基本ノウハウ
CPCはクリック単価とも呼ばれ、広告運用においてよく見かける言葉です。しかし、マーケティングを勉強中の方は「CPCの計算方法がよく分からない」「どのように改善したら良いのか知りたい」などお悩みなのではないでしょうか。
本記事ではCPCの計算方法や相場について、具体例を交えながら解説します。CPCの改善方法や、CPCに関連した言葉と計算方法もあわせて紹介。ぜひ参考にしてみてください。
CPCとはCost Per Click(コストパークリック)の頭文字を取った言葉です。意味は広告を1回クリックされるのにかかった費用であり、クリック単価とも呼ばれます。
ここではCPCの計算方法や、相場について見ていきましょう。
CPCの計算式は、次の通りです。
例えば広告費が10万円、クリック数が1,000回の場合は次のような計算式でCPCを算出できます。
なおリスティング広告などを運用する際に必要な費用、つまりCPC課金(クリック課金)の計算式も上記をアレンジすると算出可能です。例えばCPCを100円に設定し、1,000回クリックされた場合の広告費は次のような計算式で算出できます。
CPCの相場は下表のように、キーワードの種別によって異なります。
種類 | 内容 | 例 | 検索数 | CPC |
---|---|---|---|---|
ビッグワード | 単一の単語 | ・就活 ・営業 ・ダイエット |
多い | 高い |
購入検討ワード | 購入や利用を検討している段階の方が入力する単語 | ・求人サイト おすすめ ・営業ツール 比較 ・ダイエット 商品 |
中 | 高い |
購入決定ワード | 購入や利用を決定している段階の方が入力する単語 | ・〇〇(商品名やサービス名) | 少ない | 安い |
情報収集ワード | 自分が持つ悩みを解決したい方が入力する単語 | ・面接 対策 ・営業 進め方 ・ダイエット 方法 |
多い | 安い |
例えば「ダイエット」というビッグワードのCPCは、下図の通りです。上位5つにおけるCPCの平均値は、約426.9円になっています。
一方「ダイエット 方法」という情報収集ワードのCPCは、下図の通り。上位5つにおけるCPCの平均値は約380.9円であり、ビッグワードのCPCよりも46円安くなっています。
またCPCは競合他社が多いと高くなり、少ないと安くなる傾向があります。競合他社が少ないと狙い目と思いがちですが、広告を出しても収益が見込めないために競合他社が少ないケースも少なくありません。ただし競合他社が少なく、かつ需要が高いものに限っては広告を出すことで優良な費用対効果が見込まれます。
CPCが安く、さらに競合他社も少ないと推測される場合は、広告を出す価値があるか入念に調査することが大切です。
CPCには他にも上限CPCと、平均CPCという2つの考え方があります。
上限CPCとは、1回のクリックに対する入札単価の上限額です。基本的にCPCは、上限CPCを超えません。ただし拡張CPCの適用時は、CPCが上限CPCを超える例外もあります。
拡張CPCとはGoogleの自動入札機能(eCPC)であり、利用するとCVの見込みによってCPCの入札単価を自動で増減してくれます。その分自動で単価を高くしたときに、上限CPCを超える場合があるのです。
また平均CPCとは1回のクリックにかかった平均費用であり、通常のCPCと同じ意味で使用されます。上限CPCは広告主が設定できるもの、平均CPCは通常のCPCと同義と覚えておくと良いでしょう。
ここではCPCの計算方法について、具体例を交えながら解説します。実際のCPCを計算する上で関わってくる、品質スコアの詳細もあわせて理解していきましょう。
実際のCPCを計算する際は、広告ランクや自社の品質スコアが関わってきます。それぞれの計算式は、次の通りです。
例えば下表の場合、A社のCPCや広告費は次のような計算式で算出できます。
【A社のCPC】
【A社の広告費】100回クリックされた場合
広告主 | 入札単価(上限CPC) | 品質スコア | 広告ランク | 実際のCPC | 掲載順位 |
---|---|---|---|---|---|
A社 | 100円 | 10 | 1000 | 61円 | 1位 |
B社 | 120円 | 5 | 600 | 91円 | 2位 |
C社 | 150円 | 3 | 450 | 134円 | 3位 |
D社 | --- | --- | 400 | --- | 4位 |
なお広告の掲載順位は、広告ランクが高い順です。表を見ると分かる通り、品質スコアさえ高ければ入札単価が安くても上位表示される可能性が高まります。掲載順位が上がれば表示回数が増え、クリックするユーザーの増加も期待できるでしょう。
前述のように、品質スコアが高ければ入札単価が低くても上位表示される可能性が高まります。品質スコアとは1〜10の段階がある、広告の品質を示す指標です。
品質スコアは、以下の3つの要素が影響します。
それぞれの要素には平均より上や平均的、平均より下といったステータスが付与されます。広告の品質スコアを高めるためには各ステータスを確認し、優先的に改善策を施す要素を見極めることが大切です。ここでは各要素の概要を見ていきましょう。
推定クリック率とは、広告がクリックされる可能性を示した指標です。現在と過去の掲載順位や競合との比較をもとに、ステータスが付与されます。
推定クリック率は基本的に、クリック率に左右されると考えても支障はありません。広告のクリック率が高ければ、推定クリック率も上がる可能性があります。つまりクリエイティブ面の改善などクリック率を上げる施策が、そのまま推定クリック率の向上にもつながるのです。
ただし推定クリック率は、掲載順位の影響をなくす正規化という手順を踏んで算出されます。そのため掲載順位が上がれば推定クリック率も改善するわけではない点には注意しましょう。
広告の関連性とはユーザーの検索意図と広告の内容が合っているか、その合致具合を見る指標です。具体的には次の3つがいかに関連しているかを評価され、ステータスが付与されます。
広告の関連性を高める上で最も簡単かつ有効な方法が、広告のタイトルにキーワードを入れることです。広告のカスタマイズ機能を利用しながら、ユーザーの検索意図に応じた広告文を提示できるよう設定していきましょう。
LPの利便性とはユーザーの求める情報をLP内で簡単に見つけられるか、またその情報は正確かつ有益かという点を見る指標です。LPの利便性を高めるためには、特に次のような点に注意する必要があります。
LPの利便性におけるステータスが平均より下の場合は、LP全体を見直すことも視野に入れていきましょう。
CPCを改善する際には、下記のように順を追って施策を進める必要があります。
CPCを改善させようといきなり入札単価を下げてしまっては、掲載順位が下がりかねません。すると表示回数やクリック率が下がり、成約(CV)につながらないことになります。CPCの改善を成功させたい方は、1つずつチェックしていきましょう。
CPCを改善させるためには、まずターゲットを見直します。CVにつながらないターゲットによるクリックを減らし、無駄な広告費用を削減するためです。
具体的には広告に載せるキャッチコピーやデザインを、ターゲット外のユーザーがクリックしないようなものに変更します。またリスティング広告では、除外キーワードを設定すると表示回数を減らせるでしょう。
結果的に成約確度の高いターゲットのみがWebサイトに遷移するため、広告クリック後のCVが上がります。
ターゲットを見直したら、次に広告の品質を上げる施策を講じます。広告の品質が高ければ、入札単価を下げても掲載順位を維持できる可能性が高いためです。
広告文などをABテストで効果測定し、より効果の高いクリエイティブを反映していきましょう。
最後に入札単価を下げて、CPCの改善を図ります。
このときCPCが下がりCV数が減っても、CPA(顧客獲得単価)が下がっていれば費用対効果が改善したといえるでしょう。CPAについては、次項の「5.CPCに関連した言葉と計算方法」を参考にしてみてください。
逆にCV数が減り、かつCPAの変動がなければ失敗であり、再度施策を見直す必要があります。ターゲットや広告品質の改善策を再考し、繰り返しテストしながら費用対効果の高い広告に仕上げていきましょう。
CPCに関連した言葉の意味と計算方法は、下表の通りです。
用語 | 意味 | 計算式 | 単位 |
---|---|---|---|
CTR | 広告がクリックされた割合 | 広告のクリック数÷広告の表示回数×100 | % |
CVR | 成約に至った割合 | CV数÷広告クリック数×100 | |
CPM | 広告が1,000回表示されるまでにかかった金額 | 広告費÷広告の表示回数×1,000 | 円 |
CPA | 1人または1回のCVにかかった金額(顧客獲得単価) | コスト(広告のクリック数×CPC)÷CV数 | |
CPO | 1つの受注を得るまでにかかったコスト(注文獲得単価) | 月間広告費÷月間受注件数 | |
LTV | 1人のユーザーが自社製品などを購入し続ける間にもたらす利益(顧客生涯価値) | 1ユーザーの購入単価×1年の購入回数×継続年数 | |
ROAS | 広告費に対する売上の割合 | 広告経由の売上÷広告費×100 | % |
それぞれの具体的な計算例を見ていきます。
【CTR】広告の表示回数が1,000回、広告のクリック数が60回の場合
【CVR】CV数が3回、広告のクリック数が60回の場合
【CPM】広告費が1万円、広告の表示回数が1,000回の場合
【CPA】広告のクリック数が60回、CPCが100円、CV数が3回の場合
【CPO】月間広告費が100万円、月間受注件数が50件の場合
【LTV】1ユーザーの購入単価が5万円、1年の購入回数が2回、継続年数が3年の場合
【ROAS】広告経由の売上が100万円、広告費が80万円の場合
CPCを計算する際は、関連した数値も確認する機会が多くなります。必要なときに必要な数値について算出できるよう、上記のような計算式は最低限押さえておきましょう。
CPCの計算は、かかった広告費とクリック数から算出可能です。また実際のCPCは、広告ランクや品質スコアから算出されます。
なおCPCを改善させたい場合は単に上限CPCを下げるのではなく、ターゲットの見直しや広告の品質改善などの施策が必要です。広告の品質が高ければCPCを下げても掲載順位を維持でき、費用対効果の改善も期待できます。
自社の広告が効果的に働いているか、CPCを計算して運用に生かしていきましょう。