基本ノウハウ
検索クエリはWebコンテンツのSEO対策や、広告の運用・改善時に役立つ考え方です。しかし、Webマーケティングに触れてまだ日が浅い方は、「検索クエリとは何?」「どのように役立てれば良いのか?」と疑問に思うでしょう。
本記事では検索クエリとは何か、検索キーワードとの違いや種類について紹介します。検索クエリの調べ方や分析方法などもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
検索クエリはSEO対策や広告運用時に役立ちますが、そもそもどのようなものか理解していないと有効活用できません。
まずは検索クエリとは何か、検索キーワードとの違いはどこにあるか見ていきましょう。
検索クエリとは検索窓に入力した単一の単語、あるいは単語の組み合わせを指します。次のような別名で呼ばれるケースも少なくありません。
検索クエリを適切に分析できれば、ユーザーの検索意図に合ったWebページや広告を準備でき、コンバージョン(CV)率向上が図れます。検索クエリの理解はユーザーの理解であり、Webマーケティングの効果を最大限引き出す上で必要な最初の一歩ともいうべき要素なのです。
検索キーワードは検索クエリと混同しやすい言葉ですが、実際に使う人や意味が異なります。Googleが提示している2つの違いは、次の通りです。
検索語句とは、ユーザーが Google 検索や検索ネットワークのサイトで検索を行うときに入力する語句のことです。キーワードとは、適切なターゲット ユーザーに広告を表示するために、Google 広告をご利用の広告主様が広告グループに設定する語句のことです。
引用元:Google広告ヘルプ 検索語句レポートについてより
上記について、例を交えながらまとめると下表のようになります。
使う人 | 意味 | 例 | |
---|---|---|---|
検索クエリ | ユーザー | 検索窓に入力する言葉や文章 | 「競合分析 方法」 「競合分析 やり方」 「競合分析 どうやって」 「競合 分析手法」 「競合分析の進め方」 |
検索キーワード | マーケティング担当者 広告の運用者 |
コンテンツ作成や広告運用で設定する言葉 | 「競合分析 方法」 |
この表からも分かるように、検索クエリと検索キーワードが同じになる場合も少なくありません。しかし検索クエリはユーザーによって入力する言葉が異なってくるため、表現の幅が広くなります。検索キーワードの場合、表記ゆれや誤字脱字、長い文章が入力されるケースもあります。
マーケティング担当者は検索クエリと検索キーワードの違いを理解し、ユーザー理解やWebコンテンツ制作などに役立てていきましょう。
従来の検索クエリは3つに分類されていましたが、近年では次の4つに分類するケースが主流になっています。
クエリの種類 | 以前の分類 | ユーザーの検索意図 | 例 |
---|---|---|---|
Goクエリ | ナビゲーションクエリ (案内型) |
〇〇へ行きたい | 〇〇(場所やサイトの名前のみ) 〇〇 観光 〇〇 バス 時間 |
Knowクエリ | インフォメーショナルクエリ (情報収集型) |
〇〇について知りたい | 〇〇 とは 〇〇 方法 〇〇 原因 |
Doクエリ | トランザクションクエリ (取引型) |
〇〇をしたい | 〇〇 やり方) 〇〇 ダイエット 〇〇 解約 |
Buyクエリ | トランザクションクエリ (取引型) |
〇〇を買いたい | 〇〇 おすすめ 〇〇 通販 〇〇 レディース |
Goクエリは特定の場所に行きたい、サイトにアクセスしたいという明確な意図を持ったユーザーの検索クエリです。Googleや厚生労働省などのワードも、Goクエリに含まれます。
実はGoクエリは検索クエリの中では最も少ないパターンであり、広告運用には不向きです。製品名をキーワードに含めて流入をねらう応用的な方法もありますが、基本は他の検索クエリを優先して対策することになります。
Knowクエリは、検索クエリの中で最も多いパターンです。ユーザーは入力したワードについて知りたいだけであって行動を起こすまでには至らない、CVにつながらないケースが多い傾向にあります。
そのためKnowクエリの基本的な活用方法は、オウンドメディアへの流入による自社認知度の向上です。ただし、応用的にはディスプレイ広告やSNS広告での活用もできます。「えっ⁉」と驚かせる、認知的不協和を引き出すような広告デザインでユーザーの流入とCVを狙える可能性もあるのです。
Doクエリは、具体的な行動を意識しているユーザーの検索クエリになります。ユーザーは製品名やサービス名に、行動内容を組み合わせて検索するケースがほとんどです。
Doクエリを持つユーザーは行動意欲が強いため、クリック率が高い傾向にあります。そのため検索連動型広告やディスプレイ広告といった、リスティング広告と相性が良い検索クエリといえるでしょう。
Buyクエリは、Doクエリの中でも「買いたい」という明確な意思が表れている検索クエリになります。Doクエリ同様クリック率が高いため、収益確保に特化したページを準備し、確実にCVへつなげたいところです。
検索クエリにはさまざまな種類があり、マーケティングに生かすためにはどのような検索クエリが多いか調べる必要があります。ここでは、検索クエリの調べ方を2つ見ていきましょう。
ツールでの調べ方は、次の2つです。
Google アナリティクスでは、広告からの流入と自然検索の検索クエリを調べられます。ただし検索クエリを調べるためには、Google サーチコンソールとの連携が必要です。
具体的な調べ方は、次のような手順になります。
なお検索クエリで「not set」と表示された部分は、プライバシー保護の観点で表示されないデータです。また、「not provided」は、暗号化などによりGoogleが検索クエリを判別できない場合に表示されます。
Google サーチコンソールでは、広告以外で流入した検索クエリについて次のようなデータを取得可能です。
Google サーチコンソールで検索クエリを調べる手順は、次のようになります。
広告管理画面での調べ方は、次の2つです。
Google広告では、広告がクリックされた検索クエリ(検索語句)を確認・ダウンロードできます。調べ方の手順は、次の通りです。
Yahoo!広告でも、広告がクリックされた検索クエリ(検索クエリー)を確認・ダウンロードできます。調べ方の手順は、次の通りです。
検索クエリを分析するためには検索クエリに使われた言葉よりも、その裏に隠された検索意図を把握することが大切です。例えば検索クエリが「競合分析 やり方」「競合分析 どうやって」「競合分析 進め方」などであれば、検索意図は「競合分析の方法を知りたい」ということになります。
上記を踏まえながら、検索クエリの簡単な分析方法を2つ見ていきましょう。
実際に検索クエリを検索窓へ入力して分析する場合、次の3つをチェックします。
検索結果の1ページ目とは、検索クエリを入力した後に表示された上位記事の一覧です。上位表示は、ユーザーのニーズを満たした優良なコンテンツだとGoogleに判定されている証しになります。そのため、上位記事のタイトルやコンテンツの内容をチェックすることで、そこから逆にユーザーの意図を推測できるのです。
例えば、「競合分析 方法」という検索クエリを入力してみましょう。すると表示された上位記事のタイトルには、実例やフレームワークなどが盛り込まれたものが多くあります。ユーザーの検索意図としては「分かりやすい例も知りたい」「活用できるフレームワークも知りたい」などが推測できるでしょう。
このように、検索結果の1ページ目は最も簡単に検索クエリの分析ができる場所であり、必ずチェックしておきたいところといえます。
検索クエリの分析には、サジェストキーワードと関連キーワードの確認も必要です。サジェストキーワードとは検索窓に入力中に表示される、検索頻度が高い言葉になります。
サジェストキーワードは自身の検索履歴によって変わる可能性もあるため、チェックする際は新しいシークレットウィンドウの活用がおすすめです。
また、関連キーワードはトレンドや検索頻度などによってアルゴリズムが自動的に判断・表示している言葉です。関連キーワードは、自身の検索履歴による変化はありません。
サジェストキーワードや関連キーワードで表示された言葉は、ユーザーニーズが高い傾向にあります。他の分析手法とあわせて優先度が高いと判断された言葉は、Webコンテンツや広告へ積極的に盛り込みましょう。
バーティカル検索機能とは検索窓の直下にあり、検索クエリに応じて順番が変化するカテゴリタブになります。例えば、検索窓へ検索クエリと入力した際のタブは次の通りです。
一方、検索窓へ腕時計と入力するとタブの並びは次のように変化します。
つまり、検索クエリは画像や書籍などで知識を求めている(Knowクエリ)のに対し、腕時計は実際に買いたいと思って行動している(Buyクエリ)可能性が高いといえます。検索クエリの種類や優先順位を知りたいときは、バーティカル検索機能に表示されるタブの順番に注目してみましょう。
検索クエリは、Q&AサイトやSNSの内容からも分析できます。例えば、Yahoo!知恵袋や教えて!gooなどのQ&Aサイトでは、検索クエリを入力することで関連する質問と回答の閲覧が可能です。質問数が多いワードは、ユーザーのニーズが高いと推測できます。
またTwitterなどのSNSで検索クエリを入力すると、その検索クエリを使うユーザー属性や検索に至るまでの背景も閲覧可能です。Q&Aサイトよりもさらにリアルタイムな情報を得られるため、検索クエリの分析精度を高めたい場合はSNSも欠かさずチェックしましょう。
最後に、検索クエリが活用できる2つのマーケティング施策について解説します。検索クエリを有効活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
検索クエリは、WebコンテンツのSEO対策で役立ちます。SEO対策とはユーザーニーズを満たしたWebコンテンツを作ることで、上位表示による検索流入の増加やCV率の向上を目指す施策です。
具体的には、検索クエリから推測されるユーザーのニーズに応えるように、コンテンツづくりを進めます。コンテンツがユーザーの満足度が高いものに仕上がれば、Googleからの評価がアップ。すると、検索結果の上位に表示され、コンテンツへの流入とCV率アップにつながります。
厳密に言うとCV率アップは他の施策も必要ですが、検索クエリを生かしたSEO対策はその土台ともなる重要な施策となるのです。
検索クエリは、次に挙げるような広告の運用や改善でも役立ちます。
広告のCVは、キーワードマッチの設定次第で大きく変わるケースも少なくありません。例えば「プリンター 修理」のキーワードマッチは次のように設定できます。
一致の種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
完全一致 | 設定したキーワードと同一のときのみ広告を表示 | プリンター 修理 |
設定したキーワードと同じ語順のときも広告を表示 | プリンター 修理 プリンター 修理 費用 大阪 プリンター 修理 |
|
絞り込み部分一致 | 設定した各キーワードが含まれているときに広告を表示 | プリンター 修理 修理 プリンター プリンター 簡単 修理 |
部分一致 | 設定したキーワードに近い言葉が入っているときにも広告を表示 |
キーワードマッチの程度によって、メリットやデメリットも異なります。
一致の種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
完全一致 | 広告費を抑えられる | 増え続ける検索キーワードに対応できず、アプローチの機会を失いやすい |
汎用性が高い(アプローチしやすい) | 完全一致より広告費が増えやすい | |
絞り込み部分一致 | ワードごとのクエリにも対応できる | 完全一致より広告費が増えやすい |
部分一致 | アプローチ範囲が最も大きく、予想外の導線でCVする可能性もある | 除外キーワードを細かく設定しないと、広告費が莫大になりやすい |
上記を踏まえると、検索クエリを広告に活用する際は、フレーズ一致や絞り込み部分一致から着手すると運用しやすいでしょう。
検索クエリとはユーザーが検索窓に入力する言葉であり、広告運用者が設定する検索キーワードとは意味や使い方が異なります。検索クエリを上手に活用するためには、検索クエリに使用された言葉や言葉の組み合わせだけでなく、その裏にあるユーザーニーズや検索意図を把握することが大切です。
検索クエリの調査や分析は、Google アナリティクスなどのツールが活用できます。また実際に検索クエリを検索窓に入力したり、Q&Aサイトなどをチェックしたりすることも必要です。