基本ノウハウ
クエリパラメータは、ユーザーがどのようにしてWebコンテンツへたどり着いたか、流入経路を分析する際に活用できるものです。マーケティング初心者の中には「クエリパラメータとはどんなものか、いまいちよく分からない」「どのように活用すれば良いか、具体的に知りたい」という方も多いでしょう。
本記事ではクエリパラメータとは何か、種類や設定・除外方法を解説します。代表的なクエリパラメータの一覧や設定時の注意点もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
まずはクエリパラメータとは何か、その意味や目的を解説します。具体的な企業のクエリパラメータをチェックしながら、基本的な使用方法を押さえていきましょう。
クエリパラメータとは、サーバーへ送りたいデータを指定するためにURLの最後に追加する文字列です。ページや媒体、広告ごとに違うクエリパラメータを付与することで、どこから流入してきたか判別できます。例えば次のようなURLがあったとしましょう。
http://〇〇.jp/?▢=△
上記URLのうち、?以降の「?▢=△」がクエリパラメータです。別名として、次のような呼び方をされるケースも少なくありません。
クエリパラメータの▢にはパラメータの名前、△にパラメータの値が入ります(名前と値については、次項の「そもそもクエリとパラメータとは」で解説しています)。クエリパラメータで使う基本的な記号と位置については、下表の通りです。
記号 | 位置 | 目的 | 例 |
---|---|---|---|
? | パスパラメータ※の後ろ | クエリパラメータを付与する | http://〇〇.jp/?▢=△ |
= | パラメータの名前と値の間 | 名前と値を付与する | http://〇〇.jp/?▢=△ |
& | クエリパラメータ同士の間 | 複数のクエリパラメータを付与する | http://〇〇.jp/?▢=△&■=▲ |
# | クエリパラメータの後ろ | ページ内リンクを挿入する | http://〇〇.jp/?▢=△#◇◇ |
※クエリパラメータの前にある?以前の文字列
今度は実際の企業HPで使われているクエリパラメータを見ていきましょう。エプソンのネットショップサイトのURLは、次のようになっています。
https://www.epson.jp/products/
このサイトでビジネスプリンターなどを選んだときのURLは、それぞれ次の通りです。
URL(太字部分がクエリパラメータ) | |
ビジネスプリンター | https://www.epson.jp/products/bizprinter/?fwlink=productstop_5 |
大判プリンター | https://www.epson.jp/products/largeprinter/?model=0&fwlink=productstop_6 |
ラベルプリンター | https://www.epson.jp/products/label/?fwlink=productstop_9 |
プリンターによってパラメータの値(productstop_5など)が異なったり、クエリパラメータを追加したりしていることが分かります。
そもそもクエリパラメータという言葉を構成するクエリとパラメータは、それぞれ次のような意味を持つ言葉です。
例えば、下表のような顧客名簿から2021年に契約した顧客を検索したい場合。クエリのパラメータ名を契約時期、パラメータの値を2021年と設定すると、検索結果として顧客Aと顧客Bがヒットします。
契約時期 | 販売数 | |
顧客A | 2021年8月 | 30個 |
顧客B | 2021年11月 | 50個 |
顧客C | 2022年3月 | 10個 |
上記のような操作はパラメータクエリと呼ばれ、Excelなどで特定の情報を指定して抽出する方法を指します。クエリパラメータと混同されやすいですが、操作する対象や目的が異なる点をよく理解しておきましょう。
クエリパラメータの種類は、目的や付与後の変化によって2つに分けられます。2つがどのように違うか、それぞれ見ていきましょう。
パッシブパラメータの目的はWebページに固有のパラメータを付与し、流入元を分析することです。パラメータの有無にかかわらず、表示するページは同じものになります。
例えば遷移先が同じ複数のリンクに、それぞれクエリパラメータを付与することで、どのリンクから遷移してきたか判別可能です。
またダミーのパラメータを活用することで、アクセス解析の精度を上げられます。ダミーパラメータについては詳しく知りたい方は、「5.クエリパラメータ設定の注意点やコツ」をぜひ参考にしてみてください。
アクティブパラメータの目的は、付与するパラメータによって表示するページを変えることです。主に、ブログやECサイトで活用されます。
例えばユニクロのオンラインショップで、メンズ商品を見てみましょう。トップページのURLは、次のようになっています。
https://www.uniqlo.com/jp/ja/men
このサイトでポロシャツを選んだときのクエリパラメータは、次の通りです。
URL(太字部分がクエリパラメータ) | |
サイズをSに限定したページ | https://www.uniqlo.com/jp/ja/men/tops/polo-shirts?sizeCodes=SMA005&categoryId=13929 |
サイズをLに限定したページ | https://www.uniqlo.com/jp/ja/men/tops/polo-shirts?sizeCodes=SMA003&categoryId=13929 |
色を黒に限定したページ | https://www.uniqlo.com/jp/ja/men/tops/polo-shirts?colorCodes=COL09&categoryId=13929 |
以上を踏まえると、サイズSは「sizeCodes=SMA005」、サイズLは「sizeCodes=SMA003」、黒は「colorCodes=COL09」で指定されていると推測されます。このように、アクティブパラメータはユーザーのニーズに合わせたページ表示が可能となるのです。
ここでは、代表的なクエリパラメータを一覧表で解説します。表にあるクエリパラメータは、広告などからの流入を測定する際に活用できるものです。Googleアナリティクス(GA)内では、カスタムキャンペーンパラメータ(UTMパラメータ)と呼ばれています。
パラメータ | 目的 | 必要性 | GA内の表示 | 値の例 |
---|---|---|---|---|
utm_source | 参照元を識別する | 必須 | 参照元 | google yahoo |
utm_medium | メールや広告、SNSなどを識別する | 必須 | メディア | email banner socia |
utm_campaign | キャンペーンやプロモーションコードなどを識別する | 推奨 | キャンペーン | 〇〇(キャンペーン名) sale |
utm_term | リスティング広告のキーワードを識別する | 任意 | キーワード | 〇〇(キーワード) |
utm_content | クリックされたリンクやクリエイティブを識別する | 任意 | 広告のコンテンツ | toplink logolink textlink |
なおクエリパラメータを設定する際は、一覧表を参考に分類の仕方や名前などのルールを明確にしておきましょう。
不明確なまま設定を進めると、担当者や部署によって異なった設定をしてしまう可能性が出てくるためです。正確かつ効率的な分析のためにも、クエリパラメータの設定ルールはあらかじめ言語化し、担当者間や部署間で共有しておくことをおすすめします。
クエリパラメータはさまざまな種類がある上、使用する記号も複数あり「設定するのは難しいのではないか」と不安に思う方もいるでしょう。しかし、実はクエリパラメータの設定や除外は比較的簡単に行えます。
ここではクエリパラメータの設定手順と除外方法について見ていきましょう。
クエリパラメータの設定は、GA内のキャンペーンURLビルダーを使用します。具体的な手順は、次の通りです。
キーワードやコンテンツなど必須項目以外のクエリパラメータは、生成されたURLの末尾に「&」でつなげて追加しましょう。
GA内のキャンペーンURLビルダーの説明にあわせて必要項目を埋めると、下記のようなURLが自動生成されます。
クエリパラメータを除外する目的は、より正しいアクセス解析の実現です。クエリパラメータが付与されると、パッシブパラメータのようにたとえ表示されるページが同じでも、別のページとして扱われます。そのため基本的な設定のままだと、訪問者の人数を正しくカウントできません。
例えば100人が同じページにたどり着いても、それぞれ訪問者ID(セッションID)が異なるため、別のページに訪問したと判別されます。つまり1ページ100PVではなく、100ページが1PVずつとしてカウントされてしまうのです。
そのため次のような方法でクエリパラメータを除外し、アクセスを合算集計します。
【例】
http://〇〇.jp/◇◇?ssid=12345
http://〇〇.jp/◇◇?ssid=678910
なお、除外された期間のパラメータは復元不可のため、除外対象は慎重に洗い出しましょう。
クエリパラメータは、GAなどのツールを活用すると簡単に設定できます。しかし必須項目以外の追加などでは手入力での設定も必要です。そのようなときに設定を失敗しないよう、最後にクエリパラメータ設定の注意点やコツを3つ解説します。
クエリパラメータを設定する際は、標準的な記号を使いましょう。「=」のかわりに「:」や「,」、「&」のかわりに「[]」などを使うと、検索エンジンに読み取ってもらえない可能性が出てきます。
またクエリパラメータの始まりを示す、「?」を挿入するのは、1回だけです。「?」を2回入れると、URLが正しく表示できません。
目的のページが正しく読み取られ表示されるように、クエリパラメータの記号は必ず標準的なものを使用しましょう。
ページ内リンクや複数のパラメータをURLに追加する際は、順番を統一するようにしてください。クエリパラメータの前にページ内リンクを挿入すると、リンクがうまく働かなくなるためです。
【例】
(正)http://〇〇.jp/?▢=△#◇◇
(誤)http://〇〇.jp/#◇◇?▢=△
この場合「?▢=△」はページ内リンクの一部と判断され、クエリパラメータとして働きません。
また複数のパラメータを付与する際は、順番違いに注意しましょう。
【例】
http://〇〇.jp/?▢=△&■=▲
http://〇〇.jp/?■=▲&▢=△
上記2つのURLはクエリパラメータの順番が違いますが、Googleからは重複コンテンツと判断されます。するとGoogleのクロール効率が下がり、SEOによる集客がうまく進まないことにも。
リンクの作動やSEOに悪影響を与えないよう、クエリパラメータにリンクやパラメータを追加する際は順番を統一しましょう。
クエリパラメータでは、ダミーパラメータを利用することでアクセス解析の精度を上げられます。
そもそもダミーパラメータとは、利用されていないパラメータを使う、あるいは「?」のあとにクエリパラメータの形を取っていないものです。いずれもトップページが表示されますが、アクセス解析ツールでは別のページとしてカウントされます。
【例】
http://〇〇.jp/?kk=△
http://〇〇.jp/?abc
前者は利用されていないパラメータであり、後者はクエリパラメータの形(?▢=△)を取っていません。
以上のようなダミーパラメータは、参照元の詳細な判別などで活用できます。例えば、参照元のクエリパラメータを初期設定のままにしておけば、メルマガからの訪問もブックマークからの訪問も参照元なしの判定になります。
そこで媒体ごとにダミーパラメータを付与すると、どこから訪問してきたのか、どの流入からのCV率が高いのかなどが詳細に分かります。さらに細分化したい場合は、メルマガごと、メルマガ内のリンクごとにダミーパラメータを付与することも可能です。
もちろんダミーパラメータが多くなればなるほど、分析対象が増えて煩雑にはなります。しかしCV率の高い勝ち筋を細かく見極める際には、ダミーパラメータの活用が必須となってくるでしょう。
クエリパラメータは、ユーザーの流入元を判別するために追加するURLの文字列です。同じページを表示するパッシブパラメータと、異なるページを表示するアクティブパラメータの2種類があります。
代表的なクエリパラメータはいくつかありますが、その中でも参照元やメディアを判別するものは必ず取り入れたいところです。時にはダミーパラメータも活用し、詳細なアクセス解析をもとにCVの導線を準備・改善することも大切になります。
Webマーケティングの効果を最大限引き出したい方は、他の施策とあわせてクエリパラメータも上手に活用していきましょう。