セミナーレポート

取るべき施策が分かる!BtoBマーケティングの基礎固め【セミナーレポート】

取るべき施策が分かる!BtoBマーケティングの基礎固め【セミナーレポート】

BeMARKEは2月21日、「取るべき施策が分かる!BtoBマーケティングの基礎固め」と題したセミナーを開催しました。本セミナーでは、BtoBマーケティングの基本的な考え方を説明するとともに、戦略設計から実行方法、マーケティング施策を推進する上での障壁および解決策までを解説します。

目次

【登壇者】 
山下 航希(BeMARKE事業責任者)
東北大学卒業。2019年に株式会社リスペクトに新卒で入社。マーケティングコンサルタントとして、SaaSスタートアップから大手機械系製造業まで15社以上のコンサルティング、コンテンツマーケ支援に携わる。マーケティング部門と営業部門をはじめとして複数部門の議論をファシリテートしながら、リード獲得から商談創出までの体制整備に関わる。2022年にグループ会社の株式会社アジタスにてBeMARKEを立ち上げ、事業部長と経営ボードメンバーを担当。

BtoB企業の置かれている現状

始めに、BtoB企業を支援するなかで耳にする、マーケティング責任者や営業責任者の声をいくつか紹介します。

マーケティング担当者の悩み

〈マーケティング責任者の声〉

  • 名刺や顧客データの管理がずさんで、一斉メール配信やセミナー集客ができない。
  • DX推進のためにMAやSFAなどのツールを導入したものの活用されていない。

〈営業責任者の声〉 

  • 気合いと根性頼みの営業手法が先行しがちで、新規顧客の開拓が後回しになっている。
  • 営業の実力差が大きく、若手が育たない。

BtoB企業の各責任者は、このような課題を抱えています。

BtoBマーケティングの基本事項

本セミナーでは、「BtoB企業だがマーケティングに投資をしてみたい」、「DXを進めたいが、どこから始めれば良いか分からない」といった悩みを抱えるBtoB企業の担当者に向けて、BtoBマーケティングの基本的な考え方を説明します。

BtoBマーケティングの代表的な施策例

BtoBマーケティングの施策例

コンテンツSEO、インサイドセールスの設置、SFA導入による営業のプロセス管理は、BtoBマーケティングの代表的な施策です。

いずれも重要な施策ですが、すべての企業にとって即座に取り組むべき施策かというと、必ずしもそうではありません。

どの施策をいつ実施すべきかは、企業の規模、事業フェーズ、商品の特徴などによって異なります。よって、BtoBマーケティングの全体像を押さえた上で「自社は今、どの施策を実施すべきか」を整理することが重要です。

デジタル施策の得意分野と不得意分野

BtoBマーケティングを進める際、デジタル施策を避けては通れません。ただ、デジタル施策には得意分野と不得意分野があることを覚えておきましょう。

デジタル施策が得意なことのひとつは、WebサイトやSNS広告を用いた、多数人に向けた画一的な情報発信です。一方で、個別のお客様向けにカスタマイズした情報提供は不得意です。また、例えば「すべての見込み客に読んでもらいたい導入事例」といったコンテンツの発信など、営業を下支えすることは得意な一方、営業担当の育成そのものは不得意です。

さらに、比較的低単価でメーカーごとの機能スペックに大差がないようなコモディティ商品は、EC販売に適しています。一方で、個別具体性の高い商品は通常、EC化に向きません。

このように、単にデジタル施策を導入すれば売り上げが伸びたり営業のDX化が進んだりするわけではありません。したがって、デジタル施策の得意なことと不得意なことを理解した上で、デジタル化に適する工程とそうでない工程とを分けて考えることが重要です。

BotB企業の特徴と押さえるべきポイント

BtoB企業の特徴と押さえるポイント

BtoBマーケティングの戦略設計に入る前に、BtoB企業の特徴に応じた活動のポイントについて説明します。ポイントは4つあります。

1つ目は、BtoB企業は自社の課題解決を目的として商品を購入するという点です。BtoB企業は、ブランド目的というよりは自社の課題解決を目的として商品を購入します。よって、企業にとって投資対効果の高い商品であることを説明しない限り、売り上げは伸びません。

2つ目のポイントは、BtoB企業における意思決定は組織で行われるという点です。BtoBの商取引では、1人の担当者が決済することは稀です。商品の単価が高ければ高いほど、チームの決済、課長の決済、部長の決済と、複数人による決済を経て購入に至るものです。よって、直接の担当者のみならず、決裁フローにおける各担当者を説得し、信頼を得る必要があります。

これは、裏を返せば「意思決定に営業が介在する」という3つ目のポイントにつながります。BtoBマーケティングでは、プロモーションやデジタルマーケティングの段階ですべての情報をお客様に伝える必要がありません。マーケティングの役割はお客様に接触するところまでで、営業担当者にバトンをわたします。その後、営業担当者がお客様に個別具体的な提案を行うというプロセスをたどります。

4つ目のポイントは、BtoB企業における検討期間は長期にわたるという点です。BtoB企業では、初見の営業担当者から即日に高単価の商品を購入することなどほぼ皆無です。既存の取引がある場合を除き、新商品の導入には半年から1年、場合によってはそれ以上の長期間の検討期間を経て導入に至ります。よって、初回接触から購入に至るまでの関係性維持が重要なポイントとなります。

各種マーケティング施策を企画・実行する際には、これらの4つのポイントを押さえておきましょう。

BtoBマーケティングではプロセス管理が大切

BtoBマーケティングのプロセス

次に、BtoBマーケティングで重要なプロセス管理について説明します。

BtoB企業では、検討期間が長期に及びます。このため、プロセスを細分化し、工程別の取り組みとお客様の状態管理を徹底する必要があります。接触から受注までのプロセスを細分化して管理することで、各担当者が各プロセスで何に集中すべきかが明確になり、売り上げに寄与できるのです。

BtoBマーケティングの基本事項のまとめ

ここまで、BtoBマーケティングの基本事項について解説してきました。基本事項のまとめは、次のとおりです。

  1. BtoBマーケティングでは購買の意思決定が組織的になるため、購買プロセスは長期的かつ複雑になりやすい。
  2. 基本的に営業がクロージングすることを前提として、接触から受注までのプロセスを標準化・効率化し、適切に管理することが重要。

BtoBマーケティングの戦略設計

どの施策をやるべきか?

続いて、BtoBマーケティングの戦略設計について解説します。

予算やプロジェクトの納期が決められているなかで、どの施策に取り組むべきか、あるいはどの施策を見送るべきか優先度を決める必要があります。そのための最初のステップは、課題を特定することです。

課題の特定

課題を特定する際のポイントは、次の2点です。

  1. 自社ビジネスを俯瞰する。
  2. 営業プロセスを可視化し、課題のボトルネックを特定する。

自社ビジネスを俯瞰すべき理由は、さまざまなBtoBマーケティング施策のうちどの施策が自社にとって効果的かを見極めるためです。業界によって、あるいは企業規模によって、取るべき施策は異なります。

営業プロセスを可視化すべき理由は、長期にわたるBtoBマーケティングのプロセスのなかで、どの部分が自社にとってのボトルネックになっているかを明確化するためです。営業リストが豊富な企業と、そもそも営業リストが不足していて非効率な営業活動を展開している企業とでは、取るべき施策が異なります。

したがって、プロセスのどの段階に自社のボトルネックがあるのかを数字で可視化することが重要です。

自社ビジネスを俯瞰する

自社ビジネスの特徴を俯瞰

まず、自社ビジネスの俯瞰について説明します。

BtoBマーケティングで注力すべき領域は、自社のビジネスが顧客共創ビジネスかプロダクトビジネスかによって異なります。

顧客共創ビジネスとは、個別のお客様ごとにソリューションを提示しながら、比較的高単価な商品を個別具体的に企画・提案するビジネスです。該当する業種としては、経営コンサルティング、システム開発、原材料・素材メーカーなどが挙げられます。

顧客競争ビジネスでは、相性の良い見込み客との商談創出や営業力強化に注力すべきです。自社の商品に魅力を感じる見込みのあるお客様との接点を増やす施策や、接触後に高確度で導入に結びつける体制づくりが重要です。

プロダクトビジネスとは、比較的低単価の商品を、幅広いお客様に対して販売するビジネスです。プロダクトビジネスでは、見込み客の潜在母数が大きく、営業力強化の上限値が見えやすいという特徴があります。このため、商談創出数を最大化するための施策に注力すべきです。

これら2つのビジネス分類と相性の良い施策をそれぞれ示すと、図のようになります。

ビジネス分類別の施策相性

プリダクトビジネスは、営業担当者のカスタマイズの裁量の余地が小さく、説明中心の営業を展開することになります。よって、顧客との接触を最大化し、商談数を増やすためのリードジェネレーション施策と好相性です。

一方、顧客共創ビジネスでは、相性の良いお客様の案件を確実にクロージングに導くことが重要です。したがって、営業力強化やリードクオリフィケーションといった施策の優先度が高まります。

もっとも、この分類はあくまで傾向を示したものです。顧客共創ビジネスにおいてリードジェネレーションが必要になる場合もありますし、プロダクトビジネスにおいて営業力強化が求められることもあります。

営業プロセスを可視化し課題を特定する

次に、営業プロセスの可視化と課題の特定について説明します。

営業プロセスの課題を特定

ある中堅の工業部品メーカーが、商品のスペック説明のみで販売できる汎用的な工業部品を展開しているとします。その営業プロセスは、図に示した通りです。

この会社で、例えば月間の新規リード獲得数が10件あるとします。うち80%の8件が案件化し、8件のうち50%の4件が新規受注に至りました。

案件化率は80%と高く、受注率も50%と比較的良好です。よって、ボトルネックは「新規リード獲得数10件」の部分であると判断できます。つまりこの会社では、新規リード獲得がボトルネックとなっています。したがって、このボトルネックの解消が売り上げ向上につながります。

プロダクトビジネスに該当するメーカーの営業プロセスのうち、リード獲得数に課題があると特定できた場合は、リードジェネレーション施策に優先的に取り組むべきでしょう。具体的な施策としては、既存のWebサイトの見直し、リスティング広告、コンテンツマーケティングなどが挙げられます。

以上のように、自社が取るべきマーケティング施策は、自社のビジネスの特徴や自社の営業プロセスにおける課題を踏まえて判断します。

接触の最大化

接触の最大化

続いて、接触の最大化について解説します。

接触を増やす方法は、デジタルマーケティングからオフラインマーケティングまでさまざまなものがあります。そこで、フローチャートの分岐点ごとに、取るべきマーケティング施策を考えてきましょう。

分岐点1:Webサイトのアクセスが一定数あるか否か

フローチャートの1つ目の分岐点は、「自社のWebサイトに一定数のアクセス数があるか否か」です。獲得を目指しているリード数に対して1000倍以上のアクセスがある場合は、基本的に「一定数のアクセスがある」といえます。

この分岐点において答えが「Yes」であれば、とるべき施策は、そのWebサイトを活用した引き合いの創出です。具体的には、Webサイトの見直しが有効な施策といえます。

Webサイトの見直しの代表的な施策を3つ紹介します。

Webサイトの見直し

1つ目は、トップページの見直しです。

まず、トップページの内容が自社の伝えたいことだけを伝えるメッセージになっていないか振り返ってみてください。商品スペック、研究開発工程、経営陣の来歴など、自社が一方的に伝えたい情報が、必ずしも新規のお客様が求めている情報とは限りません。お客様が知りたい情報は、「なぜ自社がこの商品を導入すべきなのか」、「この商品・サービスと他社の商品・サービスはどう違うのか」といった疑問に答える情報です。

2つ目は、コンバージョンのハードルを下げる施策です。

ほとんどの会社が自社のWebサイトに問い合わせフォームを設置している一方で、Webサイトを訪れたお客様が問い合わせフォームの記入を行うことは稀です。

そこで、ホワイトペーパーやセミナーといったアクセスしやすい接点を用意し、顧客情報獲得のフックにしてみてください。コンバージョンのハードルを下げることで、匿名のお客様を新規の見込み客に変えることができます。

3つ目は、フォームの見直しです。

自社のWebサイトの問い合わせフォームの項目のうち、不要な項目や分かりにくい項目がないか振り返ってみてください。Webサイトを訪れるお客様は多忙なので、1つでも余分な項目があれば離脱します。フォームを見直し、記入しやすくするだけで、引き合いの数は伸びます。

最初の分岐点「Webサイトのアクセスが一定数あるか否か」の答えが「No」であれば、アクセス数を上げるための施策が必要です。ここで、2つ目の分岐点「見込み客は検索エンジンで課題を解決するか否か」が登場します。

分岐点2:見込み客は検索エンジンで課題を解決するか否か

自社の顧客が課題解決のために検索エンジンを利用するような場合は、検索エンジンにおける露出を増やす施策が有効です。

検索エンジンでの露出を増やす

代表的な施策としては、コンテンツSEOの実施、リスティング広告の出稿、比較サイトへの掲載の3つが挙げられます。

コンテンツSEOは、自社のWebサイトに自社ビジネスに関連する有益情報を記事形式で多数アップロードすることで、自社の魅力を間接的に訴求する方法です。

コンテンツSEOと広告その他の施策との違いは、コンテンツは一旦作成すれば資産として残り続けるという点です。一方で、コンテンツ作成そのものの負担が大きい上に、成果が表れるまで6カ月から1年を要するというデメリットがあります。コンテンツSEOは誰でもすぐに効果を実感できる施策ではないという点に、注意が必要です。

一方、リスティング広告の出稿と比較サイトへの掲載は、比較的短期間で成果を上げやすい施策です。いずれも広告コストがかかる施策ではありますが、見込み客とデジタルで接触を試みる第1歩としてはおすすめです。

分岐点2「見込み客は検索エンジンで課題を解決する」の答えが「No」である場合は、新たなチャネルを模索しなければなりません。

新しいチャネルの模索

例えばFacebook広告は、属性やユーザーの興味に応じてタイムライン上に広告を表示できます。展示会や業界紙も、BtoB企業の有力な接触チャネルです。

また、接触が難しい業界においては、アウトバウンド施策もおすすめです。アウトバウンド施策というと、テレアポや飛び込み営業など人力のイメージが強いかもしれません。

しかし最近では、各企業のWebサイトの問い合わせフォームに自動でダイレクトメッセージを配信するツールなどが登場しています。さらには、ダイレクトメールで送信したリンクにアクセスした企業のみに狙いを定めてアプローチすることで、効率的にアウトバウンド施策を展開できます。

関係性維持の効率化

接触の最大化に関する課題をクリアできたら、関係性維持の効率化に取り組みましょう。

関係性維持の効率化

関係性維持の効率化とは、「リードナーチャリング」、「リードクオリフィケーション」などと呼ばれる工程の効率化です。この工程も、状況に応じて取り組むべき施策が異なりますので、分岐点を示しながら解説します。

分岐点1:リードを集約できているか否か

1つ目の分岐点は、名刺交換したお客様データなどのリード情報を集約・一元管理できているか否かです。

答えが「No」であれば、まずは名刺管理ツールやCRMを導入して、見込み客の情報を1つのデータベースで管理できる状態をつくりましょう。

答えが「Yes」であれば、2つ目の分岐点に進みます。

分岐点2:顧客の掘り起こしを継続的に行っているか否か

2つ目の分岐点は、リードを獲得したお客様に対してメール配信などの方法で定期的なニーズの掘り起こしを行っているか否かです。

答えが「No」であれば、メール運用に取り組みましょう。

昨今、BtoB企業でもMAを導入してリードナーチャリングに挑戦する企業が増加しています。しかしながら、メール運用に未着手であるような企業の場合、最初からMAを導入するよりも、まずは安価なメール配信ツールを導入し、見込み客リストへの一斉配信を試すことをおすすめします。

その上で、メール運用に必要な業務プロセスや担当者のリソースを確認した後、MAを導入すると良いでしょう。

分岐点2の答えが「Yes」であれば、次の分岐点3に進みます。

分岐点3:商談数が充足されているか否か

3つ目の分岐点は、「商談数が充足されているか否か」です。

答えが「No」である場合、つまりメール運用を行っているものの商談数に課題を抱えている場合は、インサイドセールスチームを設置しましょう。

インサイドセールスとは、主に電話やメールを用いて見込み客とコミュニケーションを取りながら、課題やニーズが顕在化したお客様を商談へとつないでいく活動です。営業部門の人的リソースが十分にある場合は、インサイドセールス部門と訪問営業部門の2部門体制を取ると良いでしょう。

分岐点3の答えが「Yes」、つまり商談数が充足されている場合は、商談に至った成功パターンを自動化することで効率化を図りましょう。これまで培ってきたメールやWebコンテンツのなかで効果の高かったものをMAで自動化することで、担当者の負担を軽減できます。

営業力の強化

関係性維持は効率的にできているものの、「打ち合わせ段階から受注に至るまでの期間が長い」、「成約率が低い」、「単価が低い」といった課題がある場合は、営業力を強化しましょう。

BtoB企業の営業には、自社で直接お客様に提案を行う直販営業と、商社や代理店を介して提案を行うパートナー営業の2パターンがあります。どちらのパターンかによって営業の再現性を高めるための施策も異なりますので、それぞれ解説していきます。

直販営業の再現性を高める方法

直販営業の再現性を高めるには、まず受失注分析を行ってください。

直販営業の再現性を高める営業力の強化

受失注分析のポイントは2つあります。1つ目のポイントは、お客様の属性情報を分析することです。企業規模、業界、売上高などを横並びに比較することで、自社と相性の良い属性とそうでない属性を分類しておきます。2つ目のポイントは、受注理由と失注理由を徹底的にヒヤリングすることです。これによって、自社が成約しやすいお客様の課題が見えてきます。

次に、営業資料を刷新しましょう。

営業現場には、「この内容を伝えれば受注に結び付きやすい」という成功パターンがあるはずです。それを営業資料に落とし込み、チームで共有してください。営業担当者が伝えている内容や持参している資料にばらつきがあるようであれば、チーム全体で営業資料の刷新に取り組みましょう。

最後に、SFAの導入を検討しましょう。

直販営業の再現性を高めるには、自社の営業チームの状況を把握しながらより良い方向に施策を打てるようなマネジメントが不可欠です。営業チームの人数が多く、マネージャーが各担当の案件の進捗を把握しきれないような場合は、SFAが有効です。SFAを導入し、受注予測の精度向上や担当者ごとの課題の把握に取り組みましょう。

パートナー営業の再現性を高める方法

パートナー営業の再現性を高める方法も3つあります。

パートナー営業の再現性を高める営業力の強化

1つ目は、パートナー企業に「売りたい」を思わせるための施策です。

パートナー企業は多くの場合、競合企業の商品も取り扱っています。このため、まずはパートナー企業の営業担当者に自社商品を「売りたい」と思わせることが重要です。勉強会などを通じて、他社商品との違いや商品の魅力を伝えるようにしましょう。

2つ目の施策は、売り上げに貢献できるような営業資料の充実です。

パートナー企業の営業担当者が「売りたい」と思ったとしても、実際に売れなければ意味がありません。注力している商品についてはケース別の提案書を用意するなど、資料の充実を図りましょう。

3つ目の施策は、営業資料のダウンロード用Webサイトの開設です。

都度資料を共有していては、資料が充実すればするほど工数がかかり、双方の負担になります。そこで、パートナー企業がログインしてカタログや提案書のテンプレートをダウンロードできるようなWebサイトを開設し、負担を軽減しましょう。

BtoBマーケティングにおける4つの障壁

ここまで、BtoBマーケティング施策の戦略設計について解説してきました。これらの戦略を実際に推進しようとすると、必ずと言っていいほど障壁にぶつかります。

BtoBマーケティングの4つの障壁

そこで、BtoBマーケティングを実行する上での典型的な4つの障壁とその解決策を紹介します。

売上への貢献が可視化されにくい

1つ目は、売り上げへの貢献が可視化されにくいという障壁です。

マーケティング活動のなかでも、デジタル施策で獲得したリードの多くは、育成に時間を要します。このため、投資対効果が疑問視されがちです。本来は長期的に取り組むべきプロジェクトであるにもかかわらず、経営陣との認識にずれが生じてプロジェクトが頓挫してしまうこともあります。

この障壁に対する解決策としては、まず短期間で簡単に成果が出る施策を実行することをおすすめします。その上で、モニタリング体制を構築してください。

マーケティング施策の目的は、リード獲得にとどまりません。最終的な目的は、売り上げに貢献することです。そこで、獲得したリードがどれだけ商談につながったのか、ひいては受注につながったのかを、MAなどのツールを使ってモニタリングしましょう。売り上げへの貢献を可視化するには、リード獲得からその後の工程までを管理できる体制づくりが不可欠です。

リードの統合・管理が不十分

2つ目は、リードの統合・管理が不十分であるという障壁です。

リードの統合・管理が不十分だと、複数チャネルで接触したお客様の二重登録によるミスが発生します。また、営業がクロージングしようとしている最中に、同じお客様にキャンペーンメールを一斉送信してしまい、失注するというような機会損失の問題も出てきます。

この障壁に対する解決策としては、リード管理の方針を決めておくことをおすすめします。具体的には、CRMを導入し、リードを一元管理をします。

その際、どのタイミングでどの情報を入力するか、どのような条件になればA部門からB部門にリードが送客されるのかといった管理方針を社内で言語化し、共有しておくことが重要です。

リードステータスの認識にずれが生じる

3つ目は、リードステータスの認識にずれが生じるという障壁です。

例えば、マーケティング部門から営業部門に引き継がれたリードが、営業部門からは「クオリティの低いリード」だととらえられてしまうことがあります。そうすると、マーケティング部門が苦労して獲得したリードも無駄になります。

この障壁に対する解決策は、マーケティング部門と営業部門とが連携してリード条件を定義しておくことです。リード獲得のための施策を強化する前に、自社が狙おうとするターゲットや、「どのような状況になれば営業チームに引き渡すか」といった条件を、部門同士でそろえておきましょう。

コンテンツの一貫性を欠く

4つ目は、コンテンツの一貫性を欠くという障壁です。

営業とマーケティングの分業が進むにつれ、情報発信の方法やコンテンツの制作者もプロセスごとに異なってきます。そうすると、プロセスごとに発せられるメッセージにばらつきが生じます。「広告ではAというメッセージを発信していたのに、ホワイトペーパーではBというメッセージを発信している」といった事態に陥ることもあります。

この障壁にぶつかる理由は、部門間でお客様のイメージが共有されていないからです。したがって、解決策としては、カスタマージャーニーマップを作成して社内認識をそろえることをおすすめします。

カスタマージャーニーマップで、接触から受注までのお客様の行動プロセスを可視化した上で、webサイト、インサイドセールス、営業のそれぞれが発信すべき内容とその役割を整理しておきましょう。

まとめ

まとめ

本セミナーでは、BtoBマーケティングの基本事項から、戦略設計、実行する上での障壁および解決策までを解説しました。

BtoBマーケティングに取り組む際には、まず自社のビジネスの特徴と営業プロセスにおける課題を特定しましょう。また、BtoBマーケティングで成果を上げるには一定の期間を要する上、関連する部門も多岐にわたります。したがって、自社が取り組みやすい領域から徐々に成果を上げ、組織全体で目線を共有できる体制を構築していきましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

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