基本ノウハウ
「商談の成功率を上げたい」「頑張っているのに結果につながらない」と悩んでいる営業担当者は少なくないでしょう。本記事ではトップ営業が実践しているコツを分かりやすく解説します。さらにコツを身につけるための方法、テクニックも合わせて紹介しています。ぜひ実践に役立ててください。
トップ営業が実際に商談で実践しているコツから、顧客との向き合い方や関わり方、意識すべきポイントを押さえましょう。
実際の商談へ臨む前に顧客情報をできる限り調べておくことは大切です。新聞や顧客の会社のサイト、SNSなどで得られる情報はもちろん、アポ取りの段階で商談の担当者以外から得られる情報まで、できる限り多くの情報を収集しましょう。現在顧客が使用している類似のサービスや商品についても、メリットやデメリット、自社の商品との違いを把握して説明できるようにしておく必要があります。
商品のデメリットについても、早い段階で伝えておくのが得策です。短所も伝えておくことで信頼が得られ、デメリットをカバーできるほどのメリットがあるのかどうか判断する材料になります。
いくら優れた商品でも価格が高かったり、コストを抑えれば機能が制限されたりと一長一短あるものです。デメリットを隠すのではなく、早めに適切に伝えられるようにしましょう。
顧客がイメージを膨らませやすいような成功事例をまとめておき、具体的なイメージを膨らませてもらうことも大切です。既存顧客のどのような課題がどう解決できたのか、できる限り数字やグラフなどで可視化した資料を用いながら具体的に説明しましょう。
新しいシステムであれば本当に役に立つのか、使いこなせるだろうかといった不安もあるかもしれません。すでに導入している企業の実例や、万が一使いこなせなかった場合の対策やサポート体制などを説明し、不安要素を減らしましょう。
顧客が自社の製品やサービスの必要性を感じるためには、現在抱えている問題点や課題を解決できるものであるという点が重要です。自分本位に考えるのではなく、自社の商品やサービスが本当に顧客にとって役立つものであるか、必要性や顧客の業務改善ポイントと合致しているのかなどをしっかり見極めましょう。
もし「顧客と合わない、別のサービスの方が向いていそう」という場合、無理に進めて仮に成約できたとしても短期間で同業他社へ乗り換えられてしまう可能性もあります。成約確度を見極めることは営業効率アップや成約率のアップにもつながるため、目先の利益にとらわれずに顧客との信頼関係を優先しましょう。
商談ではまず、相手先企業の状況や課題などのヒアリングを中心に進めましょう。ただ話を聞くだけではなく、顧客の課題を引き出し何に困っているのか知ることが重要です。課題や問題点をうまく聞き出すためには、いくつかの仮説を立て課題のパターンを想定し、それに沿った質問を投げかける必要があります。
ヒアリングを上手に進められれば、自社の商品やサービスが顧客にどのように役立つのかも説明しやすくなり、メリットをより明確に示すことができるでしょう。
人間の無意識的な心理に訴える方法も有効です。トップセールスは「今日は暑いですね」といった何気ない会話から、意識的に同意を得られるような質問を繰り返し、相手の無意識的な一貫性に働きかけます。ここでより多くの同意を得るためには、相手の好みや趣味、嗜好(しこう)から顧客企業の最新の動向まで詳しく知っておき、答えを予測しながら質問する必要があります。
商談においてはクロージングを意識しながら進めることも大切です。相手の課題や悩みを引き出すことも重要ですが、長い時間を費やせば良いわけではありません。クロージングを意識しながら進め、断られる要素になりそうなものを排除しておいたりデメリットをカバーできる理由を説明しておいたりしてメリハリのある商談にできます。
クロージングを強化したい方は「BtoBにおけるクロージングとは?今すぐ使えるテクニックやコツを簡単に解説」の記事も参考にしてください。
クロージング段階で自分の一存では判断できない、などとかわされないように、できる限り決定権がある人と商談のアポイントを取り付けましょう。そのためには商談のセッティングの時点で、必要な時間やメリットを明確に伝えておく必要があります。難しい決断は先延ばしにしてしまいがちなので、早めに決断するメリットを提示し、決定権のある人に同席してもらえるように促せると良いでしょう。
商談のコツは理解しただけでは身につきません。実践を繰り返し行い、身につけるための方法を紹介します。
仮説をもとに商談の流れを組み立て、それに沿ったロールプレイングをして練習しておくことは実践的な方法です。製品やサービスのよくある質問と答えを用意しておき、いざとなって慌てないように練習しましょう。
頭では分かっているつもりでも、いざ口に出すとうまく説明できなかったり、商談に慣れないうちは緊張してしまってうまく話せなかったりします。1人で口に出す練習だけでなく、上司や先輩が見込み顧客の役をして製品に対する質問を投げかけるなど、実践的な練習を重ねましょう。
セールスパーソンにとっては、話し方はその人のイメージや信頼感に直結しています。語尾が小さかったり、はっきり言いきれなかったりするとおどおどした自信のない印象を与えてしまいかねません。もし分からないことを聞かれても、話をそらしたりお茶を濁したりせずに分からないとはっきり伝え、その上できちんと調べてから回答する方が印象を損なわずに済みます。
話す際には結論から話すPREP法を意識しましょう。はじめに重要なポイント(Point)を伝え、その理由(Reason)や具体例(Example)などを紹介し、再び重要なこと(Point)を強調して伝える方法です。相手が話の要点をつかみやすくなり、信頼も得やすくなります。
PREP法については「PREP法とは?相手に「伝わる」文章構成を例文と共に分かりやすく解説」の記事も参考にしてください。
商談後には必ず振り返りを実施しましょう。良かった点をまた次回に生かすとともに、課題や問題点を洗い出し、次の商談では別のアプローチができるよう準備しておきましょう。可能であれば上司やトップセールスがアドバイスしながらブラッシュアップする環境を整えるのが理想です。セールスパーソンが1人で振り返りを実施するよりも得るものは多いでしょう。また、チームや部署内でも商談の成功例・失敗例に基づいたスキルやノウハウを蓄積していくことが継続的な成長に役立ちます。
商談をスムーズに進めるためには、トーク術などのテクニックについて知っておくのもおすすめです。商談に生かせるテクニックを紹介します。
人は相手から好意を受け取ると、こちらも同じように接しようという気持ちになります。例えば、試食をさせてもらったら買ってしまう、というように好意的に接してもらうと無意識に返報してしまうことは日常生活でよくあるのではないでしょうか。
商談においては、その人個人の身につけているものや部下のことを褒めたり、ちょっとした気遣いをみせたりすることで相手から好意的に受け取ってもらえるでしょう。ただ、はじめからリターンを期待しているようなお世辞では見透かされてしまいます。あくまでも「役に立ちたい」「人として尊敬している」という気持ちで好意的な関係性を築くことが大切です。
人は選択肢が多すぎると決定できなくなり、比較・分析すること自体が目的となってしまいます。選択肢が多ければ多いほど、他の選択肢を選んだ場合の後悔を恐れて無意識のうちに決めにくくなってしまうのです。そのことを知っているトップセールスは、顧客のニーズや課題に合う自社の商品やサービスを2つか3つに絞って顧客に提案します。
良かれと思って自社の商品やサービスをすべて紹介するよりも、厳選された2つか3つの選択肢から選ぶ方が、結果的に顧客の満足度は高まります。
相手からできるだけ多くの“YES”を得られるような質問を重ねることで、無意識のうちに行動に一貫性を持たせようとする心理が働き、同意を得やすくなります。
例えば「名刺の交換だけお願いします」「5分だけお話させてください」「こんな問題が解決できたら良いと思いませんか?」「お試しされたいと思われませんか?」というように、相手に負担のない要求から、徐々に大きな要求をともなう質問へと展開します。
商談に使えるコツと身につける方法、商談に生かせるテクニックを紹介しました。とはいえ、営業活動や商談においては小手先のテクニックよりも、相手の立場に立って課題を解決したい、役に立ちたいという一途な姿勢や思いやりが大切です。売り上げや商談の成功にとらわれすぎず、顧客との好意的な関係性を築いていけるように努めましょう。
営業力を高めたい方は以下の記事も参考にしてください。
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