基本ノウハウ
オウンドメディアを運用している方の中には、SEOキーワードをどのように選定すれば良いか、分からずにお困りの方も多いのではないでしょうか。SEOキーワードを適切に設定できるかどうかは、Webサイトの運営の成否を大きく分ける要素です。
本記事では、SEOキーワードの意味、選定の手順やポイント、選定時に利用できるツール、SEOキーワードの活用方法まで解説します。
SEOキーワードとは、広告運用者や、マーケティング担当者が、広告戦略を考える際に設定する、単語や単語の組み合わせです。SEOキーワードは、GoogleやYahoo!などで、何らかの情報を検索する際のキーワードを示します。キーワードは1つのこともあれば、2〜3つのワードが組み合わされた場合もあります。
検索キーワードは、検索者がどのような悩みや課題を抱えているのか、検索する意図を分析するために欠かせません。読者が検索するキーワードは、ちょっとした違いでも、検索意図や検索する人が大きく変わることが珍しくありません。
例えば、「自炊 一人暮らし 初心者」というワードであれば、一人暮らしをし始めたばかりの人が検索していると考えられます。しかし「自炊 一人暮らし 節約」というワードの場合は、初心者だとは限らず、節約意識が高い人だと考えられるでしょう。
SEOキーワードと混同されがちなのが、クエリです。クエリとは、実際にユーザーがGoogleやYahoo!の検索窓に入力したキーワードを示します。
SEOキーワードはあくまで、広告運用担当者が、ターゲットやユーザーニーズに合わせて記事の方向性を設定するキーワードです。ニュアンスこそ似ているものの、ワードが使われる目的やタイミングに違いがあります。
SEOキーワードは、ただキーワードを決めるだけではなく、想定読者や関連するキーワードを踏まえて選定することが大切です。実際に、どのような手順で解説するか、次で解説します。
最初に設定するのは、Webサイト全体の中心となるターゲット(ペルソナ)です。ペルソナとは、Webサイトを訪れるであろう想定読者を具体化したものを示します。
「20代・男性・一人暮らし・キャンプに興味がある・正社員とIT系企業に勤めている・年収は300万円ほど」などのように、具体的な生活の様子や、考え方まで想定できるように設定します。
具体的にペルソナを設定することで、ペルソナが、どのようなキーワードで検索するのか、ペルソナが「読みたい」と思えるようなコンテンツとしてどのようなものが必要かイメージしやすくなります。このペルソナに沿って、Webサイト全体のテーマを決めていくことが大切です。
ペルソナ設定に関しても詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
関連記事:「ペルソナの作り方とは?BtoCとBtoBマーケティングの違いまで徹底解説【無料設定シートダウンロード】」
Webサイト全体のテーマが決まったら、テーマに合わせて核となるキーワードを設定します。例えば、先ほど設定したキャンプに興味がある男性の場合で考えてみましょう。キャンプと一言でいっても、実際検索するワードとしては、さまざまなものが考えられます。
これらはツールを使って考える方法もありますが、ツールを使うだけではなく、ペルソナをイメージしながら選出する方法も効果的です。このような方法で考えることで、競合サイトにはない独自性が高いキーワードを選出できることもあります。
メインとなるキーワードを設定したら、メインキーワードから関連キーワードを選出します。関連キーワードとは、あるキーワードと組み合わせて検索されることが多いキーワードのことです。キャンプ用品であれば、「キャンプ用品 テント」「キャンプ用品 寝袋」などできるだけ大枠のキーワードから、詳細なキーワードをリストアップしていきます。
実際に検索されることが多い、関連キーワードはラッコキーワードをはじめとしたツールで抽出可能です。具体的なツールについては、後述しますが、できるだけキーワードを数多く選出しておきましょう。
リストアップしたキーワードについて、キーワードの検索ボリュームを調べましょう。検索ボリュームとは、あるキーワードに対して、検索している回数を調べたものです。検索ボリュームが多いほど、上位表示できた場合に、多くの人にみてもらいやすくなります。
ただし、検索数が多いキーワードほど競合他社が多く、上位表示の難易度が高まります。そのため、多すぎず、少なすぎずのキーワードを狙うことがおすすめです。あまりにも検索数が多いキーワードの場合は、もう少しキーワードを増やすことで、関連キーワードが選出できる場合があります。
キーワードの検索ボリュームまで調べ終わったら、どのキーワードからコンテンツを作成するのか、優先順位を定めましょう。優先順位の定め方については、ニーズの高さやWebサイトの方向性によって異なります。特に優先順位が高いのは以下の条件を満たすものです。
以上の条件を満たすものから、作成していくことで、上位表示を狙いやすくなります。次の見出しで解説する後述するSEOキーワードの分類方法や、選定のポイントも優先順位の付け方に影響することもあるでしょう。
SEOキーワードはいくつかの種類や分類があり、その性質を理解しておくと、キーワード選定や優先順位を決めるときに役立ちます。どのような分類があるのか、次で解説します。
SEOキーワードは、検索クエリの分類から4つのニーズに分けられます。
それぞれのクエリの性質を知ることで、ニーズの方向性を把握するのにも役立ちます。
クエリに関してもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
参考記事:「検索クエリとは?種類や調べ方を解説|SEOや広告での活用例も」
Doクエリとは、具体的な行動を意識したクエリです。「〇〇(製品やサービスの内容+行動」というキーワードで構成されます。「DIY やり方」などのようなキーワードが該当します。
Doクエリは対象となる行動に対する意欲が強く、ニーズを満たした提案ができれば、広告に対するクリック率が高まる点が特徴です。
Knowクエリとは、特定の物事について、知りたいというニーズがあるクエリです。「ハンバーグ 作り方」「〇〇 とは」などのようなキーワードが該当します。クエリについて、知りたいことが知れたら終わりにしてしまうケースもあり、購買行動にはつながりにくい点が特徴です。
しかし、オウンドメディアのようなサイトを運用する際には、Webサイトやサービスの認知度を向上させる効果が期待できます。
Goクエリとは、「行きたい」というニーズを示したクエリです。「新宿駅 乗り換え」のように、場所に関する固有名詞と手段という組み合わせで構成されます。
検索クエリの中でも、検索数が少なく、商品への購買行動につなげにくいため、SEO対策の優先順位は高くありません。
Buyクエリは、「買いたい」という気持ちが現れているキーワードです。Doクエリと大まかな性質は同様で、クエリの中でも特に購買意欲が高く、広告に対するクリック率が高い傾向にあります。
「フライパン おすすめ」「バレンタイン プレゼント 人気」「〇〇(商品やサービスの名称) 口コミ」「時計 金額」などのようなキーワードが該当します。自社商品やサービスがある場合は、それに関するキーワードを含めて、コンテンツを作成することも選択肢です。
SEOキーワードは大まかなボリュームで3つに分けられます。ボリュームごとの名称と、大まかな傾向を解説します。
ビッグキーワードとは、月間検索数が10,000以上のキーワードです。検索数が特に多く、1ワードや2ワードで構成されます。ビッグワードは検索順位の上位表示されれば、検索流入を大幅に増やせませすが、競合サイトが特に優先して対策するキーワードでもあるため、上位表示は簡単ではありません。
ミドルキーワードは、月間検索数が1,000〜10,000程度のキーワードです。2つから3つのキーワードで構成されます。特性としても、ビッグワードとスモールキーワードの中間の性質を持っており、ある程度の検索流入が期待できつつ、上位表示させる難易度もビッグワードよりは下がることが特徴です。
スモールキーワードは月間検索数が1,000未満のキーワードです。3つ以上のキーワードで構成されていることが多い傾向にあります。検索数は少なく、上位表示させても、アクセス数アップにはさほど貢献できません。しかし、競合サイトの数が少なく、上位表示させやすいことが特徴です。
複数のキーワードで構成されるため、キーワードの具体性が高くなる傾向にあり、検索意図が分かりやすい点も特徴といえます。
SEOキーワードは選定する際に、いくつか意識しておきたいポイントがあります。どのような点に注目すべきか、次で解説します。
スモールキーワードは、競合サイトが少なく、上位表示を狙いやすいため、積極的に狙いたいキーワードです。スモールキーワードはロングテールキーワードになりやすい傾向にあります。
ロングテールキーワードは、3つ以上のワードで構成され、検索意図が明確になりやすいことが特徴のキーワードです。検索意図に沿ったコンテンツを作成できれば、成果につながりやすいキーワードといえます。
ビッグキーワードは相手のドメインパワーが強く、コンテンツの質が高い場合でも、上位表示させられないことも多々あり、成果につなげるのは難しいでしょう。
ドメインパワーとは、検索エンジンからWebサイトに対する信頼度を示したものです。ドメインパワーをあげるのは即効性がなく、コンテンツを重ねていくことで高まるもののため、短い時間で上位表示させるのは困難です。
キーワードを選定する際には、検索ユーザーが、どの程度の知識や専門性を持っているか、どのような言葉遣いをするかにも注意しましょう。何かの「やり方」「方法」「手順」などのように、似た意味を持っている言葉でも、実際にどのワードを使う傾向にあるかはユーザーの属性によって大きく変わります。
また、専門用語を知らないユーザーの場合、そのキーワードで検索することはできません。専門性が高い言葉は、別の代替表現はないか、どのような悩みがあるのか考慮して、キーワード設定することが大切です。
SEOキーワードはキーワードのジャンルによって、上位表示が難しいものがあります。特に難易度の高いのが、YMYLです。YMYLとは、「Your Money or Your Life」の頭文字を取ったもので、人生において重要な影響を与えうるテーマを対象にしたWebサイトです。具体的には以下のようなジャンルが当てはまります。
例えば、医療に関する情報は間違った情報があると、健康を損ない、最悪の場合には命にも関わります。そのため、YMYLに該当するWebサイトは、特に高い専門性や正確性、信頼性が求められ、通常よりも厳しい基準で検索順位が定められます。
可能であれば、YMYLを避けてテーマを設定することがおすすめです。YMYLをテーマにする場合には、誰が記事を書いたのか、信頼性があるのかを明記し、情報の発信源が誰なのか、信頼性のある会社なのかを明記する必要があります。
狙ったキーワードで本当に問い合わせや契約につながるのか、調べるためにリスティング広告を出してみる方法もおすすめです。リスティング広告とは、検索連動型広告とよばれ、設定したキーワードに対して、広告を表示させる手法です。
1クリックあたりの広告費を支払うことで、検索ワードに対して、画面の最初の方に表示させられます。リスティング広告で出してみることで、アクセス数を手早く集められます。そのため、どの程度の成果につながるかを検証しやすく、マーケティング施策の確実性を上げるのに効果的です。
SEOキーワードツールはさまざまなものがあり、ツールごとにできることや金額、特徴に違いがあります。そのため、ツールでできることを把握し、必要に応じて使い分けることが大切です。ここでは、どのようなツールがあるか、おすすめのものをいくつか紹介します。
キーワードプランナーは、Google広告を利用することで、利用できるツールです。あるキーワードに対して、どの程度の検索数があるのか、検索ボリュームの推移、キーワードの入札価格を把握できます。
キーワードの入札価格は上位表示させる難易度に比例するため、SEOキーワードの難易度を調べる、検索ボリュームについて調べる際に利用するツールです。
なお、キーワードプランナーを利用するためには、最低でも1つのキーワードに対してリスティング広告を設置する必要があります。しかし、広告を設置してもクリックされなければ金額は発生しないため、無料で利用することも可能です。
ラッコキーワードは関して、さまざまな内容を調査できるツールです。
ラッコキーワードは関して、さまざまな内容を調査できるツールです。
豊富な機能がありつつも、多くの機能を無料で利用できる点が特徴です。また、有料のプレミアム機能では、検索ボリュームの調査や競合分析にも対応できます。
GoogleトレンドはGoogleが提供し、検索数の大まかな推移が確認できる無料ツールです。
キーワードの推移に加え、そのキーワードを検索しているユーザーが他に検索しているキーワードや、検索回数が急上昇しているトピックについても調べられます。
Yahoo!知恵袋はユーザーが抱えている悩みを調べるのに役立つWebサイトです。
検索欄にキーワードを入力すると、キーワードについてどのような悩みを抱えているのか、どのように回答されているのかを調べられます。実際にキーワードに関して質問されているため、リアルな悩みを調べるのに効果的です。
Ahrefsは海外製のSEOツールで、世界中で60万人が利用するツールです。競合サイトの被リンクの状況や、検索エンジンの上位表示コンテンツ、想定される検索流入キーワード、SNSなどでの反応まで調べられます。
手軽な操作で、さまざまな分析を行え、自社サイトの順位変動を毎日把握することも可能です。ライトプランであれば、月額99ドルからで利用できます。
SEOキーワードを決めたら、キーワードを使ってどのようにコンテンツを作成するのかも重要なポイントです。ここでは、キーワード選定後の具体的な活用方法について解説します。
タイトルや見出しに、設定したキーワードを含ませるようにしましょう。キーワードはタイトルのできるだけ左側に出しておくことが、効果的です。
ただし、これは原則であり、1番はユーザーが分かりやすいかである点には注意しましょう。
SEO対策をするメインキーワードは1つのコンテンツに1つとなるように設定しましょう。メインとなるキーワードを2つ以上に設定してしまうと、コンテンツのテーマや方向性がブレてしまい、コンテンツの質に影響します。
「ギター 選び方」と「ピアノ 弾き方」のように、テーマが別になると、記事のゴールやターゲットがズレてしまいかねません。ここまで極端な例にはならずとも、伝えるべき内容が変わってしまうことが多く、キーワードは1つに設定した方が良いでしょう。
SEO上、全角と半角はどちらを使っていても、検索順位には影響しません。そのためどちらを使っても大丈夫です。
ただし、カタカナとアルファベットは別のものとして認識され、検索ボリュームが変わるため、検索ボリュームを調べた上で、どちらにするか設定しましょう。
キーワードの語順が変わることで、検索ボリュームやニーズにも変化のあるケースがあります。そのため、同じ場合もありますが、安易に決めつけずに、両方調べておくのがおすすめです。
どちらも調べて、違いがあった場合には、ユーザーの検索意図を深く理解する助けになります。
本記事ではSEOキーワードについて、選定手順、分類方法、選定のポイント、キーワード選定時におすすめのツール、キーワードの活用方法について解説しました。
SEO対策をする上で、どのようなキーワードを狙うかどうかは、成果に大きく関わる要素です。そのため丁寧に調査し、検索ボリュームやニーズをしっかり調べる必要があります。
SEO対策について、より詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
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