インタビュー
BtoB企業のマーケティング担当者に、これまでのキャリアや仕事のやりがいについてインタビューする連載企画「マーケのキャリア」。今回は、新卒で通販会社に就職し開発やWEBマーケティングの責任者を担い、医療系ベンチャーではメディア運営に責任者として携わるなどオンライン・オフラインともに幅広い経験を積まれた後、BtoBマーケターのつながりの活性化を目的とした専門のコミュニティを立ち上げられ、現在はマーケティング人材紹介サービス事業の株式会社b-growth代表を務める菱沼匡さんにお話を伺いました。
新卒で通販会社のベルーナに就職し、健康食品・化粧品の開発、WEBマーケティングの責任者として新規顧客の拡大とリピート率の改善施策を推進。エス・エム・エスに転職してからは医療機関の管理者向けのメディア運営に責任者として携わり、その後はポート株式会社にて業務改善や上場準備のプロジェクト、中途採用、新規事業責任者のポジションを歴任。IPO準備会社では社長室と広報/マーケティング機能を有するコミュニケーション部を立ち上げなどを行う。2022年に立ち上げた『BtoBマーケティング研究会』でマーケター向けの勉強会や懇親会などを主宰し、企業とマーケターの最適なマッチングやマーケター同士の繋がりを活発化させるべく奮闘中。
菱沼さんのキャリアアップのポイント:
――通販会社のベルーナに新卒で入社されてから、マーケティングにどう関わっておられたのですか。
入社時は「マーケティングをやりたい」というより「ITに関わりたい」くらいの気持ちでした。最初に配属されたのはマーケティングに関係のないインテリアのバイヤーだったのですが、働いているうちに自分のやりたいこととは違うと思い始めて。何でも良いからデジタルマーケティングに関わる業務ができる部署に異動したいと上司に打診したのです。
成果を出せば異動希望が叶うといわれて、実際にMVPを取ることができ、24歳のときに異動が叶いました。マーケティングに本格的に関わるようになったのはそれからです。
異動先のヘルスケア事業部では、今でいうD2C事業をやっていました。健康食品や化粧品の企画・開発、生産、販売まで一貫して任せてもらえるポジションです。当時は視野が狭く、マーケティングといえばデジタルマーケティングを指すと考えていましたが、今思えば「リサーチから顧客のニーズをくみ取って企画し、それを何のチャネルで売っていくかの戦略を立てる」というマーケティング活動に一貫して携わることができていました。
ベルーナは豊富な顧客リストを保有しており、オフラインのマーケティングが強い会社だったので、開発した商品をカタログに載せたり、折り込みチラシを作ったり、新聞に広告を出したりといったオフライン施策と、アフィリエイト、リスティング、DSPやSEOといったデジタルマーケティングを掛け合わせたさまざまなマーケティング手法を経験できました。
――異動してからすぐにデジタルマーケティングの業務に携われたのでしょうか?
実は当初は商品企画とチラシ作成業務で、デジタルマーケティングには全く関われていませんでした。役員と部長を兼任していた方が「これからはECだ」というお話をされるのですが、部署内にはデジタル領域に詳しくない方が多かった。私も何も分かっていないながらも「できると思います」と立候補して、チームリーダーをやらせてもらったのです。
とはいえ、私はデジタル領域に強かったわけでなく、当時はヤフーくらいしか知りませんでした。知見が足りなかったこともあり、実際の運用は代理店の方にお願いしていたので、デジタルマーケティングを学ぶ際には代理店の方の力を借りました。「これはどういう指標ですか」と質問したり、飲みに行って話をさせてもらったりして情報のキャッチアップを行ったのです。事業予算も大きかったこともあり、代理店の方も親身になって教えてくれたのだと思いますが(笑)。
そうしてマーケティングを学ぶうちに面白さに気づき、もう少し網羅的にマーケティング活動をやりたいという思いが強くなりました。ベルーナは大手企業で、大手の予算が出ているからこそ成果を出せている面もある。地力をつけられる環境に行きたいと考え、転職を決意したのです。
――エス・エム・エスに転職されたのは、マーケターとして「もっとマーケティングをやりたい」と志望してのことだったのですね。
特に事業会社でマーケティングをやりたいという思いがありました。候補の企業は他にもありましたが、エス・エム・エスを転職先に選択したのはマーケティング業務だけでなく新規事業を作っていくフェーズに携われると考えたからです。私が入社したときは、事業部長とマネージャー、私、派遣社員3人という布陣で、規模の小さい状態からのスタートでした。
――エス・エム・エスでのご経験を教えてください。