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Webサイトの要件定義書に必要な9項目|進め方からテンプレートまで解説

Webサイトの要件定義書に必要な9項目|進め方からテンプレートまで解説

Webサイトの制作やリニューアルでは、要件定義という工程が必要です。しかし聞き慣れない方からすると、「何をどうすれば良いか、よく分からない」という疑問や不安があるでしょう。

本記事ではWebサイトの要件定義とは何か、必要な項目や流れを解説します。役立つテンプレートやサンプルも、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.Webサイトの要件定義とは?

まずは基礎知識として、Webサイトの要件定義とは何かを押さえていきましょう。

Webサイトの仕様を決める行為

要件定義とは、実現したいWebサイトの仕様を決定する行為です。機能や性能などWebサイトとして目に見える部分だけでなく、制作体制やスケジュールなども言語化し関係各所と共有します。最低限盛り込むべき項目は、下表のように5W1Hをもとに考えると分かりやすいでしょう。

5W1H 要件定義の例
Why(なぜ) ・Webサイト制作/リニューアルの背景や目的
・現状分析の結果と抽出された課題 など
When(いつ) ・制作/リニューアルの着手時期
・Webサイトの公開時期 など
Where(どこで) ・社内(担当部署)
・Web制作会社 など
Who(誰が) ・担当者
・チームメンバー など
What(何を) ・機能
・デザイン
・セキュリティ など
How(どのように) ・開発言語/プラットフォーム
・公開後の運用保守 など

Webサイトの要件定義は、制作・リニューアルに関わる従業員や外部の会社が共通認識を持って開発に取り組む上で重要な工程です。

要件定義があいまいだと関係各所からの意見に左右され、手戻りが多くなって開発は進みません。場合によっては公開時期に間に合わず、想定していたものよりもクオリティが下がる可能性もあります。スケジュール通りに質の高いWebサイトを完成させるために、要件定義は必ず押さえていきましょう。

Webサイト制作/リニューアルの土台

Webサイトの制作・リニューアルは主に次のような流れで進むため、要件定義は開発の土台ともいえる重要な工程です。

  1. 企画
  2. 設計(要件定義)
  3. 制作
  4. 実装
  5. 公開

要件定義の決定後は、実際の制作に入るため後戻りはできません。企画段階で明確にしたターゲットやコンセプトをもとに、時間をかけて慎重に検討する必要があります。

Webサイト制作の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

関連記事:「【5STEP】Webサイト制作の流れと期間|各フェーズごとに徹底解説

2.Webサイトの要件定義を進める流れ

ここではWebサイトの要件定義を進める流れを、4つに分けて解説します。

  • 【1】現状分析と課題の整理
  • 【2】仮説の立案
  • 【3】関係各所との合意形成
  • 【4】要件定義書の作成

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【1】現状分析と課題の整理

まずはツールやユーザーテストなどで定量・定性データを集め、課題を整理します。既存顧客の分析からユーザーのペルソナを設定すると、メンバー間のブレがなくなるため課題の整理や戦略設計がしやすくなるでしょう。

またペルソナ設定の流れやポイントは、下記の記事で解説しています。企業や個人のペルソナを簡単に作る方法を知りたい方は、あわせてチェックしてみてください。

関連記事:「BtoBマーケティングにおけるペルソナの重要性 設定のポイントや流れも解説

【2】仮説の立案

課題が明確になったら、解決の方向性について仮説を立てます。Webサイトを新たに制作する場合はカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーの行動や感情の流れを把握すると方向性をつかみやすいでしょう。

カスタマージャーニーマップの作り方や注意点について知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

関連記事:「BtoBにおけるカスタマージャーニーマップとは?【無料テンプレ配布中】ペルソナ記入方法付き

またリニューアルの場合は、【1】で集めた情報から仮説を立てます。例えばWebサイトを通じた売上がなかなか伸びないという課題がある場合を考えてみましょう。

原因が参考になる導入事例が少ない点にあると仮説を立てた場合は、顧客インタビューや事例集のコンテンツを増やします。またCVまでの導線が分かりにくい場合は、CTAの位置やデザインを変えるなどの解決策が見えてきます。

仮説から見いだした方向性はWebサイトの具体的な内容を立案し、予算やスケジュールなどを検討する際にも役立てましょう。

【3】関係各所との合意形成

【1】や【2】の内容をまとめたあとは、関係各所とすり合わせて合意形成します。最終的には上長や上層部の承認を得ることが必要です。

具体的にはWebサイト制作やリニューアルに関わる部署へ、それぞれ確認・議論しつつ、内容を調整します。調整した内容は会議など意志決定の場で確認してもらい、承認を得られるよう注力することが大切です。

社内のヒアリング
社内のヒアリング

上記のような社内ヒアリングや合意形成は、後手に回るとのちのち現場の反発にあって企画がひっくり返されかねません。各部署の不満をすべて解決できるわけではないものの、聞いてくれているという認識があるだけでもWebサイト制作に対する従業員の向き合い方は変わってきます

スムーズに制作・公開するためにも、Web担当者は日頃から従業員の話に耳を傾けましょう。

【4】要件定義書の作成

合意形成後は要件定義書をまとめます。次のように制作中迷いが生じたときの判断軸にもなるため、可能な限り詳細に記載すると良いでしょう。

  • 方向性がブレそうなとき
  • 部署間で意見が対立したとき
  • AとBどちらの方法を取れば良いか分からなくなったとき など

またWeb制作会社へ制作・リニューアルを依頼する場合は、要件定義書の内容をRFP(提案依頼書)へ流用できます。RFPの目的や盛り込む内容などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

関連記事:「RFPとは?メリット・デメリット、作成時のポイントについて解説

3.Webサイトの要件定義に必要な9項目

Webサイトの要件定義に必要な項目は、主に次の9つです。

  • 【1】背景
  • 【2】プロジェクト概要
  • 【3】サイト構成
  • 【4】システム要件
  • 【5】技術要件
  • 【6】インフラ要件
  • 【7】セキュリティ要件
  • 【8】リリース要件
  • 【9】運用保守

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【1】背景

背景として記載する項目は、主に次の3つです。

  • 制作やリニューアルの目的
  • 現状分析の結果
  • 全体像(リニューアルの対象範囲) など

また要件定義書に出てくる用語についても意味を明確に示しておくと、途中から参画するメンバーもスムーズに合流しやすいでしょう。

【2】プロジェクト概要

プロジェクト概要に記載する項目は、主に次の3つです。

  • 人員体制
  • 各工程のスケジュール
  • 成果物の種類や納品場所(外部へ委託する場合) など

次のようなコミュニケーション方法もルール化すると、制作状況の共有や調整がしやすくなるでしょう。

  • 使用するツール
  • 定例MTGの回数
  • 参加メンバー など

またワークフローなど文字だけでは分かりにくい内容は、適宜図解を挿入して視認性の向上を図ることも大切です。

【3】サイト構成

サイト構成に記載する項目は、主に次の3つです。

  • OS
  • デバイス
  • サイトマップ など

上記はいずれも、公開画面と管理画面とで分けて記載すると後程確認しやすくなります。資料が膨大になる場合は、要件定義書とは別に作成し添付すると良いでしょう。

【4】システム要件

システム要件には、Webサイトに実装したい機能を記載します。項目は大別すると、機能要件と非機能要件の2つです。例えば公開画面の機能要件では、下表のような内容を定めます。

機能要件の種類 実装したい機能の例
ページ表示 ・パンくずリスト
・各ページの一覧や詳細の表示 など
共通部品 ・トップ表示
・コンバージョンエリア
・ナビゲーション など
その他 ・お問い合わせ機能
・サイト内検索
・アクセス解析タグ埋め込み機能 など

また非機能要件とはビジネスに直結しないものの、Webサイトの安全な運用に欠かせないものです。記載する項目は、主に次の6つになります。

  • 可用性
  • 性能・拡張性
  • 運用・保守性
  • 移行性
  • セキュリティ
  • 環境・エコロジー

例えば「ファイルの最大量は10GBまでとする」「管理画面ではIP制限を行う」といった内容が、非機能要件にあたります。内容を具体化しにくい項目もありますが、共通認識を持って制作・リニューアルに取り組めるように関係各所と相談しながら定めましょう。

【5】技術要件

技術要件に記載する項目は、主に次の5つです。

  • 開発言語
  • 実装ミドルウェア(サーバーやデータベース管理システムなど)
  • 通信プロトコル
  • ソフトウェアフレームワーク
  • バージョン管理 など

上記は専門的な部分になるため、エンジニアなど実務メンバーと相談しながら決めると良いでしょう。

【6】インフラ要件

インフラ要件に記載する項目は、主に次の3つです。

上記はそれぞれ、本番環境と検証環境とで分けて掲載します。また外部の会社へWebサイト制作・リニューアルを委託する場合は、サーバーやドメインの取得担当者を明確にして抜け漏れのないようにしましょう

【7】セキュリティ要件

当項目には次のようなWebサイトに必要なセキュリティ対策を記載します。

  • システムダウン防止策
  • 漏えい対策
  • レスポンス低下防止柵
  • ユーザーへの被害対策
  • データベースの脆弱性対策 など

セキュリティは万全なのが理想的ではあるものの、強固にしようとするほどコストがかかります。そのため扱う情報の機密性にあわせて、セキュリティ対策レベルを決めると良いでしょう。

なお情報セキュリティポリシーについては近年ますます重要性が増しているため、基礎知識を振り返りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

関連記事:「【失敗事例付き】情報セキュリティポリシーとは?策定の流れなどを分かりやすく解説

【8】リリース要件

リリース要件に記載する項目は、主に次の5つです。

  • 開始・終了日時
  • 実行担当者
  • 合否担当者
  • 端末
  • 手順 など

要件定義書の作成時点では遠い先の予定ですが、リリースに向けて全従業員が意欲的に取り組めるよう明確にしておきましょう

【9】運用保守

運用保守で記載する項目は、主に次の5つです。

  • 品質管理(検証範囲や環境)
  • 窓口情報(対応範囲や時間)
  • バックアップ
  • 復元・復旧
  • ログ管理 など

特に外部へ制作・リニューアルを依頼する場合は、保証期間や内容について必ず確認しましょう

4.Webサイトの要件定義に役立つテンプレート・サンプル

【Excelですぐに使える!無料テンプレートをダウンロード】
BeMARKEでは、サイトリニューアルに利用できる要件定義書のテンプレートを下記リンクから無料配布しています。
ぜひご活用ください。

この他、ダウンロード可能なテンプレートやサンプルについてもご紹介します。

  • Lancers
  • high five create
  • 株式会社インプレス
  • ベイジのウェブ制作ワークフロー2021年版

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Lancers

Lancersの「Webサイト制作の要件定義シート」は、エクセルやスプレッドシートで使えるテンプレートです。会員登録していれば、無料でダウンロードできます。

作成者はWebディレクター歴10年以上の方であり、要件定義に盛り込むべき項目が網羅されています。その細かさゆえに、初心者は最初扱いにくさを感じる可能性があるでしょう。しかし社内外における認識のズレや手戻りを減らす上では、不可欠な項目ばかりです。

スムーズにWebサイト制作・リニューアルを進めたい方は、一見の価値が十分あるテンプレートとなっています。

high five create

high five createの「要件定義書テンプレート」には、大別すると次の4つが設定されています。

  • 基本要件
  • システム要件
  • 機能要件
  • タスク

Dropboxアカウントがあるとより見やすくなり、自分のDropbox Paperにも複製可能です。Web共有用ではサンプルの文言も記載されているため、具体例を見ながら要件定義書の作成を進めた方におすすめのテンプレートになっています

株式会社インプレス

株式会社インプレスの「要件定義書」は、サンプルとして参考になるPDF文書です。前述のhigh five createより、さらに詳しく具体的な文言が記載されています。設定項目は、主に次の4つです。

  • 全体概要
  • 運用体制
  • 機能要件
  • 非機能要件

また随所に図解も挿入されており、視認性の高い要件定義書となっています。同社のようなものを作成できれば、上長や経営層へWebサイトの制作・リニューアル内容を説明しやすくなるでしょう。

ベイジ

ベイジの「ウェブ制作ワークフロー2021年版(約100のタスクと解説)」は、2018年に作成されたものをブラッシュアップした最新のサンプルです。要件定義に必要なタスクを、一覧として紹介しています。主な項目は、次の7つです。

  • プロジェクト設計
  • 戦略
  • 設計
  • 制作
  • 開発
  • テスト
  • 公開と運用

各工程には必要な役割や、作業の流れが詳しく記載されています。そのため他の要件定義テンプレートと併用すると、Webサイト制作・リニューアルの進め方をイメージしやすくなるでしょう。

5.まとめ

要件定義とはWebサイトの仕様を決定する工程であり、制作やリニューアルにおける土台となります。内容を決める際は現状分析後に課題を整理し、関係各所と合意形成します。

要件定義書に記載する項目は多岐にわたりますが、制作中の判断軸になるよう可能な限り詳細に記載することが大切です。ただし経営層や途中で参加したメンバーも理解しやすいよう、時には図解を挿入しながら分かりやすい形に仕上げる必要があります。

Webサイト制作・リニューアルの担当者はテンプレートやサンプルを活用しながら、要件定義書の作成を進めていきましょう。


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この記事を書いた人

BeMARKE編集部
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