基本ノウハウ
コロナ禍以降、ウェビナーに取り組むBtoB企業が増えてきました。ウェビナーはオフラインのセミナーと比べて、運営の手間や開催コストを削減することができます。加えて、ウェビナー開催には、BtoB企業ならではのメリットもあります。そこで本記事では、BtoBマーケティングにおけるウェビナー開催のメリットやウェビナー配信のポイント、集客方法などを解説します。最後にはBtoB企業のウェビナー事例も紹介しますので、ウェビナー企画・開催を検討している担当者はぜひ参考にしてください。
BtoB企業にとって、ウェビナーを開催するメリットは何でしょうか。ここでは、BtoBマーケティングにおけるウェビナー開催のメリットを3つ解説します。
一般的にBtoB企業はBtoC企業と比べて、ターゲットとなる顧客数が少ない傾向にあります。したがって、BtoB企業は自社の拠点があるエリアだけでなく、遠方の見込み顧客へもアプローチが必要です。
その点、オフラインのセミナーと比べて、移動の必要がないウェビナーは視聴のハードルが低く、全国各地から視聴者を集めることができます。仮に、宇都宮の企業に東京のオフラインセミナーに参加してもらうとなると、視聴者には新幹線の移動費で往復1万円程度、移動に往復2時間程度の負担が掛かります。それがウェビナーであれば、移動費・移動時間の負担を負わせずに、同じコンテンツを提供できます。
アプローチする範囲を広げ、より多くの見込み顧客を獲得したい企業にとって、ウェビナーは大きなメリットになるでしょう。
BtoB企業はBtoC企業と比較して、商品・サービスの検討期間が長期化する傾向にあります。この検討期間に、どれだけ見込み顧客と接点を持ち、育成できるかが、受注できるかどうかの分岐点となりえます。そして、この顧客接点および見込み顧客育成の手段として、ウェビナーは有効です。
例えば、既存の見込み顧客へ、導入事例をテーマにしたウェビナーを開催したとしましょう。すると、ウェビナーの開催によって、より具体的に導入を検討してくれるフェーズへ、見込み顧客を育成できるかもしれません。効率的に見込み顧客を育成するために、ターゲットに応じて、適切なテーマを設定して、ウェビナーを開催しましょう。
BtoB企業の中には、マーケティングに十分な人的・金的リソースを割けない企業も少なくありません。そうした企業にとって、ウェビナーには以下のメリットがあります。
オフラインのセミナーと比較して、ウェビナーは少人数での運営が可能なため、人件費や人的リソースが抑えられます。
また開催したウェビナーは、例えばオンデマンド配信したり、記事化したりと、コンテンツとして再利用も可能です。これは、とくにコンテンツ不足で悩むBtoB企業にとっては、メリットが大きいでしょう。
またある程度コンテンツを配信できているBtoB企業にとっても、新たなコンテンツを制作する手間がなくなります。余ったリソースを他の業務に充てることで、より効率的なマーケティングを展開できます。
続いて、BtoB企業向けのウェビナーを配信する際の、具体的なポイントを3つ解説します。
ターゲット層や目的に応じて、効果的なウェビナーの形態で配信しましょう。例えば、ターゲット層別のおすすめウェビナー形態は以下の通りです。
ターゲット層 | ウェビナー形態例 |
---|---|
明確層 (商品・サービスの検討もしくは興味を持っている) |
製品紹介ウェビナー |
顕在層 (悩み・課題を解決したい) |
顧客事例紹介ウェビナー |
準顕在層 (悩み・課題はあるが、解決法が分からない) |
ワークショップ型ウェビナー ノウハウ紹介ウェビナー |
潜在層 (この先、悩み・課題を持つかもしれない) |
著名人登壇ウェビナー |
また、ウェビナーの目的が「見込み顧客の獲得」なのか、それとも「見込み顧客の育成」なのかによっても、有効なウェビナー形態は異なります。
目的 | ウェビナー形態例 |
---|---|
見込み顧客の獲得 | 著名人登壇ウェビナー 複数社共催ウェビナー 業界トレンド紹介ウェビナー |
見込み顧客の育成 | 製品紹介ウェビナー 顧客事例紹介ウェビナー |
ターゲット層やウェビナーの目的を明確化した上で、ウェビナーの形態を選定しましょう。
アンケートを実施することで、視聴者(見込み顧客)の貴重な声を収集でき、今後の見込み顧客のフォローやウェビナー改善にも役に立ちます。アンケートの具体的な項目は、例えば以下が考えられます。
アンケート項目例 | 活用方法 |
参加者の情報(名前・会社名・連絡先など) | 顧客フォローやアポイント取りに利用する |
ウェビナーを知った理由 | 有効な告知手段と効果の薄い告知手段を区別する |
ウェビナーの満足度 | 次回以降のウェビナーの改善に使う |
商品・サービスへの関心度(検討度) | 見込み顧客の整理やアポイント取りに活用する |
興味・関心のあるテーマ | 次回以降のウェビナー企画のヒントにする |
ただし、アンケートへの回答は、視聴者からすると負担になります。そのため、回答者へ特典をプレゼントしたり、アンケート項目を絞り込んだりと、視聴者に答えてもらえるような工夫が必要です。
オンラインで開催されるウェビナーは、クリック操作で簡単に離席できてしまう点がデメリットです。とくに、日々忙しく働くBtoB企業の社員の場合は、離席するかどうかの判断がシビアな可能性もあります。そのため、視聴者に退屈だと思われないように、できるだけ視聴者もウェビナーへ参加できる構成にすることが大切です。具体的には、視聴者参加型のクイズを出題したり、質疑応答の時間を少し多めに設けたりする、といった工夫が考えられます。
BtoB企業がウェビナー実施時に欠かせないのが集客です。集客方法はさまざまですが、すべてを試すことは、予算的にも時間的にも難しいでしょう。そこで、ここでは新規ユーザーと既存顧客、それぞれにとくに効果的な集客方法を解説します。
新たな見込み顧客を獲得するために、これまで接点のなかった、新たなユーザーにウェビナーを視聴してもらいたい場合には、新規ユーザーへ広く周知できる、Web広告やSNS広告などを使った集客が効果的です。
Web広告とSNS広告は、どちらも広告を表示させるターゲット層を細かくセグメントできます。両者に出稿する場合には、ウェビナーで狙うターゲット層に向けて、ウェビナー視聴を訴求しましょう。またSNSについては、広告だけでなく、自社アカウントでの積極的な発信も欠かせません。
そのほか、著名人が登壇するウェビナーの場合には、プレスリリースでの発信も効果的です。
既存顧客を集客したい場合には、メルマガ(案内メール)やインサイドセールスによる電話営業での周知を優先させましょう。メルマガ(案内メール)を送る際には、本文を読んでもらうために、どのような課題を解決するウェビナーなのかを、件名でシンプルに表現することがポイントです。そのほか、常日頃、既存顧客と接点を持った際に、随時周知を進めていきましょう。
最後にBtoB企業のウェビナー事例を2件、紹介していきます。
株式会社アール・アンド・エー・シーは、クラウド型入金消し込みシステム「V-ONEクラウド」を含む、入金消し込みおよび債権管理を自動化する「Victory-ONEシリーズ」を展開しているBtoB企業です。
同社は、自社の見込み顧客向けに「V-ONEクラウド」の紹介や、システムのデモンストレーションを行うウェビナーを開催しています。もともとは対面セミナーを開催していた同社ですが、開催コストが高く、東京近郊からしか参加者を集められなかったことから、ウェビナーの開催にいたりました。
ウェビナー開催の結果、同社は開催コストの削減のほか、システムの周知も進められています。また同社ではウェビナー終了後すぐに、担当営業やインサイドセールスから電話によるフォローを実施しています。
参考:Cocripo「継続的に機能改善がされることで、使いやすさが徐々に向上していく点が気に入っています!」
株式会社インテージは国内最大手のマーケティングリサーチ会社です。マーケティング担当者を対象に、マーケティングの最新動向やデータの収集方法など、基礎から実践までを学べる「i-college(アイカレッジ)」と、サービス紹介を行う「i-seminar(アイセミナー)」の2つのウェビナーを展開中です。
同社は、開催済みのウェビナーを、オンデマンドで視聴できるようにすることで、視聴データを取得し、営業活動に生かす仕組みを整えています。なお、ウェビナーの参加者(視聴者)の約7割がアンケートを回答し、満足度は9割超を達成しています。
参考:ネクプロ「視聴履歴を確実に取得できる配信プラットフォーム Salesforceとの自動連係でデジタル化も推進」
ウェビナーは、開催すれば必ず成果が上がるとは限りません。成果を出すためには、本記事で紹介した通り、ターゲット層や目的に合わせてウェビナー形態を選択するほか、ターゲットに応じたより効果的な方法で集客をする必要があります。
これらのポイントを押さえたウェビナーをBtoB企業が開催することで、全国の見込み顧客へアプローチができるほか、見込み顧客の育成も進められるなど、大きなメリットを享受できます。とくにこれまでのマーケティング手法に行き詰まりを感じている方は、ウェビナーを活用したマーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。
本記事で紹介するメリットを十分に享受するために、以下ページのダウンロード資料も併せて参考にしてください。