基本ノウハウ
BtoCマーケティングで広く活用されているペルソナは、BtoBマーケティングでも重要な役割を果たします。ペルソナを設定していると、関係者の意思統一ができる上に、一貫性のある施策を展開しやすくなるでしょう。
この記事では、BtoBマーケティングにおけるペルソナの重要性や設定するときのポイント、設定の流れをお伝えします。また、ペルソナ設定に時間を割けない方向けに、簡易的なペルソナ設定の方法も紹介します。
自社の商品やサービスの代表的なユーザー像であるペルソナは、BtoCマーケティングの領域で一般的になっていますが、BtoBマーケティングにおいても重要な役割を果たします。ここでは、以下に挙げる2つの役割について解説します。
ペルソナを設定しておくと、ユーザーのニーズにマッチした、一貫性のある施策を講じやすくなります。商品やサービスの開発、価格の設定、プロモーション方法など、BtoBマーケティングのあらゆる場面をペルソナの視点に立って考えられるようになるためです。
ペルソナを共有しておくことで、社内のメンバーに加え、マーケティング支援会社のような一緒にプロジェクトを進める社外のメンバーとも認識を揃えやすくなります。BtoBでは、BtoCよりもユーザーのイメージがしにくく、ペルソナを設定していないとメンバー間で認識に差が生まれやすくなっています。ペルソナで共通認識を形成できれば、コミュニケーションがスムーズになったり、施策の方向性のブレが生じにくくなったりといった効果が期待できます。
BtoB企業がペルソナを設定するときの3つのポイントについて解説します。
ペルソナを考えるとき、実際の顧客を参考にすることがおすすめです。ペルソナが自社の理想像になってしまうと、マーケティング施策を講じても大きな成果が期待できません。SFA・CRMにある顧客データやアンケート結果、顧客と接点のある営業部門へのヒアリングなどを通して、実際の顧客の特徴をつかみながら設定しましょう。
ただし、スタートアップ企業やSFA・CRMを導入できていない企業は、顧客データが少ないため、初めから実態に即したペルソナの設定は困難です。仮説をもとにペルソナを設定した後、顧客と接触してデータを集めつつ分析し、ペルソナを改善していく必要があります。
ペルソナとターゲットを混同している方もいるかもしれませんが、両者には具体性に違いがあり、ペルソナはより具体的に作り込まなければなりません。
例えば、「20代、女性、会社員」というターゲットだけでプロジェクトを進めようとすると、メンバー間の認識にズレが生まれやすくなります。「〇〇さん、女性、28歳、株式会社△△、マーケティング部所属、展示会への出展とメールマガジンの運用とWebサイトの管理更新が主な業務、展示会以外の新たな接触チャネルの創出に課題を感じているが多忙のため動けていない」といったように、一人の人物をイメージできるように詳細に作り込み、認識の齟齬を防ぎましょう。
BtoBの場合、導入を決定するまでに複数の人が関わるため、商談相手となる担当者に加え、決裁者や使用者など複数のペルソナを用意するとなお良いです。
ただし、複数のペルソナの設定に時間がかかる上に、それぞれのペルソナに対するアプローチを考え、運用することも難しいでしょう。その場合、社内の稟議を通すために活動する担当者をキーパーソンに設定し、そのキーパーソンが他のペルソナに働きかけられるように支援するという方法もあります。
ペルソナの設定には大きく分けて3つのステップがあります。
ただし、ペルソナの設定には時間がかかります。特に最初の2つのステップは調査・分析・設定に時間がかかる作業です。十分な顧客データがあり、長期的なマーケティング戦略を検討する場合は以下の手順に沿ってペルソナを設計するのがおすすめです。一方で、短期施策のペルソナを設定する場合は「4.短時間で簡易的なペルソナを作る方法」をご覧ください。
ペルソナの特徴を考える前に、まずはバリュープロポジションを決定しましょう。バリュープロポジションとは、競合にはなく、自社だけが持っている価値のことで、自社の強みとも言えます。バリュープロポジションを決定すると、自社が何を提供でき、どんな人・企業の悩みを解決できるのかが明確になるため、より適切なペルソナを設定しやすくなります。
個人ペルソナの人物像をより具体的にするため、既存の顧客情報から企業ペルソナを設定します。このとき、売上高の多い複数の既存顧客の情報を掛け合わせて考えることがおすすめです。企業ペルソナは以下に挙げる項目から設定されることが一般的です。
ちなみに、BtoCビジネスではユーザーの属性情報を「デモグラフィック」と呼ぶのに対し、BtoBビジネスでは企業の属性情報を「ファーモグラフィック」と呼びます。
企業ペルソナの中で、最初に接触する担当者の個人ペルソナを設定します。個人ペルソナで設定する項目は以下の通りです。
BtoBビジネスで特に重要なのは所属部署、ポジション、決裁権、業務上の課題です。これらは、施策の意思決定に大きな影響を与えます。例えば、業務上の課題はコンテンツで狙うクエリに影響し、所属部署やポジションは、展示会とWeb広告どちらからの接触を狙うかなどを考える上で役立ちます。
また、個人ペルソナが出来上がったら、実際に顧客に接する営業社員に見せて意見を求めることで、より実態に近いペルソナを設定できます。
短時間で簡易的なペルソナを設定するステップとして以下が挙げられます。
まずは最低限必要になりそうなペルソナの項目を決定し、プロジェクトに関わるメンバー数人にペルソナを作ってもらいます。このとき、営業社員から実際の顧客の課題や特徴を共有してもらったり、ペルソナの活用方法やゴールを共有したりすると、スムーズに作業できます。出来上がった複数のペルソナの中から、一番イメージに近いペルソナを選び、話し合いながらブラッシュアップ、修正して簡易的なペルソナを決定します。
短期施策に取り組むときや顧客のデータが集まっていない場合、3章で紹介した方法で設定しても、精度の高いペルソナを設定するのは難しいでしょう。仮説をもとに簡易的なペルソナを設計した上で施策に取り組み、集まったデータから実態に即したものに段々と改良することで、精度の高いペルソナを作り上げられます。
BtoBマーケティングにおいて、ペルソナの設定は一貫性のある施策の展開や経験者の意思統一に大きく貢献します。ペルソナが自社の自分勝手な理想像とならないよう、保有する顧客データを分析したり、顧客と接している社員にヒアリングしたりして、実際のお客様に限りなく近いものを目指しましょう。ただし、スタートアップ企業やデータを保有していない企業は、まず簡易的にペルソナを作り、段々と改善してペルソナを作る必要があります。
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