基本ノウハウ
EFOとは、Webサイトからの成約率向上を目指す際に実施する手法の1つです。しかし、Webマーケティングについて勉強して間もない方は、「EFOとは何か」「具体的にどのようなことをすれば良いのか」と疑問に思うでしょう。
本記事ではEFOとは何か、その概要や重要性について解説します。フォーム入力中に離脱する理由を踏まえ、具体的なEFO対策の例や役立つツールもあわせて紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
まずはEFOとは何か、その概要や重要性を解説します。EFOと混同しやすい、LPOやSEOとの違いもあわせて押さえていきましょう。
EFOとは入力フォームの使いやすさを改善することで、入力中の離脱を防ぐ手法です。フォーム入力中に離脱するユーザーは、実に70~80%といわれています。そのためEFOの改善は、成約(コンバージョン)率の向上に欠かせません。
なおEFOは、Entry Form Optimization(エントリーフォームオプティマイゼーション)の頭文字を取った言葉。意味はエントリーフォーム最適化です。
そもそも入力フォームとは、次のような要素で構成されています。
構成要素 | 内容 | 例 | |
---|---|---|---|
1 | タイトル | 入力フォームの目的を提示 | 新規会員登録/新規アカウント作成/申し込みなど |
2 | ラベル | 入力内容を提示 | メールアドレス/姓・名/会社名など |
3 | 入力フィールド(エリア) | 情報を入力する場所(入力項目が1行のみの場合は入力フィールド、複数行の場合は入力エリア) | --- |
4 | アクションボタン | 内容の送信やページの移動 | 送信する/確認する/戻るなど |
5 | 同意項目 | 同意内容の確認 | 利用規約に同意する/プライバシーポリシーに同意するなど |
効果的なEFO施策を講じるためには、入力フォームのどこで離脱が多いか、何が原因かを探る必要があります。詳細かつ正確な分析を進められるよう、入力フォームの基本構成は最低限押さえておきましょう。
EFOはBtoB企業のリード獲得という点でも重要です。多くのBtoB企業で入力フォームはリード生成ツールとして重宝され、実際に最もリード獲得に貢献しています。
またEFOの改善はCPA削減にも、直接的に効果があるといえるでしょう。CPAとはCost Per Action(コストパーアクション)の頭文字を取った言葉であり、意味は顧客獲得単価です。つまりCPAは1件の顧客や成果を獲得する際に必要な広告費用を指し、CPAが低いほど費用対効果が高いといえます。
例えば次のような条件で、CPAの変化を見てみましょう。
離脱率 | CV数※1 | CVR※2 | CPA※3 | |
---|---|---|---|---|
EFO改善前 | 75% | 500 | 8.3% | 1,320円 |
EFO改善後 | 70% | 600 | 10% | 1,100円 |
※1 CV数=入力フォームの表示回数×残ったユーザーの割合
※2 CVR(コンバージョン率)=CV数/広告クリック数×100
※3 CPA=コスト(広告クリック数×CPC)/CV数
上記の例では、EFOを改善したことでCVRが約1.2倍向上し、CPAが約17%も削減された結果となります。つまりEFOを改善すれば、売上アップとコスト削減を同時に実現できる可能性が高まるのです。
EFOと混同しやすい言葉に、LPOやSEOがあります。それぞれの違いは、下表の通りです。
略称 | 正式名称 | 目的 | 具体的な施策の例 |
---|---|---|---|
EFO | Entry Form Optimization (エントリーフォーム最適化) | ・フォーム入力中の離脱防止 ・成約率の向上 |
入力項目を絞る |
LPO | Landing Page Optimization (ランディングページ最適化) | ・直帰率の低下 ・成約率の向上 |
ターゲットのユーザーに合わせてLPを複数準備する |
SEO | Search Engine Optimization (検索エンジン最適化) | ・検索流入の増加 ・成約率の向上 |
ユーザー満足度の高いコンテンツを作る |
いずれの手法も最終的な目的は、成約率の向上へつなげること。SEOで集客しLPOで購買意欲を盛り上げ、EFOで確実に成約へつなげると覚えておくと良いでしょう。
ユーザーがフォーム入力中に離脱する理由は、主に次のようなものが挙げられます。
つまり入力がわずらわしくなったり、入力の手間に値する価値を感じられなかったりすると離脱してしまうのです。逆に言うと入力フォームが長くても、ベネフィットが多いと感じられればCV率は低下しにくくなります。
EFO対策を検討する際はユーザーがベネフィットをしっかり感じられるよう、SEO・LPO対策も含めて全体的に見直すことが大切です。
ここでは入力フォームの構成要素ごとに、EFO対策の具体的な施策を解説します。
順に見ていきましょう。
入力フォーム全体に関わるEFO対策は、主に次の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
入力項目は基本的に3つほどに絞ると良いでしょう。しかしユーザーの状態に合わせて出し分けるとより効果的です。ユーザーの状態とEFO対策の例は、下表のようになっています。
ユーザーの状態 | CVポイントの例 | EFO対策の例 | |
---|---|---|---|
認識 | 課題に気づいていない、あるいは課題があると感じていても明確になっていない状態 | ・会員登録 ・メルマガ購読 |
・メールアドレスのみ ・氏名、会社名、メールアドレス |
検討 | 課題に気づき、解決策を検討している状態 | ・資料請求 ・ホワイトペーパーのダウンロード | ・氏名、会社名、メールアドレス、電話番号、従業員数など認識段階よりも多めに項目を設定 |
決定 | 解決策を絞り込む状態 | ・トライアル申し込み ・見積もり相談 |
また、CRM(顧客関係管理システム)との連動によるパーソナライズ化も有効です。流入元やデバイスごとの出し分けが可能となるため、離脱防止がより期待できます。
入力ページは、可能な限りまとめましょう。複数のページに渡れば渡るほど、ユーザーは入力へのストレスを感じ途中で離脱する可能性が高まるためです。
どうしてもページを分けたい場合は、残り何ページあるかページトップか下部へ表示しましょう。ユーザーの心理的負担を軽減するよう配慮することで、離脱防止が期待できます。
入力フォームのページには、必要性の低いリンクは設置しないようにしましょう。リンクがあると入力完了前にページを移動し、そのまま離脱しかねないためです。
基本的にはアクションボタン以外のリンクは、設置する必要はありません。どうしても必要でリンクを設置する場合は、ページから移動すること、入力内容が保存されないことなどを明記したメッセージを表示して注意喚起しましょう。
入力内容を提示するラベルでは、次のようなEFO対策があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
必ず入力してほしい項目は、その意図がユーザーに伝わるようにラベルを目立たせましょう。必須項目と任意項目の違いが分かりにくいと、入力漏れが起きやすくなります。するとエラー表示によって行動意欲が低下し、離脱につながりかねません。
必須項目のラベルは太字や赤字での装飾、あるいは※の追加などで入力漏れを防ぐよう工夫してみてください。
またファーストビューで、入力項目が分かりやすいことも大事になります。
ラベルには半角や全角といった、テキストサイズの指定を明記しましょう。日本語の入力フォームでは半角と全角が混在し、エラーの原因になりやすいためです。
例えば氏名は全角、メールアドレスは半角など項目によってテキストサイズが異なります。項目ごとに半角と全角をいちいち変えていては、途中でわずらわしくなり離脱することも。そのため半角入力の内容は前半、全角入力の内容は後半などラベルの順番を変えるのも1つの方法です。
実際に情報を記載する入力フィールドでのEFO対策は、主に次の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
必須項目の入力漏れや半角や全角の入力ミスなどのエラーメッセージは、入力中に表示します。入力完了後にエラーメッセージを出すと、「どこで間違ったのか?」と探す手間がかかり離脱につながるためです。
なおメッセージにはどのように修正してほしいか、具体的に記載するのもポイント。エラーとだけ表示するのではなく、「〇〇(全角or半角)で入力してください」「パスワードは8文字以上入力してください」など2度目のミスがないように配慮しましょう。
入力フィールドはなるべく分割せず、まとめた方がユーザーに親切です。電話番号はハイフン前後、メールアドレスは@前後で分割されているケースが少なくありません。しかしフィールドが分割されていると、入力フィールドの選択と入力を繰り返す手間がかかります。
ユーザーの入力ストレスを減らし離脱を防ぐためにも、フィールドは積極的にまとめていきましょう。
半角スペースやハイフンの有無など、入力すべきか迷いやすい箇所は例を表示します。
最も分かりやすい例が、電話番号です。入力フォームによって、ハイフンを必要とする場合と不要の場合があります。そのため、「この問い合わせフォームではハイフンがいるのか」とユーザーは一瞬悩み、そのちょっとしたタイムラグが入力のわずらわしさを増してしまうことも。
しかし例を表示しておけば、一瞬で入力すべき内容や形式が分かります。手間を考えるとハイフンはない方が楽ですが、どうしても必要な場合は例を表示してユーザーの入力ストレスを軽減させましょう。
入力内容は残せるように設定することも、入力フィールドにおけるEFO対策で有効です。入力誤りに気づいてフォームへ戻った際、再入力する手間が省けます。
入力内容を残すのが難しい場合は、エラーメッセージのリアルタイム表示を実装するか、修正ボタンを設置すると良いでしょう。
アクションボタンは、視線の動きに合わせて設置します。次に進む場合のボタンは右下、優先度の高いものは上などです。例えば「登録する」を上に、「戻る」を下に配置すると優先度の高い登録ボタンを押しやすくなります。
コンバージョンボタンは探す手間を省けるよう、ボタンや文字のサイズを大きくしたり、目立つ色にしたりといった工夫が必要です。またボタン内の文言は、シンプルで分かりやすいものにしましょう。例えば「すべての入力項目について確認する」は、「確認する」で十分です。
EFO対策は自社内でも対応できますが、ツールを活用するとより効果的かつ効率的に改善策の検討や実行が可能です。最後にEFOツールについて、以下の内容を解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
EFOツールでできることは、主に次のような内容です。
ただし、すべての機能を使用すれば良いというわけではありません。大切なのは、実際に導入したあとにEFOが改善したかどうか、CV率の向上やCPAの削減が実現したかという点です。そういう意味ではEFOツールで最も重要なのは、効果測定や分析に役立てられるレポーティング機能といえます。
EFOツールはさまざまありますが、次のような内容を判断基準に選ぶと良いでしょう。
費用の支払方法は月額制だけでなく、1回払いのEFOツールもあります。無料トライアルを設けているEFOツールもあるため、試行期間の間に使い勝手や自社サービスとのマッチ具合を確認してみてはいかがでしょうか。
ここでは代表的なEFOツールについて3つ解説します。
それぞれの特徴や機能、導入費用などを見ていきましょう。
EFO CUBEは、株式会社GeeeNのEFOツールです。解析機能は、12種類搭載されています。レポートもボタン1つで自動出力されるため、効率的にEFO改善策の検討と実行ができ、主な機能は次の通りです。
特に会社情報の自動入力機能は、BtoB企業が設置している問い合わせフォームでの離脱防止が大いに期待できるでしょう。なお初期費用は原則0円で、月額料金は50,000円となります。無料トライアルは要問い合わせとなっているため、導入を検討している方は公式サイトから相談してみてください。
GORILLA EFOは、ブルースクレイ・ジャパン株式会社のEFOツールです。最も特徴的なのは、機能数が豊富な点です。他社平均が11種類なのに対し、GORILLA EFOは20種類の機能が取りそろえられています。
無料見積もりは即日で可能です。初期費用は30,000円であり、その後は6カ月ごとに9,800円かかります。申し込みから約10日ほどで利用を開始できるため、費用を抑えつつ迅速に導入を進めたい企業におすすめです。
Form AssistはEFO市場で7連続シェアNo.1を誇る、株式会社ショーケースのEFOツールです。導入フォーム数は5,000を超え、特に金融業界でのシェア率は70%以上と利用実績数の多さが特徴になっています。基本的な機能は、次の通りです。
残念ながら、無料トライアルはありません。しかし、導入後は専任チームが設立され、定期的かつ手厚いトータルサポートを受けられます。初期費用や月額費用について知りたい方は、公式サイトから問い合わせてみてください。
EFOとは入力フォームでの離脱を防ぎ、CVへ確実につなげるために実施する手法です。BtoB企業ではリード獲得やCPA削減という点でも、EFO改善が重要になります。
実際のEFO改善策は構成要素ごとに異なり、場合によってはツールを導入して利便性を高めるのも1つの方法です。EFOツールはデータ解析やレポーティング機能が充実したものも多いため、EFOの効果測定や改善策の検討にも大いに役立ちます。
Webサイトを通じた売上アップやコスト削減を図りたい企業は、LPO・SEO対策とともにEFO対策も積極的に取り組んでいきましょう。