インタビュー
マーケティング施策を推進するうえで、Webサイトの効果測定は重要な取り組みの1つです。効率的にWebサイトを分析するツールはさまざまあるなかで、自社にとっての導入の必要性や活用法をつかみきれていないBtoB企業のWeb担当者は少なくありません。ツール導入の最適なタイミングや成果につながる活用法について、Webサイト分析ツール「mouseflow」を提供する、株式会社Apollo11の代表取締役・吉丸彰氏にお聞きしました。
株式会社Apollo11は、「情報洪水におぼれている人をソフトウェアで助ける」をビジョンとして掲げているSaaS企業です。現在はmouseflowの提供と付随するコンサルティング業務、今後リリース予定のマーケティングに関するプロダクトの開発を行っています。
弊社の事業について説明をする際、よく「マーケティングに特化したR2-D2*をつくる」とお話しています。ユーザーが事業としてやりたいこと、やるべきことの情報がたくさんある中で、「あなたにとってこれがおすすめですよ」と示してくれるロボットづくりを目指しています。
*映画「スターウォーズ」シリーズに登場するドロイド(ロボット)。高度な電子頭脳を持ち、宇宙船の整備士や、戦闘機パイロットの補佐などさまざまな役割をこなす。
mouseflowはいわゆる「ヒートマップツール」です。サイトを訪れた人がどのコンテンツに触れたのか分析をすることで、より効率的なサイト運用につなげることができます。
一人ひとりのユーザーデータを基に作っているため、サイトの各コンテンツに触れた顧客体験そのままを再現することが可能で、コンバージョンする人の動きを分析し、勝ちパターンをビジュアライズ化できることが大きな特徴です。
また、ヒートマップツールの他に「レコーディング機能」「フィードバック機能」「ファネル機能」「フォーム分析機能」が内包された複合分析ツールとなっているため、一般的なヒートマップツールより詳細な分析をすることが可能となります。
Webマーケティングのシンプルなプロセスは、
・Webサイトに人を連れてくる
・サイトを訪れた人にアプローチをする
の2点だと考えています。
アナリティクスでは、サイトに何人が訪れて、どういった変化があったかといった「結果」のみを知ることができますが、コンバージョンが0件だったキャンペーンがあったとしても、サイトに来た人が想定ターゲット層ではなかったから結果が悪かったのか、アプローチ方法が間違っていたのかという「真の原因」を明確に分析するところまでに至らず、次の実験に進んでしまう企業が実はとても多いのです。
そのような企業に向けて、結果だけではなく原因も明確化できるソフトウェアとしてmouseflowが開発されました。mouseflowを活用すれば、「広告からサイトに誘導した人が間違っていたのか」「広告運用時点でミスがあったのか、あるいはサイトの訴求問題があるのか」という範囲まで分析ができるため、素早くサイトの改善が可能となります。
集客活動の分析を行う際、決して安くない資金を投資しても「コンバージョンが0だった」、という場合が少なからずあります。
例えばリスティング広告の場合、結果が出なかったというだけで「うちの会社はリスティング広告が合わない」と諦めてしまいがちですが、実際はリスティングそのものとの相性が悪いわけではないケースが多くあります。ここでmouseflowのアンケート機能を使うことで、何が原因となってインターネット広告で成果を得られなかったかが分かります。
製品を取り扱うサイトであれば、その商品を検討しているかどうかをアンケート項目にすると、アンケート結果から「検討していない」が5割を超える場合、「リスティング広告のキーワード運用が粗い」、「想定ターゲット層を広告からサイトへ誘導できていない」などの原因が明らかになる。これはほとんどの広告そのものが上手くいっていないケースに該当しますが、こうした分析結果から広告の訴求方法の切り替えるきっかけをつかめるのです。
また、アンケートはFacebookやGoogleディスプレイ広告など、各チャネルで分けることができるので、正しく広告チャネルが機能しているかを確認するためにも利用をおすすめしています。
現在のmouseflowのユーザーは、全体で3000社ほどいらっしゃいます。そのうち有料プランをご契約頂いているのは500ユーザーで、中小零細企業から上場企業、また個人事業主の方まで幅広い業種業態に選ばれています。
企業のWeb担当者やインターネット広告代理店、制作会社の方がメインユーザーです。マーケティングレベルもさまざまですが、ビジネスプラン以上をお使いのユーザーはサポート時にもテクニカルな質問が多い印象です。
現在は潜在ユーザーの獲得も目指しているため、二次代理店制度を設け、二次代理店に弊社のノウハウを提供し、そこから裾野を広げる試みを始めています。
mouseflowの導入していただくタイミングは、今まさにインターネット広告を実施している時期です。コンバージョン率が0の場合でも、Webマーケティングのプロセス上どこに問題があったのかが分析でき、対策を打つことでコンバージョン率の向上ができるため、広告効率を上げることが可能なため、弊社としても推奨するお勧めのタイミングです。
ただ、導入時に注意していただきたいのが、アクセス数が少ないケースです。例えば月間のアクセス数が200セッションより下ですと、分析できるデータが少なくなり、改善してもインパクトが小さくなってしまいます、最低200セッション以上はデータがある状態であれば、効果的な活用につながります。
実は、ヒートマップツール自体は誰でも簡単に作ることが出来ます。ツールを開発している多くの企業と比較をした際、当社の強みというのは「精度の高さ」と「培ってきたノウハウ」だと考えています。
mouseflowに搭載されたレコーディング機能は、単純にクリックやタップの動きを録画しているだけではありません。動きの座標を記録して極めて実際に近い動きを再現しているので、他社のようなカクカクとした機械的な動きではなく、実際に人間が触っているかのような滑らかな動きを再現しています。
弊社は他社と比べても長い間ヒートマップツールの提供を続けてきました。だからこそヒートマップツールを効果的に活用できるノウハウを持ち、現在はそのノウハウの提供もサービスの一部になっています。
mouseflowの提供を始めてから6年以上経過していますが、今でも自信を持って送り出せるツールです。コンバージョン率を上げるというプロジェクトを過去に弊社内で実施した際、0を1にするための施策に失敗したことはありますが、1を2に、そして100にするケースでの成功率は100%です。そのくらい「使えるツール」ではありますが、ユーザーサポートの過程で見えたのは、それぞれの企業がmouseflowの性能を100%引き出しているとは言い難い状況でした。
mouseflowのチャーン率(解約率)は平均すると5%程度ですが、内訳を見ると長期間契約のユーザーと短期間で解約するユーザーに分かれています。その中でも、「どの機能を使うのが最適なのか」がわからないことが原因で離脱してしまうユーザーの継続を促すため、一部の有料会員の方に向けて「御用聞き」のサポートを開始しました。この御用聞きでは、現状困っていることを解決するだけでなく、こちらから「こういう使い方をすると成果が出ますよ」というご提案をさせてもらっています。
元々、mouseflowのサービスサイトでは無料で動画などのオンラインマニュアルを公開していましたが、それに加えて希望される方にはスタッフを派遣して、有料の研修サービスも実施しています。
「使いこなしてもらえればツールとして手放されない」という確信があるので、サポート活動に力を入れています。
現状は、さまざまな機能があり、ユーザーが自由に機能をお使いいただく状態です。スタッフが必要に応じて個別に機能利用のご提案をしていますが、今後はソフトウェア自身が「データ分析の結果○○がおすすめです」と選択肢の提示ができるようになることを目指しています。さらに、ビッグデータから勝ちパターンを自動で割り出す機能の開発にも注力しています。
「ヒートマップツール」と銘打つだけで売れる時代は終わったと思っています。これからは活用方法や成果の出し方などのノウハウとセットでサービス提供をしていく予定です。
※情報は2022年8月19日取材時点
「広告から流入したユーザーのCVまでの行動を解明する」という目的のもとに、一貫してサービスが開発されている点が特長です。ユーザーの行動を分析しながら、自社で用意した(想定した)CVまでの流れの「どこに問題があるのか」を明確にできる機能を有しています。
今後はユーザーデータの分析、およびそこからの勝ちパターンの提示を目指すとあり、分析対象となるデータをどの程度獲得できるか、そこからどのように体系化していくのかが注目されます。
【取材・執筆:株式会社スキマタイズ、編集:BeMARKE編集部】
現在、BtoBマーケター向けに、課題解決策の1つとしてベンダー企業のソリューションサービスを記事で紹介しています。BeMARKメディアでの記事掲載が可能な企業様はお問い合わせフォームよりお知らせください。
【募集要項】
■対象:BtoBマーケター向けにサービス、システムなど商材を提供しているベンダー企業
※サンプル:https://be-marke.jp/categories/interview
■条件:オンラインでの取材にご協力いただける企業。取材対象サービスが正式ローンチから半年以上経過していること。取材前に編集部より事前に案内するヒアリングシートの回答に協力できること。
■費用:謝礼のお支払いおよび記事掲載料請求はありません。
■注意事項:応募多数の場合や商材内容によってはお断りする場合がございます。掲載時期やヒアリング項目の指定はできかねます。目安として、取材から約1か月後の記事公開を予定しています。
【お問い合わせフォーム】https://be-marke.jp/contact
→取材を希望するサービス名、サービスサイトURLなどをお知らせください。担当者より折り返し連絡いたします。
コンバージョンを増加させる為の高機能ウェブサイト分析ツール。Mouseflowを使うと、感覚的に使いやすいサイトデザインを行うことが出来るようになり、コンバージョンと売上の増加を促進します。