インタビュー

セールス・イネーブルメントの第一人者に聞く、BtoB企業が営業組織を強くするためにできること

セールス・イネーブルメントの第一人者に聞く、BtoB企業が営業組織を強くするためにできること

個人能力に依存しすぎない営業組織づくりを実現する「セールス・イネーブルメント」に注目が集まっています。BtoBマーケターはどのようにしてセールス・イネーブルメントと向き合えば良いのか。どのような企業が導入効果を得られるのか。

今回、特別企画として、日本におけるセールス・イネーブルメントの第一人者・株式会社R-Square & Company代表取締役社長の山下貴宏氏に、BeMARKEナビゲーターの山下航希がインタビューを実施。セールス・イネーブルメントの潮流や、どのような課題を持った企業が導入を検討すべきなのか。また、導入が向かない企業の傾向や失敗するパターンなどを語っていただきました。【2022年7月28日取材、聞き手:山下航希、編集:BeMARKE編集部】

目次

山下貴宏(やました・たかひろ)
株式会社R-Square & Company 代表取締役社長

法政大学社会学部卒業後、日本ヒューレット・パッカードにて法人営業、船井総合研究所を経てマーサージャパンに入社。人事制度設計、組織人材開発のコンサルティングに従事。その後セールスフォース・ドットコム入社。セールス・イネーブルメント本部長としてイネーブルメント部門の規模を4倍に拡張、グローバルトップの営業生産性を実現。2019年同社を退社しセールス・イネーブルメントに特化したスタートアップR-Square & Companyを立ち上げ。大手から中堅企業まで数々の企業のイネーブルメント組織構築に尽力。ATD Sales Enablement Certificationを取得、イネーブルメント分野の日本での第一人者として講演実績も多数。著書に「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」(かんき出版)。
株式会社R-Square & Company https://www.r2-company.com/

日本の現在のセールス・イネーブルメントの潮流

――セールスフォースのイネーブルメント部門で具体的にどんなことをされていたのか教えてください。

山下貴宏氏(以下、山下氏):営業組織の生産性を上げるためのプログラムを提供していました。大きくは2つで、1つは中途社員のオンボーディング、もう1つは既存の営業社員の強化です。事業拡大にともない毎月のように中途社員が入社しますので、彼らの立ち上げが一番のミッションでした。彼らの立ち上がり具合が売上に大きく影響しますので、イネーブルメントの役割は非常に重要です。

そして新入社員はいずれ既存の営業になっていきますが、新製品のリリースや買収などを通じて製品ラインアップが大幅に拡大していくなかで、営業成果の最大化を支えるためには既存の営業に対する体系的なプログラムも提供していく必要があります。具体的には最新の売り物、売り方理解です。

――日本はセールス・イネーブルメントをチームとして設立する状況にはまだ至っていない企業も多いように思えます。セールスフォースをはじめとして海外企業では一般的なのでしょうか?

山下氏:米国に本社を置く営業コンサルティング&トレーニングカンパニー・ミラーハイマングループの調査機関CSO Insightのデータ※によると、調査対象のグローバルカンパニーの内、イネーブルメントの導入率は2013年ごろ2割に満たないぐらいでしたが、直近では6割ぐらいの企業が単発のプロジェクトではなく組織としてイネーブルメントに取り組んでいることを報告しています。

※「CSO-Insights-5th-Annual-Sales-Enablement-Study

――日本の現在のセールス・イネーブルメントの潮流として、新しく参入しようという企業が増えている印象はありますが、今後はどのようになると予測していますか?

山下氏:日本のBtoBセールス界隈でもイネーブルメントの認知は広がってきていると思います。ある調査データによると、法人営業経験者のうち50%ぐらいの方がイネーブルメントという言葉を知っていました。また、イネーブルメントを知っている方の7割ぐらいは、自社にイネーブルメントが必要だと思っているという結果が出ています。

ここから先は会員限定記事となります

記事を読むには無料の会員登録が必要です。

この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

SNS:XYouTube

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい