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ファネルとは?BtoBマーケティングでの活用方法を解説

ファネルとは?BtoBマーケティングでの活用方法を解説

多数あるマーケティング用語のなかでも、マーケティング担当が優先的に押さえておきたい用語はいくつかあります。その一つが今回解説する「ファネル」です。ファネルとは簡単に言うと、消費者が商品・サービスを認知→購入するまでのフェーズと人数を図式化したものです。ファネルを理解することで、マーケティングに関する理解を深め、有効な施策を打てるようになります。今回はファネルの意味に加え、ファネルの有効性やファネルを分析できるツールなどについて解説していきます。

目次

1.ファネルとは?

最初にファネルの意味とその有効性について詳しく解説していきます。ファネルを正確に理解し、マーケティングに役立たせるためにも、正しい意味と有効性を押さえておきましょう。

ファネルとは:購買までのフェーズと人数を可視化したもの

「ファネル」とは日本語で「漏斗(ろうと・じょうご)」を指し、マーケティング上は消費者が商品を認知してから購入するまでのフェーズ及び人数を表した、下記のような図です。

ファネル(漏斗)と呼ばれるようになった理由は、認知→興味・関心→比較・検討→購入とフェーズを経るごとに、徐々にその行動を取る人数が少なくなるからです。ある商品・サービスを認知している人の一部が興味・関心を持ち、さらにその中から比較・検討をしている人がいて、実際に購入する人はまたその一部という消費者の人数を逆三角形で表しています。

ファネルの有効性

ファネルを用いることで、消費者がどの段階で商品・サービスの購買行動から離脱しているのか、そして「購入してもらう」「問い合わせをしてもらう」など、何らかの目標の「成果」、つまりCVにつなげるためにはどのような施策を取るべきなのかを把握できます。

例えば、オウンドメディアの「Webサイトへの流入→見込み客獲得→商談→見積もり提示→契約」というファネルにて、Webサイトへの流入数が少なく、ファネルが細長くなっているとします。契約数をより増やすためには、流入数を増やし、ファネルの幅を広げなければなりません。そこで流入数を増やすため「SEOコンテンツを制作する」「Web広告を掲載する」などの施策を考えやすくなります。

このようにファネルを活用すれば、改善点を把握し、KPI(重要業績評価指標)の設定及び適切な施策を講じやすくなります。その結果、CVRの改善も期待できます。

2.BtoBマーケティングでのファネルの使い方~ファネル分析~

ファネルを使って効果的な施策を展開するためには、ファネル分析が不可欠です。ファネルの有効性でも紹介したとおり、ファネル分析をすればCVを何が妨げているかを仮定し、改善につなげられます。ファネル分析の結果と考えられる施策例としては以下の3つが挙げられます。

CVを妨げている原因施策例
商品・サービスを認知している人が少ない各種広告を出し、認知度を上げる
興味・関心を持っている人が少ない商品・サービスのPR及び紹介ページを充実させる
比較・検討している人は多いが、購入に結びつかない購入・決済ページを改善する

ファネルの種類

一口にファネルと言っても、以下の3つの種類があります。

【1】パーチェスファネル
【2】インフルエンスファネル
【3】ダブルファネル

ファネル毎に分析のポイントも異なります。順に見ていきましょう。

【1】パーチェスファネル

「パーチェスファネル」は、AIDMA(アイドマ)という購買行動モデルから生まれた考え方で、認知→興味・関心→比較・検討→購入に至る各フェーズを図にしたものです。

パーチェスファネルを用いれば、CVまでのどの段階でどれくらいの人数が離脱しているのかを把握できます。とくに離脱が多く、狭くなっているフェーズを重点的に改善させれば、CVRの改善を図ることが可能です。なお、マーケティングで使用される「ファネル」は主にこのパーチェスファネルを指しています。

【2】インフルエンスファネル

「インフルエンスファネル」とは商品・サービスの購買後の行動を図式化したファネルです。パーチェスファネルとは逆に、上から「継続→紹介→発信」の三角形をしています。一度商品・サービスを購入した人が継続(リピート)して購買するようになり、その商品・サービスを紹介、発信するという流れです。

インフルエンスファネルが生まれた背景として、購買行動の変化があります。従来は購買したらそこで終わりのケースが多くありました。しかし、近年はSNSや口コミサイトの普及により、購入した商品・サービスについて口コミやレビューをする消費者が増えたこと、そしてその発信自体が大きな宣伝にもなることから、購買後の行動を重視するインフルエンスファネルが生まれました。BtoBのサービスであっても、IT製品を中心に口コミサイトが増えているほか、サービス選定にあたってSNSを活用する場面も増えているため、購買後のユーザーによる情報発信は無視できなくなっています。

インフルエンスファネルを使ってCV後の消費者の行動を分類し、「購買後にどのような感想を持ってほしいか」「どうすれば商品・サービスをシェアしてもらえるのか」などを分析し、施策を講じる必要があります。

【3】ダブルファネル

砂時計のような形をしている「ダブルファネル」は認知→購入までのプロセスを示すパーチェスファネルと、購入後の行動に着目したインフルエンスファネルを組み合わせたファネルです。言い換えると、消費者が商品・サービスを認知してから購入、情報発信するまでのフェーズを図にしたものと言えます。

ダブルファネルを用いれば、どのフェーズに改善点があるのか、消費者の行動を統合的に考えることができ、より大きな効果を生むことが期待できます。

ファネル分析に活用できるツール

続いて、ファネル分析に活用したいツールを3つ紹介します。それぞれの特徴も踏まえて順に解説します。

・アクセス解析ツール
・MA
・SFA・CRM

アクセス解析ツール

「アクセス解析ツール」とはWebサイトに訪問したユーザー数やユーザー属性、行動経路などを分析できるツールです。

代表的なアクセス解析ツールに「Googleアナリティクス」があります。Googleアナリティクスでは、ユーザー属性(性別・年代など)やサイトに訪問した経路、Webサイト内のどのページにどれくらい滞在しているか(滞在時間)などを確認・分析できます。

Googleアナリティクスをオウンドメディアの分析で用いる場合、例えば、特定の流入経路からのCVRが好調だとわかれば、その流入経路からのアクセスを増やすことで、CV数の向上を目指す施策も考えられます。

MA

「MA(マーケティングオートメーション)」は、マーケティング活動を自動化できるものです。

MAの機能詳細
見込み客情報の一元管理・蓄積Webサイトの訪問履歴、過去の取引履歴、獲得した名刺などの顧客情報を一元管理・蓄積をする
見込み客のスコアリング「メルマガを読んだ」「サイトに訪問した」など特定の行動に基づき、見込み度合いをスコアリングする
メールの配信機能見込み客の属性や状況に最適なメールを配信する

ファネル分析をするためにはたくさんの情報が必要です。しかし、情報を手動で集めて管理するのは、非効率かつ大変で、ミスも起きやすくなります。MAを活用すれば、ファネル分析に必要なデータを効率的に収集できるほか、顧客の状態に適したアプローチを自動化し、より効率的かつ効果的なマーケティング活動につながります。MAについて詳しくは「MA(マーケティングオートメーション)とは? 機能や選び方のポイントを解説」をご覧ください。

SFA・CRM

Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の頭文字を取った「SFA」は、「営業支援システム」と呼ばれるツールです。営業支援と訳されるとおり、営業活動をサポートするためのツールで、スケジュール・タスク管理や顧客管理、案件管理、見積書作成などの機能があります。

Customer Relationship Managementの頭文字を取った「CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)」は、「顧客管理システム」とも呼ばれるツールです。CRMでは企業名や担当者名、電話番号などの基本情報のほか、問い合わせ履歴や商談内容なども一元管理ができます。

SFA・CRMを使えば、例えば名刺交換だけの認知段階での顧客が多いのか、見積書を提出したものの受注をしていない検討段階での顧客が多いのかなど、ファネルのフェーズごとに商談を分類し、各フェーズに合わせた最適なアプローチを検討及び実行できます。SFAについては「SFAとは? 必要性や現場に定着させるためのコツを紹介」でも解説していますのでご覧ください。

3.マーケティングでファネルを使うのは古い?

「マーケティングでファネルを使うのは古い」という声もあります。実際のところどうなのでしょうか。結論から伝えると、BtoB及び高単価商品においてファネルは依然として有効です。

一般消費者を対象としたBtoCでは、消費者は特定の商品・サービスを調べているうちに興味がほかに移ることが多々あり、認知から購入まで直線的な性質を持つファネルでは説明できない購買行動が起きるケースも少なくありません。そのため、BtoCでファネル分析をしても上手くいかない場合もあるのです。

一方、BtoBでは、MAを探していたのに、興味が移って勤怠管理システムを比較・検討していたというケースは起こらないでしょう。企業が求める商品やサービスが一瞬で変わることはないからです。このように購買する商品・サービスがすでに決まっており、認知から購入までの流れが直線的なBtoBでは、同じく直線的な性質を持つファネルは依然として有効に機能します。

また、BtoCの商品・サービスであっても、不動産や自動車のように検討期間が長くなることが多い高単価の商品はファネルの考え方が有効と言えるでしょう。

4.まとめ

ファネルとは認知から購買に至るまでのフェーズと人数を図にしたものです。近年では消費者の購買活動の変化などにより「ファネルは古い」という言葉も目にするかもしれませんが、ファネル分析が有効に作用するBtoBにおいてはファネルを使うことで、より効果的な施策を打てる可能性があります。ファネル分析に活用できるツールなども利用し、効果的に分析し、効果的な施策を打てるようにしましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

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