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ホワイトペーパーとは?活用方法・構成・作り方まで解説

ホワイトペーパーとは?活用方法・構成・作り方まで解説

リードを獲得するための効果的な手段の一つに、ホワイトペーパーの活用があります。しかし成果を上げるホワイトペーパーを制作するためには、その意味や目的、理想的な構成などについて知っておくことが必要不可欠です。ここでは、初めてホワイトペーパーの制作を担当される方に向けて、ホワイトペーパーの概要や具体的な制作手順などについて詳しく解説します。

またそのまま使えるホワイトペーパーのテンプレートをお配りしています。ぜひご活用ください。こちらからダウンロードできます。▼

目次

1.ホワイトペーパーとは

ホワイトペーパーとは元々は政府や公的機関が刊行する白書を意味していましたが、現在ではもっと広い意味で捉えられています。特にマーケティング分野で使われるホワイトペーパーという言葉は、ユーザーにとって有益な資料という意味で使われていることがほとんどです。

ホワイトペーパーと営業資料の違い

ホワイトペーパーは市場調査や技術情報、商品やサービスの導入・比較事例といった、見込み顧客の課題解決に有益となる情報をまとめた資料のことです。

一方営業資料は、自社の商品・サービス内容を販売促進のためにまとめた資料のことを指し、作成の目的そのものが違います。

ホワイトペーパーを配布する目的

ホワイトペーパーを配布する目的は「リード(見込み顧客)獲得」や「リード育成」、「リードの選別」、「リードの意識レベルの確認」、「営業活動のサポート」に大きく分けられます。目的別に効果や活用方法を解説していきましょう。

リードを獲得する

ホワイトペーパーは自由にダウンロードできる状態にせず、企業や担当者の情報を入力した上でダウンロードできる仕組みにするのが一般的です。ダウンロードの際に情報を提供してもらうことで、リードの獲得につながります。資料をダウンロードしているということは、そのトピックに興味や課題を抱いているリードだと判断できます。ホワイトペーパーはホットリード獲得にも有効な施策なのです。なお、リード獲得のことを「リード・ジェネレーション」とも呼びます。リードジェネレーションについては「リードジェネレーションとは?手法やナーチャリングとの関係も解説」で紹介していますので、ぜひご覧ください。

リードを育成する

リードは獲得して終わりではなく、顧客へと成長させることによってはじめて意味を成すものです。ホワイトペーパーを活用し、リードが求めている情報を提供することができれば、自社やサービスに対する理解度の向上や、情報提供による信頼の獲得などが期待できるでしょう。そうして自社やサービスのことをしっかりと刷り込ませておくことで、ニーズが発生した際に自社を思い出してもらえたり、営業を行った際に快く受け入れてくれるといった効果が出ることも。リードを顧客へと育成するシーンでも、ホワイトペーパーは効果を発揮します。

リードを選別する

誰がいつどのホワイトペーパーをダウンロードしたかを把握し、スコアリングすれば、リードを選別できるようになります。スコアリングとは、資料ダウンロードなどの行動履歴や企業規模、担当者の役職などに応じて点数をつけて、各リードの受注確度を測る作業のことです。

ダウンロードされたホワイトペーパーの種類や数、担当者の役職などでスコアリングし、点数の高い順から営業やインサイドセールスにリード情報を渡すことで、効率的な営業活動が可能になります。スコアリングについては「MAのリードスコアリングとは?メリットや運用時の注意点を解説」で紹介していますので、ぜひご覧ください。

リードの意識レベルを確認する

ホワイトペーパーのダウンロード状況などを把握することは、リードの選別を行えるのに加えて、アプローチの手法についても検討する材料となります。例えば特定のジャンルや情報が記載されたホワイトペーパーをダウンロードしているリードであれば、幅広い商品やサービスを提案せず、特定のサービスに特化した提案を行った方がより興味関心を引くことができるでしょう。逆に幅広い情報を収集しているようであれば、押しの強い営業をするのではなく、最新情報を定期的にメールで送ると言ったさりげないアプローチが利くかもしれません。

このように、ホワイトペーパーはリードの意識レベルを確認し、アプローチの仕方を考える際にも効果を発揮します。

営業活動をサポートする

ホワイトペーパーはダウンロード用資料としてだけでなく、日々の営業活動の際に利用する説明資料としても活用できます。商品・サービスの説明資料や課題解決の事例資料、レポート資料など多岐に渡るホワイトペーパーを用意しておくことで、営業での活用の幅も広がるでしょう。

2.ホワイトペーパーの活用方法

ホワイトペーパーの意味や目的について理解したところで、ここからはその活用方法や効果について見ていきましょう。

自社のWebサイトで公開する

ホワイトペーパーの活用方法として最もメジャーなものの一つが、自社のWebサイト上で公開をすることです。自社サイトであれば、特に費用を掛けずに公開することができ、さらにホワイトペーパーを起点に自社へのアクセスが増えれば、SEOの効果を得ることもできるでしょう。一方で、ただ公開をしただけでは思ったようにダウンロード数が伸びないこともあるため、広告の利用や告知の徹底など、ダウンロードを促すための施策についても同時に考えるようにしましょう。

メールに添付する

営業メールやメルマガ、メールマーケティング用のメールなどにホワイトペーパーを添付すれば、ダウンロードの手間をかけずに商品・サービスの情報やノウハウを伝えることができます。休眠リードにはレポート資料やノウハウ資料、ホットリードには事例紹介資料など、セグメントに応じて送付するホワイトペーパーを使い分けることで、より興味関心を持ってもらいやすくなるでしょう。商品・サービスや企業に対する理解を深めてもらうことで、リードの育成にもつながります。

MAを活用してメールを配信すれば、開封率も測れるようになるため、リードの関心度合いも把握可能になります。興味関心度の高いリードに対しては優先的に営業するなど、今後の展開も考えやすくなるでしょう。

営業資料にする

ホワイトペーパーはさまざまな情報がテーマごとに分かりやすくまとめられているため、営業資料としても活用することができます。自社の営業社員が補足資料として活用するのはもちろんですが、代理店を経由する際なども、アピールすべきポイントが明確になり、営業の軸が定まるなどの効果が期待できます。また新しいホワイトペーパーができたことをフックに、営業先とのコミュニケーションを継続させる狙いで活用するのも良いですね。

外部メディアや広告に出す

予算を確保できる場合は、外部メディアや広告にホワイトペーパーを露出させるのも有効です。多数の読者を抱えている外部メディアにホワイトペーパーを掲載すれば、多様な層にリーチして短期間でまとまったリードを獲得できる可能性があります。広告出稿すれば、自社サイトに訪問していない人に対してリーチを広げられます。人気や受注確度の高いホワイトペーパーは露出を高めて、さらなるリード獲得を狙うと良いでしょう。

3.ホワイトペーパーの種類

一口にホワイトペーパーと言っても、そこに記載すべき内容に特に決まりはなく、自社がアピールしたい内容によって制作していく必要があります。ここからは、ホワイトペーパーの内容として採用されるケースの多いテーマを紹介していきましょう。

課題解決型

ホワイトペーパーのテーマの中でも最もメジャーなものの一つが、この特定の課題についての解決策を伝授するというテーマです。リードが抱えているであろう課題をしっかり掘り下げ、それを解決するための方法として自社商品やサービスを紹介する流れとすることで、興味喚起をはかることができます。

ノウハウ解説型

自社製品やサービスが属する分野のノウハウコンテンツは、リードの興味をひきやすいです。「初心者でも簡単!〇〇の方法」「〇〇で売上アップするための3つのコツ」など、リードが抱えている課題や悩みを解決するノウハウを提供します。その他にも、アンケート調査やレポートをまとめたホワイトペーパーも有効です。自社製品やサービスに直接興味がなくとも、そこから認知して顧客化する可能性があります。

レポート型

最新の市場情報などについて、公的機関の調査や自社調査を元に報告・解説するテーマです。特に自社独自のデータを使った調査結果などはオリジナリティが高く、貴重な情報としてリードの興味を引きやすいでしょう。有益な情報を提供することで、自社に対する信頼を獲得し、顧客へと育成するファーストステップとすることも狙えます。

事例紹介型

導入事例や成功事例は人気が高く多くの企業が作成しているテーマです。導入企業にインタビューを行い、何がどのように改善されたかをまとめることで、導入後のイメージがわきやすくなります。業界別や課題別に事例をまとめると、ユーザビリティも高まるでしょう。

自社製品・サービス紹介型

自社製品やサービスを体系的に説明するホワイトペーパーは、優先的に用意しておくべきでしょう。特徴やスペック、強みといった基本情報から、競合他社との比較表まで網羅することで分かりやすい資料となります。このホワイトペーパーをダウンロードするリードは、購入や導入を前向きに検討している可能性が高く、ホットリードとしてアプローチできます。

4.ホワイトペーパーの基本「5パラグラフの法則」構成

ホワイトペーパーを効果的に構築する際には、5つの構成を考慮するとよいでしょう。論文に使われている手法ですが、以下その内容を簡潔に説明します。

イントロダクション・概要

最初のセクションでは、読者の興味を引くと共に、全体の内容を簡潔にまとめます。読者がホワイトペーパーで得られる情報に関心を持つように工夫しましょう。また、問題と解決策の要素も統合して提示することで、効果的な導入となります。

簡潔にまとめ、冒頭でユーザーにホワイトペーパーを最後まで読む有益性をアピールしましょう。

課題の提示・分析

読者が抱える課題や問題をこのセクションで提示し、それに対する共感を喚起します。さらに深く分析し、読者の課題を掘り下げて理解し、新たな視点や見落としていた側面も明らかにすることで、問題提起の効果を高めましょう。

提案する解決策

この部分では、前述した課題に対する解決策を提案します。解決策は現実的であり、論理的に展開される必要があります。具体例や実際の事例を交えながら解決策を説明することで、読者の共感を引き出し、理解を深めることができます。

提供する価値

このセクションでは、提案された解決策に基づいて提供される製品やサービスの情報を伝えます。顧客のニーズや段階に合わせて、情報を選別し、必要な情報を的確に提供しましょう。ホワイトペーパーの種類に応じて、情報の詳細度を調整することが大切です。

シンプルなまとめ

最後のセクションでは、提案された解決策のメリットやベネフィットをシンプルにまとめます。読者が簡単に理解できるように工夫し、必要な情報をコンパクトに伝えることを心掛けましょう。読者が導入と結論部分だけでも内容を理解できるように、明確で要約された情報を提供します。

まとめから自然な形でソリューションに繋がる商品やサービス紹介に再度つなげましょう。会社概要・問い合わせ先なども分かりやすく記載します。

5.ホワイトペーパー制作4つの手順

ホワイトペーパーでよく使われるテーマについて分かったところで、今度は実際にホワイトペーパーを作る際の手順について見ていきましょう。

【1】テーマを設定する

ホワイトペーパーを制作する際、まず始めに上でも説明したテーマから設定していきましょう。テーマをしっかりと設定していないと、ホワイトペーパーに内容が定まらず、不必要な情報が増えてしまったり、アピールすべきポイントが目立たなくなったりしてしまい、リードにとって有益な情報を届けることができなくなってしまいます。自社商品やサービスについてなのか、市場や業界に関する情報なのか、テーマ設定は自由ですが、1ホワイトペーパー1テーマで作成するようにしましょう。

【2】目的とターゲットを明確にする

ホワイトペーパーは作成するのが目的ではなく、その先のアクションを生み出すのが目的です。引き起こしたいアクションによってホワイトペーパーの内容は異なってくるので、あらかじめ目的とターゲットを明確にしておきましょう。

例えばリード獲得が目的であれば、課題や悩みを抱えている潜在層をターゲットに、ノウハウコンテンツやレポートコンテンツを作成すればよいでしょう。具体的な商品やサービスの導入を検討しているリードを狙う場合は、商品紹介や導入事例のホワイトペーパーを用意します。

【3】こうあってほしい態度変容を設定する

ホワイトペーパーを制作する目的やターゲットを明確にしたら、今度はそのターゲットにどのような態度変容を期待するのかも設定しておきましょう。自社を好きになってもらうのか、具体的な商品やサービスの問い合わせを期待するのかなど、態度変容の設定によって、結論への話の持って行き方も変わってきます。

【4】コンテンツの構成を考える

ホワイトペーパーのテーマや目的、ターゲットに合わせてタイトルや構成を考えます。ホワイトペーパーの基本的な構成は以下の通りです。

1表紙興味関心をひき、ダウンロードしたくなるタイトルをつけます。
2前書きホワイトペーパーの概要やどのようなメリットが享受できるのか、簡単に記載します。
3目次コンテンツの全体像を把握できるよう、目次を挿入します。
4内容具体的なコンテンツを作成します。
5会社概要・問い合わせ先アクションにつなげるために、会社概要や問い合わせ先を記載します。

コンテンツの内容についても構成を作ります。例えば特定の課題に対する解決策を提示するホワイトペーパーであれば、先に紹介した「5パラグラフの法則」をあてはめて考えるとよいでしょう。

テーマや目的などによって最適な構成は変わるため、適宜構成を検討しましょう。

種類別の構成案についてもっと詳しく知りたい方にはこちらの記事がおすすめです。

関連記事:「ホワイトペーパーテンプレートの基本構成と作成手順」

6.ホワイトペーパー制作のポイント9選

ホワイトペーパーには、読者の興味を引きつけ、内容を分かりやすく伝えるためのいくつかの制作ポイントがあります。魅力的なホワイトペーパーを作成するための具体的な方法について解説します。

自社製品やサービスの宣伝に偏らない

自社製品やサービスの紹介はホワイトペーパーでよく用いられるテーマですが、だからといって中身が「宣伝」に偏ってしまうことのないようにしましょう。主役はあくまでもリードであり、そのリードが抱える課題や悩みを解決する手段の一つとして、自社製品やサービスがあるというスタンスで制作することが大切です。そうしなければ、単なる押し売りのための営業資料となってしまい、リードが持つホワイトペーパーに対する期待に沿えることはできません。

既存の人気コンテンツを使う

ホワイトペーパー制作に決められたルールというものはなく、必ずしもすべてを新しいコンテンツとして制作する必要はありません。おすすめな方法のひとつが、過去のセミナーや記事の中で、特に既に人気を博しているものがある場合は、それをホワイトペーパー化することです。単なるPV数増加で終わらせず、リード獲得へとつなげていける可能性もあります。

魅力的なタイトルにする

ホワイトペーパーのタイトルは、最初の印象を左右します。タイトルは読者の関心を引き、何を提供するかを示す重要な要素です。具体的で興味をそそる言葉を使い、読者がすぐに価値を感じられるようなタイトルを考えましょう。

1ページ1テーマに絞る

ホワイトペーパーでは、1つのテーマに焦点を当てることが大切です。読者が混乱せずに内容を理解できるように、1ページにつき1つの主題を扱うようにします。テーマごとに明確な構造を持たせ、論理的な展開を心掛けましょう。

デザインを工夫する

ホワイトペーパーはその内容だけでなく、デザインも同様に重要です。魅力的なデザインは読者の興味を引き、内容をより分かりやすく伝える手助けとなります。必ずしもプロに依頼する必要はなく、内容に合わせた適切なデザインや図を採用することで、効果的なホワイトペーパーの作成が可能です。

具体的なデザインの作成ポイントを詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:「ホワイトペーパーのデザイン作成のポイントを具体例で解説!【テンプレート・作成ツール紹介】

専門用語・業界用語は使わない

ホワイトペーパーは、専門家だけでなく一般の読者にも理解されるようにする必要があります。専門用語や業界用語を避け、わかりやすい言葉で説明することを心がけましょう。分かりやすい表現が読者の興味を高め、共感を生み出します。

ノウハウやコンテンツを出し惜しみしない

ホワイトペーパーは、読者に価値を提供する場であるため、ノウハウやコンテンツを惜しみなく共有しましょう。深い知識や実用的なアドバイスを提供することで、読者が満足感を得ることができ、提供する企業やサービスへの信頼度や好感度アップにつながります。

ダウンロードページの入力項目は少なめにする

ホワイトペーパーをダウンロードする際に必要な情報の入力項目を少なくすることで、読者のアクセスをスムーズにします。基本的な情報のみを求め、手軽にダウンロードできる環境を整えることが大切です。

ダウンロード後の仕組みを作る

ダウンロード後のフォローアップや関連コンテンツの提供を考えることも重要です。読者がホワイトペーパーをダウンロードした後も価値を感じ、関心を持ち続けるような仕組みを構築しましょう。メールニュースレターやウェビナーなど、追加の情報提供方法を検討します。

6.まとめ

ホワイトペーパーの目的や活用方法、作成のコツについて解説してきました。リードの獲得や育成に役立つホワイトペーパーは、営業活動に欠かせないツールの一つだと言えます。また、近年は担当者が自ら情報収集する傾向が強まっているため、積極的な情報発信はリーチを広げる上でも有効です。この内容を参考に、ターゲットや目的に合わせたホワイトペーパーを作成しましょう。


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この記事を書いた人

アイランド暁子
アイランド暁子 | ライター

広報コンサルティング、上場企業の広報宣伝部、人事部のマネージャーを経て独立。海外移住をきっかけにライターを始める。10年以上企業のオフィシャルサイト、マーケティング・人事系のサイトや記事制作に多数関わる。BeMARKEの理念に惹かれ編集部に在籍中。

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