基本ノウハウ
コンテンツマーケティングは、簡単に言えばコンテンツを用いて売上につなげるマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングは適切に実施できれば成果の大きい手法で、実際に多くの企業で取り組まれています。しかし、成果に結び付けられる企業ばかりではなく、途中で計画が頓挫してしまうケースも少なくありません。コンテンツマーケティングを成功させるためには、まず「コンテンツマーケティングとは一体何か」「どのようなメリット・デメリットがあるのか」などをよく理解した上で、自社の状況に即した計画を作成する必要があります。
この記事では、コンテンツマーケティングの基本について解説した上で、取り組むべき理由やメリット、実践する上での手順、成功事例、失敗しないためのポイントを解説します。コンテンツマーケティングの実施を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
本章ではコンテンツマーケティングとは一体どのようなマーケティングなのか、コンテンツマーケティングの意味や背景について解説します。
コンテンツマーケティングとは、「ユーザーにとって価値あるコンテンツ」を適切なタイミングでユーザーに提供し、態度変容を促すマーケティングです。
「ユーザーにとって価値あるコンテンツ」とは、ユーザーが抱えている悩みや課題を解決してくれる、または新しい気づきを与えてくれるコンテンツといえます。ユーザーが該当のコンテンツを閲覧して悩みを解消できれば、「自分にとって必要な情報を提供してくれるサイトだ」と判断し、運営する企業に対して信頼を寄せてくれます。
こうした信頼の積み重ねにより、最初は企業について「認知」しているだけだったユーザーの「興味・関心」が育つなど、ユーザーの態度変容につながります。コンテンツマーケティングは、コンテンツを介してユーザーと関係を構築し、最終的にユーザーを「購買」や「リピート」に導くのが目的です。
コンテンツマーケティングで活用されるコンテンツの例としては、下記があります。
コンテンツマーケティングで大切なのは、自社の伝えたい情報を伝えるのではなく、あくまでユーザーの知りたい情報を発信することです。「コンテンツマーケティング=SEOコンテンツによる集客施策」と思われがちですが、コンテンツマーケティングは集客から購買後の関係維持まで含めた総合的な施策なのです。
企業がコンテンツマーケティングに取り組むべき背景には、インターネットの普及によってユーザーが自分で情報収集できるようになったことが挙げられます。
インターネットが普及する以前は、テレビCMなどのメディアを利用した大々的なプロモーションによってユーザーは商品・サービスを知り、欲しいと思えば電話で問い合わせたり、実際に店舗に足を運んだりといった行動を取っていました。
しかしインターネットやデジタル端末が普及した昨今では、何をするにもまずインターネットで情報収集を行ってからアクションに移すことが一般的になっています。「旅行先で地元の料理を食べられる場所を知りたい」「好きなブランドの洋服を揃えているお店を探したい」「業務中にPCでトラブルがあったが原因が分からない」など、あらゆる悩みがインターネット上の情報を通じて解決策を探されるようになっているのです。
これはBtoBビジネスにおいても同様です。BtoBビジネスにおける顧客にとっての情報源は、以前は営業からの接触でしたが、昨今ではインターネットでの情報収集が中心になりつつあります。営業が接触する以前に、顧客は情報収集を済ませて商品・サービスを絞り込んでしまっているため、あらかじめ自社について知っていてもらわなければ検討すらされないケースが増えているのです。
ユーザーの知りたい情報をコンテンツ化し、ユーザーが必要としているタイミングで提供するコンテンツマーケティングは、こうしたユーザーの行動の変化に対応した施策であるといえます。
コンテンツマーケティングは、見込み顧客が日頃行っている情報収集の段階で、コンテンツを介して自社との接点を作ります。さらに、コンテンツによる課題解決を通して自社が扱う製品・サービスへの信頼を醸成し、売上につなげていく仕組みづくりができるのです。
コンテンツSEOはコンテンツマーケティングに含まれる施策の1つです。コンテンツSEOは良質なコンテンツ制作によって検索順位の上位表示をねらい、アクセス数を増やそうとする取り組みを意味します。
一方のコンテンツマーケティングは、ホワイトペーパーの作成やウェビナーの開催、メルマガ、会社実績の公開など、SEOによる上位表示を目的としないコンテンツも施策に含まれます。両者を混同してしまうと、認識のズレによってメディア運用に支障が出る可能性があるため、違いを知っておくことが大切です。
関連記事:「コンテンツマーケティングとSEOはどう違う?マーケティング成功のポイントを分かりやすく」
コンテンツマーケティングに取り組むメリットとして以下の4つが挙げられます。
コンテンツマーケティングでは、顧客のニーズに沿った有益なコンテンツを顧客の購買活動のステップごとに発信するため、長期的に接点を持ち続けられます。BtoBでは、「認知→興味→比較・検討→購買」というプロセスの中で、顧客が離脱と復帰を繰り返しています。それぞれの段階に応じたさまざまなコンテンツを用意しておけば、認知段階で離脱したユーザーが比較・検討段階で復帰することもあり得ます。
顧客の段階に応じて適切なコンテンツを継続的に提供することで「この企業は有益な情報を発信してくれて信頼できるな」という印象を与え、ファンになってもらいやすくなります。
顧客がファンになってくれると、再度自社の商品やサービスを購入する可能性が高まる上に、SNSや口コミサイトを通して情報を拡散してくれるようにもなります。
また、従来は営業担当者が何度も足を運び信頼関係を構築することが一般的でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で対面営業が困難になりました。コンテンツマーケティングによる継続的なフォローは、このような状況下でも顧客との信頼関係構築・維持に効果的です。
一度インターネット上に出したコンテンツは半永久的に残り続けるため資産となります。コンテンツが充実すれば検索エンジンからの評価が高まり、長期的な集客効果が期待できます。また、オフライン向けに作ったコンテンツも商談の説明資料や社内教育のテキストに流用可能です。
コンテンツマーケティングに取り組み続けると、ソートリーダーシップを取れる可能性があります。ソートリーダーシップとは、特定のテーマや課題に対して、企業が専門的な視点から将来を先取りした情報を発信し続けることで、特定分野の第一人者としてのポジションを確立することです。
ソートリーダーシップを獲得するには、顧客の課題解決につながるコンテンツの定期的な発信が欠かせません。コンテンツマーケティングは、顧客の態度変容を促すためのコンテンツ、つまりそのときどきの解決策を提示するコンテンツを発信する取り組みです。コンテンツマーケティングに取り組み、多くの顧客からの信頼を獲得し続けられれば、ソートリーダーシップを得られるのです。
ソートリーダーシップを獲得できれば、特定分野の第一人者であること自体がPRの役割を果たします。例えばMAの導入を検討する人が「MAと言えばここだよね」と第一想起してくれるようになれば、特別な施策をせずとも集客数を増やせるのです。
関連記事:「ソートリーダーシップとは?社会貢献で新しい市場を生み出す戦略」
コンテンツマーケティングの運用にはデメリットもあるため、デメリットを知った上での取り組みが大切です。具体的には以下があります。
コンテンツマーケティングで成果を出すためには、大きな費用と工数がかかります。サイトエンジン株式会社が公開した調査によると、BtoB・BtoC企業のいずれにおいても、コンテンツマーケティングにかける月々の予算は「301万〜500万円」が最も多い回答でした。
コンテンツマーケティングで成果を上げるためには、継続的な質の高いコンテンツ作成と発信を行い、必要に応じて既存記事の見直しやリライトも実施しなければなりません。継続的な運用体制を整える必要があるほか、ユーザーとの接点となるWebサイトやSNSの更新も重要です。これらの実現のためには、人件費、外注費、サイトの運用・管理費、コンテンツマーケティングを効率化するためのツール導入費など、多くのコストが必要になります。
また、質の高いコンテンツ制作のためには、顧客のニーズを調査して顧客理解を深め、自社しか提供できない価値ある情報をコンテンツに反映していかなければなりません。コンテンツ制作・改善業務には一定の工数をかけ、顧客にとって有益なコンテンツづくりに取り組む必要があるのです。
以上のように、コンテンツマーケティングを実施するのであれば、十分な予算と人的リソースを確保する必要があります。リソースが不足している状態でコンテンツマーケティングを始めようとすると、事業を継続できず、成果を上げられないまま中止せざるを得なくなる場合もあります。
コンテンツマーケティングを実施して売上につなげるまでには、一定の時間がかかります。コンテンツマーケティングは中長期的な施策であり、検索順位が上位になる、メルマガの登録者数が増える、SNSで注目を集めて流入数が増えるといった目に見える成果を出すまでに少なくとも半年~1年程度の時間がかかるのが一般的です。
また、流入する多くのユーザーは自社製品・サービスについて関心の低い潜在層です。こうした潜在層は流入しても即座に受注には結びつかず、継続的に発信されるコンテンツを通して自社への信頼感を醸成した上でなければ、商談に移行しません。コンテンツマーケティングでは、売上に至るまでに潜在層の興味・関心を育成する期間も見積もる必要があるのです。
継続的に質が高いコンテンツづくりを進めていれば、徐々に自社の認知度を向上させられるでしょう。成果が出るまでコンテンツ制作を継続できる体制づくりが大切です。
また、コンテンツマーケティングで成果が出るまでの間は、Web広告のようにコストはかかるが短期で成果の出やすい施策もあわせて進めると良いでしょう。特にリスティング広告は、キーワードを指定して検索結果に連動させた広告を表示できるため、どのキーワードであれば商談につながりやすくなるかコンテンツ制作前にテストできます。
どのような手順で実施すれば良いか、コンテンツマーケティングで成果を出すために具体的な手順を解説します。
コンテンツマーケティングは中長期的な取り組みであるため、着手後に方針のズレやリソース不足による計画倒れとならないように、また限られた資源で最大の成果を上げるために全体の戦略設計が重要です。
具体的な実施手順は以下の通りです。
コンテンツマーケティングの戦略設計の手順について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:「コンテンツマーケティングは戦略が重要!具体的な手順や手法を分かりやすくプロが解説します」
コンテンツマーケティングの目的を設定し、具体的な数値目標(KPI)に落とし込みます。具体的な数値目標を定めることで、「今自分が取り組んでいる業務が、目標に対してどの程度の達成度なのか」を判断でき、成否を判断しやすくなるためです。
例えば「サイト経由の売上を10%向上させる」をコンテンツマーケティング実施の目的とするならば、必要な商談数を逆算し、その商談数獲得のために「問い合わせ件数を〇件以上にする」という数値目標を設定できます。さらに、問い合わせ件数を◯件以上にするために「サイト流入数は最低でも◯セッションが必要」と考えセッション数を増やす取り組みを考えたり、「商品の魅力が伝わる事例コンテンツが必要」と考えて顧客インタビューを実践したりと、目標達成のための具体的な施策を考案しやすくなります。
ペルソナとカスタマージャーニーマップの作成によって、誰にどのようなコンテンツを届けるのか、内容や発信タイミングを定めやすくなります。
ペルソナとは、仮の名前や年齢、職業、役職、趣味嗜好など、実在してもおかしくないレベルにまで設定を作り込んだ架空の顧客像です。カスタマージャーニーマップは、ペルソナが商品を知ってから購入に至るまでにどのような行動や感情の変遷を辿るのか、購買プロセスのイメージを可視化します。カスタマージャーニーマップを作成すれば、ペルソナの行動に対して自社が現在どのような施策を取っているかを整理でき、ペルソナが必要としている情報や、コンテンツを届ける適切なタイミングの検討に役立ちます。
ペルソナとカスタマージャーニーマップの作成によって顧客理解が深まり、より顧客目線に近いマーケティング施策の立案が可能です。しかし、進め方を間違えると、実態とは異なる間違った顧客像を作ってしまう可能性があります。精度の高いペルソナやカスタマージャーニーマップを作るためには、見込み顧客インタビューの実施が高い効果を発揮します。見込み顧客インタビューの方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
関連記事:「コンテンツマーケティングを成果につなげる「見込み顧客インタビュー」のすすめ」
事前のスケジュールや実施体制に基づいて、実際にコンテンツ制作を開始します。
作成したペルソナ・カスタマージャーニーマップを参考にしてユーザーニーズを考え、コンテンツの核となるキーワード(テーマ)を決定します。キーワード決定のためには、下記のような手順を踏みます。
キーワードの選定について、詳しくは下記の記事もあわせて確認してください。
関連記事:「簡単SEOキーワード選定方法!5つの手順とおすすめツール5選」
目的達成のためにつくるべきコンテンツを一覧にまとめ、いつまでにどのようなコンテンツを制作するのか、スケジュールと運用体制を定めます。制作までのフローを明確にし、誰が何をいつまでに実行するのか明確にすることが大切です。具体的には以下を決めると良いでしょう。
これらの内容を明確にしておくことで、制作プロセスを円滑にできます。反対にこれらが明確になっていないと、コンテンツ制作に時間がかかり、余計な時間とコストをかけてしまいます。
各コンテンツはただ量を増やせば良いわけではなく、「質の高いコンテンツ」であることが大切です。
「質の高いコンテンツ」の定義は人によって見解が分かれますが、コンテンツマーケティングにおいては戦略通りにユーザーの行動変容を促せるかどうかが重要です。Googleでは、コンテンツを最適化する上で以下が重要だとしています。
- 興味深く有益なサイトにする
- 読者が求めているものを把握して提供する
- ユーザーの信頼を得られるようにサイトを構築する
- 専門性と権威性を明確にする
- テーマに応じた適切な量のコンテンツを提供する
- 気が散る広告を避ける
- リンクを上手に使う
引用元: Google公式SEOスターターガイド
これらを踏まえつつ、制作するコンテンツを自社のマーケティング戦略と合致させましょう。
コンテンツマーケティングは中長期的な施策であり、制作したコンテンツの公開後は定期的な効果測定を行い、改善を行っていく必要があります。ただし、コンテンツ公開を始めたばかりの場合は効果が出始めるまでに半年程度かかる点に注意が必要です。
定めた目標に対してどのような成果が出ているか、ツールを利用して効果を測定します。効果測定の方法や測定すべきデータはコンテンツの種類や目的によって異なります。
例えば記事コンテンツに関する指標であれば、GoogleサーチコンソールやGoogleアナリティクス4などの分析ツールによって記事の検索順位、検索流入数、CV率などの分析が可能です。
コンテンツごとに計測する指標の例としては、下記が挙げられます。
評価対象 | 指標の例 |
---|---|
KGIに直結する項目 | 問い合わせ数 |
商談率 | |
受注率 | |
記事 | 投稿本数 |
訪問者数 | |
セッション数 | |
回遊率 | |
CV(コンバージョン)率 | |
検索順位 | |
被リンク数 | |
SNS | シェア数 |
エンゲージメント数 | |
フォロワー数・友達数 | |
動画 | 視聴回数 |
視聴者数 | |
平均視聴時間 | |
メルマガ | 開封率 |
クリック率 | |
CV率 | |
ホワイトペーパー | DL数 |
これらの数字から、目標との差異を比較し、必要に応じて指標に向けて施策の見直しや、目標数値の再設定を行います。
目標値との差異を確認し、大きく達成が遅れている箇所があれば、そこに課題があると考えられます。課題の仮説を立て、改善のためにどのような施策が取れそうかを考えましょう。
考え方の切り口の例としては、下記が挙げられます。
コンテンツマーケティングはコンテンツを通してユーザーと関係を築くため、改善策を立てる上では「ユーザー目線で考える」ことの徹底が必要です。その上でPDCAを回し、成果が出るまで改善を繰り返しましょう。
コンテンツマーケティングはさまざまな企業で取り組まれています。中でもコンテンツマーケティングで成果を上げた事例として、下記2つを紹介します。
株式会社はせがわは「お仏壇のはせがわ」として有名な1929年創業の老舗企業ですが、コロナ禍の影響で実店舗の休業を余儀なくされたことをきっかけにオンラインの重要性を認識し、2021年春からコンテンツマーケティングに取り組みました。結果、1年後の2022年6月時点で前年比3.5倍のセッション数を実現し、契約高は前期比5.4億円のプラスになっています。
株式会社はせがわは、主に下記のような取り組みを行ったといいます。
コンテンツマーケティングは、特にノウハウがない企業が1から始めるにはハードルが高く、計画が頓挫してしまうケースがあります。株式会社はせがわはコンテンツ制作のみを行うのではなく、コンテンツマーケティングを継続的に実施する上で最も大切な「体制整備」や「実施する人の育成」にも並行して取り組み、成功を収めた事例といえるでしょう。
参考:「「お仏壇のはせがわ」がコンテンツマーケティングでセッション数前年比3.5倍に!SEO初心者が成功した3つの秘訣」
BIツールなどのBtoB製品を提供しているウイングアーク1st株式会社は、自社製品の購入意思決定者がビジネス部門で増加傾向にあることから、ビジネス部門の担当者に訴求できるよう「データのじかん」というオウンドメディアを開設し、本格的なコンテンツマーケティングに着手しました。結果、Webメディアの開設から5年で80万PVを達成しています。
ウイングアーク1st株式会社は、主に下記のような取り組みを行ったといいます。
コンテンツマーケティングにおけるデータの収集・活用の重要性がよく分かる事例であるといえるでしょう。
参考:「5年で月間80万PVを達成した「データのじかん」編集長に聞いた データ駆動型コンテンツマーケティングとは何か?」
コンテンツマーケティングにおいて活用されるコンテンツにはさまざまな種類があり、コンテンツによってアプローチできる範囲や目的に違いがあります。本章では代表的なコンテンツの種類について解説します。
コンテンツマーケティングの種類についてより詳しく知りたい方は下記の記事をご確認ください。
関連記事:「コンテンツマーケティングの種類7選!目的に合ったメディアの選び方まで解説」
記事コンテンツは、自社が持つ実績やノウハウを記事化して自社サイトやブログサイトで配信する手法です。コンテンツを企画・制作し続けるための労力は必要ですが、コンテンツが充実すればするほど顧客のニーズに応えられるようになる上に、検索エンジンからの評価も高まります。また、記事コンテンツの中にも、導入事例やノウハウ解説などさまざまな種類があります。
関連記事:「Webコンテンツとは?特徴や求められるもの・種類・注意点をわかりやすく」
ホワイトペーパーは、自社商品・サービスに関連する領域のノウハウをまとめたお役立ち資料です。オンライン上でダウンロードできるようにしてリードを獲得するために活用されます。他にも、セミナー参加者の理解を深めるための資料や商談時の説明資料としても活用できます。
関連記事:「ホワイトペーパーとは?目的・テーマ・制作手順を解説」
セミナー・ウェビナーは現場の第一線に立つ担当者や権威のある講師をアサインして、特定のテーマについてノウハウ・事例を伝えるコンテンツです。数十人に対して一斉にプレゼンできるため、1対1の営業活動よりも効率的に商談に持ち込めます。
オフラインのセミナーが一般的でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン上でのセミナー(ウェビナー)が急増しています。ウェビナーのメリットは、少し興味がある程度の方や地方の方も参加しやすく、オフラインよりも多くの見込み顧客に参加してもらえる点です。また、会場を手配する必要がなく運営コストを最小限に抑えられる上、録画して動画コンテンツとして配信できます。
関連記事:「【集客数UPが狙える!】ウェビナーとは?メリットや活用事例も解説」
プレスリリースは、新製品や新サービス、大手企業への導入事例などの情報を文書で発表するタイプのコンテンツです。配信プラットフォームを使用することで多くの企業に情報発信でき、認知拡大に効果的です。また自主的に行ったアンケート結果などを配信する調査プレスリリースは、アンケート結果の周知に役立ちます。また、調査結果が他の記事で引用されれば、外部リンクの獲得や自社サイトへの流入も期待できます。
関連記事:「【ポイントは6つ!】プレスリリースの書き方は?具体例や掲載されるコツまで紹介!」
メールマガジンは、新製品やイベント情報、業界ニュースなど独自性を持った情報を定期的に配信するコンテンツです。自社サイトに誘導するためには、顧客にとって魅力的なタイトルや内容であることが重要です。低コストで多くの顧客に配信でき、継続的な情報発信ができる点がメリットです。配信頻度が多過ぎたり、ユーザーにとって有益でない情報になっていたりすると配信停止される可能性があるので注意しましょう。
関連記事:「メルマガ配信とは?開封率の高いメールマガジンの作り方やテンプレートまで徹底解説」
郵送DMは、はがきや封筒を使って商品やサービスについて案内するコンテンツです。新規顧客への認知拡大や既存顧客の新たな購買を促すために活用できます。郵送DMのメリットは、メールよりも多くの情報を記載できる上に、ビジュアルやコピーで注意を引けるためメールのように件名だけでスルーされにくい点です。今までは効果測定がしづらいデメリットもありましたが、DMにQRコードを記載しそこからアクセスした人数を計測することで反応を確かめられるようになっています。
動画コンテンツは、テキストや口頭のみでは伝わりづらい部分を、映像や音声を使って短時間で伝えるコンテンツです。SaaS系システムの動作や全く新しいサービスなど、言葉で説明しにくい価値や機能の説明に適しています。BtoBマーケティングでは、以下のような動画が用いられます。
一度作成したコンテンツは、他の形式のコンテンツに再利用することで、コストを削減しつつコンテンツを増やせます。1つの媒体では届かなかった層へ再度アプローチが可能であるためリーチできる範囲を広げられるでしょう。
具体的には、記事コンテンツの内容や営業資料をホワイトペーパー化する、ウェビナーをアーカイブとして動画コンテンツ化する、ウェビナーの内容を流用しつつ新規記事に利用するなどの方法があります。費用だけでなく工数も削減できるため、積極的な活用がおすすめです。
コンテンツマーケティングは、長期的な目線での取り組みが必要なため、失敗しないための対策を整えておくことが大切です。ここでは、コンテンツマーケティングで失敗しないために押さえたいポイントを4つ紹介します。
コンテンツ設計はペルソナとカスタマージャーニーに沿って行うことが大切ですが、その際に「どんなコンテンツを」「どのように届けるのか」を特に意識する必要があります。
よくある間違いとして、手軽に投稿ができるからまずはX(旧:Twitter)で情報発信しようと考える人がいます。しかし、自社のターゲットがXを普段あまり見ないのであればターゲットに届かず意味がありません。「自社の都合」ではなく、「顧客の都合」に合わせてどの媒体で情報を届けるのかを整理することが大切です。
コンテンツマーケティングは社内で実施の理解を得ておかなければ、成果を出す前に頓挫してしまう可能性があります。コンテンツマーケティングは成果が出始めるまでに時間がかかる上、実施する際には大きな費用と工数が必要であり、計画を進めるためには社内の協力が必須であるためです。
株式会社イノーバの調査によると、「コンテンツマーケティング施策を進める際に、どのようなハードルを感じたことがあるか」という問いに対して「本当に成果が出るか信用できない」が全体の59.4%、「ずっとやり続けられるか不安」が39.6%を占めていました(参考:コンテンツマーケ実施企業の9割以上が「実施前に壁があった」、突破のきっかけは?【イノーバ調べ】)。
継続できるかどうか、継続して成果が出るのかを不安に思う人は多く、そのような不安を社内全体でどれだけ払拭できるかが、成否を左右します。
具体的な対処方法として、他社の成功事例を見せ、成功の具体的なイメージを持ってもらうこと、社内で成果が出るまでのシミュレーションを作成・共有すること、成果の進捗を定期的に報告することなどが挙げられます。
コンテンツマーケティングは中長期的な取り組みが必要で、一定の人的リソースが必要です。十分なリソースが確保できていない場合、計画通りに施策を実行できず、計画の大幅な変更や中止を招く可能性があります。
コンテンツマーケティングを実施する際には、事業を総括する専任の担当者を必ず決め、必要に応じて代行や外注を検討しましょう。
ただし、初期の段階ではどれほど説明しても成果に対して不信感を持たれ、十分な人員や予算を割いてもらえないケースがあります。こうしたケースの場合は、まず小規模の施策から始めて成功を目指し、作った実績を根拠に事業の拡大を目指しましょう。
質が高いコンテンツを提供し、ユーザーに新しい気づきや感動を与えられる内容でなくては、ユーザーの行動を促せません。質を高める取り組みとしては以下のことが挙げられます。
オウンドメディアの立ち上げ初期など、コンテンツの数を増やしたい最初のうちは、コンテンツの質に十分なリソースを割けないこともあります。最初は制作本数などの量を目標にしても良いのですが、徐々に量と質を両立させる運用体制を構築できるよう準備する必要があります。
コンテンツマーケティングはコンテンツ制作のための調査、効果測定のためのデータ分析など、やるべきことが多岐にわたります。さまざまなツールを活用し、業務プロセスの効率化や質の向上を図ると良いでしょう。
コンテンツマーケティングの中でも、コンテンツSEOの施策は下記のような工程で制作を行います。
以上を踏まえると、コンテンツマーケティング(コンテンツSEO)で活用できるツールは、大まかに以下のように分類できます。
分類 | 内容 | サポートの工程 | 例 |
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競合を分析するツール | 競合のPV数やユーザー数、流入元の割合、検索キーワードなどを調べられる | 競合調査 キーワード洗い出し・調査 キーワード選定 |
SEO・キーワード調査ツール |
コンテンツの品質を高めるツール | コンテンツの効果測定や課題の発見を行う | コンテンツ制作(企画) 効果測定・改善 |
Web改善ツール、アクセス解析ツール |
記事制作を自動化するツール | AIなどを利用してコンテンツ制作をサポート・効率化する | コンテンツ制作(企画・執筆) | AIライティングツール |
コンテンツの配信を行うツール | 制作したコンテンツをユーザーに届ける | コンテンツ制作(公開) | MA、メール配信システム |
コンテンツマーケティングツールについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:「【2023年最新おすすめ5選】コンテンツマーケティングツールとは?できることから選び方まで解説」
コンテンツマーケティングは、オンライン・オフラインのあらゆるコンテンツを使って、ユーザーの態度変容を促す活動です。従来の飛び込み営業やテレアポといった営業手法だけでは通用しなくなっているなか、コンテンツマーケティングは顧客との長期的な関係構築に役立ちます。コンテンツマーケティングは短期的に結果が出るものではありません。効果が出ないからと途中で投げ出さず、コンテンツをコツコツと作る体制を作ることも大切です。