セミナーレポート
BeMARKEは2023年8月30日、「BtoB Sales&Marketing SESSIONS 2023」と題したセミナーを開催しました。本セミナーでは、「マーケティング・営業組織変革の舞台裏」をテーマに、マーケティング・営業の組織変革を実現するために起こりうる障壁や組織を動かしていくためのポイントをディスカッション形式で登壇者の皆様にお話いただきました。
株式会社WACUL 執行役員CMOの安藤 健作氏と株式会社GiftX Co-Founderのいいたか ゆうた氏には、『CMO経験者が語る「組織を動かすマーケター論」』 と題して、マーケターのキャリア形成とCMOとしての組織の見方について解説いただきました。
【登壇者】
安藤健作 氏(株式会社WACUL 執行役員CMO)
早稲田大学卒業後、株式会社丸井を経て、2006年に株式会社ラクスに入社。同社にてCS組織の立ち上げを行ったのち、マーケティングマネージャへ。その後、2016年よりメールマーケティングサービス「配配メール」の事業責任者となる。メールマーケティングのエバンジェリストとして「現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識」(マイナビ出版/共著)を出版。2022年7月よりWACULにジョインし、現在は執行役員CMOを務める。
いいたかゆうた 氏(株式会社GiftX Co-Founder)
2014年株式会社ベーシックにて、マーケティングメディア『ferret』を立ち上げ、執行役員に就任。2019年株式会社ホットリンクに入社し、執行役員 CMOに就任。2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを共同創業し、受取り手が選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL https://giftful.jp/」運営。企業のアドバイザーやマーケティング支援も実施。著書に『僕らはSNSでモノを買う』『BtoBマーケティングの基礎知識』『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』『SNSマーケティング7つの鉄則』
参照:https://www.libcon.co.jp/column/business-development-organization/
ーー本日は、事業を成長させるために必要なマーケターのスキルについて、事業フェーズごとに解説いただきます。まずはじめに、0から100の事業フェーズの中で特に大変だった時期はどこでしょうか。
安藤健作氏(以下、安藤氏):すべて大変ですが、0→1フェーズはPMFさせるために仮説検証を繰り返さなければならない時代だったので大変でした。今のいいたかさんはここじゃないですか。
いいたかゆうた氏(以下、いいたか氏):そうですね。悩みながら頑張っています。
ーーフェーズごとに「大変さ」の中身が変わるイメージでしょうか。
安藤氏:そうですね。フェーズごとに大きく変わると思います。
いいたか氏:0→1フェーズにおいて、マーケターやCMOが必要かというと必ずしもそうではないと思っています。企業としては「世の中にどのようなニーズがありどのようなプロダクトを作り誰の何をどのように解決できるのか」をまず考えることが重要です。その段階でマーケターが必要かというとそうでもないと思っています。
もう一つ言うと、CMOの役割は会社によって違うんですよね。例えば、前職のホットリンクは従業員数100名程度の会社で、私はCMOを担当していましたが、数万人規模の大企業のCMOとではプロモーションの仕方や求められるスキルも違うでしょう。それらの環境や条件によってCMOの役割は異なるため、きれいに当てはめるのは難しいということを前提にお話ししていきます。
ーー0→1のフェーズにおけるマーケターに必要なスキルや考え方を教えてください。
いいたか氏:このフェーズはPMFの前ですので、そもそも自分たちの事業が本当に世の中のニーズに合っているかどうかの検証が必要だと思います。まずは集客をしたいと考える企業が多いですが、その前にロイヤルカスタマーといわれるヘビーユーザーがなぜこのサービスを使っているのかを突き詰めることが重要です。
マーケターといっても「広げる行為」だけではなく、お客さまにどのようなものを提供することで選ばれる存在になるのかを言語化することが必要だと思います。
俗にいわれる「マーケター=集客・プロモーション」のような花形職種に見られがちですが、このフェーズではもっと裏方的な作業が必要だと考えています。
ーー安藤さんはいかがでしょうか。
安藤氏:まさに、いいたかさんがおっしゃる通りでこのフェーズではマーケターというよりも経営者がやるべき仕事だと思います。
まずは、お客さまにリアルでお会いし話しをすること。そこで自社が提供するサービスが市場に受け入れられているのかを確かめる。
スキルというよりも、お客さまにとにかく会う段階だと思っています。
ーーちなみに、いいたかさんはお客さまへのヒアリング時にどのようなことをお聞きするのですか。
いいたか氏:「ユーザー調査の際はこういう項目について聞きましょう」というコンテンツが世の中に散乱しているじゃないですか。でもその質問項目は自社にとって都合の良い質問であり、こういう回答を得たいという項目であることがほとんどなんです。
自社製品のどこが使いづらいかなど課題を聞き出そうとしても、現状使ってくれているのであまり不満が出てこないんですよね。