらを一元管理して分析すれば、顧客が本当に求めるものがなにか仮説を立てることはできますよね。これはあらゆる企業が実践し、さまざまな書籍や記事からも学ぶことができます。

しかし徹底的に実践できている企業は少ないのが実態です。データ収集には莫大な工数とコストがかかり、結果的に顧客理解を徹底できていない企業がほとんどなのです。

そのような状況のなか、私たちはデータを根拠にした提案、営業活動を行うことで、クライアントから「解約数を減らす方策が見えた」「セールスチームの問題点を見つけ出せた」「資金調達の額や方針を見定められた」とコメントをいただく機会が多く、価値をご提供できている実感があります。

データの収集と分析がもたらすメリットは顧客との信頼構築だけではなく、社内の営業プロセスの見直し、経営改善にもつながります。

営業の本質【3】継続的な関係を通じ、顧客の夢をサポートする

「営業とは、顧客が求めているもの、気づいていないけれど、あったら役に立つものを提供していく仕事。その対価として、お金をいただく」

「営業とは、売上(利益)を上げることで、会社の経営を支え、スタッフの給料を増やし、未来に向けた設備投資、ブランディングを可能にする」

「営業とは、その活動を通して、目標達成、コミュニケーションなど、自分の成長にも非常に役立つ」

これが私が考える営業の本質です。トップ営業ほど、言葉の表現は違えど上記のように営業を理解しています。

そして商品やサービス、継続的な関係を通して、顧客が以下を実現するきっかけやサポートを提供します。

  • 顧客が、人生の質、生活の質を高める
  • 顧客が、欲求や願望を満たす
  • 顧客が、悩みや問題を解決する

そのため「顧客にとって自社の商品・サービスが役立つと確信できれば、全力で営業します。逆に顧客の利益にならないと判断すれば、丁寧に理由を伝え、お断りします」。

例えば、お客様のニーズについて調査・分析した結果、自社のサービスよりも他社のサービスの方がマッチしていると事前に認識していたとします。自社サービスがお客様のニーズに合っていないと知りながらも売上を伸ばすことを優先し、営業してしまうこともあるでしょう。

一時的には自身の営業数字は伸びるかもしれません。しかし長期的に見ると、お客様の根本的な課題解決につながらず満足度が低下するリスクがあります。

このような場合、トップ営業は、あえてお客様のニーズにマッチする他社の商材をおすすめします。そして、その誠実さと自身の人柄のファンになってもらい、お客様から「御社のサービスにマッチしそうな会社さんがいたらつなげますね」といっていただけるような信頼関係を築くという、顧客起点のアプローチができるのです。

これもトップ営業に共通したスタンスです。

営業の本質【4】常に「四方よし」を意識、体現する

継続的に結果を出し続けているトップ営業は、共通して「売る」という行為の裏に哲学があります。大阪の商人・伊勢の商人と並ぶ、日本三大商人の一つ「近江商人」は、商いの在り方として、「売り手だけの都合ではなく、買い手を第一に考え、地域社会へ貢献する」ことを大切にしました。

これが近江商人の商売哲学「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」です。トップ営業ほど、このような考えを大切にしています。

さらに「三方よし」からもう一歩踏み込んだ「四方よし」は、さらにパワフルです。

  • 売り手よし
  • 買い手よし
  • 世間よし
  • 関係者よし(会社のスタッフ、スタッフの家族、協力者、株主など)

このような考え方が、顧客に選ばれるトップ営業の基本スタンスです。

短期的な営業数字だけにこだわらず、お客様のニーズに合うサービスや情報を常に届け続けることで四方よしを追求できます。

私たちは四方よしを実践し続けた結果、友人をご紹介いただく機会が増えたり、口コミで好評の声をいただくようになったりと、自然とサービスの信頼と認知度が上がるようになりました。

もちろん、営業戦略やスキル、コミュニケーション能力など「営業力」に磨きをかける必要があります。その上で、本質的な考え方である「四方よし」を実践することでより高い結果を出せるようになります。

まとめ

「売れる営業の本質」を一言でまとめると、「顧客を知り、顧客を助ける」ということになります。

テクニックや経験、直感なども重要ですが、時代や会社によって見せ方やテクニックのトレンドは異なります。まずは、時代が変わっても変化しない「営業の本質」を深く理解し、それを体現し続けることで、成果を出せるのではないでしょうか。「営業の本質」を理解することで、営業以外の分野でも活躍できると思います。

私たちの会社では、「営業は人生そのもの」であると考えています。仕事はもちろんプライベートにも役立つこの考え方を、まずは身近なところから実践してみてはいかがでしょうか。

BeMARKE編集部より

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この記事を書いた人

浅井央
浅井央 | 株式会社Lis CEO

新卒でWEB広告代理店に入社、元キーエンスの上司の下で営業を徹底的に学び、その後プルデンシャルに入社。成績上位10%にのみ与えられるトップ営業マンに表彰される。営業に強みを持っていたこと、そしてなによりも莫大な数の人が営業に関する悩みを抱えていることから、1人でも多くの営業の悩みを解決できればと思い株式会社Lisを3年前に立ち上げる。

株式会社Lis(リス)
営業支援をはじめとし、営業フリーランス人材のマッチング事業や、生成AI活用人材のリスキリング事業を行うスタートアップベンチャー。

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