基本ノウハウ
BtoBにおいて成果を出すためには、リードジェネレーションが欠かせません。しかし、マーケティング用語には似たような言葉がたくさんあります。新しくマーケティング担当になったものの、リードジェネレーションとリードナーチャリングの違いが分からず戸惑っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、マーケターに向けてリードジェネレーションの意味や手法、注意点などを解説します。リードナーチャリングとの関係もお伝えしますので、業務の参考にしてみてください。
リードジェネレーションとは、見込み客を獲得するための取り組みのことです。「リード」とは見込み客のことで、ターゲット層のように不特定多数ではなく、取引先となる一個人を指します。
今までは、テレアポや飛び込み営業によるリード獲得が一般的でした。しかし、インターネットの普及により担当者が簡単に情報を入手できるようになったことで、検討段階にないタイミングでの従来の営業手法による接触が嫌われるようになっています。
そこで、まだニーズが顕在化していないターゲットも含め、見込み客を中長期的にアプローチし、適切なタイミングで接触することが重要視されるようになりました。ただし、見込み客の情報を獲得できなければ、行動を追いかけ、適切なタイミングでのアプローチはできません。受注を獲得するための第一歩として、リードジェネレーションが大切なのです。
どのような方法でリードを獲得するのか、リードジェネレーションの手法を紹介します。リードを獲得するには、見込み客に情報を入力してもらうことが必要です。ただし、フォームだけを用意しても見込み客の情報の獲得は難しいでしょう。そこで、自社に興味を持ってもらうためのコンテンツが重要になるのです。ここでは、情報取得の方法を紹介した上で、見込み客を集めるために取り組むべき施策を解説します。
最終的には以下の方法で見込み客の情報を獲得することが一般的です。ここでは、情報を取得すると流れとポイントを解説します。
関連記事:【集客数UPが狙える!】ウェビナーとは?メリットや活用事例も解説
問い合わせは、リード情報を取得するスタンダードな手法です。見込み客を誘導するLPや問い合わせフォームから入力してもらうことでリード情報を獲得します。
企業とコンタクトを取らないまま比較検討を行う見込み客も多く、問い合わせで情報を取得することで初めてこちらからのアプローチが可能となります。リード情報取得のためにも、自社サイトのどのページからでも簡単に問い合わせができるよう、ページレイアウトを工夫しましょう。
資料請求も見込み客の情報取得に有効な手段です。資料をダウンロード・郵送するのに会社名や住所を入力してもらえます。
資料請求やダウンロードを行う見込み客は、自社製品やサービスに対する関心がすでに高い状態だと考えられます。資料請求、資料ダウンロードに誘導できるように、ポップアップや各ページのCTA表示などで導線をしっかり確保しましょう。
リード情報取得や見込み顧客へのアプローチとしては、ホワイトペーパーの作成も有効です。ホワイトペーパーは、見込み客の課題を分析し、市場動向や事例を踏まえて解決策を示したお役立ち資料です。
自社製品やサービスに対して興味を抱く段階にいなくても、課題解決につながるホワイトペーパーであればダウンロードする可能性があります。ホワイトペーパーで情報を獲得できた見込み客に対しては、関心のある課題が分かるためその後のアプローチがしやすくなります。
オフラインで開催するセミナーでは、名刺交換すればリード情報が獲得できます。セミナーの規模や内容によっては、自社製品やサービスへの関心度が高いターゲットや情報収集段階のターゲットなど幅広いアプローチが可能です。外部のセミナーにて講師を務めた場合は、自社開催では集められなかった層にも自社製品やサービスの案内ができます。セミナー内容や質疑応答で効果的に自社をアピールできるため、リード獲得後の成果にもつなげやすいでしょう。
また、オンライン開催のウェビナーであれば、時間や場所の制限がないため見込み客が参加しやすいといったメリットがあります。ウェビナーで使用した資料をダウンロードできるようにすれば、リード情報も集めやすいでしょう。
リードジェネレーションのためには、まず何らかの形で自社と接触してもらうことが必要です。接触するための具体的な方法を、オンラインとオフラインそれぞれで紹介します。
オンラインでの集客方法 | Web広告、メディアへの記事掲載、SEO、SNS など |
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オフラインでの集客方法 | イベント、電話、DM など |
関連記事:イベントマーケティングとは?BtoB企業が陥りやすい課題と解決策を紹介
幅広く見込み客を集める方法として、バナー広告やリスティング広告、SNS広告といったWeb広告があります。Web広告から自社のLPに誘導し、そこで顧客情報を取得します。
Web広告のメリットは、細やかな効果測定と配信先のセグメントができることです。セグメントと効果測定を繰り返すことで、より広告の精度を高められるでしょう。
Web広告のような部分的な出稿ではなく、他社のWebメディアに記事として掲載してもらう方法もあり、記事広告やタイアップ広告と呼ばれます。
記事広告のメリットは、メディアのカラーに合わせて記事を作成してもらえるため、読者が違和感なく読み進められることです。タイアップするメディアの認知度や規模によっては、多くのアクセスが見込めます。
オウンドメディアやコーポレートサイトといった自社サイトでのリードジェネレーションでは、SEOが必要不可欠です。SEOとは「検索エンジン最適化」のことで、検索結果で上位表示させるための対策を指します。
自力でアクセス数を伸ばす必要があるため、いかに検索エンジンからの流入を確保するかが重要です。キーワード設計やページ構造を見直して上位表示を狙い、自社サイトに掲載したコンテンツにターゲットを誘導しましょう。
オフラインでのイベント開催や出展も、多くの見込み客と接触できる機会のひとつです。イベントでは、ニーズが顕在化していない情報収集段階のターゲットまで広くアプローチできます。
イベントには、展示会やセミナーなどがあります。展示会では名刺交換、セミナーでは参加の申込みやアンケートがリード獲得のチャンスにつながります。
TwitterやFacebook、InstagramといったSNSでの情報発信も、リードジェネレーションに活用できます。開催イベントやコンテンツに誘導し、そこでリード情報を獲得します。まずはフォローしてもらうことが重要ですので、自社の宣伝だけではなくユーザーにとって有益な情報発信を心掛けましょう。セミナー・ウェビナーやホワイトペーパーの案内は、より購買意欲の高い見込み客を獲得できるチャンスです。
自社の企業アカウントによるSNS運用のほか、SNS広告でのリード獲得も可能です。SNSを利用してリターゲティング広告を実施すれば、自社サイトに来訪したことがあるユーザーを再度サイトに呼び戻せます。
電話でのアプローチも、リードジェネレーションの定番だといえるでしょう。電話でのリードジェネレーションは、イベント案内やアンケート実施を通じて見込み度合いを測りつつリード情報を獲得する手法です。商談の約束を前提としたテレアポも含みます。資料送付やイベント招待をきっかけとして、リード獲得につなげましょう。
DMはダイレクトメールのことで、電子メールではなく郵便物やFAXなどを指します。FAXや郵送で、イベントへの招待状や自社製品のパンフレット、サンプルを送付します。 送付をきっかけに、見込み客から連絡をもらったりコンタクトポイントに誘導したりしてリード情報を獲得する手法です。
リードジェネレーションで見込み客を獲得した後、成果につなげるためには「リードナーチャリング」が重要です。リードナーチャリングとは見込み客を育成することです。
一口に見込み客と言っても、自社製品やサービスに対する関心度はさまざまです。そこで、関心が低い見込み客の購買意欲を高めるための取り組みがリードナーチャリングです。
例えばBtoB企業であれば、以下の流れが考えられます。
1.展示会で名刺交換
2.メール送付
3.セミナーの案内/コンテンツへ誘導
重要なのは、見込み客の購買意欲を見極めることです。購買意欲が低い見込み客を申し込みページに誘導しても、すぐに転換する可能性は低いと考えられます。現在の状態に応じたアプローチで、段階を踏んでリードを育成しましょう。
関連記事:BtoBマーケティングにおけるナーチャリングとは?重要視される背景や代表的な手法を紹介
リードジェネレーションは、ただやみくもに実施すればいいというわけではありません。続いては、リードジェネレーションのポイントと注意点をご紹介します。
リードジェネレーションにおいては、KPIを設定することが重要です。社内で共通の指標があれば、目標を立てやすく、現状を分析しながらより良い取り組みへと軌道修正できます。
リードジェネレーションの手法によって、KPIはさまざまです。Web広告やオウンドメディアといったオンラインの施策であれば、アクセス数やCV数、CVRなどが考えられます。展示会やセミナーなどのオフラインイベントは、名刺交換枚数やアポイント獲得数などをKPIに設定するのが一般的です。
関連記事:KGIとKPIの違いは?設定方法や目標達成のポイントも解説
成果までをスムーズに進めるには、ターゲットを定めて十分なリードを獲得する事が大切です。リードとならない層ばかりを集客したり獲得したリードが少なすぎたりすると、成果発生までに多くの時間が生じてしまいます。
リードナーチャリングは、見込み客の購買意欲に応じたフォローを行うことだとお伝えしました。このとき、リード情報だけでは購買意欲の評価が難しいため、属性や行動によって数値化します。これをリードスコアリングといいます。しかし、リードの数が少ないと状態を正しく評価できません。リードスコアリングには、十分なリード数を確保したいところです。
また、ターゲットを絞り切れず、将来的に顧客にならない不特定多数の情報を集めてしまうのも考え物です。リスト管理やリードナーチャリングで多くの無駄が発生してしまいます。
リードジェネレーションにおいては、十分な数のターゲットが集まる手法を選ぶことを意識しましょう。
リード獲得数だけに集中するのではなく、施策前にリード獲得後の流れを設計しておくことも大切です。リードジェネレーションにおいては、大量のリードを獲得したものの、後工程の設計がされておらずリードを生かしきれないケースが少なくありません。
見込み客に対してどのようなコンテンツをどう届けるのか、獲得後の流れも考えておきましょう。どう育成していくかリードナーチャリングの手法を考えながら、インサイドセールスやフィールドセールスとの連携も設計しておきます。
例えば、まだ自社サービス・商品への知識が十分ではない層には、セミナー開催やケーススタディ、サービス・商品の解説記事といった知識を深めてもらうための施策が有効です。より購買に近い層には、サービスの体験や商品サンプルの提供、導入事例の紹介といった意思決定を後押しできるコンテンツを準備しましょう。
リードジェネレーションは重要な取り組みですが、最終的な目標は受注という成果です。リードを獲得して終わりとならないよう、獲得後の施策をしっかり考えておきましょう。
最後に、リードジェネレーションに役立つツールをご紹介します。
リスト作成ツールは、ターゲットとする企業の情報をネットから集め、自動でリスト化してくれるツールです。リストは自力で作成するとかなりの手間がかかります。リスト作成はリサーチと管理ツールへの入力の2段階に分けられ、そのどちらにもかなりの時間と労力を要するでしょう。リスト作成ツールを使えば、その時間をより戦略的な業務に充てられます。
また、データを一元化できるのも大きなメリットです。メールの配信や資料の送付、具体的な提案など、リード獲得後に想定している取り組みによって必要な情報は異なります。企業名や住所といった基本情報はもちろん、従業員数や設立日など、後々必要となりそうな情報が取得できるか確認しておきましょう。
MA(マーケティングオートメーション)は、その名のとおりマーケティング活動を自動化できるツールです。
リードを獲得するLPやフォームの作成機能があるため、マーケターがPDCAサイクルを回しながら作成・修正できます。作り込んだページが必要なケースもありますが、マーケター自身がスムーズに対応できることはスピード・コストの両方でメリットがあります。
そのほか、リード管理やスコアリングも可能です。リードの購買意欲に合わせたキャンペーンの実施やメール配信など、リードナーチャリングにおいても大いに役立ちます。MAを導入すればリード獲得後の流れを効率化でき、購買意欲が高まった段階を逃さずアプローチできます。リードナーチャリングを効率化し、商談や提案といった成果へと続く段階に注力しましょう。MAについて詳しくは「MA(マーケティングオートメーション)とは?機能や選び方のポイントを解説」でも解説していますのでご覧ください。
CMS(Contents Management System)は、Webサイトを簡単に制作できるツールです。WebサイトはHTMLやCSSといった言語で構成されており、ページごとにファイルを作成する必要があります。しかし、CMSを導入すれば、専門知識がなくてもブラウザ上の作業で簡単にWebサイトを編集できます。知名度の高いWordPress(ワードプレス)もCMSの一種です。
CMSを導入すれば、操作が簡単なので、サイトの編集に関わる人数を増やせます。リード獲得のためのオウンドメディアの更新や状況に合わせた素早い編集も比較的容易となるでしょう。
関連記事:CMSとは? メリット・種類・選ぶ基準などわかりやすく解説
SEO分析ツールは検索エンジンでの上位表示を支援するツールです。普段からSEOについて考えているという人も多いでしょう。もちろん、上位表示は簡単なことではありません。キーワード選定だけでなく、内部対策や外部対策など、さまざまな対策が必要となり、チェックに手間がかかってしまいます。
SEO分析ツールは、内部対策ツールやキーワード調査ツールなど、目的別にいくつか種類があります。対策キーワードの選定やコンテンツの見直しなど、段階に応じて順にツールを導入してみましょう。
Web広告管理ツールは、各媒体ごとの管理画面にログインしなくてもツール上での管理運用が可能なツールです。リードジェネレーションにおいてWeb広告は有効な手段です。そして、Web広告の効果を最大化するためには、効果測定や管理が必要です。しかし、Web広告は媒体や種類が豊富にあるため、予算進捗やレポートの確認に時間がかかってしまいます。
Web広告管理ツールを導入すれば、煩雑になりがちな広告管理業務を軽減できるため、広告の効果測定や分析に時間を費やせます。媒体ごとの広告内容を一元管理できれば、広告運用も大幅に効率化できます。便利なツールだからこそ、運用中の広告が連携対象かどうかは事前に確認しておきましょう。
ウェビナー管理ツールは、参加者の管理や動画配信など、ウェビナー開催における必要な機能を網羅しています。ウェビナー管理ツールによっては、セミナーだけでなく展示会やカンファレンスにも対応しています。オフラインイベントに対応した機能があるツールだと、オンラインとオフラインをまたいだイベント開催も可能です。
リードジェネレーションの手法として、展示会やセミナーといったイベント開催があります。しかし、コロナ禍でオフラインでのイベント開催が難しくなりました。オフラインのイベントは費用がかさむため、場合によってはオンラインイベントのほうが望ましいでしょう。
リードジェネレーションとは、見込み客を獲得するための取り組みのことでした。購入の意思決定までに複数人を介するBtoBでは、購買検討期間が長期化します。見込み客の約9割は離脱するといわれていることからも、継続的なリード獲得と育成が重要視されています。
リードを獲得した後は、受注に向けたリード育成が必要です。リードジェネレーションの際は、獲得後にどう育成するかという点を前もって考えておきましょう。獲得した見込み客が無駄にならないよう、KPIを設定して戦略を決めてからリードジェネレーションに取り掛かりましょう。
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