基本ノウハウ
Webサイトの制作後は、定期的な効果測定と改善を繰り返す必要があります。しかしアクセス解析などを経て現状を分析できたものの、「実際にどのような変更を加えれば良いか分からない」という方も多いでしょう。
本記事ではサイト改善のポイントや手順について、独自のセルフチェックリストを踏まえながら解説します。課題別の方法や成功事例も、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
サイト改善のチェックポイントについて、設計面とクリエイティブ面の2つに分けて解説します。なお設計面とクリエイティブ面は、どちらか一方だけではなく両方の改善を考えることが大切です。デザインだけ変えるといった表面的な変更だけでは、あまり効果を望めません。
サイト改善で確実に成果を上げたい方は、こちらの資料もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「売れるBtoBサイトにする「セルフチェックリスト120」無料ダウンロード付き」
設計面でチェックすべきポイントは、主に次の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Webサイトによる集客を成功させるためには、ターゲットの心に刺さるサイト設計が必要です。集客がうまくできていない場合は、次のような質問に自問自答してみましょう。
目標やターゲットが不明確、あるいはコンテンツ内容が設定したペルソナとズレずれていると成果は上がりにくくなります。Webサイトの目標は主に次のようなものがあるため、どれを軸にするか設計の時点で明確にしましょう。
またペルソナ設定の流れやポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「BtoBマーケティングにおけるペルソナの重要性 設定のポイントや流れも解説」
Webサイトの閲覧数や滞在時間を増やしたい方は、次のようなポイントを振り返ってみましょう。
広告やSNSといった流入元とWebサイトのファーストビューに乖離があると、直帰につながります。そのためページ遷移前後の印象を統一するよう、後述のデザイン面も含めてコントロールすることが大切です。
また閲覧数が少ない場合は、そもそも露出機会の増加が不十分という可能性があります。この場合はターゲットが近いWebマーケティング施策と、連携を強化するのも1つの方法です。Webマーケティングの手法や進め方を知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「Webマーケティングとは?進め方のコツから役立つ本・資格まで徹底解説【未経験・初心者マーケター必見】」
さらにWebサイトの階層構造が崩れていると、ユーザーも検索エンジンのクローラーも巡回しにくくなります。コンテンツ数が増えても下図のようにツリー構造を保ち、詳細ページまでは3クリック以内にたどり着ける形が理想的です。
同じ内容でURLが異なるページは1つにまとめ、ユーザーが使いやすいWebサイト制作を心がけていきましょう。
Webサイトの離脱率が高い場合にチェックすべきポイントは、主に次の5つです。
上記の対策が不十分だと、ユーザーや検索エンジンのクローラーがWebサイト内を巡回しにくくなります。クローラーの評価が上がらないと掲載順位が向上せず、検索エンジンからの流入も増えません。ユーザーも滞在時間が短くなり、直帰率も高まります。
離脱率を下げたい場合は、次のようなサイト改善策を施していきましょう。
上記のような方法は、テクニカルSEOとも呼ばれます。具体的な施策について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「テクニカルSEOとは?Googleから評価を得るための技術的な10の施策」
PV数などはある程度確保しているものの、なかなかCV数が増えない場合は、次のようなチェックポイントを振り返りましょう。
CV数が少ない原因としてよくあるのが、CTAボタンを見つけにくいケースです。行動意欲の増したユーザーがスムーズにアクションできるよう、最低限次のような場所にCTAを設けましょう。
CVRの改善方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「コンバージョンとは?種類や設定手順、低い原因と対策方法まで徹底解説」
クリエイティブ面でチェックすべきポイントは、主に次の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Webサイトのデザイン面でNGなのは、読みにくい・使いにくいという点です。またブランドイメージと乖離があるデザインでは、ユーザーに不安や疑念を与えかねません。例えば「コーポレートカラーが青なのにWebサイトのメインカラーは赤」「高機能をうたった製品なのに安っぽいデザイン」などが挙げられます。
ユーザーの直帰を防ぐためには、次のような改善策が必要です。
なおWebデザインには、認知パターン(受ける印象)と機能パターン(使いやすさ)の2種類があります。この2つは専門家でない限り、同時に比較検討することは難しいものです。サイト改善の途中で手戻りを発生させたくない場合は、認知パターンをすり合わせ後に機能パターンの検討に入ると良いでしょう。
WebサイトのレイアウトでよくあるNG例が、独特すぎて逆にユーザーが使いにくい形になっているケースです。差別化は大切ですが、レイアウトに関しては同業種でよくある形にした方が無難といえます。見慣れたレイアウトの方が、ユーザーは「どこに何があるか」を理解できる分回遊しやすいためです。
Webサイトのレイアウトを改善する際は独自性を狙いすぎず、あくまでもユーザーファーストを意識した形にしましょう。
内容が薄い、あるいは古いなどコンテンツSEOが不十分だとユーザーニーズに応えられず、CVにつなげられません。Webサイトの成果を引き出すためには、次のような改善策が必要です。
コンテンツSEOの手順や注意点について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「コンテンツSEOとは?概要・メリット・作り方の手順を徹底解説」
Webサイトでよくある3つの課題別に、具体的な改善方法を解説します。
なおWebサイト制作や改善のコツについて、LPやお問い合わせフォームなどページの種類ごとに知りたい方は下記の記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「【初心者向け】LPの簡単な作り方|無料ツールや依頼相場も解説」
関連記事:「EFOとは?BtoB企業での必要性や対策の例を解説|役立つツールも」
Webサイトの訪問数が少ない原因は、ユーザーの目に留まる機会が少ない点にあります。突き詰めると、次の3つが考えられます。
そのため改善方法としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
狙ったターゲットへ確実にコンテンツを届けられるよう、サイトやページの設計から改善してみてください。
Webサイトの直帰率が高い原因は、ユーザーの不安や不満を訪問直後に誘発している点にあります。具体的には、次のような状況が考えられるでしょう。
改善方法としては、主に次の5つが挙げられます。
特に表示速度の向上は重要です。訪問から表示までの時間が1~3秒遅くなるだけで、直帰率は30%以上にもなります。※1
※1出典:Think with Google| Find Out How You Stack Up to New Industry Benchmarks for Mobile Page Speed
時間をかけて作ったコンテンツが無駄にならないよう、ユーザーが安心かつ快適に利用できるWebサイトへ改善していきましょう。
CVが少ない原因は、ユーザーの心理的・物理的障壁を取り払えていない点にあります。例えば次のような状況です。
改善方法としては、主に次の3つが挙げられます。
ユーザーが自身の検討段階に合わせてスムーズにアクションを選べるよう、CVポイント周辺にも配慮していきましょう。
ここではサイト改善の手順を、3ステップに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは現状分析で課題を抽出し、改善の方向性について仮説を立てます。いきなり具体策に取り組まないのは、勘に頼らず事実ベースでサイト改善を進めるためです。現状を正確に把握し、仮説立案と検証を繰り返すなかで改善策の最適な形は徐々に見えてきます。
サイト改善の第一歩ともいうべき現状分析について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
仮説を立案したあとは、具体的な改善策を検討・実行します。サイト改善の効果測定では、ABテストや多変量テストなどが有効です。最も効率的なのは、多変量テストでユーザーに影響が大きい点を把握し、ABテストで精査する流れになります。
ただし多変量テストは相応の流入数やCVが必要なため、難しい場合はABテストの繰り返しでも問題ありません。ABテストの流れや役立つツールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「ABテストとは?意味がない?注意点・具体的なやり方からおすすめのツールまで紹介」
またサイト改善を実際に進める際は、場合によって人的リソースの確保やアウトソースの検討も大切になります。コンテンツ制作チームのほか、インフラやマーケティングといった多様な人材が必要になるためです。
実際リソース・ノウハウ不足から、自社内だけでサイト改善を進めるのは難しいケースも少なくありません。そのような場合はコンサルティング会社を利用し、ノウハウ獲得とリソース不足解消を同時に解決するのも1つの方法です。
サイト改善後は、アクセス解析で施策前後の変化を確認します。変更内容によっては効果発現まで時間がかかるケースもあるため、定期的かつ継続的なチェックが大切です。
アクセス解析で分かることや進め方のコツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
最後にサイト改善に成功した事例を、3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アドビ株式会社は、PhotoshopやIllustratorといった画像編集ソフトが有名な外資系IT企業です。Webサイトのフォーマットは各国共通であり、変更を加えるにはさまざまな制約がありました。そのような中パンデミックが起こり、イベントを通じた見込み顧客の獲得が難しくなります。
そこでアドビ株式会社はSEOコンサルティングを受けながら、ビッグキーワードの獲得を目指したコンテンツ制作やクローラビリティの改善を図りました。結果として自然検索からのリード獲得数は約150%、商談件数は約130%向上したとのことです。
株式会社HajimariはHRテクノロジー事業を展開する企業であり、自社サービスの認知拡大と登録者数の増加を目標にしていました。途中でオウンドメディアの担当者が抜けたものの、一定数のCVが発生していたことから、SEOによる集客強化を図ります。
具体的には、CVしやすい導線の設計やクリエイティブ面の改善を加えます。その結果初月からCV数が約1.5倍となり、半年後には約2倍にまで向上したとのことです。
株式会社オールアバウトは、総合情報サイトの運営やWeb広告事業を展開する企業です。自社サイトをさらに成長させたい気持ちがあったものの、社内のノウハウだけでは限界を感じていました。
そこでコンサルティングを受けながら、戦略立案から記事作成まで一連のSEO対策について内製化を進めます。その結果短期間でテクニカルSEOが改善し、流入数も200%にまで向上したとのことです。
サイト改善は設計面とクリエイティブ面という、2つの側面を念頭に進める必要があります。こまごまとした施策は異なりますが、いずれもユーザーファーストを意識した改善が大切です。
実際にサイト改善を進める際は場当たり的に対応するのではなく、現状分析と仮説検証の繰り返しが重要になります。また場合によってはコンサルティング会社など外部のサービスを利用し、リソース確保やノウハウ習得を図るのもおすすめです。
WebサイトのPV数やCV数を上げたい方は、小さな改善を着実に重ねていきましょう。