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BeMARKEナビゲーターが注目 脱・営業の属人化。組織で成果を出すセールス・イネーブルメントへの期待

BeMARKEナビゲーターが注目 脱・営業の属人化。組織で成果を出すセールス・イネーブルメントへの期待

セールスフォース、アマゾン、マイクロソフトなど欧米の先進企業が導入し、日本でも近年注目を集めているのが、個人能力に依存しすぎない営業組織づくり「セールス・イネーブルメント」です。セールス・イネーブルメントに取り組むことで、組織での営業力向上や成果の可視化につながるなどの効果が期待できると言われています。

今回、長くBtoB領域の現場で営業体制のDX化やマーケティング体制整備などに関わってきたBeMARKEナビゲーターの山下航希は、BtoBマーケティングの課題感の1つが、日本でセールス。イネーブルメントが注目され始める背景につながっていると語ります。【聞き手:BeMARKE編集部】

BeMARKEナビゲーター・山下航希

コンテンツマーケティングを軸にしたリード獲得をベースに、営業体制のDXコンサルティングを主導。エンタープライズ企業のマーケティング体制整備の実績あり。

目次

最近感じている、BtoBマーケティングの課題は

PMFを考慮しないプロモーションへの先行投資が起きている

――最近感じているBtoBマーケティングの課題について教えてください。

売り方が定まってないのに、ついプロモーションに先行投資してしまう。この課題について触れたいと思います。

認知の拡大とリードの獲得への投資が先行している企業が非常に多い印象を受けるんですね。間違っていないこともありますが、営業のクロージング力が高まっていない状態や、そもそもPMF(Product Market Fit=製品が市場にマッチすること)がない状態で大量の認知拡大をねらっても、そこから受注して売り上げに至る割合が非常に少なくなるのは当然ですよね。

例えば「こういうストーリーでお客さんに営業をかけていけば売れる」「お客さんが何を求めているのかはマーケティングが大体把握しているので、営業が伝えるべきメッセージも決まっている」という状態になっているのがPMFだとします。それを把握していないでいくらプロモーションに費用をかけたとしても、お客さん側もその商品が何たるか、どんな価値を提供してくれるのかも分からないため、営業からの話も頭に入ってこなくて結局は買うまでに至りません。

マーケターは営業のサポート役なのか

――なぜそのような状態が起きているのですか?

KPIやマネジメントの議論になると思っています。マーケティング担当者の社内における目標設定が、「何件リードを取りましたか」になっている企業がどうしても多いんですね。厳しい言い方ですが、近視眼的な目標設定になっている企業が多いためだと思います。

では、なぜリード獲得数をKPIにしているのか。確かに分かりやすいので目標にしやすいのはあるでしょう。

結局のところ、「あくまで売ってくる、クロージングするのは営業だから」という考え方のもと、「営業が売りやすい仕組みを作る営業のサポートとしてのマーケター」というとらえ方が多いからだと感じています。

――それは、マーケターが自分の役割や何をすべきかの定義付けを会社の中でしっかりと示していない現状があるということですか。

そうだと思います。BtoBの場合、「マーケティング」という職種で人材を募集している企業が、やはりまだごく一部のIT系企業だけのように思います。大企業や老舗の製造業では、営業である程度実績を残した人が担当していたり、または営業事務に近い業務を経験してきた人がマーケターを名乗って、中身は営業事務をやっていたりするケースがある。そうすると当然、自分のマーケターとしてのミッションがどうとかはあまり考えないですよね。

――マーケターがサポート役になってしまうケースとして、単純に営業が強く、立場として(最適化を考慮して)サポートに回る状況も考えられます。

まず「営業が強い」ってどういう状況なのかの議論があります。無形商材の場合は、お客さんに提案をするという工程が挟まるので、それが営業力とほぼ同義の場合もあります。しかし、例えばこれがコピー機のように提案うんぬんよりも、業務遂行のインフラ整備として必要であったりするビジネスもあるわけじゃないですか。

そうすると営業力の定義が、どれだけ足しげく通えるのかの根気強さや人間的魅力という話にもなってくる。はたまた何億円・何十億円もするような自動車生産用のロボットを、トヨタさんや日産さんに売るような営業の場合、10人チームでリードタイムを3~4年かけてようやく納品する。そこでの営業力は、お客さんにまず会うための一次情報を、コネをつかって何とか嗅ぎ回って取ってこれるかであったり、社内の設計担当とうまく調整して、原価を抑えながら、お客さんの予算に合わせて見積もりを出せるとか、そういう特異な営業力になってくると思います。

セールス・イネーブルメントを導入するためのヒント

セールス・イネーブルメントが必要になるタイミングとは

――そういったケースでは、営業個人の能力=営業力となってしまうため、組織としての営業力強化は求められにくいと考えられます。

いま注目されている「セールス・イネーブルメント」が適応しやすいビジネスは、営業力というものを体系化して、教育できる領域のものだと思っています。これは無形商材に限りません。分かりやすいのは提案をするような仕事ですね。この業界にはこういう訴求軸で、こういう営業トークで売りましょう、といったいわゆるシナリオを作ることが、営業活動で優位に働くようなビジネスです。こうしたビジネスにはセールス・イネーブルメントが向いていると思います。

――実際にセールス・イネーブルメントが必要になるのはどのような状況が想定されますか

分業型の営業体制を導入するような企業がイメージしやすいでしょう。例えばクラウドサービスを提供する企業には、営業の人数が加速度的に増えるフェーズが絶対にあると思うんですね。

営業が3~5人でやっていた状態から半年で気づいたら50人になっているようなことはよくあって、何千万円もするようなシステムではなく月額3~10万円のシステムの場合、基本的には受注まではリードタイムが短い。軌道に乗ってしまうと一気にお客さんが増えるので対応するために増やすケースが1つ。もう1つは分業型の営業体制を敷いていると、今までは1人の営業マンがリード獲得からアポを作り、商談してクロージングまでを全部こなしていたのが、前工程をマーケティング担当ないしインサイドセールスが請け負うようになると、マーケやインサイドがアポをたくさんとってくるようになり、増えたアポに対して営業の人数が急に足りなくなるので営業の数を一気に増やすということが起こりがちです。こういう状況が起きる場合にセールス・イネーブルメントが有効になると思います。

日本でセールス・イネーブルメントが流行するようになったのは、2019年に発売された『世界最先端の営業組織の作り方』という本が出版された後ぐらいからだと思いますが、1つの大きな要因は、加速度的に営業人数が増えるときのマネジメントや体系的な教育研修方法を持ち合わせていない企業が多かったことが挙げられると思います。

ナビゲーターが教える、資本力が小さい企業でもセールス・イネーブルメントを始めるための工夫

――体系的な教育研修方法の導入となると、導入するには企業の資本力に左右されてしまう部分があるのではないでしょうか。

セールス・イネーブルメントの取り組みの1つに「型化」があって、社内ヒアリングなどを通じて、うまくいっている事例を資料や動画などのコンテンツにすることです。そして、そのコンテンツを研修で活用したら、イントラネット上にアップして社員がいつでも見られる状況にしていきます。これを踏まえて、参考までに資本力がそれほど大きくない企業でも取り組める方法の一例を紹介します。

例えば、BtoB企業で新たにオウンドメディアを見込み顧客の発掘・獲得のために立ち上げるケースがあると思いますが、それを社内の営業力強化の目的にも活用する方法です。マーケティング担当者がリードを獲得する目標もこなしながら、営業からヒアリングした「営業の成功パターン」をホワイトペーパーとしてまとめ、公開します。当然、見込み顧客に受けてサイトのアクセスも集まるでしょうし、サイトという特性上、見てもらいやすいので成功パターンを容易に社内の人間にも共有できます。新しい営業が入ってきたらそのホワイトペーパーを読み込ませて、ロープレをさせて、という仕組みで行う方法であれば、資本力が大きくない企業でも始めやすいと思います。【おわり】


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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