基本ノウハウ
営業プロセスの整備は、効率的・効果的な営業活動を進める上で必要不可欠です。しかし属人的な営業活動を進めてきた企業では、「そもそも営業プロセスとは?」「どのように設計すれば良いか」という疑問も出てくるでしょう。
本記事では営業プロセスとは何か、営業フローや商談プロセスとの違いを踏まえながら解説します。見える化のメリットや設計・見直しのコツも、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
営業プロセスとは何か、流れや内容について解説します。また混同しやすい営業フロー・商談プロセスとの違いも、あわせてチェックしていきましょう。
なお下記のページからは、営業プロセス管理に関するノウハウを集約した資料をダウンロードできます。「何から始めたら良いか分からない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
営業プロセスとは営業活動の流れや内容を見える化したものです。具体的には下表のように、5つのプロセスに分かれます。
営業プロセス | 担当部門 | 内容 | KPIの例 | |
---|---|---|---|---|
1 | リスト作成 | ・マーケティング | ・顧客情報の収集と整理 | ・見込み顧客の総数 |
2 | 見込み顧客の獲得と育成 | ・マーケティング | ・リスト内からターゲットを抽出 ・検討段階の引き上げに向けた施策の実行 |
・認知率 ・CV率 ・問い合わせ数 |
3 | アポイント | ・営業 | ・商談設定の交渉(テレアポなど) | ・コンタクト数 ・通電率 ・商談化率 |
4 | 商談・契約 | ・営業 | ・提案内容の説明と交渉 | ・商談数 ・見積書提出数 ・受注率 |
5 | アフターフォロー | ・営業 ・カスタマーサポート |
・既存顧客のサポート ・アップセル/クロスセルの提案 |
・顧客満足度 ・優良顧客数 ・継続率 |
表を見ると分かるように、営業プロセスの遂行はマーケティングやカスタマーサポートなど他部門の協力が不可欠です。そのため互いの進捗状況を共有し、業務に生かせるような体制づくりも営業プロセスの実行で大切になってきます。
営業フローとは営業プロセスの各工程を分解し、マニュアル化したものです。細分化された工程で了承を得られた・得られなかった場合それぞれについて、次に起こすべきアクションを明示します。例えば営業プロセスのうち、商談をフロー図に落とし込んだのが下図です。
営業プロセスでおおまかな流れを、営業フローで各プロセスの詳細な流れを定めると覚えておきましょう。
商談プロセスとは営業プロセスのうち、商談の流れを見える化したものです。具体的には次のような流れになります。
また上記もそれぞれ、次のような流れで細分化が可能です。
商談プロセスは営業プロセスの一部であり、売上に直結する工程でもあります。個々の担当者が適切なアクションを取り、受注につなげられるよう、前述した営業フローと合わせて定期的に見直すことが大切です。
営業プロセスを見える化するメリットは、主に次の3つがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業プロセスの見える化は課題がある工程を発見・分析しやすくなるため、結果的に受注率アップが期待できます。
またトップセールスのノウハウを営業プロセスに反映して勝ちパターンを共有すれば、部門全体での売上アップも実現可能です。新人や若手の担当者も営業プロセスに沿って行動することで、自然とスキルアップし重要な戦力へと成長してくれるでしょう。
営業プロセスでは次に何をすべきか明確に示されているため、担当者の行動が効率的かつ迅速になります。「次は何をすれば良いか」「こういうケースの場合、どうすれば良いか」という悩みが少なくなる分、営業活動に注力する時間が増え、結果的に商談数の増加や受注率の向上にもつながるのです。
営業プロセスの見える化は、リモート環境でのマネジメント難易度を下げるメリットもあります。近年営業でもリモートワークが普及し、部門内で情報を共有する機会が減少しました。上司が部下へフィードバックできる時間も減り、新人や若手担当者の育成難易度が向上しているのが現状です。
しかし営業プロセスを明示しておけば、案件の進捗状況と照らし合わせることで「どこでつまずいているか」を瞬時に判断できます。「今、あの案件はどうなっているのか?」とわざわざ聞き出すところから始める必要がなく、短時間で内容の濃い指導が可能です。
新人や若手の担当者も上司から的確なフィードバックを受けられれば、モチベーションが上がり自ら率先してスキルアップに取り組むでしょう。結果的に部門全体の成果が向上するとともに、離職率の低下や新人の教育コスト減少にもつながります。
営業プロセスの設計・見直しにおけるコツは、主に次の5つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業プロセスは汎用性や再現性を高めるために、標準的な営業パターンを元に設計することが大切です。
ベテランの営業担当者だけが上手に活用できるような営業プロセスでは、新人や若手の担当者が取り残されてしまいます。一部のトップセールスに偏りのある売上構造から脱却し、部門全体で成果を上げるには全担当者が利用できる営業プロセスにすることが必要です。
まずは基本を押さえ、例外のパターンが発生しても応用が利くように営業プロセスを設計してみてください。
営業プロセスは全担当者が流れを理解できるよう、シンプルにまとめましょう。最初から細かく設定してしまうと全体像が見えないばかりか、課題発見に時間がかかるなどのデメリットがあるためです。
営業プロセスを設計する際は全体の流れをおおまかに決め、営業フローで具体的な行動内容を設定すると良いでしょう。また商談・契約のステップは、商談プロセスで別途まとめると階層構造になって分かりやすくなります。
営業活動の効率を上げるためにも、営業プロセスには下記のようなオンライン施策を積極的に取り入れましょう。
またオンライン施策は営業活動の効率化だけでなく、担当者の育成にも生かせます。例えば営業トークを録画・共有する、あるいはオンライン商談ツールの記録を元にフィードバックすると、より実践的なアドバイスが可能です。
営業プロセスは一度設計して満足するのではなく、PDCAサイクルを回してブラッシュアップしましょう。自社の状況や担当者・顧客の反応などを踏まえて定期的に見直すことで、実情に合った効果的な営業プロセスに仕上がります。
PDCAの考え方は営業プロセスの再考以外にも、こまごまとした業務を改善する上でも重要です。
営業プロセスはマーケティングやカスタマーサポートも関わるため、他部門との協力体制を構築することも大切になります。
特にインターネットでの情報収集がスタンダードになった近年では、見込み顧客の創出や育成はマーケティング部門の力が不可欠です。営業活動のほぼ半数以上をマーケティング部門が担うため、円滑な連携ができるよう日頃からコミュニケーションを取っておくと良いでしょう。
またツールの導入や体制づくりでは、経理や人事部門の協力も必要です。企業全体で成果を上げるためにも管理者側が率先して他部門と交流し、いざというときに力を貸してもらえるような関係性を築いておきましょう。
営業プロセスは営業活動を見える化したものであり、業務の効率化や標準化に役立ちます。
営業フローや商談プロセスと混同しやすい言葉ですが、前者は営業プロセスの各工程をマニュアル化したもの、後者は商談の工程を見える化したものです。そのため営業プロセスを設計・見直す際は、営業フロー・商談プロセスもあわせてチェックすると良いでしょう。
またリモートワークが普及した近年では、従来の営業プロセスだけでは効率化が進まないケースも出てきます。営業担当者の働き方に合わせて、オンライン施策の導入も前向きに検討したいところです。
受注率アップを実現したい企業は、既存の営業プロセスを実情に合わせて見直していきましょう。