基本ノウハウ
受注率を高める方法が知りたいものの、どうすべきか分からずお困りではないでしょうか。受注率が低い人は営業活動の要点を押さえられておらず、受注に結びつかない行動に陥りがちです。受注率を向上するためには、受注率が低い要因を分析し改善していく必要があります。
本記事では、受注率が低くなってしまう要因、受注率を上げるためのテクニックまで解説します。
受注率(成約率)とは商談全体の金額や数のうち、成約した金額や数を割合で示したものです。ここでは受注率(成約率)の計算方法や、成約率の目安について解説します。
受注率の計算方法は、金額で計算する方法と、契約数で計算する方法に分けられます。
受注率を金額で計算する場合、計算式は「=成約した商談の総額/商談全体の予測総額」です。単価があまり変動しない場合は、契約数で計算することもありますが、売上予測を立てる際には、金額で計算します。
受注率を件数で計算する場合は「=成約した商談の件数/商談全体の件数」です。
成約率の目安は金額と件数のどちらで計算するのか、業界や製品の性質などさまざまな要素が絡むため、一概にはいえません。安易に平均値を決めてしまうと、実態を的確に分析できなくなる恐れがあります。
成約率の目安は一定期間以上自社でデータを収集し、平均を出すことが重要です。
受注率が低い営業パーソンには一定の傾向があります。ここでは受注率の低い方が取っている行動を紹介します。
BANTとは営業活動で案件の見込み度合いを測るために聞くべき4つの要素です。具体的には以下4つの要素に分けられます。
Budget(予算):予算はどの程度か
Authority(決裁権):決裁権のある人に話ができているか
Needs(必要性):ツールやサービスに必要性があるか
Timeframe(時期):導入時期が明確か
これらの要素が明確かつ自社サービスと合致しているほど、受注できる可能性が高まります。
受注確度が低い案件に注力しても、成約率を上げるのは困難です。受注の見込み度合いが高い顧客に対して、できるだけ時間を割くことが大切です。
そのためにはBANTの確認やヒアリングを通して、受注確度をできるだけ正確に把握し、カテゴリ分けする必要があります。
ただし受注確度が低い案件だからといって放置して良いわけではありません。受注確度が低い方にはメールマガジンの送付など、手間の少ないアプローチで関係だけでも維持しておくことが大切です。
決済者以外の人にアプローチしても成約にはつながりません。決済者以外の人と打ち合わせしてどれほど見込みが期待できても、決済者がそう感じていなければ、話が変わることがあるためです。
商談時には決済者を確認し、決済者と直接商談できるように話を進めましょう。
自社の都合を押し付け、顧客の都合を無視しても成約にはつながりません。不適切なアプローチの例として、顧客のニーズや要望を無視して、自社商品やサービスの魅力やメリットを解説してしまうことが挙げられます。
顧客は自社の抱えている課題を解決したいと思っているのであり、課題に商品やサービスが合致していないのであれば、購入意欲は高まりません。
営業活動では数多くの雑務があるため、業務効率が悪いと受注率に影響することがあります。業務の処理に時間がかかってしまうと、受注率を上げるための顧客分析やアプローチに十分な時間が割けなくなるためです。
改善する方法としては、業務効率を改善できるツール導入や管理ツールの導入などの方法があります。
営業パーソンの受注率を上げるためには、いくつかの方法があります。ここでは、どのような方法があるのか、具体的に解説します。
営業活動の効率化には目標設定が欠かせません。目標とすべき指標には、売上目標や見込み顧客の獲得件数、商談件数などさまざまなものがあります。
最終的な売上目標から逆算しながらそれぞれの数字を設定することで、営業パーソンの数字のどこに課題があるか分析すると、効果的に業務改善が可能です。
商品理解を深め、機能や競合他社との比較に加え、顧客にどのような利益があるのかまで理解することが大切です。市場調査や成約した顧客の業種やニーズ分析、予算感などを分析することで、商品のどの部分が魅力となるのかなどを分析してみましょう。
分析を繰り返すことで、受注率が高い顧客はどのような性質があるか、商材のどの部分をアピールするか徐々に明確になります。
顧客情報を整理することで、顧客分析や効果的なアプローチに役立ちます。具体的に収集すべき情報としては以下のものがあります。
・顧客の基本情報
・アプローチの時期や内容
・アプローチに対する見込み顧客の反応
これらの情報を営業パーソンが管理するのは簡単ではありませんが、営業活動を効率化するツールを導入することでこれらの情報を簡単に収集・管理することが可能です。
見込み顧客の段階はいくつかの段階に分けられます。例えば、以下のような分類方法があります。
・興味関心や課題の解決意欲が高く、すぐに成約が期待できる案件
・直近での成約は難しいが、時期がくれば可能性がある案件
・課題に対する関心が薄く、現状では成約が難しい案件
これらの分類分けをすることで、優先順位や段階ごとに取るべきアプローチが明確になります。例えば直近での成約が難しいが、時期がくれば成約する可能性がある案件の場合で考えてみましょう。
その場では契約が難しくても、時期がくるとすぐに成約ができる案件になる可能性があります。そのため、関係を維持し、時期を逃さないことが重要です。
課題に関する関心が薄く、見込み度合いが低い顧客に対してはセミナーやメールマガジンの案内を通して、知識を深め、顧客の興味関心を徐々に高めるアプローチが効果を発揮します。
営業で成約につなげるためには、顧客との信頼関係構築が大切です。信頼関係が構築できていなければ、顧客のニーズやBANTなど必要な情報を聞き出せず、受注確度を上げられません。
そのため商談では必要な情報を聞き出すことも大切ですが、顧客に安心してもらうための工夫が大切です。
課題のヒアリングを通して、顧客の課題や悩みを聞き出すことが大切です。課題を十分に聞き出す前に提案や見積もり提出をしてしまうと、顧客のニーズにあわず、成約につながりません。
顧客が本心を話しやすくなるよう、信頼関係の構築からはじめ、丁寧に相手の話を聞くことが求められます。
営業の場面では、顧客から断られることを事前に想定しておくことが大切です。顧客から断られて終わりにするのではなく、断られたあとでどうやって顧客と関係を構築するかを意識しましょう。
無理に売ろうとして信頼関係を壊すのではなく、断られても良好な関係を維持することで、その後の契約につながる可能性があります。
直接営業は時間と手間がかかるため、重要度が高い案件に絞ることが大切です。重要度が高いものに対して、できるだけ時間を割くことで、成約率を高められます。
そのためにも見込み顧客の段階分類や、BANTの把握に力を入れることが大切です。
価格や購入後のスケジュールについては、顧客にはっきり伝えることが大切です。曖昧さが残ると顧客は不安に感じ、最終的な成約の判断ができません。割引情報やキャンペーンについても条件や期日を明示しておくことが大切です。
成約した場合の納品日時やサービス開始時期を明示することで、顧客もいつまでに判断すべきか判断しやすくなります。
提案時には顧客の問題解決を意識し、成約を過剰に意識しないことが大切です。営業パーソンである以上、成約することが商談の目的であることは間違いありません。しかし顧客が成約する理由は、顧客の問題解決であるためです。
商品のメリットや特徴を伝える際には、その内容が顧客の問題解決になっているかどうかを意識して話すことを心がけましょう。
受注率を高めるために心理学などで使われるテクニックを取り入れることも効果的です。ここでは実践の場面で役立つテクニックをいくつか紹介します。
ミラーリングとバックトラッキングは顧客との関係性構築に役立ちます。ミラーリングとは、相手の言葉や行動をそのまままねすることです。例えば、相手が飲み物を飲んだら飲み物を飲む、話し方のスピードをあわせる、身振り手振りをまねするなどがあります。
バックトラッキングとは、相手の言葉をそのままおうむ返しで返す方法です。例えば、「今日は映画を見て過ごしました」といわれたら「今日は映画を見たんですね」と返します。相手の言葉を、できるだけそのまま返すことがポイントです。
どちらの方法も顧客との信頼関係構築に効果的ですが、あからさまに相手に「テクニックを使っている」と思われると逆効果になるため、過度にやりすぎないよう注意しましょう。
松竹梅の3段階にグレードを分けて提案することで、受注率を高められます。一番契約したい内容の前に、断られる想定の松の提案をして顧客に一度断らせることで、一番竹のプランを承諾してもらいやすくなります。この手法はドアインザフェイスの効果を利用した手法です。
竹のプランよりも価格を落とした梅のプランまで用意しておくことで、失注を防ぎやすくなります。
テストクロージングとは、クロージングの前に契約への小さな意思確認をすることです。一般的には商品やサービスの説明前、金額の提示前に「どの程度商品やサービスに興味を持っているか」「不安な点や疑問点があるか」などのように問いかけます。
テストクロージングをすることで、クロージング前に契約への見込みを判断する材料となり、クロージングにより信頼関係が崩壊することを回避できます。
ゴールデンサイレンスとは、質問のあと意図的に沈黙する手法です。8秒以上の沈黙は不安に思う傾向があり、顧客から話を効果的に引き出すのに役立ちます。
見積もり提出後、顧客が最終判断をする段階の場合、顧客の話を遮ってしまうのは好ましくありません。ことで、顧客の話を遮ることで、購買意欲を損ねる可能性があります。営業担当者も不安に感じる時間ですが、意識的に取り入れてみると良いでしょう。
ただし過度に取り入れると相手に不快感を与えるため、ここぞという場面で取り入れると効果的です。
受注率を改善させるには、営業ツールを導入し、営業活動の効率と質を向上させることもおすすめです。ここでは受注率を向上させるツールについて紹介します。
CRMとは「Customer Relationship Management」の頭文字を取ったもので、顧客関係管理と訳されます。顧客の良好な関係構築や維持を目的にしたITツールです。具体的には以下のような機能があります。
これらのツールを導入することで、顧客との関係効率に関わるメール配信や問い合わせ管理を効率化するのに役立ちます。
SFAとは「Sales Force Automation」の頭文字を取ったもので、営業活動の一部を自動化し、情報分析が可能なツールです。具体的には以下のような機能があります。
これらの作業を効率的な整理や、見える化にも役立ちます。
MAとは「Marketing Automation」の頭文字を取ったもので、マーケティング業務を一部自動化できるツールのことです。主な機能としては以下が挙げられます。
MAは潜在顧客を見込み顧客まで育てる際に主に使われるツールです。
本記事では受注率を上げるための手法や上がらない要因について解説しました。受注率を上げるためには、上がらない要因を発見し、要因にあわせた改善策を取り入れることが大切です。