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CPA2,300円!?担当者が語る「なぜウェビナーで350人集客できたのか」

CPA2,300円!?担当者が語る「なぜウェビナーで350人集客できたのか」

コロナ禍以降に急増したウェビナーは今やBtoBマーケティングの定番施策のひとつに挙げられます。定番化したがゆえに集客や商談化につなげる難しさに直面し悩むマーケターやWeb担当者も少なくないでしょう。
今回はBeMARKEのマーケター兼ウェビナー運営担当の鈴木彩実が試行錯誤を経て、BeMARKEでのウェビナー開催4回目にして集客数10倍(※)、CPA2,300円、350人を集客できた実践手法をご紹介します。【聞き手:BeMARKE編集部】

※1回目の開催時の集客数と比較

  • 株式会社アジタス BeMARKE事業部 マーケター

    鈴木 彩実

    アジタスおよびグループ会社にて、SFA、MAの導入を担当し設計から社内での定着支援を担当。BeMARKEではメール配信、セミナー運営、MA・SFAの運用、広告運用などのマーケティングを広く担当しつつ、自らコンテンツ制作を行う。自身もマーケターだからこそ語れる気づきや切り口が強み。

目次

なぜウェビナー集客は難しいのか?

ーーウェビナー集客の難しさはどのような点にあると考えますか。

ウェビナー乱立期ともいえる現在は質もさまざまで参加者の目も肥えてきています。ありきたりなテーマや一般論では目を引くことができないのが現在のウェビナー集客の難しさといえます。

またウェビナー運営担当はひとりもしくは少数であることがほとんどなのに対して、その業務内容は企画から集客、進行管理までと多岐にわたります。進行管理に時間を取られ集客に注力できないことに悩む担当者も少なくないでしょう。
複数人で分業する場合は、企画の主旨について認識統一できず、想定のターゲットとずれた集客をしてしまうケースもあります。

ウェビナーはさまざまな要素が入り組む複雑性の高い施策であることが集客や商談化の難易度を上げていると考えます。

集客できるウェビナー設計のポイント

ーーウェビナー集客が難しい環境下でも成果につなげるための「ウェビナー設計のポイント」を教えてください。

ターゲットの明確化集客できるテーマ設定運営ノウハウの蓄積の3つのポイントに分けてご紹介します。

ターゲットの明確化

お客様の目を引く企画を立てるためにも、まずはターゲット像を明確にしニーズを把握することが重要です。自社サービスにおけるペルソナを元にウェビナー運営チームで議論を重ね、さらに具体的なニーズを探りたいときは顧客インタビューを行いターゲット理解を深めます。また普段からターゲットの課題をリストアップしておくのもおすすめです。
【関連記事】コンテンツマーケを成果につなげる「見込み顧客インタビュー」のすすめ

集客できるテーマ設定

ターゲット目線の企画立案

どのような課題を持つターゲットにどのような情報を提供し、どのような気持ちになってもらいたいか、どう次の一歩を踏み出してもらいたいかを基準に企画を考えます。

季節性や時事的要素を企画に取り入れる

季節や社会的な動きに合わせて企画を立てることで注目を集め集客につなげることができます。例えば年末年始であれば「◯◯年総まとめ」や「新年の展望」などのニーズが高まります。
業界内の動向やイベントスケジュールに合わせた企画も目を引く可能性が高いでしょう。例えば法令改正や展示会の開催日時などを事前に把握しテーマに取り入れるのもおすすめです。

企画とマッチした講師選び

顧客満足度や成果最大化をねらうなら著名人や有識者に講演を依頼するのが良いでしょうスピードとコストを優先するならノウハウや専門知識を持つ社内メンバーをアサインする方法があります。
依頼にあたっては候補者のインタビュー記事や講演、書籍などを参考に専門領域や考え方などを日頃から調査しておきます。そして企画ネタの中からターゲットのニーズが高く講師の特性が生きる企画を選びます。

実践ポイント

BeMARKEでは他社様との共催セミナーを多数開催しています。セミナー開催実績が豊富な企業や有識者を専門領域とともにリスト化し、その時々の企画とマッチした方に登壇オファーを送っています
有名な講師や接点がない企業の場合はお断りされる可能性もあるため、スケジュールを優先し実現可能な代案をいくつか用意しておくことも大切です。

また社内メンバーから講師を選ぶ場合は、ノウハウや専門知識が豊富な役職者や営業担当などに依頼するケースが多いです。彼ら彼女らは多忙であることから講演資料の下書きまで担当してもらい、運営側で構成からデザインまで巻き取り完成させるのが効率的です。構成をつくる際は講演者の過去の発言や資料を参考にすると良いでしょう。

運営ノウハウの蓄積と改善

少人数体制でもウェビナーを効率的に成果につなげるには、運営ノウハウを蓄積し次回開催につなげていくサイクルをまわすことが重要です。開催規模が小さい段階で運営の流れやコツをつかみつつ低コストでできる施策を試すことで、規模が大きくなった段階でスムーズな運営や、やるべき施策が見えてくるようになります。

ウェビナー開催後にはすぐに振り返りを行い報告書にまとめます改善点や良かったことなどをチーム全体に共有し、いつでもデータを取り出せるよう整備することで効率的な運営を実現できると考え実践しています。

ウェビナー集客で実践した手法6選

ーーマーケター兼ウェビナー運営担当としてこれまで実践されてきた具体的な集客手法を詳しく教えてください。

まず施策を行う前に、目的とターゲット、最適な表現の軸を定めておくことで訴求軸のブレを防ぎます。ウェビナー集客から開催後の後追いまで複数の施策を同時進行することがあるので、訴求軸を定めることが大切です。

【1】メール活用

始めにメルマガから集客できる上限目安を事前に把握しておきましょう。業種業態やリストの質に左右されるものの一般的な申込割合は配信リストの1%程度です。期待し過ぎず現実的なラインを見据えながら配信計画を立てることが大切です。
配信の際は、メールタイトルのバリエーションをいくつか用意し複数回にわたりメールを送るのが取りこぼしを防ぐためにも効果的です。
メール本文は他社のセミナー集客メールを参考に作成するのもおすすめです。受信ボックスから「セミナー」「ウェビナー」で検索し表示されたメールの本文から自社のねらいに合致しそうなフォーマットを参考に最適な見せ方を見つけましょう。
セミナー集客メールの細かいテクニックについては「すぐできるセミナー集客メール作成のコツ【お悩み回答】」をご参考ください

実践ポイント

文章制作の際はターゲットがピンとくるであろう言葉を選ぶことが大切です。自社内でよく使うキーワードであってもターゲットにとっては馴染みが薄い場合があります。先進的過ぎるキーワードだと集客につなげるのは難しいでしょう。
日々ターゲットの課題を研究し、頻出ワードを把握する必要があります。選んだキーワードのニーズを探るには、競合他社の広告やセミナー分析をしたり検索ボリュームを調べたりする方法もあります。

【2】Web広告出稿

Web広告からの集客数を伸ばすには、出稿先媒体の選定と効果的なクリエイティブの制作が重要です。

媒体選定においてはCPAを抑えてリード数を最大化させるならFacebook広告、特にインスタントフォームを活用したリード獲得目的での出稿がおすすめです。ターゲットニーズに合ったクリエイティブを見極めるには、Facebook広告のライブラリを活用し競合他社の出稿を日々研究することが大切です。クリエイティブをストックし一覧化することでABテストに役立てたり傾向を分析したりできます。

※下記画像はBeMARKEのFacebook広告競合分析シートです。情報はFacebook公式の広告ライブラリから収集しています。分析項目は、媒体名/CTAコンテンツの種類/CTA文言/メインテキスト文言(広告文にあたるもの)/遷移先LP/クリエティブ種類(正方形画像か、横長動画かなど)/クリエティブファイル/クリエティブのメインコピー/メインカラー/解決する課題/企業名/社内絞り込みタグ/分析コメント/調査日など。これらを情報管理ツールのNotionにリストアップしています。

広告事例

バナー制作の際はデザイナーと議論しながら文字数やコピー、フォントやレイアウトなどを調整し制作を進めています。ラフ案からデザインに起こした時のギャップを埋め、より良いクリエイティブにしていくためにもデザイナーが近くにいる環境の方におすすめです。

【3】メディア純広告出稿

ターゲットが購読していそうなメディアに純広告を掲載する方法です。一般的には最低でも数十万円を超える費用がかかり、スピーディーな発注と入稿が必要ですが広告運用よりはハードルが低い施策といえるでしょう。ある程度の予算をかけられるならばトライしたい施策です。成果が見込めると判断できるなら定期的な出稿も視野に計画を立てましょう。

【4】ウェビナー情報まとめサイトへの無料掲載

各社のウェビナー情報をまとめて紹介するWebサイトに自社の情報を掲載する施策です。コストをかけずに自社のタイミングで情報発信できるのがメリットです。
複数メディアに掲載する場合は、各メディアのルールに合わせ情報を入力する必要があり手間がかかりますが、1件でも多く申込みを獲得するために時間を使える場合には活用をおすすめします。

BeMARKEの場合は、申込数を最大化したい企画の際に開催の1週間前を切ってから3媒体ほど掲載したことがあり1件の申込みを獲得できました。
【ウェビナー情報まとめサイト例】
セミナーズ
セミナー情報.COM
こくちーずプロ
セミナーBiZ

その他の施策

BeMARKEでは場合によってはセミナー開催のプレスリリースを有料配信しています。
大手メディアに掲載されれば申込数の伸びが見られるものの、掲載状況が芳しくない場合は数件程度の申込みにとどまることもあり自社でコントロールが難しい施策である点に注意が必要です。

【5】共催企業からの告知協力

他社との共催ウェビナーの場合はそれぞれの企業がどれだけ集客にコミットできるかが成果を左右します。主催社であるなら積極的に共催企業へ集客協力を呼びかけましょう
BeMARKE主催の場合は次のことに注力しています。

  • 参加を打診する時点で集客に協力いただけるか確認する
  • 申込みページなどの集客ツールやバナーの準備ができたら共催企業に共有する
  • 他社が予定している集客施策の内容と時期、見込み申込数を確認する

実践ポイント

「共催セミナーだから安心」「有名企業とコラボできるから安心」という考え方は禁物です。有名な企業や講師はウェビナー登壇経験が豊富であるからこそ参加者も見慣れている可能性があります
「この人が出るから見たい」という動機で申し込む方は少ないため、新規性があり課題解決に役立つ企画と魅力的な登壇者をセットにして集客につなげましょう。

【6】社内の営業担当者へ集客の協力依頼

社内の営業担当者へ、ウェビナーのターゲット像に近い顧客へ声をかけてもらうように依頼することもあります。単に「集客に協力してください」と依頼するよりは「顧客との関係構築のきっかけにウェビナーを使ってください」とメリットを伝えることで行動に移してもらいやすいでしょう。
ウェビナー開催の意義を理解してもらいにくい営業担当者との距離を縮め、マーケティング施策に理解や関心を持ってもらうためにも、このようなコミュニケーションは有効だといえます。

ウェビナー集客を成果につなげるために

ーーマーケティング施策の一環としてウェビナー開催を成果につなげるために実践していることを教えてください。

ウェビナーはさまざまな要素が入り組む難易度の高い施策です。しかし難易度の高い施策だからこそ1回で終わりではなく何度もトライし運営方法や企画をブラッシュアップするという改善サイクルをまわすことが大切です。

PDCAサイクルをまわす

すぐに振り返りを行い次につなげる

ウェビナー開催後はすぐに実施内容と結果についての振り返りを行います。改善点や良かった点などを次回開催につなげられる状態にすることが大切です。
申込み状況はリアルタイムで経路とともに確認できる状態だと理想的です。MAがあれば容易に実現できますが、MAを未導入であってもUTMパラメータを使い申込み経路を特定できるようにしておくと集客経路ごとの費用対効果を分析できます。
リアルタイムの分析が可能ならば効果的な施策への投資額を増やすといった判断も可能です

BeMARKEのセミナー集客経路を分析するMAのダッシュボード
BeMARKEのセミナー集客経路を分析するMAのダッシュボード

振り返りは可能な限り当日中に行い、運営者だけでなく視聴した社内の他メンバーからもコメントを集めると多角的な分析ができ改善に役立ちます

社内チャットにてメンバーからコメントを集めているイメージ
社内チャットにてメンバーからコメントを集めているイメージ
BeMARKEのセミナー振り返りシート。PJマネジメント/企画/集客/登壇者対応/本番/後追いのジャンルで、KPT法を用いて振り返り。
BeMARKEのセミナー振り返りシート。PJマネジメント/企画/集客/登壇者対応/本番/後追いのジャンルで、KPT法を用いて振り返ります。

報告書をすぐに作成する

実施したウェビナーを次のアクションにどのようにつなげていくか明確にするために、報告書は遅くとも1週間以内に提出するようにしています。
BeMARKEの報告書の内容は以下の通りです。

  • 全体概要(ねらいは何か、どのような取り組みを行いどのような結果だったか、次回は何に注力するか)
  • 集客数値分析
  • アンケート分析
  • 企画説明
  • 振り返りシート 

ウェビナー開催後の後追い

ウェビナーは開催自体が目的ではなくホットリードの掘り起こしや商談獲得などのマーケティング施策の一環で行われることが多いでしょう。逆にいえば後追いを行わないとマーケティング施策としての意味がないともいえます。
後追いについては事前に営業担当者と対応基準、対応内容、想定の対応件数と時間を定めておき、スムーズに後追い対応できるように段取りをしておくと良いでしょう。

まとめ

BeMARKEのマーケター兼ウェビナー運営担当者が試行錯誤を重ね得られた効果的な実践手法を集客にフォーカスしご紹介しました。
取材を通して、ウェビナーで成果を出し続けるにはスムーズな運営はもちろん、顧客理解を深めることや同業他社との関係構築、社内営業担当者との情報共有と連携などあらゆるシーンで企業や部門を超えた歩み寄りが必要だと感じました。実践手法を磨き上げながらお客様の課題解決に役立つ方法を見極めることが質の高いウェビナーをつくる秘訣といえそうです。

顧客理解をマーケティングにどのように生かすべきか、その考え方と実践方法についてこちらの動画で詳しく解説しています。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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