インタビュー
SALESCORE株式会社は、営業組織の誰もが再現性を持って売れるようにするための方法論「セールスイネーブルメント」の推進を支援するコンサルティングとSaaSをしています。
「見て終わり」になりがちなデータをフル活用し、どのようにしてクライアントの売上増加に貢献するのか。同社代表の中内崇人氏に、「セールスイネーブルメント」の実現方法について伺いました。
弊社は、再現性を持って営業組織を強化し、全員が売れるようになる方法論「セールスイネーブルメント」を実現するためのコンサルティング事業とSaaS事業を展開しています。コンサルティング事業で問合せとして多いのは、「営業組織の属人性を排除に売上を上げたいや、SFAへデータを記録してデータドリブンな経営や営業組織づくりをしていきたい」というもの、SaaS事業では「SFAの記録はできているが、データをもっと活用して改善につなげたい」などです。
コンサルティングとSaaSの両方を支援しているクライアントからは、コンサルティングで深く顧客に入り得た知見をSaaSに落とし込み、効率化に加えて売上向上に直結するツールとして活用できる点が支持されています。
また、SaaSは使いこなすことが重要で、最適なKPIの設定やKPIを高める施策を提案し、オンボーディングや日々の情報提供の質を高めています。
営業組織を強化する「セールスイネーブルメント」は3ステップを踏むことで実現すると考えています。
ステップ1は、エッセンスの特定です。「これをやれば売上が上がる」というインパクトの大きいやり方を、データドリブンなアプローチで特定します。特定にあたり、営業活動情報や顧客情報などのデータを収集し、KPIを設定してデータを集計・計測し、売上に大きく影響するアクションのデータを分析するというサイクルを繰り返します。
ステップ2は、エッセンスの仕組化です。特定したエッセンスを、KPIを設定するなど全体に展開しやすいやり方に仕組化していきます。ステップ1で特定したエッセンス抽象度と応用範囲でプロットでき、具体的なトークもあれば、5 Standards Modelのような抽象的な行動指針や考え方もあり、再現させたいエッセンスの種類に応じた仕組化が必要です。
たとえば抽象度が高い行動指針であれば評価制度、営業理論であればトレーニングやKPI設定、具体度が高いアクションならルール設計、トークならプレイブックなどが仕組化の手段として適しています。
最後のステップ3は、ステップ2で構築した仕組みの展開です。展開する際のツールとして、SaaS事業のツールを提案するケースもあります。このステップ1からステップ3までの全体像を最初にクライアントに伝えてから、具体的なコンサルティングに入っていきます。
SaaS事業では、SFAと連携してデータ入力を効率化し、データの分析や日々の営業進捗管理まで実現するサービス「SALESCORE」を提供し、営業生産性と収益向上に貢献しています。「SALESCORE」を活用することにより、営業データをスムーズにSFAへ記録して、リアルタイムで営業のKPI管理を行い、営業生産性が上がって売上アップを見込めます。
「SALESCORE」のメインターゲットは、「Salesforce」などのSFAを導入されており、より活用を進めていきたいクライアントです。これからSFAを導入される企業様もターゲットに入っています。
SFAを活用するには、データ入力というインプットと、そこから示唆を得て行動に繋げるアウトプットを最大化する必要があります。「SALESCORE」には効率的にデータ入力するインプット機能「Sync」と、データから示唆を得るアウトプット機能「Visualize」があり、両方のサポートが可能です。
インプット機能「Sync」は、コピーアンドペーストなどエクセル感覚の操作でSFAへ入力できます。複数オブジェクトへの入力が一画面で完結し、複数レコードを同時に更新・作成できるため、大幅に作業が効率化され、入力時間が60%削減可能です。
インプット機能「Sync」の開発背景には、SFAでのデータ入力の手間があります。商談、取引先、活動など、それぞれ画面が分かれているため、複数の画面を遷移しないといけなかったり、一括で複数のレコードを作成して編集しなければいけなかったりと、作業負担があります。
それに対して「Sync」は複数の項目を集約したエクセルのような画面で、一気にデータ入力が完了します。画面遷移だけで入力作業の40%を占めると言われているので、一画面で完了するのはとても大きなメリットです。マウス操作なくキーボードのみで入力が完結し、コピーやペーストなどショートカットを使うなど簡単な操作で編集でき、カスタマイズ性も高く、あらゆる企業のニーズに対応します。
▼Syncの入力画面
営業活動の記録も効率的に行えます。青色がリード、緑色がTODO(電話ログ)、黄色が行動(アポイント)です。「Salesforce」 だと3画面に遷移してそれぞれ入力しなければなりませんが、「Sync」であれば一画面で電話ログやリード状況が記録できます【上画像参照】。
アウトプット機能「Visualize」は、営業に最適化されたダッシュボードで、データから示唆を得やすくなります。ワンクリックでデータをグラフ化し、ボトルネックの指標がなぜ良くないのかを把握し、「どうやったら改善できるのか」という次のアクションにつなげられます。
データを集計して見える化するBIツールは、それだけだと「何をどう改善したら良いか」が分かりにくく、現場担当者がダッシュボードを確認しなくなったり、データを見るだけで改善につなげられなかったりするのが課題でした。「Visualize」は「なぜ現状の進捗が良くないのか」「何を改善したらいいか」を示唆するため、多くのクライアントが日常的に活用しています。
「Visualize」は、売りにつながりやすいKPIを設定し、そのKPIを追いかける設計にしています。KPIはカスタマイズ可能で、設定すればSFAから自動でデータが集計されるようになります。SFAの実績のデータへ「SALESCORE」上で目標のデータを加え、ボトルネックを明らかにします。
▼ボトルネック部分を赤字で表示させている(Visualizeの操作画面)
こちらのダッシュボードでは、分母が目標値、分子が実績値になっていて、現時点で必要な進捗率を左上部に表示しています。「ひと月の3分の1が経過しているから、33%に達していないと未達になる」というように計算し、営業日の進捗率に対して上回っていれば 青字、下回っていれば赤字で表示します。
クリックすると詳細なレコードが表示され、改善するべき課題点が分析できます。商談からの案件化率が低ければ商談のロープレを行うなど、低い数値を把握して課題を見える化し、具体的な改善策につなげていきます。
ダッシュボードは商品別・ リードソース別・月別になどさまざまな軸で自由にカスタマイズして表示することも可能です。リードソース別で表示した場合、それぞれのチャネルの予算から最終的な売上を見て、コストパフォーマンスの高いチャネルがどれなのかをか確認できます。営業活動のみならずマーケティング活動にも活用できるため、ニーズに合わせて幅広く分析できるのが強みです。
▼マーケティングにも活用できるダッシュボード
あるクライアントは、複数のダッシュボードに金額やプロセスなどの情報が分断され、1箇所で見られなくなっていました。ダッシュボードを見る回数が減り、見る習慣が定着しないのが課題でした。
そこで「SALESCORE」を導入し、集計元の異なるKPIを一箇所に統合して「とりあえずここだけ見ればいい」という状態にし、見る習慣を定着させました。さらに到達状況がOKであれば青字、NGであれば赤字で表示され、目標差分がひと目で分かり、必達意識が向上しました。
特定の状況や条件をベースとした、高度なレベルでのKPI設定ができる点も貢献し、5ヶ月連続で目標達成を実現しています。
企業が営業組織を強化する「セールスイネーブルメント」に興味を持つきっかけは、大きく2つあります。1つは経営層が企業の成長に危機感を持った時、もう1つは組織内の属人化がひどくなった時です。そのタイミングで「セールスイネーブルメント」に取り組んでいる企業を知り、自社でも取り組もうと考えるケースが非常に多いです。
いずれにしても売上向上が課題となるため、真に求められているのは「売上を上げるプロダクト」だと言えます。欲しいと言われた機能よりも売上を上げる機能を作り、ユーザーへのヒアリングで課題を伺うと同時に「こうしたほうが売上につながります」といった正論をストレートに伝えられる企業でありたいです。
※情報は2022年12月23日取材時点
セールスイネーブルメントを実現するためコンサルティングとSaaSの2つのアプローチを連動させながら支援を行えるのがSALESCORE株式会社の強みです。具体的な支援の流れが、セールスイネーブルメントを実現するための3ステップで示され、事前に支援を受ける側がイメージをしやすいでしょう。
また、SaaSの「SALESCORE」を活用することで、SFAとの連携でデータ入力が効率化し、SFAの価値最大化にもつなげられるため、すでにSFAを導入している企業や今後、SFAを活用する予定の企業にとっても心強い存在になります。
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