セミナーレポート
BeMARKEはこのほど、「BtoB企業のための、2023年を見据えた最新リード獲得施策総まとめ」と題した5社共催セミナーを開催しました。本セミナーでは、BtoBビジネスにおけるWeb活用を先導してきた企業様を登壇者にお迎えして、それぞれSEO、広告運用、SNS活用、Web改善、ウェビナー運用の5つのテーマで語っていただきました。
株式会社WACUL 執行役員CMOの安藤 健作 氏には、「最短で成果を出すための『BtoBマーケティングの勝ちパターン』」と題して、Webサイト改善とフォーム改善によって最短で成果を出すポイントを、データとともに具体的に紹介していただきました。
【登壇者】
安藤 健作 氏(株式会社WACUL 執行役員CMO)
早稲田大学卒業後、株式会社丸井を経て、2006年に株式会社ラクスに入社。同社にてCS組織の立ち上げを行ったのち、マーケティングマネージャへ。その後、2016年よりメールマーケティングサービス「配配メール」の事業責任者となる。メールマーケティングのエバンジェリストとして「現場のプロが教える!BtoBマーケティングの基礎知識」(マイナビ出版/共著)を出版。2022年6月よりWACULにジョイン。
安藤 健作:「デジタルマーケティングには定石がある」ということと、Webサイトとフォームの改善によって最短で成果を出すポイントについてご紹介します。
人材紹介会社のWebサイトを例に、コンバージョンレート(CVR)を伸ばすWebサイトの作り方について説明します。
人材紹介会社のWebサイトは、大きく「会員登録型」と「求人検索型」の2パターンに分けられます。「会員登録型」はトップ画面で会員登録させるパターンで、「求人検索型」は職種や勤務地の検索を経て会員登録させるパターンです。
これら2パターンのうち、どちらが「会員登録」というコンバージョンポイントに対するCVRが高いと思われますか。ちなみに、既存の大手Webサイトは7社が会員登録型、6社が求人検索型でした(2022年6月現在)。
結果は、会員登録型のCVRの方が圧倒的に高く、長期間で調査しても求人検索型は1回も会員登録型のCVRを超えたことはありませんでした。なぜなら、求人検索型では大抵2つか3つの求人を見た後に離脱が発生するからです。いくつかの求人を見て、会員登録せずに離脱する方が多いのです。
転職を考えている方は、ポジティブに仕事を探すというよりも「今の仕事、つらいな」というようなネガティブな気持ちで探している傾向があります。多くの方がそうなので、求人を2つか3つ見て「自分に合っている求人がないな」と諦めてしまうことが多いようです。
これは、求職者にとってもエージェントにとっても損失です。いち早く会員登録をしてエージェントに会い、話せたほうが、双方にとってプラスになるはずです。
このように、「絶対にやったほうが良いこと」を明らかにして皆様に示すことこそ、当社の使命だと考えています。デジタルマーケティングには「勝ちパターン」があります。最短かつ最良の方法で80点を目指しましょう。
こちらの表は、当社の代表取締役の垣内勇威が執筆した「デジタルマーケティングの定石」という本にも登場する18パターンの表です。
当社が13年間コンサルティングを行う中で、同様のパターンの提案がいくつも出てきました。それらの提案をまとめると、最終的に18の論点にたどりつきます。BtoBに限ると、赤枠で囲まれた4つのパターンにまとめられます。
赤枠内の上は大手企業中心で、下は企業規模を問いません。商材が1つで、何億円、何千万円規模のプロジェクトを扱う場合は、上の大手企業のパターンです。どの規模の企業でも販売できるケースは、下のパターンに該当します。
もう1つの分岐は、顧客の知識の多寡です。
例えば、医療向けの専門用品を医者に向けて販売しているケースでは、医者のほうが商品に精通しています。したがって、Webサイトは品番検索しやすいカタログ的な構成が向いています。このようなケースは、右下の法人向け専門商品にあたります。
それ以外のBtoBサービスは、ほとんどが左下の法人向けソリューションに該当します。
このように、デジタルマーケティングにはいくつかの型があり、勝ちパターンが存在します。「マーケティング部署に配属されたけど何をしたら良いか分からない」という方は、とにかく良い方法をまねてみてください。
当社にお任せいただければ最適な提案ができますが、まずは書籍「デジタルマーケティングの定石」を手にとっていただければ幸いです。
デジタルマーケティングのうち、本日は「サイト」と「フォーム」に絞って「クイックに成果を出すポイント」をお伝えしたいと思います。
マーケティングの施策を進める上では、皆様がどのフェーズにいるかによって講じるべき施策が異なります。当社がコンサルティングに入る際も、フェーズで区切りながらサービス内容を変えて提案しております。
これからマーケティング組織を立ち上げるという段階では、難しい施策に取り組むのではなく、まずはランディングページ(LP)1枚でも良いのでWebサイトを立ち上げて広告を回し、しっかりとリードを獲得するところから始めましょう。そこから営業にパスして営業が受注するという、小さな成功事例を生み出すことを目指します。
この段階がなくては、営業組織との連携が生まれません。まずは小さな成功事例を生み出した上で、マーケティングと営業とで本格的なDXに向けた運用体制を構築していきましょう。その後に、インサイドセールスやSEOなどの議論が浮上してきます。
インサイドセールスが立ち上がれば、多少質の悪いリードであっても「量を取りに行こう」という選択をして予算を投下できるようになります。ここで、細かなディスプレイ広告などが始動します。リードが最大化すると、そこで初めてシグナル検知やメールといった論点が出てきます。
中には、マーケティングの立ち上げ時にマーケティングオートメーション(MA)を導入しようとする動きも見られます。しかし、MAとはその名の通りマーケティング業務を自動化するものです。マーケティング業務がある程度定型化されないうちは、自動化しても機能しません。
したがって、スライドにお示しした順番に沿って広告からスタートするのが良いでしょう。
こちらは当社の実績の表です。オレンジ色の広告費の割合が徐々に低減していきます。このように、短期的には広告に依存しますが、中期になるにつれ「リード単価」という点でコストパフォーマンスが向上します。
そこで今回は、お金をかけずにクイックに改善できる「Webサイト(LP)」と「フォーム」の改善について解説したいと思います。
まずはWebサイト(LP)の改善についてお話します。
BtoBの営業では、「リードで重要なのは量か質か」という議論をよく耳にします。Webサイト制作でも、「サービス理解よりコンバージョン(CV)を取ろう」という考え方と「CVよりもサービス理解が進むようなリッチなWebサイトにしよう」という考え方があります。
それでは、BtoBのWebサイトの作り方としては「サービス理解よりもCV数を優先」と「CV数よりもサービス理解を優先」のどちらが正しいでしょうか。
結論は、「サービス理解よりもCV数を優先すべき」です。
Webサイトが果たすべきミッションは、「最短で営業担当に渡すこと」。その理由は、営業担当とWebサイトの機能の違いにあります。
営業担当は「商談」というまとまった時間をかけて相手を拘束できますが、デジタルにそれはできません。デジタルでは相手はすぐに離脱してしまいます。
営業担当は順を追って説明できますが、デジタルでは通常、お客様は「見たいところ」だけを見ます。
営業担当は感情に訴えられますが、デジタルに感情論は効きません。
私たちは、Webサイトをよく「セルフサーブチャネル」と呼んでいます。
デジタルにおける主導権はお客様が持っているのです。複雑な説得は一切できないと考えたほうが良いでしょう。「サービス特性などをじっくり読んで最後に態度変容を起こしてもらう」シナリオは妄想に過ぎません。
だからこそデジタルでは、入り口になるページにすべてをかける必要があります。
実際、BtoBサービスにおけるWebサイト内のユーザー行動データの平均を取ると、表のようになります。
まず直帰率が38.2%です。商談で例えると、40%のユーザーは資料の1枚目を見ただけで「これ以上の説明は結構です」と席を立った状態です。
席に留まってくれたユーザーでも、平均セッション数は208.3秒、およそ3分間しか商談に付き合ってくれません。つまり、見ている資料は3~4ページ分に過ぎず、展示会で立ち話をしているくらいの短時間です。
先ほど、「Webサイトが果たすべきミッションは最短で営業に渡すこと」と申し上げました。しかし、「どんなものでもとにかく営業に渡せば良い」という話ではありません。質に関しては、フォームやインサイドセールスなどで担保しましょう。
大切なのは、「お客様にサービスを理解してもらうこと」ではなく、「お客様を広く集めて企業が選ぶ状況をつくること」です。
デジタルでは複雑な説得は難しいため、リードの質はある程度低くても問題ありません。ただ、「全ページからフォーム直行を狙いましょう」という点は強調したいと思います。
こちらは、当社のAIアナリストのページです。ファーストビューで「AIがWebサイトを分析」というキャッチコピーが目に入ります。これだけではその内容は不明確ですが、右側には常に「無料利用」「資料請求」といったフォームが露出した状態になっています。この状態が、「フォーム直行」です。
この画面の下方には文章がありますが、あえてファーストビューで完結しているように見えるよう、こだわって作っています。下方に何かあるとユーザーは下へ下へと読み進み、途中で離脱してしまいます。よって、ユーザーを迷わせないよう、ストレートにフォームを案内しています。
37,000サイトを分析して得た勝ちパターンですので、当然ながら高いCVRを記録しています。
もっとも、デザインやフォームの制限上、フォームの露出ができないこともあります。その場合は、中央寄せの目立つ位置にボタンを置くことを提案しています。
「ヘッダー部分に『お問い合わせ』が付いているのだけど……」と思われるかもしれませんが、人は大きい画像やロゴに目が行きがちで、「お問い合わせ」ボタンは見られていません。したがって、中央下部にもボタンを置くべきです。
そもそも、WACUL研究所の調査で、縦長ページとコンバージョンレートとの相関は「ない」という結果が出ています。
むしろ「4,000ピクセルほどのサイトが最もCVRが高い」という調査結果が出ており、ページが縦に長ければ長いほどCVRが上がりません。よって、まずはファーストビューで問い合わせができるような目立つ動線を作りましょう。
また、「ファーストビューで完結しているように見えるか否かでCVRに1.64倍の開きがある」という調査結果もあります。
自社サイトを改善するには、まず自社サイトの各ページをチェックして「訪問数が多く、フォームの通過率も高いけれど、フォームへの誘導率が低い」ページを見つけましょう。
例えばこのWebサイトでは、トップページのフォーム通過率はWebサイト全体と比較して高いものの、フォーム誘導率は低くなっています。
このWebサイトのトップページです。改善提案前の「Before」では、CVへの導線になるブロックがファーストビューに入っていませんでした。そこで、CVへの導線をファーストビューに入れる位置へと移動しました。
すると、CVRが1.34倍になりました。このように、「フォームに直行させる」というWebサイト構成は効果的に機能します。
BtoBのWebサイトを立ち上げるにあたって構成をお悩みの方は、BtoBで定評のある株式会社才流(サイル)と当社が監修して作成したこちらのテンプレートも参考にしてみてください。
続いて、Webサイトにとって重要な「フォーム」の改善についてご説明します。
「フォームで悩んだ瞬間に離脱する」というパターンを避けるためにも、シンプルで分かりやすい設計にしましょう。
BtoBのフォームの通過率の目安は約25%です。まずはそこをベンチマークとすると、25%に届いていない場合は改善の余地があります。
フォームの通過率は、フォームがシンプルかどうか、そしてフォームに進む前と進んだ後の文言が一致しているかどうかで、大きく変わります。
例えば、「資料請求」と「無料トライアル」を同じフォームで受ける形になっていると、お客様は「私は資料請求したのに、無料トライアル?」と違和感を覚えて離脱してしまいます。フォームの前後の文言はしっかりとそろえてください。
フォームの入力項目数と通過率には、負の相関があります。データによると、必須項目か任意項目かは関係なく、フォームの項目自体の絶対数に影響を受けるという結果が出ています。
したがって、営業にあたり不必要な項目をなるべく削除することで、フォームの通過率を伸ばせます。
フォームの研究をまとめると、以下の通りです。
本日は、次の3つをお話しました。
BtoBマーケティングで成果を出すには、これら3つを踏まえて取り組んでみてください。
今後開催予定のセミナー一覧はこちら>>https://wacul.co.jp/lab/event/
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