基本ノウハウ
「Webサイトからの引き合いを増やしたい」「見込み顧客をWebサイトに集客したい」と考えサイトリニューアルを検討するBtoB企業は少なくないでしょう。しかしWebサイトをリニューアルしたいと考えるものの、どこからはじめたら良いか分からないと悩むWeb担当者の声をよく聞きます。
本記事では、Webサイト制作やリニューアルによってリード獲得数を増やし売上を伸ばすために必要な考え方や方法を、戦略・制作・リード獲得の3つの項目に分けて解説します。各項目において、自社サイトの状況を振り返ることができる「チェックリスト」も用意しました。チェックを入れるだけで、ボトルネックを特定しサイトリニューアルの方向性を明確にできます。
チェックリストをダウンロードし、ぜひお役立てください!
サイトリニューアルにおいて最も重要なことは、自社サービスの特徴やビジネス環境を正しく把握した上で戦略を立てることです。
戦略を固めないまま、デザインやボタンの位置など表面的な修正を行っても成果につながらないでしょう。また「SEO対策」「ホワイトペーパーダウンロード」などの施策先行でサイトリニューアルを行っても、自社サービスの特性とマッチしない場合があります。
関連記事:サイトリニューアル失敗の原因7選!失敗を防ぐ5つの対策を解説
自社サービスの特徴を分析し適切な施策を見つけるには、「取るべき施策が分かるBtoBマーケティング8パターンの戦略」をご参考ください。
自社サービスの特徴を把握し目的を明確化した上で、戦略→施策→運用のPDCAをまわしていくことが重要です。
サイトリニューアルに欠かせない戦略立案に必要な「ゴール設定」「ペルソナ設定」「サイト運用体制の構築」について詳しく解説します。
まずはじめに、Webサイト制作やリニューアルで達成したいゴールを設定します。ゴール設定においても、自社サービスの特性に合った内容にすることが重要です。
【ゴール設定の例1】高額な製品やサービスを販売するBtoB事業者の場合は、購買までの検討期間が長期にわたるため、Webサイトでは「いかに早く見込み顧客に接触できるか」がポイントになります。
【ゴール設定の例2】営業リソースに限りがあり、新規顧客獲得施策の優先度が高くない事業の場合は、Webサイトから新規リードを大量に獲得しても対応できないことがあります。また受注生産型の事業の場合も、リード数を増やすことよりも自社サービスと相性の良いリードを増やすことをゴールに設定すると良いでしょう。
関連記事:BtoBサイトで成果を上げるには?制作前から準備すべきポイントや成功事例を解説
達成したいゴールを設定したら、コミットすべき数字を確定させ関連部署に周知します。よくある失敗としては、マーケティング・営業・製造現場など各部署がゴールを共有しないまま施策実行し、後になって軌道修正が必要になるケースです。
そのような失敗を防ぐためにも、ゴールの方向性と目標数字を社内の関連部署に共有し認識合わせを行った上でプロジェクトをスタートさせましょう。
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ペルソナとは、マーケティングにおいて活用される概念で「自社製品・サービスのターゲットとなる架空の人物像を、具体的なイメージに落とし込んだもの」を指します。Webサイトのゴールを達成するためにも、ペルソナ設定は欠かせません。
BtoBとBtoCでは「購買の意思決定に関わる人数・プロセス」に大きな違いがあるため、ペルソナ設定の際はそれぞれの事業特性を加味する必要があります。
BtoBサイトのためのペルソナ設定は、担当者個人だけでなく企業特性や規模、意思決定プロセスまで考慮し言語化できると良いでしょう。また業務上の課題や情報収集の手段、頻度などの項目を盛り込むことが大切です。
詳しい設定方法は「BtoBマーケティングでもペルソナを作成しよう!設定の重要性と方法を解説」をご参考ください。
ペルソナを設定したらカスタマージャーニーマップを作成しましょう。カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスを購入するまでのプロセスを、表や図を用いて可視化したもののことです。
ペルソナをもとにカスタマージャーニーマップを作成し、関連部署のメンバーと共有することで認識を統一できるというメリットもあります。
詳しい設定方法は「BtoBにおけるカスタマージャーニーマップとは?【無料テンプレ配布中】ペルソナ記入方法付き」をご参考ください。
ペルソナ設定が難しい場合は、自社の顧客へアンケートやインタビューを行い理解を深めると良いでしょう。
関連記事:コンテンツマーケティングを成果につなげる「見込み顧客インタビュー」のすすめ
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Webサイト運営を成果につなげるためには、責任者を配置し、制作費と保守管理費として予算を確保する必要があります。
Webサイト運営にあたっては、社内メンバーやユーザーからのさまざまな要望への対応を求められることが少なくありません。しかしすべての要望に対応していると、Webサイト運営の目的を見失ってしまいます。それを防ぐためにも、責任者が施策の優先度をつけ判断することが重要です。
Webサイト運営にかかるコストとして、制作費に加えて保守・管理費を予算として計上することを忘れないようにしましょう。
保守・管理に関する対応を怠ると、Webサイトの乗っ取りや攻撃を受けるリスクが高まります。被害にあってから回復させるまでには多大なコストや工数がかかるため、Webサイト構築のタイミングで保守・管理サービスを導入すると良いでしょう。
また同時に、Webサイトの保守・管理を自社内で行うのか、外注するのかの判断も必要です。
自社Webサイトのセキュリティ対策については「Webサイトのリスクに備えるセキュリティ対策とは?すぐできる8つの対策を解説」で詳しく解説しています。
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戦略を立てたら、実際のWebサイトをどのように設計するか検討していきます。トップページの設計からサービスページ、お問合せフォームまで、BtoB事業におけるWebサイトに必要なページ制作のポイントについて解説します。
トップページはサイトの「顔」であり、集客の入り口にあたります。さまざまな流入経路からトップページに訪れたユーザーの課題やニーズに即した導線を設計することが重要です。
BtoB事業のWebサイトへの主な流入経路とユーザーの行動は、次の3つです。
企業のSNSアカウントを運用している場合は、SNSからの流入も期待できます。ただBtoB事業のWebサイトへの流入は、平日(もしくは営業日)にPCからのアクセスがメインであるため、SNSよりは上記の3つの流入が主流だといえるでしょう。
Web広告には、検索連動型広告やディスプレイ広告、メルマガ広告などの種類があります。アプローチしたいペルソナ像に合わせて、広告の種類と訴求内容を検討します。
Web広告の種類と選び方は「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介」で解説しています。
BtoB事業のWebサイトにおいては、Web広告から訪問しすぐに購入という流れは考えにくく、まずはトップページから製品情報を確認し資料請求やデモンストレーションを申し込むという流れが一般的です。そのため、製品情報ページへの分かりやすい導線とCTAとして資料請求ボタンを設置することが重要です。
課題系のキーワードを検索するユーザーは、例えば「リード獲得 方法」など、業務上の課題を持ち検索エンジンを使い情報収集を行っています。そのためペルソナの課題に合致したキーワードの記事やコンテンツを用意し、検索結果の上位に表示させる必要があります。
SEO対策については「【初心者向け】自分でできるSEO対策とは?コンテンツSEOの6つの手順と検索順位を上げるためのポイントを紹介!」をご参考ください。
課題系キーワードの検索から流入したユーザーは、訪問後に知りたい情報を得たらすぐにWebサイトから離脱する傾向にあります。Webサイト内の回遊を促すよりも資料ダウンロードまでの導線を強化することで、メールアドレスなどを取得し継続的にアプローチすることが効果的です。
BtoB事業のWebサイトには、営業担当者がすでにアプローチを行った方や展示会などで接触した方など、すでに社名やサービス名を認知している方が指名検索で訪れる場合が少なくありません。
指名検索によって訪れるユーザーは、サービスに対する興味関心の熱量が高く、資料請求などの行動につながる確率が高いといえます。そのため、トップページのファーストビューにCTAを置くなど、取りこぼしがない設計が重要です。
CTAを配置する方法や考え方については「CTAとは?BtoBのサイトで成功させるポイントや効果測定の方法も解説」をご参考ください。
流入経路やユーザー特性は異なるものの、いずれの場合もトップページの設計が重要であるといえます。
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ナビゲーションとは、Webサイトの上部やサイドバーに設置されているリンクメニューのことです。サイト内の重要なページに、ユーザーがすぐにアクセスできるように誘導する機能です。
BtoB事業のWebサイトへのアクセスは、PCユーザーが多いもののスマートフォンからアクセスするユーザーの使いやすさも考慮し設計する必要があります。
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製品・サービスページでは、自社製品・サービスの機能や特長に加えて、「誰のどのような課題を解決できるのか」を分かりやすく伝えることが重要です。
Webサイトに訪問したユーザーは、「自分(自社)の悩みを解決してくれるか?」ということに関心があり、できるだけ早く簡単に情報を収集したいと考えています。そのため製品情報を羅列するだけでなく、ユーザー目線に立ち、課題に寄り添うコンテンツを設計することが大切です。
ユーザーの課題を把握するには、これまで社内に蓄積した「お客様の声」などを参考にすると良いでしょう。また、顧客にどのような言葉や表現が響くのか、営業担当者にヒアリングを行うのも効果的です。
Webサイトにおけるゴールや設定したペルソナ像によって、製品・サービスページの内容も変わります。例えばWebサイトのゴールを「潜在顧客の発掘」とした場合、製品をはじめて見るユーザー向けの内容にすると良いでしょう。
関連記事:サービスサイトとは? コーポレートサイトとの違い、構成やデザインのポイント、制作時の注意点も解説
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「価格・料金を知りたい」とWebサイトを訪れるユーザーも少なくないため、価格表・料金プランのページを用意することでユーザーニーズにこたえる必要があります。
商材によっては決まった価格の提示が難しい場合があります。その場合は、営業現場ではどのように価格を案内しているのかを確認すると良いでしょう。価格を明示した場合と、見積もりを入れた場合で、成約率に差が出るのかということも含め検討する必要があります。
価格を提示しない場合は、見積依頼や問い合わせフォームのURLを掲載し遷移させるという方法もあります。
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事例紹介ページでは、自社製品を導入した企業にどのような課題があり、製品によってどのように解決したのか、導入までの流れについてインタビュー形式などで掲載します。
BtoB事業のWebサイトでは、トップページに次いでよく読まれるページは「事例紹介ページ」ともいわれています。製品・サービスの導入を検討している企業にとって、自社と似た課題を解決した事例は、導入後のイメージを助け購買の後押しになります。
事例紹介ページ作成の際は、次のポイントを押さえると良いでしょう。
関連記事:コンテンツマーケティングの種類7選!目的に合ったメディアの選び方まで解説
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CTAはWebサイトを訪れたユーザーに、購買や登録などWebサイト運営のゴールにつながる行動を促す仕組みのことです。お問い合わせや資料請求ページに遷移するボタンやテキストリンク、バナーなどを指します。
ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率の向上を図るためにもCTAを適切な場所へ配置することが重要です。例えば、ある程度ページを読み進めた興味・関心の高いユーザーに対しては、スムーズに次の行動に移れるようにページ下部にCTAを設置するケースがあります。またCTAの文言やデザインの改修によってコンバージョン率の改善が期待できます。
CTA設置を成果につなげるポイントや測定方法については「CTAとは?BtoBのサイトで成功させるポイントや効果測定の方法も解説」をご参考ください。
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問い合わせフォームは、見込み顧客との接点をつくりその後のアポイントメントや商談につながる重要なページです。
フォームから問い合わせを行うユーザーは製品・サービスへの関心度が高い可能性があります。そのようなユーザーを取りこぼさないためにも、Webサイト内の問い合わせフォームへの導線を明確にする必要があります。
問い合わせフォームのつくり方は「お問い合わせフォームの作り方を基礎から実践まで解説|無料ツールも」をご参考ください。
また、問い合わせフォーム自体の使いやすさを工夫することで離脱を防ぐのも効果的です。
問い合わせフォームを改善する方法については「EFOとは?BtoB企業での必要性や対策の例を解説|役立つツールも」で解説しています。
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会社概要のページを訪れるユーザーは、「信頼のおける企業であるかどうか」という点を確認するために訪問しています。まず基本情報として下記の項目を記載すると良いでしょう。
この他にも、取得している認証があれば認証マークを、有名企業との取引がある場合は主要取引先を記載します。さらに、代表者や役員などのプロフィールと顔写真があれば、「どのような人物が働いているのか」「誰から製品・サービスの提供を受けられるのか」を可視化し、ユーザーに安心感を与えられます。
また、BtoBの取引においては対面でのコミュニケーションを重視する傾向にあるため、地域性を強みとする事業の場合は、本社所在地やアクセス方法、地図などの情報を掲載することも有効です。
関連記事:BtoBサイトで成果を上げるには?制作前から準備すべきポイントや成功事例を解説
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BtoB事業のWebサイトでは、ビジネスの特性上、ユーザーがWebサイトを訪問してすぐに成約・購買に至るということは難しいといえます。そのためWebサイトでは、見込み顧客に自社製品やサービスを認知してもらい、資料請求や問い合わせにつなげることが重要な役割になります。
Webサイトでリード獲得(見込み顧客の情報取得)するための3つの施策について解説します。
資料ダウンロードページとは、ホワイトペーパーやebookなど見込み顧客にとって役に立つ情報を資料にまとめ、ユーザーが個人情報を入力することでデータをダウンロードできるページを指します。
Webサイトから問い合わせを行うほど検討・購買意欲は高くないものの、必要な情報を収集したいと考える見込み顧客へのアプローチに有効な施策です。
ホワイトペーパーの基礎知識とつくり方については「ホワイトペーパーとは?活用方法・構成・作り方まで解説」をご参考ください。
ホワイトペーパーの代表的なコンテンツには、次の5つのタイプがあります。
自社がアプローチしたい見込み顧客にとって、どのような内容が響くのか検討し作成すると良いでしょう。
ホワイトペーパー作成に役立つテンプレートはこちらからダウンロードできます。
また資料ダウンロードページでは、資料の内容を簡潔に分かりやすく伝えることで離脱を防ぎダウンロードを促します。「どのような業務を担当する人」の「どのような課題を解決できるのか」を明記すると良いでしょう。
資料ごとに用意する個人情報入力フォームでは、項目数を絞り離脱を防ぐことが大切です。
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オンラインセミナーが定着した今、リード獲得施策としてセミナー開催やアーカイブ放送施策を行う企業が増えています。
ユーザーにとってもセミナー参加のハードルは下がっているものの、はじめてWebサイトを訪問したユーザーがセミナーに参加するまでにはいくつかのステップが必要です。代表的なステップとしては、まずは資料配布や展示会出展などによって接点をつくり、メールマガジンでアプローチを続けるなかでセミナー開催案内を送る、といった流れです。
ウェビナー開催のメリットと集客方法については「BtoBウェビナーのメリットは?集客方法や事例も解説!」をご参考ください。
またWebサイトでセミナー情報を掲載する場合は、ユーザーの興味とステップに沿った導線設計とデザイン、CTA設置の工夫が必要です。
関連資料:はじめてのウェビナー設計 TOTAL GUIDE BOOK
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オウンドメディアとは、企業が自社で所有し運営しているメディアのことです。オウンドメディアでは、ユーザーの悩みや課題を解決するためのお役立ち情報を伝え、その解決に自社製品やサービスが役立つことを伝える形で運用します。
まだ製品やサービスを認知していないユーザーに対して、課題解決を軸にしたコンテンツでWebサイトへの訪問を促し、結果的に製品やサービスの認知を広げリード獲得につなげることが目的です。
そのためコンテンツでは製品やサービスの紹介を全面に出すよりも、見込み顧客が課題と感じ検索しそうなキーワードを設定しコンテンツ化する必要があります。その上で、コンテンツと関連する資料のダウンロードを促すという流れが理想的です。
オウンドメディアの運営については「オウンドメディアの意味とは?運用事例や成功のポイントまで解説」をご参考ください。
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現在、顧客の多くは、営業担当者と接する前にWebサイトで製品やサービスの検討をしているといわれています。営業のリソースが限られるなか、見込み顧客へのリーチを広げアプローチを行うためには、Webサイトの効果的な運用が欠かせません。しかし戦略を固めないまま表面的なサイトリニューアルを行っても成果にはつながりません。
Webサイトからの引き合いを増やすためにも、チェックリストを活用することで自社サイトのボトルネックを特定し改善につなげましょう。