基本ノウハウ
CPL(Cost Per Lead)は、マーケティングの成果を可視化する重要な指標として知られています。CPLはリード獲得にかかる費用を明確にすることで、マーケティング活動を評価し、予算配分の最適化に役立つのです。本記事ではCPLの基本概念から、その計算方法、他の関連指標との違い、そしてCPLを抑える方法や活用のコツについて詳しく解説します。
CPLがどのような意味か、その定義と基本を押さえておきましょう。
CPL(Cost Per Lead)は、リード1件を獲得するためにかかる費用です。リードとは「【マーケティングの基本】リードの意味とは?その分類とリード獲得のための4つの方法」の記事に詳しく解説している通り、企業が所属企業や役職、連絡先なども合わせて情報を保有している見込み顧客を指します。
BtoBマーケティングでは「いかに多くの質の高いリードを獲得し、商談化まで持っていけるか」が重要です。CPLを算出すれば各施策の費用対効果が明らかになるため、予算不足の場合は低コストでリード獲得できた施策を優先的に実施するなどの判断が可能です。CPLはマーケティング成果を可視化する重要な指標の1つなのです。
CPLは下記の計算式を用いて算出します。
CPL = リード獲得のためにかかった費用の総額 ÷ リード獲得数
CPLは、リード獲得のための活動費を、獲得したリード数で割ることで算出できます。例えば、10万円を広告に費やして100人のリードを獲得した場合、CPLは1000円となります。展示会に総額500万円で出展し1000人との名刺交換を行った場合は、CPLは5000円です。
CPLはCPA(Cost Per Acquisition)やCAC(Customer Acquisition Cost)と混同されがちですが、それぞれ異なる指標です。指標は目的に応じて使い分ける必要があります。
CPAはコンバージョン1件を獲得するためにかかる費用です。コンバージョンとは、企業が設定したWebマーケティング上の目標に対してユーザー側のアクションがあり、成果が出た状態を指します。コンバージョンに設定される目標アクションの例として、ホワイトペーパーダウンロード、フォームからの資料請求、問い合わせ、商品・サービスの申し込みなどが挙げられます。コンバージョンにはリード獲得につながるアクションも含まれるため、CPLとCPAを同じように扱う場合もある点に留意しましょう。
CACは新規顧客1社を獲得する(=新規の受注1件を獲得する)ためにかかる費用です。CACには広告費用だけでなく、人件費や運営費用なども含まれます。新規顧客の獲得にかかった費用の総額から、新規顧客獲得数を割ることで算出が可能です。CPLは見込み顧客を対象にした指標であり、CACは顧客を対象にした指標であるため、CPLはCACにも影響を与えます。
CPLを抑えるためには、以下のいずれかに当てはまる方法を取る必要があります。
以上の条件を踏まえ、3つの方法を解説します。
Web広告は出稿条件によってCPLが高額になる場合があるため、自社にとって最適な条件になっているか、PDCAを回して見直しましょう。
特に競合が強いキーワードで出稿した場合は、単価が高額になりがちです。かといって入札単価を低く設定しすぎるとなかなか成果を出せず、費用対効果が下がる可能性もあります。キーワードや配信ターゲット、入札単価、課金方法、文言・ビジュアルなど、複数の観点から手法を検討し、最小の価格で成果の最大化を目指しましょう。
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コンテンツマーケティングは取り組み始めの段階では大きな費用を要するものの、コンテンツを自社の資産として蓄積できるため、施策を継続していけば後々CPLを抑えられるようになります。
ホワイトペーパーなどのコンテンツを一度制作すればリード獲得手段として長期間にわたって利用できるほか、定期的なコンテンツの配信はSEOの観点からも効果的であるため流入数の増加も見込め、リード獲得の機会を増やします。
加えてコンテンツマーケティングはコンテンツの質の向上がリード獲得数の増加にもつながる施策です。ニーズがありかつユーザーにとって役立つ内容を重視した高品質のコンテンツを制作できれば、ユーザーの興味・関心を高め、制作コストを変えずともリード獲得数の増加につなげられます。総合的に見てCPLを抑えられるでしょう。
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メールやSNSは、BtoBマーケティングのなかでも比較的低コストで始めやすい施策です。特にSNSは主な利用者層と自社のターゲット層が一致していれば認知度の向上やサイト流入数の増加が期待できるため、リード獲得のサポートに活用できます。メールにホワイトペーパーダウンロードの案内を入れる、SNSで公開したコンテンツを紹介するなど、他のマーケティング施策と組み合わせることでリード獲得にかかるコストを一部削減できるでしょう。
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CPLをうまく活用するためには、以下の2つのコツを押さえておきましょう。
CPLを指標として活用するためには、自社のデータベースを整備しておき、新規獲得したリード情報と照合できる状態にしておくことが大切です。これまで獲得してきたリード情報が名寄せ・一元管理されていない場合、新規で獲得したと思っていたリードが実は既存顧客と重複していたり、自社のターゲットではない「低質なリード」が混在していても気づけなかったりと、正確なCPLを算出できないおそれがあります。
また、データベースを整備する際にはリードの温度感も含めて定義しておくと良いでしょう。すぐに顧客化できそうなリードを「ホットリード」のように定義して管理することで、リード獲得手段の費用対効果を価格と質の両面から調べられるようになります。
CPLは重要な指標ですが、CPLのみを見ていてはマーケティングの成果を見誤る可能性があるため、他の指標も活用するようにしましょう。
CPLは費用の大小を示す指標のため、質は考慮されていません。いくらCPLが低い手法であっても、そのリードから1件も売上につながらなければ意味がないのです。この場合、獲得したリードを商談につなげるまでの段階に問題があるか、もしくは獲得したリード自体が自社のターゲットから大きく外れていた可能性があります。マーケティングの成果を判断する際には、CPLだけではなく、CPAやCACなど他の指標も参考にしながら多角的に見るようにしましょう。
CPLはリード1件あたりの広告費用を表す重要な指標で、マーケティングの効果を数値化するために用いられます。しかし、その数値だけにとらわれず、リードの質や他の指標と組み合わせて考えることが求められます。CPLを活用し、質の高いリード獲得のための効率的なマーケティング戦略を考えていきましょう。