基本ノウハウ
ユーザビリティの改善やデザイン変更などを行うために、定期的に実施されるサイトリニューアル。担当者としては、企業の顔であるサイトをリニューアルするからには絶対に失敗は避けたいでしょう。一方でリニューアル後に、コンテンツの検索順位が下がったり、問い合わせ数が減ってしまったりと「失敗してしまった」と頭を抱える担当者も一定数いるようです。そこで今回はサイトリニューアルが失敗する7つの原因と失敗を防ぐ5つの対策を解説します。
サイトリニューアルに失敗してしまう7つの原因を紹介します。
古めかしいデザインからトレンドに合ったデザインに変更することで、多少直帰率の改善が見られるかもしれません。しかしフォントやカラー、ページレイアウトなどの表面的なデザイン変更にだけ注力しても、あまり良い成果は望めないでしょう。なぜなら表面的なデザイン変更に対して、リピーターには「使い慣れたサイトが変わってしまった」と思われるだけの恐れがあるためです。
表面的なデザインだけでなく、コンテンツの内容やサイト内の導線などにも配慮してリニューアルを行うことが大切です。
ユーザビリティ(使いやすさ)を考慮していないサイトは、ユーザーからの評価が悪く、離脱に繋がるリスクが高まります。
・お問い合わせページの入力項目が必要以上に多い
・商品・サービスの検索がしづらい
・デザインが統一されていない
加えてユーザビリティの悪さは、コンテンツの検索順位にも悪影響を及ぼしかねません。ユーザーがサイトに訪問してからの導線を十分に考慮した、ユーザビリティの高いサイトにリニューアルしましょう。
SEOの知識が足りない、もしくは知識を持っていたとしても配慮が足りずに、SEOを十分に考慮しないリニューアルを行ってしまうと失敗リスクが高まります。SEOを十分に考慮しないリニューアルとは例えば、コンテンツ数を減らしたり、デザイン性を高めたりするためにアニメーションを多用する変更が挙げられます。
・検索エンジンから評価されるためには、一定数のコンテンツが必要だと言われている
・アニメーションを多用すると、ページの表示速度が遅くなり、検索エンジンから低評価を受ける可能性がある
SEOを考慮しないリニューアルを行った結果、コンテンツが検索上位に表示されなくなくなり、アクセス数・CVなどが低下する恐れがあります。
例えば、アニメーションの多用やコンテンツの過剰な削除を止めたり、サイトをスマホでも見やすくするためにスマホ最適化を行ったりと、SEOを十分に踏まえたサイトリニューアルを行うことが大切です。
関連記事:「サイトリニューアルがSEOに与える影響とは?検索順位が下がるのを防ぐ11の注意点」
適切な制作会社を選べなかった場合、リニューアルが失敗してしまう恐れがあります。
制作会社と一言で言っても特徴はさまざまで、中にはSEOの知見が十分ではない会社や自社の業界に明るくない会社も存在します。そのような制作会社に依頼をしても、決して良い結果は望めないでしょう。
制作会社の選定にあたっては、制作実績や提案内容、制作会社のリソースの状況などをよく確認することが大切です。
目的や課題が明確にならない状態でリニューアルをしてしまうと、リニューアルによりどの課題をどの程度改善されたのか、効果測定ができません。つまり、リニューアルがうまくいったのか、誰にも分からなくなってしまうのです。
「なんとなく古いから」という抽象的な思いからではなく、現在のサイトの課題およびリニューアルの目的を明確にした上で、サイトリニューアルに臨みましょう。
成果を上げている競合他社のサイトとそっくりにリニューアルをしてしまうと、自社の強み・特徴をサイトに上手く反映できません。加えて、著作権や盗作関連のトラブルにも発展する恐れがあります。
他社サイトの要素を取り入れるだけであれば問題ありませんが、あくまで他社サイトは参考程度に留めておきましょう。
運用・更新を考えずにリニューアルされたサイトでは、コンテンツの更新や分析作業に手間がかかり、生産性およびモチベーションの低下に繋がります。さらにコンテンツの更新・情報の発信が滞ると、検索エンジンから低評価を受け、コンテンツの検索順位が下がるリスクも高まります。
「更新のしやすい管理画面の設計」や予算に一定の余裕がある場合は「CMSの導入」など、サイトリニューアルでは、サイト運用・更新のしやすさにも配慮することが重要です。
制作会社に依頼する場合における、サイトリニューアルの失敗を防ぐ対策について、【発注前】【発注中】【納品後】の3つのフェーズに分けて解説します。
制作会社はサイト制作のプロではありますが、自社および自社の業界動向について深い知識はありません。
そのため「プロにすべて任せよう」「意図を汲んでくれるはず」と制作会社に丸投げしてしまうと、イメージと異なるサイトが出来上がってしまったり、十分な精度のリニューアルが実現されなかったりというリスクが高まります。
発注前の打ち合わせ段階から制作会社に丸投げはせず、要望や情報をしっかり伝え、発注中も適宜途中経過の確認をするようにしましょう。
社内コンセンサスを十分に取らないままリニューアルプロジェクトを進行してしまうと、発注後に制作会社との間で、契約周りのトラブルが起きてしまうかもしれません。さらに最悪の場合には、リニューアル工程がある程度進んだ状態にもかかわらず、始めからやり直しになることも考えられます。
こうした事態を防ぐために、リニューアルの目的やターゲットユーザー層、費用、コンテンツの方向性など、リニューアルに関わる項目については、発注前に十分な社内コンセンサスを取るようにしましょう。
費用を絞って発注したり、短期納期で依頼をしてしまうと、制作会社側としては工程を短縮したり、場合によっては部分的に工程を省かざるを得ないこともあります。その結果、十分なクオリティーのサイトリニューアルにならない可能性が高まります。
そのため、費用とスケジュールには余裕を持つことが大切です。仮に費用・スケジュールの目途が分からない場合には、その旨を発注前に複数の制作会社へ相談・問い合わせをするようにしましょう。
【発注前】制作会社に丸投げをしないとも関連しますが、質の高いサイトリニューアルを実現するために、自社や自社の業界に対する情報・要望などを制作会社に適宜伝えることが大切です。
一方で、こちらからコミュニケーションを取ろうと動いても、制作会社側が十分にヒアリングをしてくれない場合は、担当者もしくは制作会社自体の変更も検討しましょう。
サイトリニューアルはリニューアルを終えて、公開してからが本番です。リニューアル後も更新・改善を続け、サイトを育てなければ十分な結果が出ないためです。
また更新・改善が滞ると、結果が出ないばかりか、検索順位および企業イメージの低下に繋がる可能性もあります(更新頻度の低い企業サイトを見ると「この企業大丈夫かな...」と思う方も一定数いるはず)。サイトリニューアル自体を目的化せず、リニューアル後の更新・改善にも注力しましょう。
サイトリニューアルの失敗を防ぐためには、失敗原因を把握した上で、制作会社への【発注前】【発注中】【納品後】それぞれのフェーズで対策を講じることが大切です。
一方で、サイトはリニューアルをして終わりではありません。リニューアル後にはサイトを育てていくために、サイトの課題を抽出・分析した上で、更新・改善を続ける必要があります。
サイトリニューアルの失敗リスクを下げるために、本記事で紹介した7つの失敗原因および5つの対策を踏まえた上で、リニューアルプロジェクトを進めてみてはいかがでしょうか。