基本ノウハウ
SFAを活用することで、営業プロセスの可視化や営業の効率化を図ることができます。SFAの導入企業は増加傾向にあり、競合企業に後れを取らず、優位に立つためにも導入を検討している企業も多いでしょう。一方、導入検討にあたっては、SFAで何ができるのか、事前にその機能をよく整理しておくことも大切です。今回はそんなSFAの13つの機能と、代表的なSFAの機能について解説します。
最初にSFAの基本機能を4つ押さえておきましょう。なお、SFAによって機能の名称や細かい仕様は異なるものの、機能の基本的な中身・コンセプトは同じと考えて構いません。ここでは以下4つの機能について紹介します。
顧客管理機能とは、企業名や所在地、担当者名、役職、電話番号、メールアドレス、売上推移など顧客に関する情報を管理できる機能です。担当者は顧客管理機能を活用し、多様な角度から顧客理解を進めることができます。また担当者以外が顧客応対する場合、顧客情報を参照すればスムーズな対応が可能です。また、担当者が離職するときの引き継ぎがスムーズになるメリットもあります。
案件・商談管理機能は、訪問回数や提案商品、商談内容、案件の進捗状況、顧客の課題など案件や商談に関する情報を管理できる機能です。案件・商談の情報は、チームで共有できるため、上司から部下に対して商談に関するアドバイスをしたり、進捗状況を随時確認したりと、適切なチームマネジメントを実現できます。
行動管理機能は、訪問件数やアポイント数、提案数など営業員の日々の行動を記録・管理する機能です。行動管理機能を利用することで、営業プロセスの可視化が実現できます。例えば、行動管理機能を利用して、優秀な営業員の行動パターンを割り出し、組織内で共有して教育に活用できます。その結果、営業の属人化も抑えられるでしょう。また営業員自身も、過去の自分の行動を振り返り、経験や勘ではなく、データに基づいた営業活動を進めるヒントを得ることができます。
営業員ごとの今後の売上予測をする機能が売上予測機能です。売上予測機能を活用すれば、定量的なデータに基づいて、営業戦略やスケジュール管理を行うことが可能です。またリアルタイムでチーム全体の売上予測を確認できるため、上司は進捗管理や適切なリソース配分にも役立てられます。なお、AIが過去の情報から機械学習をして、受注確率や契約金額などを算出するSFAもあります。
次にSFAの便利な以下9つの機能を解説します。SFAによって機能の名称や仕様が異なるほか、搭載していない機能もあります。そのため、SFA導入前には希望の機能が搭載されているか、確認しましょう。
タスク・スケジュール管理機能とは、日々のタスクやスケジュールの管理・共有を行う機能です。タスクはスケジュール画面から確認できるほか、優先度や期限を設定し、1日のスケジュール調整にも活用可能です。またアラート機能と連動している点もポイントです。アラート機能がタスクのリマインドをしてくれるため、対応漏れのリスクを抑えることができます。また、上司がこの機能を使えば、部下のスケジュール管理や同行などのサポートにも役立てられます。
アラート機能とは、記録したタスク・スケジュールの記録を基に、次のアクションを通知してくれる機能です。例えば、○月△日に「A社へフォロー連絡」というタスクを入力した場合、○月△日が迫ってくるとA社へフォロー連絡をするように、SFAが通知してくれます。アラート機能を使うことで、対応漏れや遅延の防止に加え、最適なタイミングでのアプローチが可能になります。
対応漏れや遅延は今後の顧客との関係にも悪影響を及ぼしかねません。特にスケジュール調整が苦手な営業員にとっては便利な機能です。
名刺管理機能は名刺をSFA上で登録・管理する機能です。名刺管理機能を使えば、名刺をスマートフォンで撮影してスキャンすることで、簡単に名刺を登録できます。とくに名刺交換の頻度が高いBtoB企業にとっては、かさばらずに名刺管理ができるほか、名刺を探す手間も省けるため、メリットの大きい機能に感じられることでしょう。
地図機能は、地図上に顧客をマッピング表示させたり、地図上の特定のエリアを囲むことで訪問リストや訪問スケジュールを立てられるたりする機能です。地図上に表示された顧客アイコンをタップするだけで、営業報告も手間なく行うことができます。
地図機能を使うことで、外回りが多く、訪問先同士に一定の距離があるBtoB企業のルート営業員は、効率的に訪問件数を伸ばすことが期待できます。
見積書作成機能とは、いつでもどこでもSFA上で見積書を作成できる機能のことです。登録済みの顧客情報やテンプレートを使うことで、見積書作成にかかる業務負荷を低減できます。そのほか、SFAによっては閲覧制限をかける、簡単な画像・図などを見積書に添付することもできます。
日報管理機能は、SFA上で日報を作成・管理できる機能です。SFA上の日報は紙の日報に比べ、チームや上司にリアルタイムで共有できたり、SFA上でより多くの従業員に閲覧してもらえたりなど、情報の共有性に優れている点が特徴です。さらに、過去の日報の記録やSFAに登録された顧客情報などをSFA上でスピーディーに検索できるため、効率的に日報を作成できます。そのほか紙の日報と異なり、かさばらない点もメリットです。
売上推移や動きの出た案件の件数、着地見込みなどのデータをレポートとして出力してくれる機能です。レポートは担当者別やエリア別、案件別などさまざまなセグメントをかけて、出力できます。レポート結果はグラフで表示されるなど、分かりやすい形でデータの見える化が行われます。なお、分かりやすいレポート結果は営業分析のほか、資料作成にも活用できます。
タイムライン機能とは、営業報告がタイムライン上に自動でリアルタイム投稿される機能です。営業報告には顧客情報や行動履歴もひも付けられているため、部下にとっては上司へわざわざ報告連絡をする手間を省け、上司は部下へ迅速な指示を出せるようになる、といったメリットがあります。
スマートフォン・タブレット対応している多くのSFAでは、場所を問わずどこでもSFAを利用して、案件情報を更新したり、タスクを記録したりできます。業務と業務の間のスキマ時間に、日報の作成や顧客情報の更新ができ、ノンコア業務を効率化できます。
代表的なSFAには具体的にどのような機能が搭載されているのでしょうか。最後に代表的な3つのSFAの機能を紹介していきます。
「Sales Cloud(セールスクラウド)」は、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSFAです。全世界で15万社が利用しているSFAであり、AIも搭載しています。そんなSales Cloudの機能の中でも、今回紹介している機能に関するものを表にしています。
顧客管理機能 | 活動履歴や顧客とのやり取りなどの記録を管理する |
案件管理 | 取引額や競合他社など案件に関する情報を管理する |
見込み顧客管理 | 見込み顧客に関する情報を分析できる |
売上予測 | リアルタイムでチーム全体の売上予測を確認する |
モバイル | モバイルでもSales Cloudを利用できる |
メール連携 | 重要なメールやカレンダーを同期できる |
レポートおよびダッシュボード | ドラッグ&ドロップで、リアルタイムで顧客管理レポートを作成する |
Sales Cloud Einstein | AIを用いて、商談につながりやすい見込み顧客や商談を予測する |
Sales Cloudはビジネスチャットツール「Slack」と連携させ、Slackのチャンネル内でSales Cloudの情報を共有させることもできます。なお、Sales Cloudは1ユーザーにつき月3,000円から利用可能です。
「eセールスマネージャーRemix Cloud」は、ソフトブレーン株式会社が提供しているSFAです。さまざまな業界の中小企業から大手企業まで、5,500社を超える企業への導入実績があり、1ユーザーあたり月額3,000円~利用できます。eセールスマネージャーRemix Cloudの機能の中でも、今回紹介している機能に関するものを表にしています。
顧客情報管理 | 企業情報や案件情報、ToDoなどの情報を管理する |
商談管理 | 訪問日や活動内容など商談内容や進捗を把握できる |
名刺OCR・デジタル化 | スマホで名刺を撮影することで、名刺の情報をテキスト化できる |
商品別案件管理 | 納品日やリリース日など商品管理に係る、把握すべき情報を管理する |
案件シナリオ | 受注するまでの最善のシナリオを設定する |
人脈管理 | 次にアプローチすべき関係者を設定・見える化する |
スマホアプリ | スマホアプリが標準搭載されている |
Web会議ツール | Zoomと連携し、スケジュールを自動で連携する |
なお、eセールスマネージャーRemix Cloud導入企業は、導入・稼働・定着、それぞれのフェーズにおいてサポートを受けることができます。
「Mazrica Sales(マツリカセールス)」は株式会社マツリカが提供しているSFAです。案件管理画面が直感的に把握できるデザインになっているほか、AIによる次の営業アプローチの提案を受けられるなど、営業現場における使いやすさにこだわったデザイン・操作性が特徴です。Mazrica Salesの機能の中でも、今回紹介した機能に関するものを表にしています。
顧客管理 | 顧客情報(企業の概要や財務情報など)や顧客にひもづく案件情報などを管理する |
案件管理 | 案件の進捗度や内容などを管理する |
行動管理 | 行動を時系列に沿って表示する |
カスタムレポート機能 | 取引先別の売上推移や営業員別の営業量などを表やグラフにして表示する |
AI機能 | AIが受注確度や契約金額などを算出する |
名刺管理 | 写真やスクリーンショットの文字データをSFA内に自動登録できる |
上記の機能に加え、Mazrica Salesでは名刺管理サービス「Sansan」やビジネス用のLINE「LINE WORKS(ラインワークス)」などさまざまなツールと外部連携することも可能です。なお、料金は5ユーザー月額27,500円からとなっており、1人追加するごとに月額5,500円追加されます。
SFAには顧客管理機能や案件・商談管理機能などの基本機能のほか、さまざまな便利機能が搭載されています。いずれの機能もうまく活用することで、営業現場へプラスの影響を与えることができるでしょう。
ただし、SFAによって搭載される機能や仕様は異なります。「Aツールでは搭載されているのに、Bツールでは搭載されていない」という事態も起こりえます。搭載機能をよく確認した上で、SFAの導入検討を進めましょう。