セミナーレポート
ソフトブレーン株式会社が開催した「SFAが定着してるって噓でしょ? 導入即定着を連発するコンサル部門責任者が明かす、正しいSFA選定と貴社のシステム導入成功確率」オンラインセミナーの内容をレポートします。
本セミナーでは、CRM/SFA導入や定着に課題を持つ企業担当者向けに、SFA選定から導入、利活用について、ソフトブレーン株式会社 執行役員 サービス本部 プリンシパルコンサルタント 松室 孝明 氏が解説しています。
【登壇者】
松室 孝明 氏(ソフトブレーン株式会社 執行役員 サービス本部 プリンシパルコンサルタント)
慶應義塾大学経済学部を卒業後、化粧品メーカーにて営業に従事。トップセールスを記録し入社3年で課長へ昇進後、コンサルティングファームに転職。以降13年、経営コンサルティング分野で、戦略立案〜実行支援まで一気通貫で企業の業績アップを支援。2019年7月よりソフトブレーンに参画。企業の業績と向き合ってきたファーム経験を活かし、難解な営業課題を明快なロジックで整理、コンサル+システムでクライアント企業の営業ワークスタイル改革・トップライン拡大支援に従事。
本日のセミナーでは、「正しいSFAの選定法とシステム導入のポイント」について、大きく3つに分けて進めていきます。
1つ目は、SFA定着、稼働、成功のリアルについて、弊社のデータを公開しながら詳しくお話しします。 2つ目は、なぜSFA定着や利活用が失敗するのかというリスクについて、3つ目は、御社にとって正しいSFAの選定や構築、利活用のポイントについて説明します。
一般的な調査によると、日本では8割の企業がCRM・SFAの導入に失敗しているというデータがあります。しかし、ベンダー各社は「うちのシステムが良いですよ」と自社のツールのメリットや成果を強調しています。導入を検討する企業様や担当者様においては、本当のところはどうなのかが気になるでしょう。
結論から申しますと、SFA導入から定着には課題が多いということがいえます。
上記のスライドは、私の前職である某外資系企業でCRMを導入した際の実態を時系列で表にしたものです。導入後、定着までにさまざまなハードルがあり、約3年で解約するに至りました。その間、かかった費用は2億円です。
要因の1つは、データの名寄せに失敗したことです。それによりシステムを1年以上稼働させられず、システム部から営業部へ修正指示が出ていたものの、誰も対応しないという状況が続きました。会社としてCRMを活用しようという働きかけがあったものの、現場がその必要性を感じられず定着しませんでした。
なぜそうなったかというと、SFA/CRMを定着させるには、ユーザーとシステムの特性をきちんと理解する必要がある、という点を認識できていなかったためではないかということです。
ユーザー特性という点でいうと、多くの営業社員は次のような価値観を持っていると思われます。
これは、私がシステム導入部門の責任者としてお客様と接するなかで実感したものです。どの企業にも、既存業務を刷新したり改善したりするということに抵抗を感じる営業社員が一定数存在します。
また、SFA/CRMというシステム特性という点では、それらを導入しなくても営業活動はできるということを理解できていない企業が多いようです。
つまり、ユーザーとシステムの特性上、そもそも、導入・定着が難しいツールなんだということがいえるでしょう。
では、導入した企業の実態はどうなのか、下記のスライドを参考に見てみましょう。弊社が定める利用水準を、本稼働から3ヶ月以内に突破された方々の構成比をグラフにしました。
円グラフの青い部分に注目すると、約80%ぐらいのお客様が、稼働後3ヶ月以内に弊社が定める利用水準を突破されています。導入後半年くらいで、約95%のお客様が、問題なく利用されているという状況です。
しかし、このような状況に至るまでは、約60%が3ヶ月から半年くらいには利用基準を突破されるものの、約20%のお客様は1年くらいかかり、残りのお客様はいつまでたっても活用されないという状況で、我々も支援に苦戦していました。
これらの例から、SFA/CRMを営業社員に使っていただくということが、いかに難しいことかが分かると思います。
前段からお話ししているように、SFA/CRMは、導入後すぐに立ち上がるシステムではありません。理由は、営業活動において必須なシステムとは言い切れないためです。
弊社システムの導入ユーザーにおいても、3つの立ち上がりパターンが見られます。
約80%は、月間活動登録件数30件という1つの水準を3ヶ月以内に超えて行く「飛行機組」です。「リストは1日1件見ましょう。活動登録は1日1件、ログインは1日1回はしないと論外です」ということを約半年くらいで覚えていくのが「新幹線組」で、残念ながら初めからずっと使われないお客様をスピードに例えて「電車組」ととらえています。
この表から分かることは、SFA/CRMを利活用できるお客様というのは、導入後すぐから活用されているということです。そもそも論として、定着や利活用がうまくいっていないお客様は、初月でつまずいているという傾向にあります。
新しいシステムを導入する際には、「徐々に」「追々」などはNGワードだと思ってください。
実際、利活用されないとどうなるのかということを下記のスライドで説明します。こちらは、あるお客様にご提言申し上げた資料を一部、数字を変えて抜粋したものです。
この企業様では約1000ユーザーが使っていただいていますが、活用レベルを見ると、二極化しています。1ヶ月に20件ぐらい商談を残しているユーザーと、それ未満のユーザーを比較すると、見込み案件の新規登録件数に差が出ることが分かります。活用しているユーザーは平均で1ヶ月に3件くらいの新規案件登録がありますが、活用できていないユーザーは0.4件で、2ヶ月に1件あるかないかに溜まっているというデータです。
このデータが持つインパクトをきちんと認識するということが重要です。
例えば、活用できていないユーザーが、SFAにきちんと案件登録を行えば、本来2万3000件くらいの案件があったということになります。それを時間に換算すると、約7万時間を費やしています。
時給が約3500円とすると、2.4億円が2重コストにかかっているという状況です。一方、7万時間を商談に当てたら1万7000件くらいの商談が生まれます。受注率や案件率を仮の数値で設定し計算しますと、年間に約346件の案件が受注できているはずです。ということは、増収ロスは約70億円です。 活用できていないユーザーがどのような経営ロスをもたらしているかというと、約2.4億円の余計なコストを生み出した挙句に約70億円分の機会ロスを招いています。
これがSFA/CRMを導入後に活用しないということがもたらす経営インパクトで、こういう風になってはいけないということをお伝えしたいです。
「導入すれば立ち上がる」ということは、まずありません。
システム導入・定着のためのチームを立ち上げ、組織ごとに指導やサポートを行いながら、それでも難しい場合は個人への指導も行う、というくらいのエネルギーが必要だということは、導入前から認識しておくと良いでしょう。
下記のスライドは、弊社サービスの研修とシステム導入を経て、活用段階になり、いざ使いはじめてから3ヶ月以内に立ち上がらなかったお客様に多い傾向を表にしたものです。
網がかかっているチェック項目が、定着と利活用の阻害要因です。
まず、利用者である営業社員は、付帯作業が大嫌いです。売上を立てていることから強い立場にあることも多くシステム部の指導が届かないこともあるでしょう。そんな営業社員にSFA活用を促すには、より上位レイヤーの影響力ある方から発信することが必要です。
また、「半期の切りがいいところで立ち上げましょう」「テスト期間をこれだけ設けてスタートしましょう」など、「タイミング待ち」をしていると一向に立ち上がらないので要注意です。
新規システム導入後も、既存のシステムを並行稼動させたり、Excelを使った情報管理を同時に行ったりということをしているとうまく立ち上がらない、ということも覚えておきましょう。
“SFAは活用してなんぼ”のものですので、選定時よりもその後の工程にエネルギーをかける必要があります。その点をおさえた上で、システム導入・定着に関する3つの基本的な考え方をお伝えします。
1つ目は、「使いやすさ」を優先した選定を行うということです。使えるかどうかという観点よりも、実際の現場にとっての使いやすさを優先するのが良いと思います。
2つ目は、ユーザーの業務にフィットする“使えるシステム”を導入し使いやすい設定をしていくということです。
3つ目は、まずは活動登録を習慣化させるということです。既存のお客様から「日報ツールにしかなっていないよ」というお言葉をいただくケースもあるのですが、そもそも論として入り口は「日報」です。商談の履歴をデジタルデータとして残すことがSFAというシステムですので、活動の入力につまずいていると、導入自体も失敗します。
下記のチェックリストのうち、7個以上当てはまると、失敗または定着まで3ヶ月以上の期間を有することになりますので注意しましょう。
定着に時間がかかると、月額の料金3ヶ月分を捨ててしまうことになりますので、「導入後即立ち上げ」を意識して進めることが重要です。そのためには、チェックリストを元に、何が阻害要素となりそうか事前に把握しておきましょう。
2つ目の選定のポイントは、色々と多機能なSFA/CRMがあるなかで「自社として本当に使うのか」という点をよく検討しましょう。「使いたい」ではなくリテラシー的にも「使い切れるのか」を考慮に入れてください。
上記スライドは、弊社システム導入時のざっくりとした全体のフレームを表にしたものです。お客様がイメージしやすいように、プロトタイプ環境を作り、その上で「こんな感じになりますよ、これでどうでしょうか」と伝え要件定義していきます。
その後に、細かい要望を聞き取りながら、詳細画面の作り込みを行いリリース、という流れで進めています。
導入から定着、利活用するには、現場ユースかどうかということが重要です。
これは、本部ではなく、現場のマネジメントフォーマットに即した管理法をSFAにはめ込んでくださいということです。
本部向けで現場にとって使えない、常用性のないダッシュボードや掲示板を作ってしまっては、現場でのSFA利活用が進みません。現場が見たい情報や管理したい業績項目は何か、ということを明確にし、色々なアウトプットを検討されるのが良いと思います。キーワードは「常用性」です。
もし、現在導入しているSFAがあるのであれば、「常用性」という観点で見た時に、本部で使われている分析ツールのアウトプットが、現場ユースかどうかを検討するのが良いでしょう。
利活用のポイントの1つ目は、システム導入がゴールではなく「初月が勝負」ということを意識し定着阻害リスクは事前に排除し、一気に立ち上げることが重要です。
また、システム導入プロジェクトとは別に、現場で利活用を推進する組織を立ち上げた方が良いでしょう。
学習塾の例でいうと、集団塾、個別指導教室、家庭教師、というような3段階に分けて相当のエネルギーをかけないと立ち上げるのは難しいです。特に、営業社員が多い企業様は、主幹部門で推進するということは不可能ですので、現場から10人に1人くらい、支店に1人、課に1人、営業所に1人など、代表者を選出し、まずはその人たちにシステムとはどういうものなのか、どう操作するのかを徹底的に指導し、その人たちを通して職場への浸透をはかっていただくということが必要です。
この工程を飛ばすと、システム管理者や主幹部門に問い合わせが集中し、大変なことになります。現場での問題解決能力と浸透度合いを高めるという意味でも、委員会組織を作り職場のリーダーを選出するのが良いでしょう。
アフターサービスやサポートについては、ベンダー選定の際に、そのベンダーが営業部というものを理解した上でシステムの利活用推進能力があるかどうかを、しっかりと見極める必要があります。
また、ベンダーが、導入企業の営業社員へ利活用を促す具体的なノウハウを持っているかどうかも選定の際に考慮した方が良いです。
SFAやCRMは、ユーザーやシステムの特性上、元々定着が難しいものだということです。その点から、「使いたい」ではなく「本当に使うか」という部分を選定の基準にしてほしいです。
導入の際に、使いこなすイメージを持てずに不安を抱えたままでは進みません。現場が使いこなす“最終イメージ”をよく確認しながら、業務にフィットした設計ができるシステムを選定しましょう。
定着については、導入のプロジェクトと定着のプロジェクトは別物と考え、プロモーター制度などを取り入れ、別建てで組織に浸透させていくことが重要です。
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