BeMARKEが語る
コンテンツマーケティングに取り組みはじめたものの、誰にどのようなコンテンツをいかなる経路で届けたら良いのか分からないと悩むWeb担当者は少なくないのではないでしょうか。コンテンツマーケティングを成果につなげるには見込み顧客に対する解像度を高め、課題解決に役立つコンテンツを作成し届けることが必要です。
今回は見込み顧客の解像度を高める方法の一つとして「見込み顧客インタビュー」のメリットと方法、活用術をご紹介します。見込み顧客インタビューがなぜ有効なのか、BeMARKEの営業リーダーとして見込み顧客インタビューを多数実施している前田直也に詳しく聞きました。【聞き手:BeMARKE編集部】
株式会社アジタス BeMARKE事業部 マネジャー/ナビゲーター
見込み顧客インタビューのメリットは、アンケートなどでは得られない見込み顧客に対する深い理解を得られ顧客視点に立ったコンテンツを制作できることです。
Web上にコンテンツがあふれる今、他社と差別化し良質なコンテンツをいかに見込み顧客に届けられるかがコンテンツマーケティングを成果につなげる鍵といえます。しかし顧客と接する機会の多い営業担当者以外は顧客のリアルな声を聞くことができず顧客視点に立ったコンテンツの作成は難しいでしょう。
インタビューでは課題感をつかめるだけでなく、組織における見込み顧客の立場や他部署との関係、情報収集のチャネルや習慣、検索ワードを把握することができます。見込み顧客に刺さるコンテンツを制作するためにも見込み顧客インタビューは有効です。
営業担当者から顧客に関する情報を共有してもらうことも顧客理解に役立ちますが、実際に顧客と会いインタビューすることでより一層理解を深められます。
アンケートでは定量的なデータを得られますが顧客インサイトをつかむのは難しいといえます。インタビューでは相手を見ながら質問を調整し知りたいことを聞けますが、アンケートではフレキシブルな対応ができないためです。
一方で、調査課題が明確で仮説検証を目的としたアンケート活用は有効です。またアンケートを「情報提供に協力的なお客様を見つける手段」ととらえ、アンケート回答者へ追加でインタビューを依頼するのは顧客理解に役立つでしょう。
インタビューの方法は1人と行うデプスインタビューと複数人で行うグループインタビューがあります。デプスインタビューでは1人にしっかり時間をかけ他者の影響を受けずに深く聞けるのに対し、グループインタビューでは1度にたくさんの意見を得られるというメリットがあります。
BeMARKEの見込み顧客インタビューではより深く顧客を理解することを目的としているためデプスインタビューを行うことが多いです。実際にデプス形式だと、インタビュー以外の用途に使わないと約束した上で一歩踏み込んだ話しや悩みなどをお聞きできる場合があります。
営業担当者とサービスを検討している顧客との商談に同行しインタビューを行うことは有効です。その際、営業担当者と信頼関係を築けていることが前提です。顧客へのインタビュー可否は事前に営業担当者を通じて相談すると良いでしょう。
顧客だからこそしつこい質問や深掘り、初歩的な質問をしづらいという面もあります。インタビュー前には営業担当者と質問内容やNG項目について入念な打ち合わせを行いましょう。
営業同行の機会がないもしくはインタビュー対象者を探しづらい状況やスピードを重視したい場合は、ビザスクなどのサービスの活用がおすすめです。ビザスクであれば内容にもよりますが1インタビューあたりおおよそ2〜4万円程度でインタビュー可能です。
見込み顧客インタビューを行う場合は、自社の顧客像と近いアドバイザーを選ぶことが重要です。募集の際にインタビューの目的や想定質問を明記しましょう。また事前に事実情報をヒアリングしたいのかアドバイスがほしいのか伝えハンドリングする必要があります。
実名登録された有識者(アドバイザー)にコンサルを依頼できる「スポットコンサルサービス」。インターネットや文献調査では得られない信頼性の高い一次情報を得られ時間やコストを削減できる。
URL:https://visasq.co.jp/
インタビューを表面的な理解で終わらせないために、事前に見込み顧客の課題とその背景にある構造や状況などを整理しておくことが重要です。その上で見込み顧客が抱えているであろう課題感やその要因の仮説を立てましょう。
仮説を立てるための参考情報例:
上記の情報を参考に次のような仮説を立てておくことでインタビューをより有効活用できます。
インタビューの目的に合わせたヒアリングシートを作成します。はじめにインタビューの前提となる基本情報をヒアリングします。
その他、見込み顧客の立場や社内他部署との関係性、情報収集のチャネルや習慣、検索する際に使うキーワードなどを質問項目に入れることで、見込み顧客の課題感をより具体的に把握することができるでしょう。
インタビューの目的と方法、インターネット環境(オンライン会議の場合)について事前に連絡しておくことでスムーズにインタビューできます。インタビューの録音・録画を希望する場合は可否確認が必須です。また事前連絡をしている担当者以外にもインタビュー時に同席者がいる場合も事前連絡が必要です。
インタビューをする側が複数名で参加できる場合は、それぞれの立場からの質問を用意したり記録担当と質問担当など役割分担しても良いでしょう。可能であれば録画し社内勉強会など顧客理解を深める貴重な情報として活用しましょう。
BeMARKEではより良いサービス提供のため顧客理解を深めることを目的に、職種に関わらずインタビューで得られた情報から学んでいます。動画の共有だけでなく、複数メンバーとひとつの動画を視聴しながらディスカッションする会を設けています。顧客と直接関わる機会の少ないメンバーのモチベーション向上にもつながっています。
インタビューで得られた情報はクラウドツールのNotion(ノーション)などで管理し社内共有しています。※下図参照
インタビュー対象者に安心して回答してもらうためにも冒頭に下記について伝えられると良いでしょう。
見込み顧客インタビューでは事実情報を得てその後のサービス改善に役立てることが大切です。見込み顧客の課題感を正しく把握するためにも「意見」や「アドバイス」ではなく何をしたかという「事実」をヒアリングできるよう質問や進め方を工夫しましょう。
ヒアリングシートの内容はあくまで進行の目安としながら、相手をよく観察し目的に沿った質問ができると良いでしょう。
複数人の見込み顧客へインタビューを行い、見込み顧客の課題やその要因、考え方や行動のパターンが見えてきたらコンテンツのテーマや企画に落とし込んでみましょう。
コンテンツのテーマや企画を決める際にはペルソナとカスタマージャーニーマップの作成が有効です。ペルソナの作り方は「ペルソナの作り方とは?BtoCとBtoBマーケティングの違いまで徹底解説【無料設定シートダウンロード】」に、カスタマージャーニーマップの作り方は「BtoBにおけるカスタマージャーニーマップとは?【無料テンプレ配布中】ペルソナ記入方法付き」に詳しく掲載していますのでぜひご参考ください。
コンテンツマーケティングの施策例は「コンテンツマーケティングとは?BtoB企業が取り組むべき理由やメリット、コンテンツ例を紹介」にまとめています。
コンテンツマーケティングの実効性を高めるためにも、インタビューを活用し顧客理解を深めるPDCAをまわすことが大切です。
Plan(計画):ターゲットが抱える課題やニーズに対する仮説を立てる
Do(実行):見込み顧客にインタビューを行い、ニーズに合致したコンテンツを制作し展開する
Check(評価):顧客や営業担当者にコンテンツの実効性についてヒアリングし、施策に対する効果検証を行う
Action(改善):顧客課題の見直しや再定義を行い、次に訴求するコンテンツの方針を定める
インタビューを1回行い満足するのではなく、あくまでも顧客視点に立ち仮説に対する解が得られたのであればよりブラッシュアップした施策を実行し検証する、というサイクルを繰り返しましょう。
ユーザーインタビューによって得られた情報は、営業・マーケティング・Web担当者・カスタマーサポートなど部門横断的に共有し顧客像に対する認識を統一することが重要です。顧客像の認識を合わせることで、部門を横断した戦略設計をより具体的で手戻り少なく行うことができ、事業全体のスピードと成果の向上にも役立ちます。
見込み顧客インタビューによって顧客理解を深めることでコンテンツマーケティングを成果につなげることができます。効果的なインタビューを行うためにも仮説立てと検証、インタビュー後に得られた課題感をサービス改善にどれくらい生かせるかが重要です。社内関係者の顧客解像度を高めひとつの目標に向かうためにも情報共有の仕組みをつくれるとなお良いでしょう。
BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。