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【具体例付き】BtoBのSTP分析とは?やり方や注意点を徹底解説

【具体例付き】BtoBのSTP分析とは?やり方や注意点を徹底解説

BtoB・BtoC問わず、マーケティング戦略を立案する際にはさまざまフレームワークが用いられます。STP(エス・ティー・ピー)分析もそのひとつです。しかし、「STP分析とは、どのような分析手法なのか?」「どのように活用すれば良いか?」と疑問に思う方も多いでしょう。

本記事ではSTP分析の分析要素や進め方について、具体例を交えながら解説します。STP分析の目的や注意点もあわせて解説するので、BtoBマーケティングの知見を深めたい方はぜひ参考にしてください。

目次

1.STP分析とは?

STP分析はBtoCだけでなく、BtoBでも役立つ分析手法です。まずはSTP分析の基礎知識に触れながら、BtoBマーケティングで用いる目的を見ていきましょう。

マーケティング戦略で役立つフレームワーク

STP分析は自社がアプローチすべき最適な市場を見つけられる、マーケティング戦略を立てる上で重要なフレームワーク(枠組み)です。顧客やニーズと自社の強みが合致し、かつ他社との競争に勝ち残れる市場を発見するために活用できます。また、分析結果を社内で共有することで方向性のズレも少なくなり、組織力の強化にもつながるでしょう。

分析する要素は、次の3つです。

  • セグメンテーション(市場細分化)
  • ターゲティング(市場の決定)
  • ポジショニング(自社立ち位置の明確化)

それぞれの詳細については、次項の「2.【具体例付き】STP分析における3つのやり方」をぜひご覧ください。

STP分析は3C分析やSWOT分析といった内外環境の分析手法と、マーケティング施策を検討する4P分析の中間にあたる分析手法です。

STP分析の位置づけ

STP分析はフィリップ・コトラーによって1970年代に提唱されたため、近年では「古い」と感じる方も少なくありません。しかし、先ほど紹介した他の分析手法と掛け合わせることで、現代でも十分活用できます。

2.【具体例付き】STP分析における3つのやり方

STP分析はBtoBにおいても、十分役立つことがわかりました。では、実際にはどのように分析を進めればよいのでしょうか。

ここでは、STP分析における各要素の分析内容を解説します。

  • セグメンテーション(市場の細分化)
  • ターゲティング(市場の決定)
  • ポジショニング(立ち位置の明確化)

セグメンテーション(市場の細分化)

セグメンテーションとは市場の傾向を調べて細分化し、グループ(=セグメント)としてまとめる行為です。市場を細分化することで、自社とよりマッチする市場分野を見つけられるメリットがあります。BtoBにおける一般的なセグメントは、営業する地域と産業です。

しかし、このセグメントはどの企業でも分析しており、差別化が測りにくいデメリットがあります。「競合他社との差別化」や「自社の強みの発見」のため、戦略や経営資源を切り口としたセグメンテーションする手法もあります。以下に挙げる基本的な指標を押さえつつ、企業独自の指標でセグメンテーションすると良いでしょう。

セグメンテーション(市場の細分化)指標
        
デモグラフィック(人口統計的変数) 産業
業種
業態企業の人数
資本金
売上高
担当者の年齢や役職、決裁権の有無 など
ジオグラフィック(地理的変数)) 企業の本拠地
店舗がある地域
取引先の所在地 など
サイコグラフィック(心理的変数) 企業が抱えている悩み
購買方針
社風 など
ビヘイビアル(行動変数) 利用経験の有無
利用頻度
利用に至るまでのプロセス など

ターゲティング(市場の決定)

ターゲティングとは、セグメンテーションで導き出されたセグメントの中から、製品やサービスを開発・販売する相手を絞る行為です。グループを絞る際は、6Rの観点で進めると定めやすくなります。

6R 観点 特徴や留意点
有効な市場規模
(Realistic scale)
売上が得られる市場規模か? 市場が大きいほど売上を得られるチャンスがあるが、競合も多い。
顧客の優先順位
(Rank)
波及効果
(Ripple Effect)
製品やサービスに対する関心が高いか? メディアの注目度が高いなどマーケティング効果が得られやすい市場は、自社製品やサービスを優先し手に取ってもらえる可能性が高まる。
成長性
(Rate of growth)
成長やニーズの増加が見込まれる市場か? 将来的に成長が見込まれる市場へ参入すれば、先行者利益を得られる。
競合
(Rival)
大きな地位を確立している企業はあるか? 競合が多い市場ほど、自社製品・サービスが顧客の目に留まりにくい(市場規模や優先順位との関連性が高い)。
到達可能性
(Reach)
容易にアプローチ可能か? 取扱い店舗が企業から遠いなど、物理的な要因で顧客が自社製品・サービスを利用できない場合もある。
測定可能性
(Response)
施策の結果や効果を測定できるか? マーケティング施策の効果を測定できれば、改善策の検討や社員のモチベーション維持に役立てられる。

6Rで絞ったセグメント(ターゲット)に対するアプローチ方法は、次の3つです。

  • 無差別型マーケティング
  • 差別型マーケティング
  • 集中型マーケティング

それぞれの概要を見ていきましょう。

無差別型マーケティング

無差別型マーケティングは、セグメントを一切考慮せず、市場全体に対してアプローチする方法です。ただし、すべての企業を満足させるような製品・サービスの開発は難しいため、市場全体の規模が大きい場合は実用的ではありません。

差別型マーケティング

差別型マーケティングは、各セグメント向けの製品やサービスを開発・販売する方法です。各セグメントに合わせた流通ルートやサポートなども必要であり、コストが非常にかかります。

大企業のように、経営資源が豊富な企業のみが実践できるアプローチといえるでしょう。

集中型マーケティング

集中型マーケティングは最もスタンダードであり、特定のセグメントに特化して製品やサービスを開発・販売する方法です。コストを削減できるだけでなく、特定のセグメントに対する技術やノウハウが蓄積するメリットがあります。

企業の成長具合や競合の存在によっては、対象のセグメントでナンバーワンの座を保持できる可能性も高まるでしょう。

ポジショニング(立ち位置の明確化)

ポジショニングとは、ターゲティングで特定したセグメント内において、自社がどの立ち位置にいるかを見極める行為です。下表にあるような競争軸(差別化ポイント)を踏まえ、自社の提供価値が大きく、かつ競合の提供価値を上回るポジションを見つける必要があります。

機能的ベネフィット ・機能や性能
・品質や性能の安定性
・耐久性
・故障などのトラブル発生率
・運用や修理のしやすさ など
情緒的ベネフィット ・デザイン
・社員が保有する知識やスキル
・業務遂行責任(レスポンシビリティ)
・経営の安定性
・事業継続性 など
金銭的コスト ・初期費用(イニシャルコスト)
・運用費用(ランニングコスト)
・リースの有無
・補助金の有無
・減価償却期間 など
プロセスコスト ・導入に必要な期間
・周知にかかる時間
・導入サポートの有無 など

例えば、価格と品質という競争軸の場合、下図のようなポジショニングマップが作成できるでしょう。この中で自社や競合はどの立ち位置にいるのか、そしてどれくらいの地位を確立しているのか分析します。

ポジショニングマップ

ただし、複数の競争軸を同時に比較する際は、1~4個程度にとどめましょう。競争軸が多すぎると、データが煩雑になってしまうからです。最も重視すべきデータを見落としてしまわないよう、競争軸を絞った上でポジショニングマップを作成してみてください。

3.STP分析を使ったマーケティング戦略立案の流れ

STP分析は市場や競合の調査と自社における強みを再確認することで、アプローチすべき最適な市場を見つけられる手法であることがわかりました。とはいえ、STP分析を実行しただけでは、効果的なマーケティング戦略は立案できません。

そこで、STP分析の前後に必要な戦略立案の流れを解説します。

【1】自社事業の目的や特徴を言語化する

【2】STP分析を実行する

【3】マーケティング施策を決定する

【1】自社事業の目的や特徴を言語化する

STP分析を行うこと自体が目的になる、つまり分析して満足してしまわないよう、あらかじめ事業の目的とゴールを明確にしましょう。

事業の目的とゴールが言語化されていれば、選択に迷ったときなど、いつでも原点に立ち返って考えられます。社員間における認識の齟齬をなくし、最も狙うべき見込み顧客やアプローチ方法をスムーズに決定できるでしょう。

また、誰のどんな悩みをどのように解決するかなど、自社の製品やサービスの特徴を言語化することも大切です。STP分析で導き出された自社の提供価値と製品・サービスが合致しているか、言語化した内容を踏まえて判断できます。時には、新たな製品サービスを作り出すべきかを検討するきっかけにもなるでしょう。

【2】STP分析を実行する

詳しい分析内容は、先ほど解説した「2.【具体例付き】STP分析に含まれる3つの要素」の通りです。

ただし、セグメンテーションからターゲティング、ポジショニングといった順番は必ず守らないといけないわけではありません。自社の製品やサービスを踏まえて、考えやすいところから着手しましょう。

例えば、競合調査で自社製品の立ち位置を見極めた上で、自社製品が活かせそうなセグメントをターゲティングするのもひとつの方法です。

【3】マーケティング施策を決定する

STP分析の結果を踏まえてターゲットの顧客に対し、どのようにアプローチしていくかを検討・決定します。結果によっては、既存製品・サービスの路線変更や新規開発も視野に入れましょう。

SWOT分析や4P分析を組み合わせると、多面的な視点でマーケティング施策を検討できます。より効果的なマーケティング施策を立案したい場合は、積極的に他の分析手法を組み合わせてみてください。

4.STP分析における3つの注意点

STP分析では、自社製品やサービスの販売で売上が見込める市場を見極められます。しかし、事前調査が不十分だったり、分析方法に誤りがあったりすると、マーケティング施策が失敗に終わる可能性も小さくありません。

最後に、STP分析を有効活用できるよう、3つの注意点を解説します。

  • 顧客や市場の情報を入念に調査する
  • それぞれの分析要素に矛盾がないか確認する
  • 実現が難しい分析結果が出ることもある

顧客や市場の情報を入念に調査する

STP分析を実行する前には、顧客や市場の情報を入念に調査しましょう。相当な顧客・市場理解がないと、効果的なセグメンテーションができず、他社と差別化が困難です。

また、想定よりもセグメントが小さい、あるいは成長性が見込めない市場に参入してしまうと、ビジネスとして成り立たなくなります。

このような事態を避けるためにも、PEST分析や4P分析など他の分析手法も活用し、顧客や市場を多面的に調査・分析することが大切です。

それぞれの分析要素に矛盾がないか確認する

STP分析を進める際は、セグメンテーションをはじめとした3つの要素が論理的に適合しているか、適宜確認しましょう。例えば、次のようなポジショニングとターゲティングでは互いに矛盾が生じ、購入につながりません。

【ポジショニング】

値段は高めだが、その分性能がよい自社製品

【ターゲティング】

それなりの性能で構わないから、とにかく安い製品を購入したい企業

セグメンテーションの指標やターゲティングの競争軸が多岐に渡る分、途中で矛盾が生じないよう注意が必要です。分析途中で迷いや不安が出た際には、事業目的や製品・サービスの特徴といった原点に立ち返りましょう。

実現が難しい分析結果が出ることもある

STP分析の結果によっては、自社では実現できないマーケティング施策が導き出されることもあります。

例えば、顧客のニーズが高く、競合が少ない市場が見つかったとしましょう。しかし、自社製品をその市場に合わせるためには、非常にコストがかかり実現が難しいという結果が出ました。この場合は、無理に実現させようとせず、アプローチ可能な次点の市場を探します。

STP分析を活用してマーケティング施策を検討する際は、経営資源などを踏まえた上でアプローチ可能な市場を選びましょう。

5.まとめ

STP分析は細分化した市場からターゲットを絞りつつ、自社の強みを活かしたマーケティング戦略の立案に役立つフレームワークです。

1970年代に提唱された手法のため、古いと感じる方も少なくありません。しかし、SWOT分析や4C分析など他の分析手法と組み合わせることで、現代でも十分活用できます。

ただし、STP分析の効果を最大限引き出すためには、顧客や市場に関する調査や事業目的の言語化など事前準備が必須です。STP分析の結果によっては、実現可能な次善の策を探す必要があります。

BtoBマーケティングの担当者は効果的なマーケティング施策を立案するためにも、今回解説したSTP分析の基礎知識や注意点を押さえておきましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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