インタビュー

「結果を出すことで周りを巻き込む」まこりーぬ氏に聞く、マーケターに必要なライティングと巻き込み力の高め方

「結果を出すことで周りを巻き込む」まこりーぬ氏に聞く、マーケターに必要なライティングと巻き込み力の高め方

デジタルマーケティングで成果を出すために、企画力や編集・ライティングスキルを高めたいと考えるものの、日々の業務に追われどのようにスキルを伸ばすべきか悩むマーケターは少なくありません。

今回「デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング」を出版された株式会社LIG 齊藤麻子氏に、マーケターに必要な編集・ライティングスキルの高め方や周囲を巻き込みコンテンツを作る方法について詳しくお話を伺いました。

  • 株式会社LIG LIGブログ編集長/マーケ責任者 齊藤 麻子(さいとう・まこ)

    株式会社LIG LIGブログ編集長/マーケ責任者

    齊藤 麻子(さいとう・まこ)

    1992年生まれ。2014年九州大学芸術工学部卒業後に採用コンサルティング会社へ新卒入社。法人営業から新規事業推進、マーケティング業務に従事したのち、2018年にLIGへ。2021年にマネージャー、2023年にLIGブログ編集長に就任し、現在は自社のマーケティング、オウンドメディア運営に携わる。副業ではライターとして活動中。あだ名は「まこりーぬ」。著書『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』(日本実業出版社)

目次

Web記事と書籍執筆では“使う筋肉が違う”

ーー書籍出版にはどのようなきっかけがあったのですか。

今回、出版社さんから「まこりーぬさんが普段書いているようなWeb記事を自分でも書きたいと思っている読者に向けて書き方や考え方を詳しく伝える本を作りたい」とオファーをいただいたことが出版のきっかけです。

編集者さんからは「普段のまこりーぬさんの書き味を残した文章で」とオーダーいただいたため、かしこまりすぎずに書き進められました。その方針の影響か、書籍を読んでくれた周りのメンバーからは「文章の合間にパンチラインが入っている」といわれることもあります(笑)。

ーーWeb記事と書籍執筆ではどのような点が違うと感じましたか。

Web記事の文字量は多くても1万文字ほどで、テーマやトピックスも分散することなく絞りやすいんですね。それに比べて書籍執筆では、約10万文字の内容を論理的に破綻なく読みやすい文章でかつ面白いというクオリティーに仕上げることが大変でした

短距離走と長距離走くらい、執筆において“使う筋肉が違う”と感じました。

株式会社LIG LIGブログ編集長/マーケ責任者 齊藤麻子氏
株式会社LIG LIGブログ編集長/マーケ責任者 齊藤麻子氏

ーー書籍出版後はどのような反響がありましたか。

ありがたいことに出版してからYouTube出演やイベント登壇、インタビューの機会を多くいただいています。露出機会が増えることで会社や事業の認知が広がり、私がこれまで制作したコンテンツを見ていただくことが中長期的に増えるのは良い影響だと思っています。

また全国の書店に書籍が並んでいることを考えると、“公の場に出ている”という感覚がありますね。親や家族がいつも以上に喜んでくれるという効果もあります。

マーケターに必要な編集・ライティングスキルとは

マーケターはどんどん記事を書いた方が良い

ーーまこりーぬさんはマーケター、編集者、ライターとさまざまな顔を持ち活躍されていますが、一般的なマーケターを見たときに自ら取材をしてライティングも行う方は多くない印象です。

マーケターとしての業務を行いながら、同時にコンテンツの編集やライティングも行うのは相乗効果があるものでしょうか。

マーケティングと編集・ライティングを兼務することの相乗効果はあると思います。マーケティング業務に必要なロジカルシンキングは、ビジネス系の記事を作るのに必要なスキルです。そのスキルや思考法をすでに持っているのは記事を書く上で強みになります。そういう意味でもマーケターは文章を書くことに向いているし、どんどん記事を書いた方が良い、と思っています

自分で書けない人に良い編集はできない

ーーリソースやスキルの観点から自分で書くのは難しいという場合、はじめの一歩としてどのような方法がおすすめでしょうか。

外部のライターさんに手伝っていただくという方法もありだと思います。ただ私の持論としては、自分で書けない人に良い編集はできないと思っています。

クオリティの高い記事をつくるためにも、まずは自分で書いてみて、フィードバックを受ける経験をした方が良いでしょう。

外部のライターさんに依頼する場合も、自分が書くことの大変さを理解した上でコミュニケーションした方が、良いフィードバックができると思います。

書き手に「楽しい、また書きたい」と思ってもらうフィードバックを

ーーライターさんへフィードバックするときに、どのような点に気をつけていますか。

良いコンテンツをつくるためには、書き手のモチベーションが上がるような工夫やコミュニケーションも重要です。

これは社内のメンバーであっても外部のライターさんであっても同じです。命令のような強制的なコミュニケーションのもとで、良い記事を書ける人はいないですよね。

どのようなテーマを渡したら楽しく書いてくれるのか、原稿に赤入れするにしてもライターさんに気持ちよく書いてもらう伝え方は何だろう、と想像しながらコミュニケーションすることを心がけています。

「良いコンテンツ」の基準をチームに浸透させる方法

ーー「良いコンテンツ」をどのように定義し関係者に伝えていますか。

言語化して伝えることはもちろん必要ですが、浸透させるためにはKPIに落とし込むことが大事だと思っています。

それは、弊社が運営するLIGブログの運営に約3年携わっている経験からも実感しています。約3年の間でもKPIや運営体制は大きく変化しており、変化に合わせてコンテンツの方向性も変えているんですね。

編集長代理になりたてのときは、昔から大切にしてきた「社員みんなで記事を書く」というルールで運営していました。

ただCI(コーポレート・アイデンティティ)の刷新にともない、LIGブログの運営体制を変える必要が出てきたんですね。システム開発事業に関する情報発信量を増やすために、編集部が企画をして運営していく運営スタイルに変えました

いまはチームのKPIを「お問い合わせ数」に置いているので、「お問い合わせにつながる記事がいい記事である」と言葉にせずとも、みな自然とお問い合わせ獲得に向けてコンテンツ作りに励んでいます。

このようにチームとして目指すべきコンテンツづくりの方向性を、KPIとして設定することで自然と浸透していくと思っています

株式会社LIG LIGブログ編集長/マーケ責任者 齊藤麻子氏

コンテンツ制作における、社内外の人を巻き込む力の伸ばし方

社内メンバーを巻き込む一番のポイントは「結果を出すこと」

ーー社内メンバーを巻き込みながらコンテンツを作る際に、意識されていることはありますか。

周りを巻き込んで仕事を進めるには「結果を出すこと」が最も重要だと思っています

その場合の「結果」は、巻き込みたい人にとって優先度の高い「結果」が良いと思います。例えば事業責任者を巻き込みたい場合は、コンテンツがいかに問い合わせに寄与しているのかということを伝えるのが効果的です。

また社員に良い記事を書いてもらいたい場合は、書いた記事がこれだけ読まれているという結果を出すことが大切です。

LIGブログの運用においても結果を出すことで周りを巻き込んだ経験があります。

LIGブログが事業成長や人材採用に強い影響を持っているのを長く在籍しているメンバーは実感しているため、コンテンツづくりに関しても協力的です。しかし直近で入社したメンバーはそこまでの実感はないため、コンテンツづくりの優先度が低いという状況がありました。

そのような状況のなか、案件を増やすためにLIGブログのSEOを強化することになり、実行した結果、数十件のお問い合わせをいただくことができたんですね。

結果が出ると「やはりLIGブログは大事だ」という空気が社内に分かりやすく広がっていきました。消極的だったメンバーが「僕も記事を書きます」と率先していってくれるなど、結果が出ると勝手にみんな巻き込まれていくんだなということを実感しました。このときの経験から、何かしら目に見える結果を出すことはとても重要だと思っています。

ーー結果が出るまでの期間はどのように巻き込み、鼓舞していたのでしょうか。

小さな結果であっても良い点を見つけ出してすぐに伝えることですね。例えば記事をお客様に共有したら喜ばれたなど、誰かひとりの「この記事が役に立ちました」という感想を伝えることでも、書き手である社内メンバーを巻き込むことはできると思います。

小さな結果を伝えることを積み重ねることでチームの士気を高め、大きな結果につなげていくのが理想的な流れですね。

「成果でぶん殴れ」という教え

ーー結果を出して周りを巻き込むという考え方は、どのように身につけていったのですか。

この考え方はTHE MOLTS代表の寺倉さんから学びました。1年ほど寺倉さんからLIGブログにアドバイスをいただいていた期間に、周りを巻き込む方法や考え方をたくさん教えていただいたうちのひとつです。

寺倉さんは「成果でぶん殴れ、そうしたら周りはついてくるから」とおっしゃっていて、本当にその通りだなと思っています。

リーダーの器がチームの器の大きさを決める

周りを巻き込みプロジェクトを主導したいと思ったら、リーダーが率先して動くべきです。結局、リーダーの器がチームの器の大きさを決めると思います

何か大きいことを成し遂げたいのであれば、リーダー自ら高い目標を設定し、達成のために行動しないことには、期待以上の結果を出せないと思います。メンバーが勝手に成長して思いがけず結果が出るなんてことはほぼありません。

リーダーがメンバーに対して「こんな活躍ができる人に成長してほしい」と望む姿を自ら体現しないと、メンバーもチームもそれ以上に成長することはないと思っています。

打算ではなく純粋に心から話を聞きたい人に取材する

ーーメディアの成長には、取材をはじめ、社外への働きかけも重要だと思います。社外への働きかけ、巻き込み方についてどのような点を意識されていますか。

取材に関して、私の場合は「本当に話を聞きたい人に取材する」というところからスタートしました。著名人に拡散してもらいたいという打算はなく、純粋に話を聞きたいという気持ちだけで取材していました。今振り返るとそのスタートが良かったと考えています。

この人を巻き込むと良いことがありそうだからという打算的な企画の立て方をすると、本当に聞きたいことがないため当たり障りのない質問になってしまうのですね。その結果つまらない記事になり読まれない、ということになってしまう。

もちろん著名人を巻き込むというのは、メディアへの流入を増やす有効な手段ではあります。しかしそれだけで取材相手を選ぶと無難な記事にしかならないと思います

あくまでも自分が聞きたいことやメディアにとって重要なテーマについてお話しいただける方を探し出し取材するということが大事です。

普段から、いかに知的好奇心を持ちアンテナを立てて世の中を見ているか。そのエネルギーなしには取材もうまくいかないでしょう。常日頃からアンテナを立ててピンときた方に取材に行く、この順番が大切です。

株式会社LIG LIGブログ編集長/マーケ責任者 齊藤麻子氏

SNSは本業ありきのツール。自分の戦闘力が上がればフォロワーはついてくる

ーーまこりーぬさんはSNSの情報発信も活発な印象があります。SNSの情報発信において意識されていることはありますか。

SNSの情報発信については戦略的な運用というより、自由気ままに投稿することを信条にしています。

成果につなげるためにフォロワーを増やすことが重要な場合もあるでしょう。ただマーケティング施策のチャネルのひとつとしてXを活用するのであれば、投稿のうまさやテクニックよりも、実際の商品やサービス提供価値、仕事ぶりによって信頼を獲得する必要があると思います。SNS上のコミュニケーションがうまくフォロワーが多くても、商品に魅力がなければ、むしろムダにがっかりされるだけです

本業をがんばるなかで、気づいたことやノウハウをSNSで発信したら周りの人の役に立ったり取り組みを認めてもらえたりして自然とフォロワーが増えていく、という使い方が理想的だと思います。

また私は、SNSはオフラインのつながりが“にじみ出る”側面があると思っています。インターネットだけではない、オフラインで話し仕事をすることによってできた人間関係はやはり強い。強い関係性を構築しながら自分の戦闘力を高めることでフォロワーは増えていくと思います。

「現状維持は退化」経営者を目指し変化し続けたい

管理職になり経営思考に

ーーまこりーぬさんの今後の目標について教えてください。

今は、本業のLIGで経営に携わることを目標に仕事に取り組んでいます

そう思うようになったきっかけは、管理職になりキャリアに対する考え方が変わったからです。管理職に就いたときに「リーダーの器がチームの器を決める」ということを強く実感したのですね。リーダーが会社を良くしたいと思わなければ、メンバーも同じ気持ちになることはないですし、むしろ離れていってしまうでしょう

リーダーとして会社をより良くしようと業績を伸ばしていく、その考え方が経営者思考につながるのだと思います。会社に所属している以上は上を目指したいと思っています。

私は「現状維持は退化だ」という感覚が強く、停滞していると面白くないし飽きてしまう。人生はひまつぶしだと思っているので、どうせ生きるなら面白いゲームにしたほうが良いなと思っています。

そういう意味でも経営やマネジメントの領域は終わりがなく、挑戦し続けたいと思っています。

ーーありがとうございました!

【聞き手】山下航希

インタビューの様子は動画でも公開中!

「デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング」日本実業出版社 齊藤麻子(著)

「デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング」日本実業出版社 齊藤麻子(著)

この記事を書いた人

鈴木 舞
鈴木 舞 | BeMARKE編集長

BeMARKE編集長。これまで15年以上Webメディア運営・コンテンツ制作に携わる。前職では美容系Webメディア編集長としてサイト規模を2年で28倍の2,800万PVに成長させる。2022年より現職。BeMARKEのコンテンツ編集・制作方針や計画の策定、取材・執筆などを担当。

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