基本ノウハウ
サイト運営を行う際、非常に重要な作業の一つとしてアクセス解析があります。アクセス解析を正しく行い、その結果に応じた施策を講じていくことが、サイト運営成功の絶対条件と言っても過言ではないでしょう。ここでは、アクセス解析の具体的な意味やそこからわかる情報、見るべき指標などについて解説した上で、アクセス解析を行うための具体的なステップやツールについても紹介します。
アクセス解析とは、自社のWebサイトを訪問したユーザーの数や属性、行動などを可視化し分析する作業のことです。アクセス解析をすることで、どのようなユーザーが訪問しているのかが分かるようになるのはもちろん、そこから自社サイトの強みや弱みを発見することで、次に行うべき施策がより明確になってくるなど、サイト運営においては欠かせない作業の1つといえるでしょう。
アクセス解析では、サイトを訪問したユーザーの数だけでなく、さまざまな情報を収集することが可能です。
アクセス解析によって得られる代表的なデータには以下のようなものがあります。
こうしたデータは、単体で使うことができるのはもちろん、複数の条件を掛け合わせて使うことも可能です。例えば人気のページはどういった流入経路からユーザーが来ているのかや、コンバージョンしたユーザーの属性に特徴はあるのか、といった使い方をすれば、より具体的にサイトの強み弱みを発見することができるでしょう。
アクセス解析を効果的に行うためには、そこで用いられる指標について正しい認識を持っておくことが大切です。アクセス解析における代表的な指標を紹介します。
指標 | 意味 |
---|---|
PV数・アクセス数 | 特定のページの閲覧回数を示す数字。アクセスされる度に数字がカウントされるため、一人が同じページに3回アクセスした場合も、3人が1回ずつアクセスした場合も、PV数・アクセス数は同じ「3」となります。 |
セッション数(訪問数) | Webサイトが訪問された回数を示す数字。PV数・アクセス数とは異なり、一人のユーザーが複数のページを見たとしても、数字がカウントされることはなく「1」のままです。セッション数とPV数・アクセス数に差がない場合、一人のユーザーが複数のページを見てくれていないと考えることができます。 |
UU(ユニークユーザー)数 | サイトを訪問したユーザー数を示す数字。同一人物が複数のページを見ても数字がカウントされることはなく「1」のままで、別のユーザーが訪問してくることではじめてカウントされて「2」となります。 |
回遊率 | 一人のユーザーがサイト内の別ページをどのくらい見ているかを示す数字。「PV数÷セッション数」で求められ、この数値が高いほど、ユーザーはサイト内を回遊してくれていると判断することができます。 |
離脱率・直帰率 | ページから離脱したユーザーの割合を示す数字。離脱率は複数のページを見た後で離脱したユーザーを表し、直帰率は一つのページだけを見て離脱したユーザーを表します。特に直帰率が高い場合は、ユーザーが求める情報を届けられていないなど、コンテンツの中身を見直す必要があるかもしれません。 |
CVR(コンバージョン率) | サイトを訪れたユーザーの中で、コンバージョンに至った割合を示す数字。コンバージョンは、会員登録や商品購入などサイトによってさまざまですが、サイトの目標を達成できた割合と考えれば相違ないでしょう。「コンバージョン数÷セッション数」で求められ、その数値が高いほど、サイトの効果性が高いと判断できます。 |
アクセス解析の概要や覚えておくべき指標について理解したところで、次はアクセス解析を行う3つの目的について見ていきましょう。
アクセス解析は、以下の3つの情報を知るために行います。
サイトの改善を行いたいと思っても、現状を詳しく知っていなければ、効果的な改善を行うことはできません。そうした現状を正しく把握するために用いられるのが、アクセス解析です。
PV数やセッション数はもちろん、どのようなユーザーが訪れているのか、彼らはどのようなページを見ているのかなどをアクセス解析によって細かく分析しましょう。そうすることで、現状のサイトの課題が明確になり、具体的な改善策が見つけられるようになるはずです。
現状を把握するだけではなく、個別に行った施策の効果を測定する場合にも、アクセス解析は有効です。
例えば、広告を出したことでPV数やセッション数はどれだけ上昇したか、訪れるユーザーの属性に変化はあったかなどを確認すれば、改善施策の成否を判断できるでしょう。また、サイトのデザインや導線を見直した後に、コンバージョン率がどれぐらい上がったかを確認することで、リニューアルの効果測定を行えます。
そうして成功のパターンと失敗のパターンを蓄積していけば、サイト運営をより効率的に行っていくことができるようになります。
サイト運営の目標に対し、現時点でどのような状況となっているのかを定点観測する際にも、アクセス解析は効果を発揮します。
例えば今月達成すべき目標に対し、月半ばでその目標の半分にも満たない数値であれば、何かしらの改善策を打っていく必要があるでしょう。定点観測のためのアクセス解析をしないままだと、こうした課題に気づかず、目標達成のチャンスを逃してしまったり、場合によっては改悪をしてしまったりするケースもありえます。
サイト運営の成果は日々しっかりと観測し、その時々に応じて素早く対応していかなければなりません。
アクセス解析を行うためには、環境の整備や目標、仮説の設定が欠かせません。効果的なアクセス解析を実施するためのポイントを、以下の4ステップに沿って解説します。
STEP1|データ収集できる環境の整備
STEP2|KGI・KPIの設定
STEP3|仮説の設定
STEP4|定期的にデータの収集・分析
まずは、正しくデータ収集できる環境を整備します。例えばGoogle Analyticsのタグを複数挿入してしまうと、二重に計測されて実際のデータよりも多く集計されてしまったり、直帰率が通常よりも明らかに低くなってしまったりといった問題が発生します。担当者変更による引き継ぎなどでこの問題は生じやすいため、タグの管理はGoogleChromeの拡張機能である「Tag Assistant」を利用するなどの対策を施しましょう。
また、同一コンテンツが複数URLで分散して集計されたり、自社IPのアクセスがカウントに含まれたりすることも、正確なデータ収集・分析を阻害します。事前にカスタマイズなどを駆使して細かく設定することで、データ収集のための環境を整えましょう。
アクセス解析は漫然と行っても改善につながりません。最終的な目標であるKGIと、KGIを達成するための中間目標となるKPIを設定し、「これらを達成するために何を改善すべきか?」という観点でデータを見ていきます。
KGI(Key Goal Indicator)は重要目標達成指標という意味で、ビジネスにおける最終目標の達成度合いを図るための指標です。「毎月〇件の資料請求を獲得」「毎月〇件の会員を獲得」「リピート率を年間〇%アップ」といったように、サイトの目的や最終的に得たい成果によってKGIは異なってきます。自社サイトが最終的に目指すゴールは何かを明確にし、具体的な数値とともにKGIを設定しましょう。
KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標という意味で、KGIを達成するための中間目標のことを指します。また、KGIを達成するための具体的な施策をCSF(Critical Success Factor)と呼びます。例えばKGIを「毎月〇件の会員を獲得」とした場合、CSFは「PV数アップ」「リピート率アップ」「回遊率アップ」などが考えられます。このようなCSFをもとに、「検索流入を毎月〇件」「Web広告からの流入を毎月〇件」「リピーターの比率〇%」といったKPIを設定しましょう。
KGIとKPIを設定した後は、それらを達成するための要素や課題の仮説を立てましょう。考えられる仮説を立てた上でアクセス解析を行うと、重点的にチェックすべき指標が明らかになり、効率的な分析が実現できます。逆に、仮説を立てなければどの指標を見るべきかが分からず、有益なデータを見いだすことができなくなるでしょう。仮説をアクセス解析によるデータで裏付けし、改善を繰り返すことで、サイトは成長していくのです。
アクセス解析は、定期的かつ継続的にデータを収集してこそ真価を発揮します。数か月に一度程度では足りず、できれば毎日アクセス解析を行い、数値の動きの特徴や傾向を把握することをおすすめします。また、分析したデータは週に一度などのペースで蓄積していくと、その後の分析に役立てられるでしょう。ExcelやGoogleスプレッドシートにデータを蓄積したり、自動レポーティング機能のあるツールを活用したりして、効率的にデータ収集・分析を行います。
アクセス解析はツールがなければ正確なデータを収集・分析することができません。ここからは、アクセス解析に使える以下の4つのツールについて、概要や特徴を紹介します。
アクセス解析ツールの代表的存在であるGoogle Analyticsは、多くの企業で導入されています。Google社が無料で提供しており、タグを挿入するだけでPV数や直帰率、ユーザー属性などが集計できます。ユーザーがどこからサイトに訪れて、どのページを閲覧して、どの程度コンバージョンしたかといったように、サイト上での行動を分析することで、ボトルネックとなっている箇所の発見・改善が可能です。Google Analyticsを活用しPV数やコンバージョン数などを向上させていきましょう。
またツールのカスタマイズによってより深い分析を行えるようになります。Google Analyticsは導入実績が豊富なため、ネット上に多数の情報が公開されています。情報収集した上で、自社にとって最適なカスタマイズを施しましょう。
Google Search ConsoleはSEOに有効な無料のアクセス解析ツールです。ユーザーの検索キーワードに対する自社サイトの表示回数や平均掲載順位、クリック数などを分析できるだけでなく、サイトにおけるSEOの課題点まで表示されます。ユーザーがサイトに訪れる前の状況や課題を分析できるため、流入数向上につながる改善施策が検討できます。また、流入検索キーワードを分析することで、見込み顧客が抱えているニーズを把握することも可能です。分析したキーワードを元にコンテンツを拡充させるなど、さまざまな使い方ができるでしょう。
KARTEは顧客の行動ログを独自のエンジンでリアルタイムに解析・統合し、顧客一人ひとりにマッチしたコミュニケーションを実現するためのアクセス解析ツールです。有料のサービスですが、工数をかけずにサイト改善や仮説検証を行えるのが強みです。サイト上に顧客の状況にあわせた情報を表示する「Web接客」やノーコードで実施できる「ABテスト」、セグメントごとのコミュニケーションを実現する「マーケティングオートメーション」など幅広い機能が搭載されています。一人ひとりの顧客体験を向上させ、ユーザーロイヤルティを向上させるためのアクセス解析を実施したい場合におすすめです。
KARTEの詳細については、「顧客の行動を可視化し、一人ひとりに合わせた体験を提供する【KARTE】」の記事もご覧ください。
Mouseflowは、ユーザーのストレスを取り除いてコンバージョンを増加させるための有料アクセス解析ツールです。各ユーザーのクリックやマウスの動き、スクロールの状況が録画され、そのデータにもとづいて直感的に使いやすいサイトへと改善できます。また、ユーザーの利用動向がヒートマップとして可視化されるため、コンバージョンを妨げる要因や興味を惹いているコンテンツなどを視覚的に理解できます。
Mouseflowの詳細は「「多種多様な分析機能」と「ノウハウの提供」のセットで確実に成果へと導く【mouseflow】」の記事も参照してください。
アクセス解析の概要や目的、進め方について解説してきました。サイト運営にはアクセス解析が欠かせません。今回紹介したアクセス解析ツールなどを活用し、データ収集を行った上でサイト改善につなげていきましょう。また、改善は一度実施して終わりではなく、その後も定点観測して改善のPDCAを回し続けることが重要です。アクセス数やコンバージョン数を伸ばし、サイトのKGIを達成するためにも、アクセス解析のスキルを向上させましょう。
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