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営業の属人化とは?問題点から予防・解消6つの方法まで徹底解説

営業の属人化とは?問題点から予防・解消6つの方法まで徹底解説

「営業社員によって能力の差が大きく、優秀な人材に頼っている現状に不安がある」

「営業の属人化とは?どうすれば解消できる?」

以上のような悩みを抱える営業部のマネージャーや管理職の方に向けて、BtoBマーケティングに特化した情報を発信しているBeMARKEが、属人化の問題点や予防・解消のための方法を解説します。

属人化を解消して、部署全体の成績を上げるための参考に、ぜひ本記事を活用してください。

目次

1.営業の属人化とは?

営業の属人化とは、企業において特定の人の営業成績に依存してしまい、他の人がその業務を代わることができなくなってしまっている状態を指します。個人の経験や勘、人となりや人脈などに頼った取引が慢性化して、優秀な人が抜けると部署全体に大きな影響が出る状態です。属人化は多くの場合、営業活動のノウハウがチーム内で共有されていないために起こります。

もしあなたのチームや部署において、特定の営業担当者や成績優秀者がいなくなっては困る状況や、特定のクライアントについてその人しか分からないという場合、属人化が起こっているといえます。現状のままでは優秀な人の営業プロセスやノウハウを部署で共有できず、成績が芳しくない人のスキルアップができません。組織としての営業力強化を目指すためには、属人化させない組織づくりが重要です。営業の属人化はどのような組織でも起こりうる問題であり、多くの企業が対策に乗り出しています。

2.営業の属人化が問題になる5つの理由

中小企業などでは、代表や特定の担当者と顧客との信頼関係を築きやすいメリットもあり、一概に属人化してはいけないということではありません。しかし、企業や組織としての成長を見据えるのであれば、属人化は時としてリスクとなってしまいます。

属人化を解消して部署やチーム内でデータやノウハウを共有し、能力の差にかかわらず顧客への対応を標準化することが重要です。まず、属人化が問題となる5つの理由を考えてみましょう。

【1】個人の能力の差により営業成績が異なる

まず個人の能力や経験に頼り切った営業により、成績のばらつきが大きいという問題点が挙げられます。切磋琢磨できる環境ともいえますが、担当者間であまりにもレベルが違いすぎると営業部署内の雰囲気やモチベーションにも悪影響を及ぼしてしまいます。

個人の能力に任せたままだと、ごく一部の意識の高い人は行動を起こして自己成長できても、多くの人は改善点に気づけなかったり、どうしたら改善できるのか分からなかったりします。その結果、なかなか成果につながらず、モチベーションも上がらないという悪循環に陥ってしまいます。

【2】能力の高い人の離職や転職リスク

能力の高い一部の人で部署の売り上げや成績が成り立っている場合、その人の離職や転職、異動などの動向によってリスクが大きくなってしまいます。

例えば顧客を引き連れて他社に移ってしまうという事例も、属人的な営業手法によって起こり得る問題です。属人化した営業活動では担当者と顧客との信頼関係は強い一方で、組織としての信頼を得られておらず、企業対企業の取引ではなくなってしまっているという側面もあります。

【3】営業担当者の対応にばらつきが出てしまう

ルールや基準が統一されずに属人化した状態が続くと、営業担当者ごとに対応が異なり、クライアントを混乱させる原因にもなりかねません。会社が把握できていないところでの対応のバラつきや、細かな対応の差などが問題になる可能性もあります。

さらに営業担当者が体調不良などで急に休んだ場合にも、顧客にどのような連絡をいつとっているのか、どのようなフォローが必要かなどが分からず、機会損失の原因となってしまう可能性もあります。

【4】ノウハウが蓄積せず後進の育成ができない

属人化した営業をつづけていると、ノウハウや経験が共有されません。各営業担当者の経験を新人教育や教訓として生かす機会も失ってしまいます。組織としての成果やスキルの向上を目指すためには、ノウハウや経験を個人のものにせず、チームや部署内で共有していくことが重要です。

またノウハウや経験に基づいて業務の効率化が図れないと、営業活動の効率も上げられません。

【5】組織としての成長ができない

属人化により、各担当者の進捗や顧客の状況を組織として把握できる範囲が少ないと、部署の問題点の把握や対策がとれなくなってしまいます。管理職やマネージャーが各担当者の営業活動を把握できないと、適切な助言やアドバイスができません。担当者個人のモチベーションや学習意欲に頼った成果しか出せず、組織としての成長は不確実なものとなってしまいます。

もしクライアントとの間で何らかの問題やトラブルが発生したにもかかわらず、担当者が内密に処理してしまい、共有されていないと、同じミスやトラブルによってクライアントからの信用を失うことにもなりかねません。

3.営業の属人化が起きる3つの原因

営業の属人化はなぜ起きてしまうのでしょうか。主な原因3つを解説します。

【1】営業活動を可視化するしくみが整備されていない

営業活動が個々の裁量に任されており、営業活動を可視化するためのしくみが整備されていない場合、営業の属人化が起きやすくなります。こうした企業の場合、営業チーム内では受注を獲得できたという結果のみが共有され、受注の過程で具体的にどのようなプロセスを経たのかは営業担当者の頭の中にしか存在しません。そのため、営業社員が辞めてしまうと誰にもノウハウが受け継がれず、業績を落としてしまうおそれがあります。

営業活動の可視化を行うために、情報を共有する定期的なMTGの設定やマニュアルの準備、ツールの導入、営業報告の形式の見直しなど、可視化を進めるためのしくみづくりを行う必要があるでしょう。

【2】営業のリソースが不足している

営業社員のリソースが不足していると、情報の共有やノウハウの体系化といった営業以外の業務に労力を費やせず、属人化を招きやすくなります。属人化を防ぐためには、営業組織内にある情報を一元化し、必要なときに必要な情報を誰でも迅速に確認できるようにするとともに、情報を分析して営業社員の育成に活用するなどの工夫が必要です。しかし、個々の営業社員やマネージャーが自身の業務に手一杯の状況では、情報を一元化・分析するための作業自体が大きな負担になります。

営業社員のリソース不足を補うために、業務を効率化できるツールの導入や、ノウハウ共有のためのフローの改善を検討する必要があるでしょう。

【3】営業がノウハウの共有に前向きではない

ノウハウをチームに共有することに前向きではない営業社員がいると、属人化が進行しやすくなります。営業社員が前向きになれない理由としては2つ挙げられます。

1つめは営業成果が自身の評価に直結するため、ノウハウを公開したくないという心理が働くケースです。特に歩合制の給与体系の場合は、自分の業績を上げることを優先するため、同じチームであっても他の営業社員に差を縮められたくないと考える可能性があります。

2つめはノウハウ共有のための負担が大きく、業務を億劫に感じるケースです。ノウハウを共有しようとすると、それまで自分が行っていたこと・考えていたことを言語化し、ツールに入力したり報告したりといった作業が必要になります。しかし、作業の結果得られる恩恵を当人が認識できていないと、ただ自身の業務が増えただけのように感じてしまい、モチベーションの低下につながるおそれがあります。

こうした状況を回避するために、企業はノウハウの共有が営業社員の評価や報酬につながるような体制を整える必要があるでしょう。

4.営業の属人化予防・解消のためにすべき6つの方法

営業の属人化を解消するためにできること、また属人化を防ぐために部署内でできる取り組みを紹介します。

【1】チームで営業活動を行う

属人化の予防や解消には、チームで営業活動を行うことが大切です。個人での営業活動は属人化してしまいやすいため、日ごろから3~5人程度のチームを組んで営業活動を行う体制を整えましょう。

例えば特定の取引先に週に1回営業回りをする場合、毎週チーム内の違うメンバーが行くようにスケジュールを組み、1カ月おき程度に一巡するようなイメージです。チーム制にすることで、属人化が起こりにくく、日ごろから情報共有を習慣化できます。

またチーム制の方が、お互いのスケジュールや誰がどこに行っているかという情報が把握しやすくなります。移動効率のアップや、動きが不透明な時間や無駄な待ち時間を減らすことにもつながり、組織としても合理的に活動できるでしょう。

チームで営業活動を行うことは離職や他部署への異動、休職などへのリスクヘッジとしても有効です。

【2】こまめな情報共有・チームの円滑なコミュニケーションを図る

こまめな情報共有を図るために、チャットなどコミュニケーションがとりやすいツールを導入しましょう。各自の状態をチームや部署全体で把握しやすくするためには、些細なことでも気軽に質問したり、確認しやすい環境を整えたりすることが重要です。

定期的なミーティングや、進捗管理アプリ、営業ツールの活用もおすすめです。チームの円滑な活動のためには、何かミスがあっても早期に発見し、お互いにフォローできるように2重3重のチェック体制にしておくことで、メンバー間がぎくしゃくしてしまうことも避けられます。

また、チームでは契約や取引の内容に限らず、雑談で得られた顧客の情報や趣味の情報など些細な内容まで共有しておくことで、チームのコミュニケーションが円滑であることを示せます。話が伝わっていないという状況に陥るのを避け、取引先からも安心感を得られるでしょう。

【3】管理するデータを決め、フォーマットやルールを作る

顧客情報や営業段階による情報管理を、ポイントをおさえて共有し、必要なことや定番の内容、繰り返す内容は型やフォーマットを作りましょう。顧客情報についてはすべてを覚えられないので、共有するデータを表などで作成し、新たな情報を追記できるようにしておくと良いでしょう。

できるだけ簡潔に箇条書きするなど、一覧を一目で確認しやすくしておけば、取引先を訪れる前にサッと確認できて便利です。

SFAやCRMなどの営業ツールの効果的な活用により、業務効率の大幅なアップも見込めます。営業活動や情報共有に役立つツールについては、以下の記事でも取り上げています。併せてご覧ください。

クラウド営業支援ツール「Senses」が取引先管理における機能アップデートを実施。BtoB企業の営業活動におけるメリットとは?

実現したい営業別おすすめSFA/CRMツール13選【比較表つき】

無料で使えるSFA19選 各ツールの特徴や機能を紹介

【4】ノウハウを伝える場を作る

営業成績の優秀な人が行っている手法や工夫を伝える場を作ったり、チーム内でざっくばらんに意見交換したりしてノウハウを共有することも重要です。

例えば、以下に挙げるいくつかの方法で、経験の豊富な人からまだ経験の浅い人にノウハウを共有できます。

【ノウハウを共有する方法例】

  • 社内の勉強会やセミナー
  • 社内報などで事例を共有
  • 経験談や失敗談も個人を特定しない形でできる限り詳細を残し、似たような事象に役立てる
  • 営業部門内でのミーティングやディスカッション
  • ロールプレイングなどを通じて対応力を上げる

社内で取り入れやすい方法を組み合わせて、意識的にノウハウを伝える環境を整えましょう。

【5】営業プロセスの共有

進捗状況や営業プロセスを共有する体制を整え、誰が見ても状況が分かるようにしておくことも属人化を防ぐ上で重要です。

【プロセスの共有例と各プロセスで準備する内容】

    
プロセス準備する内容
事前準備 ・自社のアピールポイントや強みなどの情報
・顧客についての情報収集(会社情報、担当者の情報)
・顧客にどのようなニーズがあるか想定
アポイントをとる ・アポイントのとり方
・アポイントの内容や話す事柄、流れの事前確認
ヒアリング ・ニーズや悩みをヒアリング
プレゼンテーション ・顧客のニーズに沿ったプレゼンの準備
・抵抗を感じる内容(自社商品のデメリットや費用感)、障壁の把握
クロージング ・事前にゴールを決めておく
受注 ・必要な契約書類の準備、確認事項のリストなどを用意しておく
アフターフォロー ・いつ頃どのようなフォローをするのか決めておく

また営業活動のステップを決め、それを標準化することで、進捗状況や次の動きを共有しやすく、上司や管理者が直接かかわっていなくても現状を把握しやすくなります。

上記のようなプロセスに基づき、自社の扱う製品やサービスに合わせてより細分化したステップをまとめます。そのステップごとに必要なデータや、活動内容のフォーマット、ルールなどを策定しましょう。そうすることで、どの顧客に対して次にどのようなアクションを起こすべきかが共有しやすくなります。

【6】日常的なフォロー体制を整える

日ごろから、担当者がいなくても組織的にカバーできる体制を整えておくことも大切です。自分の担当以外の進捗もチェックしたり、直接顔を合わせる機会が少なくても、チャットやオンライン、その他の連絡手段を通じて密なコミュニケーションを図りましょう。疑問に感じた点や必要な事柄を忘れているかもしれないことに気づいた場合に、気軽に確認できる状態にしておくのがベストです。

各担当が注意を払い第三者の目線も活用することで、ミスを減らしかつ急なアクシデント時にもスムーズな対応が可能になります。

5.まとめ

営業の属人化が問題となる5つの理由や、属人化の予防・解消のためにすべき6つの対策を紹介しました。営業の属人化を防ぎ、組織としての営業力を高めていきましょう。

営業の属人化の解消や、営業力を強化するためにできることについては、以下の関連記事もご覧ください。

参考記事:「脱・営業の属人化。組織で成果を出すセールス・イネーブルメントへの期待

参考記事:「セールスイネーブルメントとは?注目される背景や期待できる効果を解説

参考記事:「セールス・イネーブルメントの第一人者に聞く、BtoB企業が営業組織を強くするためにできること


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