Tips/寄稿
「MAは導入済み、メルマガも配信中、展示会にも出展している。でも、なぜか成果が実感できない...」
こんな状況に心当たりはありませんか?
経営層からは「サイトから成果を出せ」と言われ、営業からは「マーケのリードは質が低い」と指摘される。ひと通りのことはやっているはずなのに、なぜかうまくいかない。
実は、このモヤモヤには明確な理由があります。それは、世の中で言われている「BtoBマーケティングのセオリー」と、自社の現実との間に大きなズレがあるから。
「教科書通りにやってるのに、なんで成果が出ないんだろう」
そう感じているなら、この記事で整理する4つの"ズレ"が、きっと思い当たるはずです。
「今回の展示会、大盛況でしたね!」
確かに、ブースには人が集まっていた。名刺交換もたくさんできた。アンケートも回収できた。でも、その後どうなったかというと...
営業に渡したリストは「今すぐアプローチする客じゃない」と後回しに。MAに登録してメルマガを送っても、開封率は10%程度。たまにホワイトペーパーをダウンロードしてくれる人がいても、その後音沙汰なし。
結局、展示会にかけた費用を回収できたのかも分からない状態です。
「これからはMAの時代だ」と意気込んで導入したマーケティングオートメーション。スコアリング機能も、シナリオ機能も、分析機能も充実している。なのに実際に使っているのは...メール一斉配信機能だけ。
「スコアリングの基準?とりあえずメール開封で+5点、資料ダウンロードで+10点にしてます」 「シナリオ?えーと、資料ダウンロードした人には自動でお礼メールが......それだけです」
高い年間費用を払っているのに、これではメール配信ツールと変わりません。
「コンテンツマーケティングが重要」と聞いて、企業ブログを立ち上げた。SEOを意識して、キーワードも調査して、週1本は必ず更新。PVも少しずつ増えてきた。
でも...「これ、うちのお客さんが読んでるの?」
アクセス解析を見ても、どんな企業の人が読んでいるか分からない。問い合わせにつながった記事もよく分からない。社内からは「これ、何の役に立ってるの?」と聞かれて答えに困る。
こうした「頑張ってるのに成果が出ない」状況。実は、あなたの会社だけの問題ではないのです。
「理論倒れ」
この言葉を聞いて、ドキッとした人もいるかもしれません。書籍やセミナーで学んだ手法を忠実に実行している。なのに、期待した成果が出ない。これが、BtoBマーケティングにおける「理論倒れ」です。
なぜこんなことが起きるのでしょうか?
それは、セオリーが想定している「前提条件」と、自社の現実がズレているからです。代表的な4つのパターンをご紹介します。
一般的なBtoBマーケティングのセオリーは「BtoBはBtoCに比べて価格が高い」「BtoBはBtoCに比べて検討期間が長い」という前提条件のもとで組み立てられています。
そのため、多くの書籍やセミナーでは「リードナーチャリングで段階的に育成する」「長期的な関係構築を重視する」「検討期間に合わせたコンテンツ設計をする」といった手法が推奨されています。
しかし、実際のBtoB商材は多種多様です。数万円で即決されるサービスもあれば、数千万円で5年かけて検討される装置もある。この違いによって、マーケティング戦略は根本的に変わるべきなのです。
例えば、1台3,000万円の製造装置を扱う企業が、「リード獲得から3カ月で受注」という一般的なKPIを設定したらどうでしょうか? 検討期間は半年から1年。社内稟議も複数回。相見積もりも当たり前。こんな商材で短期的な成果を求めても、現場は苦しむばかりです。
「でも、上からは『早く成果を出せ』って言われるし...」
短期的な成果を求められながら、扱っているのは長期検討型の商材。このギャップが、現場を混乱させています。
実際、あるBtoB製造業の担当者はこう言っていました。
「うちの装置、1台1億5,000万円なんです。そんな買い物、すぐに決まるわけないじゃないですか」
「月間1,000リード獲得を目指そう!」
...って、ちょっと待ってください。自社の商材を本当に必要としている企業、日本に何社ありますか? ニッチな業界向けのソリューション、特殊な製造装置、専門性の高いコンサルティング。こうした商材の場合、そもそもターゲット企業が数百社しかないことも珍しくありません。
「全部合わせても500社しかないのに、月1,000リードって...」
母数が少ないのに、大量のリード獲得を目指す。これでは、質の低いリードばかり集まって当然です。
あるソフトウエア会社の事例では、「とにかくリード数を増やせ」という方針で展示会やウェビナーを乱発。結果、ターゲット外の企業ばかり集まって、営業が「これ、全部ハズレじゃん」とさじを投げる事態になりました。
多くのマーケティング手法は、企業の認知度レベルに関わらず同じアプローチを推奨しています。しかし実際には、認知レベルによってマーケティング戦略の設計や優先順位は大きく変わるべきです。
例えば、既に知名度の高い企業であれば、「自社名+サービス名」での検索流入が期待できますし、資料ダウンロードのハードルも相対的に低くなります。
一方、認知度の低い企業の場合、まず「この会社は信頼できるのか?」という疑問を解消する必要があります。同じCTAを設置しても、反応率に大きな差が生まれるのは当然のことです。
「うちの会社名で検索してくれる人、月に10人もいないんですよ」
ある企業の担当者の言葉が、現実を物語っています。
認知度の違いを無視して画一的な施策を実行しても、期待する成果は得られません。まずは自社の認知レベルを把握し、それに応じた戦略設計が必要です。
マーケティングのセオリーでは理想的な組織体制や潤沢なリソースを前提としたアプローチが語られがちです。しかし現実には、リソースや販売チャネルなどの制約条件によって、戦略設計は大きく異なるべきなのです。
「マーケティングで獲得したリードは、インサイドセールスがフォローして、フィールドセールスにつなぐ」
理想的な流れですね。でも現実は?
「インサイドセールス?うちにはいません」
「営業は既存顧客で手一杯で、新規リードまで手が回らない」
「そもそも営業とマーケで使ってるツールが違うから、情報共有できてない」
せっかくマーケティングでリードを獲得しても、それを育てて受注につなげる体制がない。これでは、効果的な成果は期待できません。特に、従来の営業担当者による個人のネットワークや関係性を活用した営業スタイルで動いていたような企業に、いきなりマーケティング部門を新設してもすぐには機能しないケースが多く見られます。自社の組織体制やリソースの現実を踏まえた戦略設計が必要です。」を導入しても、現場は混乱するばかりです。
ここまで読んで、「うちの会社、まさにこれだ...」と感じた方も多いのではないでしょうか?
もちろん、すべての企業が同じように「理論倒れ」しているわけではありませんが、自分が思うよりも事態は深刻になっている可能性はあります。簡単にチェックしてみましょう。
いかがでしょうか。
1つでも当てはまっていたら見直しの余地がありますが、2個以上となれば......
でも、安心してください。これは、あなたの会社だけの問題ではありません。そして、この状況を打破する方法もあります。自社の状況を正しく把握して、それに合った戦略を組み立てる。当たり前のようで、これができていない企業が多いです。
自社の状況を診断し、対処するためのヒントを資料にまとめました。
「セオリー通りにやっているのに成果が出ない」
この悩みの正体は、理論と現実の間にあるギャップでした。
これらの「前提条件」を無視して、画一的なセオリーを当てはめても、期待する成果は得られません。重要なのは、自社の現実を客観的に把握し、その実情に合わせて戦略を組み立て直すことです。
「でも、具体的にどう組み立て直せばいいの?」
その答えを、詳しく解説したホワイトペーパーを用意しました。理論倒れから脱却し、成果の出るマーケティングを実現するためのポイントをまとめています。ぜひ、自社のマーケティング活動を見直すきっかけとしてご活用ください。