基本ノウハウ
セミナーアンケートはその名の通り、セミナーの開催後に参加者の声を集めるアンケートです。BtoB企業のセミナーアンケートでは、集客や商談につなげる重要なツールとなります。しかし「セミナーアンケートにはどんな質問を入れたら良いのか」「簡単に作れる方法はないのか」と悩んでいる方もいるでしょう。
本記事ではセミナーアンケートの質問例や、作成時のコツを解説します。目的別のテンプレートや、無料で使えるWebアンケート作成ツールもあわせて紹介。ぜひ参考にしてみてください。
まずはセミナーアンケートとは何か、その概要について解説します。アンケート用紙とWebアンケートの違いも、あわせて押さえていきましょう。
セミナー後に実施するアンケートの目的は、見込み顧客の情報収集や商談への導線づくりです。セミナーアンケートを通じて得られる情報は、次のようなものが挙げられます。
セミナーアンケートで成約確度の高い見込み顧客が見つかれば、資料請求などを通じて商談へつなげることも可能なのです。
一口にセミナーアンケートと言っても、アンケート用紙とWebアンケートではメリットやデメリットが異なります。
対象 | アンケート用紙(対面) | Webアンケート(オンライン) |
---|---|---|
メリット | ・デジタルに不慣れな方(年配の経営者など)でも回答できる ・その場で回答できるため、回収率が高い |
・回答データを集計しやすい ・印刷や配布など物的コストや手間が少ない ・リアルタイムな集計が可能 |
デメリット | ・回答データの集計に時間がかかる ・集計に時間がかかるため、次のアプローチまでタイムラグが生じる ・印刷や配布など物的コストや手間が多い |
・回答が後回しになりがちで、回収率がやや落ちる ・回答者の属性が偏る(デジタルに慣れた方がメイン) |
近年ではWebでのオンラインセミナー(ウェビナー)が普及し、それにともないWebアンケートも急増しました。対面でのセミナーでも、回収・分析のしやすさからWebアンケートを実施するケースも増えています。回収率を上げるために、配布資料へWebアンケートのQRコードを添付する工夫も。
見込み顧客の情報を効率的に集めたい場合は、Webアンケートの作成も視野に入れていきましょう。
アンケートに盛り込むべき質問の例は、下表の通りです。
質問内容 | 質問の目的 | 例 |
---|---|---|
属性データ | セミナーの申し込み情報とアンケートの情報をひも付けるため | ・メールアドレス ・名前 ・性別 ・会社名 ・電話番号 |
満足度 | ・セミナーと参加者が期待する内容にズレがないか確認するため ・満足度を高めて、次回以降の参加者を増やすため |
・全体的な満足度 ・要素ごとの満足度(時間配分、スタッフの対応など) |
課題やニーズ | 次回以降のセミナー内容や自社製品などの開発・販売活動に生かすため | ・ビジネス上の悩み ・参加しやすい開催日時 |
セミナーを知ったきっかけ | 流入元を分析するため | ・WebサイトやSNS、メルマガなど |
セミナーで取り上げてほしいテーマ | 継続参加してもらい、関係性を構築していくため | ・自由記述 |
自社製品やサービスへの興味 | 商談確度の高い見込み顧客を発見するため | ・選択記述式(興味がある、資料を見てみたいなど) |
その他 | 参加者が伝えたいことを抜け漏れなく聞き取るため | ・自由記述 |
上記を基本として、自社が知りたい内容を踏まえたセミナーアンケートを作成していきましょう。
なお、BeMARKEでは、セミナーアンケートの質問項目をまとめた質問集をご用意しています。
「集客」「満足度」「商談獲得」など、目的別に質問項目をまとめていますので、ぜひご活用ください。
効果的なセミナーアンケートを作り上げるためには、次のようなコツや注意点を押さえることが大切です。
それぞれ詳しく解説します。
セミナーアンケートを作成する際は、目的やゴールを意識しましょう。目的やゴールが不明確なままだと、不必要な質問を盛り込む可能性があり、セミナーアンケートを有効活用できません。
セミナーアンケートで何を知りたいか、そして何に生かしたいかを明確にすることが大切です。例えば目的をセミナーの質向上、ゴールを参加人数アップとすると、セミナーに対する満足度や次回以降に取り入れてほしいテーマなどが必要になります。
セミナーアンケートに盛り込むべき質問内容を取捨選択するためにも、目的やゴールはあらかじめ明確にしておきましょう。
セミナーアンケートの回答率を上げるためには、質問項目の数や順番に配慮する必要があります。回答者の心理的負担を減らし、有効な回答をより多く得るためです。
例えばセミナーアンケートをパッと見たときに膨大な数の質問項目があると、面倒に感じて回答してもらえません。あるいは、はやく終わらせてしまおうと回答が雑になってしまう可能性も。
そのため、質問項目の数はアンケート用紙であればA41枚、Webアンケートなら少しのスクロールで収まるようにしましょう。Webアンケートで1ページ1質問の形を取る場合は「残り〇ページ」と表記すると親切です。
またセミナーアンケートは、序盤のほうが回答者も集中力があります。優先度の高い質問は序盤に配置し、かつ項目選択式にすると有効回答を多く得られるでしょう。
セミナーアンケートの質問は、具体的な言葉で書くのもポイントです。あいまいな言葉での質問は「何が聞きたいのか?」と参加者を悩ませてしまい、心理的負担をかけます。また回答の方向性が参加者によってバラバラになり、役立つ情報が得られにくくなることにも。
例えば「印象に残った内容は何ですか?」ではなく、「印象に残った言葉や考え方は何ですか?」と書くとより具体性のある回答が得られるでしょう。参加者が普段よく使いそうな単語を含めると、回答意欲が高まり無回答や的外れな回答を防げる効果も期待できます。
セミナーアンケートには個人情報や企業情報を記載するケースが多いため、プライバシーポリシーを明記することも大切です。情報の利用目的を記載し同意を得ること、かつ第三者への情報提供はない旨を明記しましょう。
プライバシーポリシーと利用の実態に差があると、のちのちトラブルに発展しかねません。特にテンプレートを活用する際は、プライバシーポリシーの部分を自社に合わせてアレンジすることを忘れないでください。
セミナーアンケートの回答率は、特典を用意しておくと上がりやすくなります。特典の内容はセミナー資料の配布や、無料相談の受付など。
セミナーの冒頭でアンケートがあること、回答してくれたら特典があることについて触れておくとより効果的です。オンラインセミナーの場合は、通信チェックのチャット内にアンケートページのURLを送付すると良いでしょう。
では実際に、どのようなセミナーアンケートを作れば良いのでしょうか。ここでは、目的別のテンプレートを3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
こちらはさまざまな情報を収集できるため、営業やマーケティングにもつなげられるテンプレートです。セミナーを知ったきっかけからは、流入元を分析できます。
セミナーアンケート
令和〇年〇月〇日
セミナーアンケート
本日は当社のセミナーへご参加いただき、ありがとうございました。
恐れ入りますが、以下のアンケートへのご協力をお願いいたします(全8問)。
【お名前】 【貴社名】
問1:本セミナーを知ったきっかけはどれですか。
▢Webサイト ▢メルマガ ▢SNS ▢インターネット
▢その他( )
問2:本セミナーの満足度についてお聞かせください。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問3:本セミナーに期待していた内容は得られましたか。
▢得られた ▢少し得られた ▢どちらでもない ▢あまり得られなかった ▢得られなかった
問4:問3で回答した理由をお聞かせください。
( )
問5:次回のセミナーで取り上げてほしいテーマがあればお聞かせください。
( )
問6:当社の「〇〇(製品またはサービス名)」をご存じですか。
▢知っている ▢知らない
問7:問6で「知っている」を選択した方へ
当社の「〇〇(製品またはサービス名)」に興味はございますか。
▢詳しい説明を聞いてみたい ▢資料を読んでみたい ▢無料デモを借りたい ▢興味がない
▢すでに導入している
▢その他( )
問8:その他、今回のセミナーや弊社へのご要望がありましたらお聞かせください。
( )
ご協力ありがとうございました。
こちらは顧客のニーズや課題を把握しつつ、メールアドレスの情報を得ることで接点を維持できるテンプレートです。自社製品やサービスについて自然と質問できるよう、セミナー内でその内容に触れておく必要があります。
令和〇年〇月〇日
セミナーアンケート
本日は当社のセミナーへご参加いただき、ありがとうございました。
恐れ入りますが、以下のアンケートへのご協力をお願いいたします(全8問)。
【お名前】 【貴社名】
問1:本セミナーの満足度についてお聞かせください。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問2:本セミナー内で紹介した〇〇(製品またはサービス名)はご存知ですか。
▢知っていた ▢知らなかった
問3:本セミナーに参加して〇〇(製品またはサービス名)に興味がわきましたか。
▢興味がある ▢やや興味がある ▢どちらでもない ▢あまり興味がない ▢興味がない
問4:〇〇(製品またはサービス名)について魅力に感じた点があればお聞かせください。
( )
問5:〇〇(製品またはサービス名)について知りたいことがあればお聞かせください。
( )
問6:ビジネスで抱えている課題やお悩みがあればお聞かせください。
( )
問7:弊社では自社製品の最新ニュースやお役立ち情報をメルマガにて配信しています。
配信をご希望の方は、メールアドレスをご記入ください。
【メールアドレス】
問8:その他、今回のセミナーや弊社へのご要望がありましたらお聞かせください。
( )
ご協力ありがとうございました。
こちらはセミナーの各要素に関する満足度を聴取し、優先的に改善すべき点を洗い出す際に使えるテンプレートです。印象に残った言葉や考え方について尋ねることで、参加者の琴線に触れる内容つまり潜在ニーズも垣間見れます。
令和〇年〇月〇日
セミナーアンケート
本日は当社のセミナーへご参加いただき、ありがとうございました。
恐れ入りますが、以下のアンケートへのご協力をお願いいたします(全9問)。
【お名前】 【貴社名】
問1:本セミナーの満足度についてお聞かせください。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問2:内容の分かりやすさはご満足いただけましたか。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問3:進行のスピードはご満足いただけましたか。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問4:スタッフの対応にはご満足いただけましたか。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問5:セミナーの参加費用はご満足いただけましたか。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問6:セミナーを開催した会場はご満足いただけましたか。
▢満足 ▢やや満足 ▢どちらでもない ▢やや不満 ▢不満
問7:今回のセミナーで印象に残った言葉や考え方があればお聞かせください。
( )
問8:今後のセミナーで取り上げてほしいテーマがあればお聞かせください。
( )
問9:その他、今回のセミナーや弊社へのご要望がありましたらお聞かせください。
( )
最後にオンラインセミナー(ウェビナー)を開催するBtoB企業向けに、Webアンケートを無料かつ簡単に作れるツールを3つ解説します。
アンケート作成ツールの導入を検討中の方は、1つずつチェックしていきましょう。
Googleフォームは、Googleが提供しているWebアンケート作成ツールです。無料版では15GBまで利用できます。主な機能は、次の通りです。
提供元がGoogleのため、無料版でも通信の暗号化や監視体制などセキュリティシステムも万全です。手軽にWebアンケートを作りたい、かつセキュリティ面でのトラブルは避けたいという企業におすすめの作成ツールです。
なお有料版(1,360円/月~)では、利用できるデータ容量が2TBまで増えます。フォームの一元管理が可能になったり、充実したカスタマーサポートを受けられたりするため、本格的にGoogleフォームを使い続けたい場合は有料版への移行も検討しましょう。
formrunは、株式会社ベーシックのWebアンケート作成ツールです。テンプレートは40種類以上あり、ほとんどの項目はクリック操作だけで済みます。そのため、デザインやプログラミングの知識がない方でも簡単にアンケートの作成が可能です。主な機能は、次のようになっています。
なおformrunでは無料版でも設問数に制限がなく、充実したアンケート内容の作成が可能です。また有料版(3,800円/月~)では、CSVデータをダウンロード可能。アンケート内容を詳細に分析したい場合は、有料版への移行も1つの方法です。
SELECTTYPEは、株式会社セレクトタイプのWebアンケート作成ツールです。通常のアンケートだけでなく、会員限定のアンケートも作成できる点が特徴的です。主な機能は、次のようになっています。
上記を含めた全機能は、無料・有料問わずすべて利用可能です。有料版(1,500円/月~)になると、フォームの作成数や設問数が増えます。メルマガ登録者など特定の顧客を対象としたアンケートを実施したい場合は、一度利用してみてはいかがでしょうか。
セミナーアンケートの目的は、顧客情報の収集や商談への導線づくりです。オンラインセミナーが普及した近年では、Webアンケートの活用も増えています。
セミナーアンケートの質問例はさまざまありますが、作成前に何を知り何に生かしたいかをよく考えることが大切です。また参加者の心理的負担を軽減して有効な回答を得るためにも、質問項目の数や書き方に注意する必要があります。
テンプレートや便利なツールを適宜活用しながら、自社事業に役立つセミナーアンケートを作成していきましょう。