基本ノウハウ
昨今よく耳にする機会が増えた「ウェビナー」という言葉。ウェビナーを導入することで、「セミナーに係る手間・コストの削減」や「見込み顧客の獲得」などのメリットがあります。またウェビナーの活用により、これまでアプローチできなかった見込み顧客との接点を持つ機会を創出できます。今回はウェビナーの意味やメリット・デメリット、BtoB企業のウェビナー活用事例などについて解説します。
ウェビナーとは、ウェブとセミナーを掛け合わせた用語であり、「オンライン上で行われるセミナー」を指します。ウェビナーは「ウェブセミナー」や「オンラインセミナー」と同じ意味で使われています。
セミナー内容は会社説明会やサービス紹介、ディスカッションなど企業によりさまざまです。またウェビナーの配信方法には以下の2つがあります。
「リアルタイム配信」は、チャット機能やアンケート機能を用いて、視聴者と双方向コミュニケーションを取ることもできます。一方、「録画配信」はやり直しや編集が可能な点が特徴です。
昨今よく耳にするようになったウェビナーですが、それではウェビナーを企業が導入する背景には何があるのでしょうか。ここでは以下2つの背景を説明します。
新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の拡大により、リアルな場でのセミナー開催が難しくなったため、ウェビナーを導入した企業が増加しました。導入のキッカケこそ、感染症拡大という外的要因に依るものですが、全国どこからでも参加できるウェビナーのメリットを活かし、リアル開催型のセミナーと比べて、集客数を大きく伸ばした企業もあります。一方、ウェビナーに参加する機会が増えた視聴者としても、わざわざ現地に赴くよりも手軽に参加できるウェビナーのメリットを感じられる契機となりました。
ウェビナー登壇者が多忙であるという背景から、よりスケジュール調整のしやすいウェビナーを導入する企業もあります。ウェビナーの場合、登壇者は移動時間を取られることなく、参加できます。多忙でなかなかセミナーを開催できない、もしくはセミナー数が少ない企業は、ウェビナーを導入することで、見込み顧客および既存顧客との接点を持つ機会を増やすことができるでしょう。
企業がウェビナーを開催するメリットは何でしょうか。ここではウェビナー開催の以下5つのメリットを整理しましょう。
ウェビナーを開催することで、セミナー参加者情報やアンケート結果などマーケティングや営業に活用可能なデータを入手・蓄積できます。特にBtoB企業は購買プロセスが長期化しやすく、顧客と定期的に接点を持つことが大切です。そのため、ウェビナーで入手できる各種データは、BtoB企業にとって定期的な情報提供や営業フォローなどに役立てる貴重なデータとなります。データの活用例としては、アンケートにて「現在抱えている課題・悩み」に関する意見を集めることで、より顧客のニーズおよび関心領域に沿った情報提供ができるようになります。
ウェビナーには、自社の商品やサービスに興味・関心を持つ見込み顧客や既存顧客など多くの方が視聴します。そのため、ウェビナーは見込み顧客に対して自社をアピールする機会になる上に、既存顧客に自社の理解を深めてもらう機会となります。特にニーズが顕在化していない見込み顧客とウェビナーを通じて早期に接点をつくることは、競合他社に一歩先んじる意味で非常に有効と言えるでしょう。
リアル開催型のセミナーと比べて、ウェビナーは会場設営およびセミナー当日の運営にかかる手間、会場のレンタル費用、会場までの交通費など、手間とコストの削減を図れます。また移動時間や印刷にかかる時間を省くなど、時間の節約も可能です。十分なスペックのマイクやカメラなどの配信機材や配信スペースを確保できない企業の場合は、機材の揃った会場を借りる必要が出てくるかもしれません。ただ、その場合でも大きな会場を借りる必要はないため、コストを抑えることができます。
視聴のハードルの低さや全国各地からの視聴が見込めることから、集客数の増加が期待できます。視聴者にとってウェビナーは会場へ移動する必要がないため、視聴のハードルは低いと言えます。またネット環境さえあればどこからでも視聴できるため、ウェビナー開催企業は全国の見込み顧客・既存顧客へアプローチが可能です。
リアルタイム配信・録画配信に関わらず、ウェビナーの講演動画やウェビナーで使用した講演資料は再利用が可能です。具体的には、講演資料をサービスサイトへ掲載したり、評判の良かったウェビナーを定期的に配信したりできます。コンテンツを再利用するケースとしては以下が挙げられます。
コンテンツの再利用により、企業としては「新規コンテンツ作成の手間が省ける」見込み顧客としては「適宜巻き戻して視聴することで、ウェビナー内容のより深い理解ができる」といったメリットがあります。
続いて、リアルな場で行われるセミナーと比較した際の、ウェビナー開催時の以下のデメリットも頭に入れておきましょう。
ウェビナーは視聴者の表情を捉えたり、空気感を把握しづらいというデメリットがあります。顔出しをしていない視聴者も多いため、そもそも反応がわからないケースも珍しくありません。そのため、適宜チャットでコミュニケーションを取ったり、最後にウェビナーに関する感想をアンケート形式で質問したりと、なるべく視聴者の声を聞く工夫は必要です。
ウェビナーはオンライン上で実施されるため、どうしても配信トラブルのリスクが付きまといます。
上記のようなトラブルを起こしてしまうと、せっかく時間を作って視聴しようとしてくれた参加者からの信頼を失いかねません。
ウェビナー登壇者は別回線を使い配信トラブルのリスクを低めたり、万が一トラブルが起こってしまった場合に備えて録画配信を用意したりするなど、対策および準備は必須と考えましょう。
ウェビナーは申し込みや離脱の心理的ハードルが低い分、キャンセルや離脱が多い傾向にあります。特に離脱に関しては、クリック一つで退出できてしまうため、リアル開催型のセミナーと比べて離脱者は多くなってしまうでしょう。対策として、BtoB企業の中には講演時間を短くして、テンポ良く進めることを意識している企業もあります。また、参加者の退室時間の分布を分析し、次回以降より視聴者の興味をつなぎ止められる内容にすることも重要です。
最後にBtoB企業のウェビナー活用事例を3つ見ていきましょう。
株式会社アルバイトタイムスは、静岡県・愛知県を中心にアルバイト求人情報サイト「DOMO NET(ドーモネット)」や採用管理システム「ワガシャ de DOMO」などを運営するBtoB企業です。2019年5~6月にウェビナーという単語を初めて聞いたという同社の担当者は、営業手法の一つとしてウェビナーを取り入れました。
同社はウェビナーを通して人事担当者へ、採用管理システム「ワガシャ de DOMO」の案内を行っています。ウェビナー導入の結果、セミナー開催コストを1/10に抑えられたほか、導入社数は2020年の1年間で3,000件から6,000件へと約2倍に増加しました。導入社数増加の背景には、「月に約3回のペースでウェビナーを開催し続けること」や「より良いウェビナーを実施するためにPDCAを回したこと」があると、同社は分析しています。
弁護士ドットコム株式会社は法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」のほか、BtoB商材である電子契約サービス「クラウドサイン」を運営しています。同社は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、ウェビナーを導入します。
同社では講演時間を短くすることで視聴のハードルを下げ、地方からの参加者も増加もあって、従来の2倍の集客を実現しました。また、同社は申し込み者を増やすめ「質疑応答が可能であり、ライブ感覚で視聴できるセミナーであること」が伝わるよう工夫しています。結果として、ウェビナーを魅力的に感じてくれる人が増え、申し込み者数も安定しました。
株式会社HERPは人事責任者向けの採用管理システム「HERP Hire」やデジタル人材の採用をサポートする「HERP Nurture」の運営企業です。同社は2020年3月より1年に渡り、異なるテーマのウェビナーを70回以上開催し、7,000名以上を集客します。また70回以上に及ぶウェビナー開催経験から、以下のような、ウェビナーを通してより良質な体験を提供できるポイントを発信しています。
例えば、「ウェビナーのテーマはワクワクしたり、学びのあるものにする」について、「持続的にウェビナーを開催するためには、企画者自身が楽しむことが必要」と言います。同社では、継続的なウェビナー開催は見込み顧客の獲得や成約率UPにも有効と考えています。
ウェビナーとは、オンライン上で実施されるセミナーです。配信トラブルのリスクがあったり、参加者の反応が分かりづらいというデメリットはありつつも、手間やコストの削減や見込み顧客の獲得などのメリットがあります。
実際にウェビナーを導入したBtoB企業の中には、セミナー開催に係るコストを抑え、顧客数を大きく伸ばした事例もありました。新たなマーケティング・営業手法として、ウェビナーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。