セミナーレポート

GoogleAnalyticsとヒートマップを活用したページ改善の4ステップとは【セミナーレポート】

GoogleAnalyticsとヒートマップを活用したページ改善の4ステップとは【セミナーレポート】

株式会社Faber Companyが開催した「コンバージョン率2.5倍超の事例も! GoogleAnalyticsとヒートマップを活用したページ改善術」オンラインセミナーの内容をレポートします。

「サイト改善したいけど、どのページから手を付ければ良いのか分からない」

「そもそもページ改善って何から始めれば良いの?」

そんな方に向けて、本セミナーでは、GoogleAnalyticsの基本的な見方から、具体的な改善手法までを、株式会社Faber Companyミエルカヒートマップ プロダクトオーナーの岡本洋佑氏が解説しています。コンテンツ修正でコンバージョン率を256%改善した事例をもとに、具体的な手法を学びましょう。

目次

【登壇者】
岡本 洋佑 氏(株式会社Faber Companyミエルカヒートマップ プロダクトオーナー)
コンテンツマーケティングプラットフォーム「MIERUCA」の営業、カスタマーサクセスを経験後、ヒートマップツール「ミエルカヒートマップ」を活用し、業種業態問わず数百社のCVR改善に務める。2021年3月からはプロダクトオーナーとして、メンバーの育成とサービスを磨くことに専念。

岡本 洋佑 氏:本セミナーでは、GoogleAnalyticsとヒートマップを組み合わせたページ改善術のサイクルを、事例をもとに解説します。サイクルの4つのステップは、「GoogleAnalyticsで課題を見つける」、「ヒートマップで仮説を立てる」、「仮説をもとに改善する」、「 GoogleAnalyticsとヒートマップで効果を検証する」。それぞれのステップには、次のようなポイントがあります。

  • ページの役割と種類を絞り込んで分析することで、ページの価値を正しく評価する
  • スクロールヒートマップとクリックヒートマップで離脱要素を特定する
  • アテンションヒートマップでユーザーの興味を確認する
  • ページの第一印象を改善すれば、記事が長文化しても文末到達率アップ

実際にツールを操作しながら、順に見ていきましょう。

GoogleAnalyticsとヒートマップを組み合わせて使う理由

「GoogleAnalyticsだけじゃダメなの?」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ダメではありませんが、GoogleAnalyticsが得意とすることは、次の2つです。

  • 定量データをもとにした施策の振り返り
  • サイト内のボトルネックページの調査

施策がうまくいったか否かを数量データで振り返ったり、サイト全体の中でボトルネックとなっているページを発見したりすることを得意とする一方で、ページの具体的な課題発見は不得手です。

直帰率を例に、具体的に見ていきましょう。

例えば、直帰率が高いページがあるとしましょう。一口に「直帰率」といっても、ページの冒頭を少しだけ読んで直帰した場合と、最後まで読んで直帰した場合とありますね。ページ上の行動は全く違うのに、いずれも「直帰」としてGoogleAnalyticsにカウントされてしまうのです。

この点、ヒートマップを導入することによって、「直帰」の中でも良しあしの判断ができるようになります。「最後まで読んでいるからOK」、「冒頭で直帰しているため改善の余地あり」といった判断ができるところが、GoogleAnalyticsとヒートマップを一緒に使うことの利点です。

ここまでの簡単なまとめです。

  • GoogleAnalyticsは、課題の有無と、サイト内のどのページに課題があるのかを発見できる。
  • ヒートマップは、課題があるページに対して、ページ内のどこに課題があるのか、その課題に対して具体的にどんな改善方法があるのかを検討できる。

2つを組み合わせることで、「課題を見つけて仮説を立て、改善して効果検証する」というサイクルを、効果的にまわせるようになる。それが、GoogleAnalyticsとヒートマップを一緒に使うべき理由です。

では、それぞれのサイクルの中でどのようなことをしていけば良いでしょうか。

GoogleAnalyticsで課題ページを見つける

まず、改善サイクルの左上、「課題ページを見つける」について説明します。ここで行うことは、非常にシンプルです。次の条件を満たすページを見つけてみましょう。

  • 一定数のアクセス(セッション)がある
  • 直帰率が高い
  • コンバージョン率が高い

これは、改善の優先度の高いページを効率的に改善するための施策です。アクセス数や直帰率がほぼ同じだった場合、コンバージョン率も一緒に見るようにします。そして、コンバージョン率が悪くてもコンバージョンに貢献しそうな要素が残っているページに対して、ヒートマップを使って改善箇所を特定します。こうすることで、コンバージョン率を効率的に改善できます。

それでは実際に、GoogleAnalyticsでどんな操作が必要か一緒に見ていきましょう。

まず、画面左側のメニュー。行動、サイトコンテンツ、ランディングページの順番です。これで、Webサイトを訪れたユーザーが最初にどのページに来たかが分かります。

次に、検索窓の部分にカテゴリを入力しましょう。

例えば、読み物記事なら「Blog」、「Article」、事例なら「Case」などのディレクトリを作ることもあるかもしれません。カテゴリを入力するのは、ディレクトリごとに見るポイントを区切って絞り込むためです。

ページにはそれぞれ役割があります。トップページならその1つ下の階層の中カテゴリのページに遷移してほしい、ブログ記事なら潜在顧客のリードを獲得したいなど、ざっと思いつく限り5つほど並べてみました。

これらの役割ごとに、ページの種類を絞り込んで分析することで、ページの価値を正しく評価することができます。

ここまでで、特定ページの絞り込みができました。続いて、直帰率が高いページを見つけます。

シンプルに「直帰率」をクリックすると、直帰率が高い順に並びます。ただ、何も設定せずにこの部分をクリックすると、「1セッション直帰率100%」のデータがたくさん表示されてしまいます。そこで、ワンポイントアドバイスをお伝えします。

画面の上部に、並べ替えの種類「デフォルト」というボタンがあります。ここをクリックして、「デフォルト」から「加重」に切り替えてみましょう。この操作することで、訪問者数が一定数以上いて、かつ直帰率が高いページを一覧で並べることができます。

最後、右から3列目の「コンバージョン率」から、コンバージョン率が高いページをいくつか選び出します。「数」ではなく、「率」ですね。実際に改善できるページは数ページでしょうから、3ページくらいを選び出します。これで、ステップ1の「課題ページを見つける」の完了です。

スクロールヒートマップとクリックヒートマップで仮説を立てる

次に、ステップ1で改善対象になったページに対して、仮説を立てていきましょう。

当社のサイトで改善対象となったページは、「コンバージョンをアップする分析手法を紹介! 効率的に成果を出す方法」というページです。このページは、「コンバージョン アップ」といったキーワードでGoogle検索1位を取っているようなページです。(2022/10/25時点)

このページのゴールは、ページの下方にある「無料のヒートマップはこちら」といったテキストリンクを押してもらって、「ミエルカヒートマップ」というWebツールのサイトに遷移させ、アカウント発行をしてもらうことです。

このページの改善について、仮説を立てていきます。

スクロールヒートマップを確認

スクロールヒートマップでは、ユーザーがページのどの位置まで到達したかを可視化できます。上から順に数字が並んでいますね。この線の位置まで、何%のユーザーがたどり着いたかを表しています。

データを見ると、上から2番目の数字に53%とあります。約半分のユーザーが、目次でいなくなってしまっていることが分かります。もしかしたらここまでの内容が、直帰率が高い原因の1つになっているかもしれない。そんな仮説が立てられます。

ただ、この映っている画面中に、他ページへの遷移要素がありますね。上部のグローバルナビや、右側サイドメニューをクリックして、このページから離れている可能性が考えられます。

クリックヒートマップを確認

そこで、これらの遷移要素がクリックされているかどうかをチェックするために、クリックヒートマップを使います。その名の通り、ページのクリック箇所を、指紋のように可視化できます

このデータを見ると、グローバルナビのクリックは0、上のロゴの部分は2クリック、右側サイドメニューの人気記事が1クリック。遷移要素で離れたのは3クリックほど、といった結果です。先ほどお伝えした通り、このページを訪れた人の約半分が、目次に行くまでにページを離れています。例えばページビュー数が、6~7PVぐらいで、3クリックで約半分が離脱したから53%というロジックならば合理性がありますが、特定ワードで1位を取っているようなコンテンツなので、PV数はもっと多いはずです。そうすると確実に、グローバルナビとサイドメニュー以外の要素で離脱しているということです。

いろいろお話しましたが、ここまでの気づきのまとめです。

  • 冒頭で離脱が多い。
  • グローバルメニューやサイドメニューのクリックによる遷移は離脱の原因ではない。

となると、ファーストビューの情報に原因があるのではないか。

1つずつ、原因を検証していきましょう。

まず、メインビジュアルはいかがでしょうか。

「テーマを想起させない」、「フリー素材を引っ張ってきただけ」といった印象を受けてしまうページ、皆さんも出会われた経験がありますよね。このページのメインビジュアルも、そのように見られてしまった可能性があります。まずはメインビジュアルに、1つ原因がありそうです。

そして2つめ、リード文にも原因があるかもしれません。冒頭で、「コンバージョンを増やす具体的な方法と改善事例を解説する」と説明していて、最初の見出しには「コンバージョンを上げる方法」とあります。でも、具体的な方法ではなく考え方を伝えているのです。

タイトルでもリード文でも、「方法を教えてくれる」なんて書き方をしていたにもかかわらず、実際はその事実にそぐわない内容だった。おそらく内容の不一致が起きて、ユーザーが「このサイト、自分の知りたいことを教えてくれなさそう。ちょっと他のサイトを見てみるか」と、離れてしまったのかもしれません。

アテンションヒートマップでユーザーの興味を確認

では、ユーザーは何に興味があるのでしょうか?これを確認するには、アテンションヒートマップを使います。

アテンションヒートマップは、サーモグラフィーのように、熟読箇所を可視化します。よく読まれている部分は赤色っぽく、若干読まれていれば緑色、読まれていない部分は白というように、ページの熟読箇所が分かります。

実際にデータを見ると、よく読まれた内容は「アクセス数を上げるための具体的な手法」、そして「コンバージョン率を上げるための問題のあるページの発見方法」。

やはり、タイトルもリード文も「方法を教えます」ということなので、ユーザーも間違いなく、「何をすれば良いの?」という具体的な方法を求めてコンテンツにたどり着いているわけです。

ここまでで導き出された仮説のまとめです。

  • メインビジュアルが、テーマである「コンバージョン」を想起できない
  • リードで「具体的な方法を教えます」と述べているのに、次に触れる見出しで「方法」が出てこない。
  • 最初の見出しで、方法論ではなく考え方を伝えてしまっている。

おそらくこれら3つの要素が重なって、ユーザーの期待に応えられなかった。これが、直帰率が高い原因になっているのではないか、という結論に到達しました。

仮説をもとに改善する

さて、仮説はこれぐらいにして、ここまでで獲得したデータをもとに、改善してみましょう。

1つめ、メインビジュアルを変更しました。改善後もフリー素材ではありますが、より「コンバージョン」を意識しやすいビジュアルに変えました。「コンバージョン」と「売り上げ」は直結しますので、ECサイトで買い物をしている風景が、ビジュアルとして合っていると考えました。

2つめ、リード文です。改善前は「具体的な方法を教えます」といいながら、具体的方法が出てこないことが、ユーザーの期待値を裏切っていると判断しました。そこで、「コンバージョンアップのために必要な考え方を紹介します」とリード文の内容を変更して、情報のミスマッチをなくすようにしました。

3つめ、最初の見出し「コンバージョン改善の考え方」という部分を、文字から図に起こしました。先ほど、アテンションヒートマップから、「コンバージョンをどうやって上げるの?」というところに興味を持つユーザーが多いことが分かりました。また、「ページのアクセス数とコンバージョン率を掛け合わせることで、コンバージョンアップが生まれる」という部分は、図解したほうが瞬間的に理解しやすいですよね。そこで、次へと読み進めやすいよう、改善しました。

冒頭のツカミを改善すれば文末到達率も熟読率も大幅アップ

その結果どうなったか。

冒頭部分は12ポイントの改善、次の部分は22ポイントの改善と、顕著に改善しています。冒頭を変えただけで、かなりツカミが良くなりました。ユーザーの期待値を上げられた結果でしょうか。

文末の部分も、到達率が12ポイントも改善しています。

面白いことに、記事自体は長くなったにもかかわらず、到達率がここまで改善しているのです。記事が短くなって到達率が増えたのなら、飽きていたユーザーが最後まで到達した結果だと思うのですが、今回のケースは、記事は数倍長くなったのに、到達率が上がっています。結局、冒頭のツカミ、第一印象が改善されれば、記事が長くなっても読み進めてもらえるということです。

同様の傾向は、熟読率にも反映されています。全体を見る限り、熟読エリアが増えていることが一目瞭然ですね。数字で全体熟読率を比較してみても、約10ポイント改善しています。冒頭のツカミがかなり効果的だという結果ですね。GoogleAnalyticsでも比べてみますと、平均ページ滞在時間も非常に改善をしていました。

アイキャッチの変更でコンバージョン率256%改善、平均ページ滞在時間90秒改善

前半で選び出した課題ページ3つのうち、これで1つ完了しました。

残り2つのうち、同じ課題のあるページが、こちらです。「LPとは?意味と3つのメリットを簡単解説!ランディングページで広告効果を上げよう!」「LP」という、月間検索数が多いキーワードで、改善施策を行った当時Google検索1位を獲得していたページです。自然検索流入にもかかわらず、アイキャッチ画像の下くらいで約50%が離脱していました。

流入の大半が自然検索の記事は、基本的にお悩みを解決したいユーザーが読むので、冒頭での離脱は稀です。多くても、本文に入るくらいまでに30%離脱するかどうかといったところです。ところがこのページは、アイキャッチ画像の下の段階で半分が離脱している。これはかなり悪い数字です。

そこで、アイキャッチ画像の変更で効果が出るのではないかという仮説のもと、変更してみました。「ランディングページ」というテーマに沿って、「LPの悩み解決ができる」といったことを想起しやすい画像に変更したところ、コンバージョン率256%の改善と、平均ページ滞在時間90秒の改善といった、非常に良い成果が出ました。

まとめ

本セミナーでは、GoogleAnalyticsとヒートマップを組み合わせたページ改善術を紹介してきました。「GoogleAnalyticsで課題を見つける」、「ヒートマップで仮説を立てる」、「仮説をもとに改善する」、「 GoogleAnalyticsとヒートマップで効果を検証する」という4つのステップに沿って、事例をもとに解説しました。各ステップにおける、「ページの役割と種類を絞り込んで分析することで、ページの価値を正しく評価できる」、「ページの第一印象を改善すれば、記事が長文化しても文末到達率がアップする」といったポイントも、実感いただけましたでしょうか。本セミナーでお伝えしたポイントを押さえつつ、皆様のページ改善に、ぜひGoogleAnalyticsとヒートマップをご活用ください。

今後開催予定のセミナー一覧はこちら>>https://mieru-ca.com/blog/seminar/

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BeMARKE編集部
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