基本ノウハウ
最初に直帰率と離脱率の意味と両者の違いについて解説します。
直帰率とは、サイトの訪問(セッション)数のうち、最初に訪れたページだけを閲覧してサイトを離れた数の割合です。例えばあるサイトの1日の訪問数が100、そのうち最初に訪れた1ページ目だけを見てサイトを離れた数が40だとすると、直帰率は40%になります。
基本的には直帰率は低ければ低いほど、サイト内のさまざまなコンテンツを見ているユーザーが多いことを意味するため、サイトに対するユーザー満足度も高いことが推測されます。
<直帰率に関する注意点>
サイトやコンテンツの特性によっては、必ずしも「直帰率が低い=良いサイト・コンテンツ」とは限りません。それはユーザーのニーズに応えるコンテンツを提供できていないために、直帰率が低くなることがあるためです。
例えば、機能の優れたマーケティングツールを探そうと、ユーザーが「高性能 マーケティングツール」と検索したとしましょう。このときユーザーが訪れた1ページ目で、十分な量の高機能マーケティングツールが紹介されていれば、ユーザーは満足して1ページ目でサイトを離れるかもしれません。
一方、例えば1ページ目ではマーケティングツールの選び方だけが紹介され、「高機能のマーケティングツールはこちらの記事でチェック」とリンクが貼り付けられていたらどうでしょうか。たしかに直帰率は低くなるかもしれませんが、ユーザーは余計なストレスを感じているはずです。
このように、必ずしも「直帰率が低い=ユーザーにとって良いサイト・コンテンツ」とは言えない点は頭に入れておきましょう。
離脱率とは、特定のページの訪問(セッション)数のうち、その特定のページを最後にサイトを離れた数の割合です。例えばAページの訪問数が100、そのうちAページを最後にサイトから出た数が20の場合、離脱率は20%になります。直帰率と同様に、離脱率が低いページは、基本的にはユーザーに興味・関心を持たれている可能性が高いと考えられます。
<離脱率の注意点>
離脱率も直帰率と同じく、一概に「高いから悪い」というわけではありません。例えば、お問い合わせページや申し込みページは、そのページで目的を達成したため「離脱するユーザーが多い=離脱率が高いこと」が考えられます。ただし商品・サービスの紹介ページといった、ユーザーが興味・関心を持って閲覧していると考えられるページの離脱率が高い場合は、改善が必要でしょう。
直帰率と離脱率の違いは、以下の図の通り、ユーザーの行動が1ページ目だけを見てサイトを離れた「直帰」なのか、複数ページを見たあとにサイトを離れた「離脱」なのかです。前者の割合が直帰率、後者の割合が離脱率になります。
直帰率と離脱率、両者ともに「訪問(セッション)を終えた割合」であることは同じです。ただしそれが「直帰」なのか「離脱」なのかによって、直帰率もしくは離脱率に分けられます。
直帰率と離脱率は、Googleが提供するアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を用いて、以下の手順で確認できます。
<直帰率と離脱率の確認方法>
こちらがサイト全体の直帰率・離脱率の数字です。
一方、こちらがページごとの直帰率・離脱率の数字です。
注意点として、直帰率・離脱率を確認できるのは既存の「ユニバーサル アナリティクス プロパティ」というバージョンのみです。最新の「Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)」では、 「閲覧開始数」や「離脱数」という表現になっており定義もやや違っています。
GA4においては「離脱数」が離脱率の概念に近い指標ですが、割合を求めるためには別途計算を行わなければなりません。また、直帰率という概念はGA4にも残っていますが、「エンゲージメントのなかったセッションの割合」に定義が変更されています。詳しくは下記の記事内にある「UAから変更になった主要指標」を参照してください。
関連記事:これから始めるGA4の使い方!基礎・初期設定の手順・実践例まで解説
直帰率と離脱率は低ければ低いほど、ユーザーに興味・関心を持たれるコンテンツを提供できている可能性が高いと推測されます。ではそれぞれどれくらいの%を目安にすれば良いのでしょうか。ここではBtoC・BtoBサイトの直帰率・離脱率の目安を紹介します。
BtoCサイトの直帰率の目安は「20~55%程度」、BtoBサイトの直帰率の目安は「25%~60%程度」といわれています。この目安を参考にするならば、おおよそ2訪問(セクション)に1訪問程度は、直帰せずに複数のページを見てもらえるように工夫を凝らすと良いかもしれません。
ただし、コンテンツの特性やジャンル、時期などさまざまな要因により、直帰率は上下します。また例えば、ユーザーが1つの明確な意図を持って訪問する傾向にある「お問い合わせページ」とさまざまな商品を比較・検討するユーザーが訪れる「商品紹介ページ」では、前者の方が直帰率は高くなりやすいと考えられます。
このため基本的には直帰率を低くする方針でサイトの改善を進めつつも、直帰率が高いことをそれほど気にしなくても良いページがあることも頭に入れておきましょう。
参照:CXL「Bounce Rate Benchmarks: What’s a Good Bounce Rate, Anyway?」より
参照:Brafton「Brafton 2017 Content Marketing Benchmark Report」より
BtoCサイト・BtoBサイト、両者の離脱率の目安は公表されておりません。このためサイト内で相対的に離脱率の高いページと低いページを整理し、離脱率の改善が必要なページについては、パーセンテージを下げる施策を進めるようにしましょう。
最後に直帰率・離脱率の高さに悩む方向けに、直帰率・離脱率が高くなる原因およびその改善方法を紹介します。
ページの表示速度が遅いと、ユーザーはストレスを感じ、直帰率・離脱率が高くなります。以下の通りGoogleの調査では、ページのロード時間が1秒から3秒になると直帰率が32%増加、1秒から5秒になると90%増加・・・というように、ロード時間が増えるのにしたがい、直帰率も増加することが示されています。これは離脱率も同様の傾向になると考えられるでしょう。
参照:Think with Google「Find Out How You Stack Up to New Industry Benchmarks for Mobile Page Speed」より
改善方法としては、ページの表示速度を速くするしかありません。例えば、性能の良いサーバーに乗り換えたり、ファイルや画像を圧縮・軽量化したりして、ページの表示速度の改善を進めましょう。
ユーザーの検索ニーズに沿わないコンテンツを提供していると、ユーザーはすぐに直帰・離脱して、他のサイトへ移動してしまいます。このためユーザーがサイトに何を求めているのかを考え、コンテンツを改善することが大切です。具体的には、ペルソナをより細かく設定した上でコンテンツのリライトを行ったり、Q&Aサイトで投稿されている質問内容をコンテンツに盛り込んだりすることで、より検索ニーズを満たすコンテンツを作れる可能性が高まります。
レスポンシブデザインに対応していないと、スマホやタブレットでサイトを見たときにレイアウトが大きく崩れ、閲覧しにくくなります。その結果、直帰率・離脱率の増加にもつながってしまうため、レスポンシブデザインの実装は必須と考えましょう。
現在運営しているサイトにレスポンシブデザインを実装するためには、例えば、既存のソースコードを書き換えたり、WordPressで作ったサイトの場合はレスポンシブ対応のテーマを使用したりする方法があります。
例えユーザーの検索ニーズに沿った良いコンテンツであっても、サイト内の他ページへの導線が分かりづらいと、ユーザーはすぐにサイトを離れてしまいます。このためユーザーの身になって、どこに何があれば他ページへの遷移がしやすくなるかを考え、それを実装することが大切です。例えば、見出しの内容に応じて関連記事のリンクを貼ったり、サイト内におけるユーザーの位置を示す「パンくずリスト」を設けたりするなど、ユーザーがストレスなく他ページへ移動できる導線を作るようにしましょう。
直帰率は最初に訪問したページだけを見てサイトを離れた割合、離脱率は特定のページでサイトを離れた割合を指します。両者は低ければ低いほど、基本的にはユーザーのニーズに応えるコンテンツを提供できていると考えられます。まずは直帰率・離脱率を確認し、もし高いと判断した場合、サイトのパフォーマンスを向上させるために、改善策を講じてみてはいかがでしょうか。