基本ノウハウ
営業活動の仕組みを組織的に作り、チーム全体で売り上げの最大化を目指すための取り組みが組織営業です。顧客の課題やニーズが多様化している昨今、営業社員が個々のスキルに頼った営業活動には限界があり、いかに素早く組織営業の体制を構築できるかが今後の成果を左右します。
本記事では、組織営業とは何なのか、どのようなメリットがあり実践していく上でどのようなポイントに注意すれば良いのかを解説します。
組織営業とは、営業活動の仕組みを組織的に作りあげ、チームで売上の最大化を目指す営業活動です。組織営業を構築するために、下記の取り組みを行います。
これらの業務を標準化することで、優秀な営業社員の力量のみに頼らず、営業チーム全員が質の高い営業活動を行える状態を目指します。
顧客の課題やニーズは多様化しており、製品やサービスも需要を上回る勢いで世にリリースされています。こうした状況で競合他社に負けずに受注を獲得するためには、今まで以上に質の高い営業活動の展開が必要です。安定的に事業を拡大し、売上を伸ばすために、組織営業は不可欠であるといえるでしょう。
営業活動を効率化し、チーム全体で事業の売上拡大を目指す組織営業には、主に以下のような3つのメリットがあります。
組織営業は営業の属人化を防ぎ、安定した営業体制を確立します。
営業の属人化とは、業務内容やノウハウが組織内で共有されず、特定の個人にしか分からない状態になることを指します。属人化が進むと、優秀な営業社員に依存した体制になりやすく、営業活動や売上状況が個人の力量に左右されやすくなります。優秀な営業社員は異動や転職によってチームを離れる可能性もあるため、営業のノウハウが失われたり、場合によっては顧客が離れてしまったりといったリスクも考えられるでしょう。個人に依存しすぎない体制を作るためにも、組織営業が必要なのです。
組織営業ではチーム全体でノウハウや情報を共有できるため、営業プロセスの型を作ることで社員の営業スキルを向上させられます。
優秀な営業社員の成功の法則や行動特性、ノウハウなどを共有しプロセスを体系化することで、営業活動の再現性を獲得できます。また、共有されたノウハウを活用してロールプレイングを行えば、営業社員の顧客対応力を高められます。この手法は、若手社員への教育に活用できるのはもちろん、既存の営業社員のスキルアップにも有効です。
組織で情報の共有が仕組み化されていれば、情報共有→営業スキル向上→営業活動の成功→成功体験の蓄積→営業プロセスの型を作る→営業スキル向上という好循環を引き起こせます。組織営業はチーム全員の営業力を底上げできるのです。
組織営業では顧客の情報が共有され、高品質なサービスを提供できるようになります。
チーム全体で顧客情報を共有すれば、担当者でなければ顧客対応ができないという状況から脱却できるため、対応スピードが向上します。また、個人ではなくチーム全体で顧客対応にあたるためサービスの品質が高まり、顧客満足度の向上にもつながるのです。ノウハウの共有によって営業社員全体のレベルを底上げできるため、誰が対応しても一定レベル以上の品質を保てるようになる点もメリットです。顧客満足度を向上させて自社のファンになってもらえれば、継続的かつ安定的な売上拡大を目指せるでしょう。
組織営業の実践において特に重要なポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
組織営業を実現するためには、営業社員が個別に持っている情報をチームや組織全体で共有できる環境を整えましょう。
共有すべき情報としては、主に「商談情報」「案件情報」「営業資料」などがあります。中でも営業資料はそれぞれの営業担当が独自に改変・工夫しているケースが多いため、共有して互いにブラッシュアップできるようにしましょう。SFA/CRMなどの営業支援ツールを用いれば、全社員がいつでも必要な情報を閲覧できるようになるため効率的です。
また、こうした環境を整えつつ、情報共有に関するルールについての整備も忘れてはいけません。どのような情報をどのようなタイミングで共有するのか、そのルールが明確に定まっていなければ、営業社員ごとに共有される情報の質が変わってしまったり、そもそも共有自体がされなくなってしまったりする可能性もあります。
毎月・毎年の売上目標を定めるだけでなく、売上目標を達成するための行動目標の方針についても定めるようにしましょう。売上目標の設定だけでは、想定しているゴールまでの道順が営業社員によって異なる可能性があり、属人的な営業を脱却できません。
売上目標を達成するために必要なアクションの仮説を立て、行動目標を明文化できれば、営業社員は取り組むべき施策が明確になります。行動目標の共通認識を持っていれば、チームで連携しての施策も行いやすくなるでしょう。組織営業は目標とその道筋が営業チーム全体に共有されて初めて実行できるのです。
PDCAを回し、設定した行動目標は適切だったか、実行した施策は当初の想定通りの成果を出せているか、情報の入力と共有が問題なく行われていたかなどを分析・改善していくようにしましょう。
組織営業のための各種取り組みは、最初から成功するとは限りません。場合によっては高すぎる目標設定で達成が困難であったり、優先度の高くない施策に着手していたりといったケースもあるでしょう。PDCAを回してデータを蓄積しながら、自分たちの組織に合った正攻法を見つけていくことが大切です。
組織営業の概要やそのメリット、実践のポイントについて解説しました。属人的な営業のデメリットを回避しつつ、組織全体で成果を向上させていくためには、組織営業の実践が重要です。今回の記事を参考に、ぜひ組織営業への第一歩を踏み出してみてください。