インタビュー
LTV(ライフタイムバリュー)は「顧客生涯価値」とも訳され、企業と顧客の関係性を測る指標の一つとして取り入れる企業も増えています。しかしLTV向上施策を成果につなげることが難しいという声も。
今回、書籍「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」で、LTV向上施策におけるボトルネックを浮き彫りにし有効な対処法を紹介されている株式会社WACULの垣内勇威氏に、企業が陥るLTVの罠とは何かを伺いました。聞き手には、パルコ、キリン、ヤプリなどさまざまな企業でマーケティングに携わられてきたJ.フロントリテイリング株式会社 島袋孝一氏をお迎えし、お二人の経験と知見から具体的な事例を交え解説いただいています。
株式会社WACUL 代表取締役
東京大学卒。ビービットから、2013年にWACUL入社。改善提案から効果検証までマーケティングのPDCAをサポートするツール「AIアナリスト」を立ち上げる。2019年に産学連携型の研究所「WACULテクノロジー&マーケティングラボ」を設立。研究所所長および取締役CIO(Chief Incubation Officer)として、新規事業や新機能の企画・開発およびDXコンサルティング、大企業とのPoC(概念実証)など、社内外問わず長期目線での事業開発の責任者を務めてきた。22年5月に同社代表取締役に就任。
J.フロントリテイリング株式会社 グループデジタル統括部 デジタル推進部
ーー今回、LTV(ライフタイムバリュー)をテーマに書籍を書かれた背景を教えてください。
垣内氏:書籍執筆の背景には、デジタルマーケティングに携わる人たちがあまりに短期的視点に偏っていることに日々憤りを感じていたということがあります。みんなCPAばかり追いかけていますよね。デジタル施策は数字が見えるのですぐにCPAを計算したくなる気持ちは分かります。
しかしデジタルマーケティングこそ、お客さまと長期的な関係を構築するのに最もコスパが良い手法であると思います。
顧客接点を作るあらゆる手法のなかで最も安価な上、Webサイトがあれば営業しなくともお客さま自ら訪問してくれますよね。本来、長期的視点で見るべきなのになぜか短期的視点でばかり成果がはかられることがもったいない。この思いは以前からありました。
また私は企業のLTV向上のためのコンサルティングを担当する機会が多かったことから、今回その思いと知見を書籍にまとめました。デジタルマーケティングに携わる人たちに向け、もっと長期的視点で仕事をとらえることの楽しさを伝えたいですね。
ーーLTVというとクラウドサービスやサブスク系企業が意識している指標というイメージがあります。しかし書籍では「そうではない」と書かれていました。