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【簡単5ステップ】リスティング広告のキーワード選定手順|注意点からツールまで解説

【簡単5ステップ】リスティング広告のキーワード選定手順|注意点からツールまで解説

リスティング広告の出稿で壁になりやすいのが、キーワード選定です。運用担当者になって間もない方にとっては、「どのような言葉を設定すれば良いのか」「費用対効果は期待できるのか」など疑問がたくさんあるでしょう。

本記事ではリスティング広告のキーワード選定手順を、5つのステップに分けて解説します。除外キーワードの設定や入札単価の考え方はもちろん、役立つツールもあわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.リスティング広告のキーワードとは?

リスティング広告のキーワードとは広告主が設定する言葉であり、検索キーワードとも呼ばれます。似た言葉に検索クエリ(検索語句)があり、こちらはユーザーが検索窓に入力した言葉です。

ユーザーの検索クエリと広告のキーワードとで関連性が高い場合、リスティング広告はランク※1が高い順に表示されます。

※1 広告ランク:入札単価や品質スコアから算出される

検索キーワードと検索クエリの違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

関連記事:検索クエリとは?種類や調べ方を解説|SEOや広告での活用例も

2.リスティング広告のキーワード選定手順

リスティング広告のキーワード選定手順は、次の5つです。

  • 【1】準備
  • 【2】軸になるキーワードの選定
  • 【3】掛け合わせるキーワードの決定
  • 【4】マッチタイプの設定
  • 【5】調整

それぞれ詳しく見ていきましょう。

【1】準備

最適なキーワードの設定で成果を上げるためには、準備として現状分析が必要です。主な分析対象と内容は、下表のようになります。

分析対象 分析内容 情報の収集方法
自社サービスや製品 ・特徴
・ターゲット
・強みや弱み
・扱っているもの/扱っていないもの
・営業担当者へのヒアリング
・顧客へのインタビューやアンケート
・SNSやQ&Aサイト
競合他社 ・強みや弱み
・重視している点(質/価格/サポート)
・出稿済みのリスティング広告
・Webサイト
・プレスリリース
ターゲットニーズ ・属性情報(担当者の職種や企業の状況など)
・抱えている課題
・サービスや製品を知ったきっかけ
・顧客へのインタビューやアンケート
・営業担当者へのヒアリング

上記で集めた情報や分析結果は比較検討しやすいよう、エクセルなどで一覧化すると良いでしょう。

【2】軸になるキーワードの選定

リスティング広告からの流入を目指したい、軸になるキーワードを選定します。主要なサービス・製品について、次のような内容を洗い出しましょう。

  • 固有名詞
  • ジャンル
  • 類似サービス など

例えばCRMというキーワードで流入を増やしたい場合、次のように軸ワードを抽出できます。

  • 固有名詞:Sales CloudやZoho CRM
  • ジャンル:CRMやCRMツール、顧客管理システム など
  • 類似サービス:SFAやMA など

洗い出した言葉はキーワードプランナーやGoogleサーチコンソールなどのツールを活用し、実際にどれくらい検索されているか確認します。検索ボリュームが大きく、キーワードの有効性が判断できるものを選んでいきましょう。

なおツールの詳細は、「4.リスティング広告のキーワード選定に役立つツール」で解説します。

【3】掛け合わせるキーワードの決定

軸になるキーワードが決定したら、「何の」「どのような」「どうする」といった意味の掛け合わせワードを決定しましょう。例えばCRMの場合、次のような言葉を組み合わせられます。

  • CRM クラウド型
  • CRM 安い
  • CRM 高機能 など

掛け合わせるキーワードの選定で参考になるのは、ラッコキーワードや検索エンジンのサジェストキーワードです。社内検討だけでは抜け漏れが生じやすいため、積極的に調査・検索してみてください。

【4】マッチタイプの設定

リスティング広告のキーワードが決まったら、マッチタイプを設定します。マッチタイプは従来、次の4種類がありました。

  • 完全一致
  • フレーズ一致
  • 部分一致
  • 絞り込み部分一致

しかし2021年7月より、絞り込み部分一致は新規作成が不可となっています。

マッチタイプの種類と特徴を、「CRM クラウド型」というキーワードを例にまとめたのが下表です。

マッチタイプ 特徴 マッチする検索クエリの例
完全一致 設定したキーワードと同一のときのみ広告を表示 CRM クラウド型
フレーズ一致 設定したキーワードと同じ語順のときも広告を表示 CRM クラウド型 安い
BtoB CRM クラウド型
部分一致 設定したキーワードに近い言葉が入っているときにも広告を表示※2 CRM クラウド型
CRM Saas
顧客管理システム クラウド型

※2 関連性があると判断される検索クエリは常に変動する

どのマッチタイプにするか迷う場合はキーワードが1語なら完全一致、2〜3語ならフレーズ一致がおすすめです。

1語でフレーズ一致や部分一致も設定すると、意図しない表示の増加により広告費用がかさみます。また2〜3語で完全一致のみを設定すると機会損失になり、部分一致のみだと広告費用の増加が懸念されるでしょう。

できる限りリスティング広告にかかるコストを抑えたい場合は、キーワードの語数に合わせて設定を変えるのも1つの方法です。

【5】調整

リスティング広告の成果を最大限引き出すためには、次のような調整も必要になります。

  • 除外キーワードの設定
  • 類義語の追加
  • 広告グループの作成

それぞれ詳しく見ていきましょう。

除外キーワードの設定

リスティング広告を表示させたくないキーワードは、除外するのがおすすめです。例えば次のような言葉は、除外キーワードとして設定しましょう。

  • 流入を狙うキーワードと関連性の低いもの
  • ネガティブなワード(トラブル/キャンセル/炎上など)
  • 競合の企業名やサービス名 など

またCVから遠いキーワードも除外対象です。例えば有料CRMの利用を促すリスティング広告の場合は、「CRM とは」「CRM 無料」などはCVにつながりにくいため除外しましょう。

準備段階で情報収集・分析した内容も、除外キーワードの参考になります。例えば自社で扱っていないサービスや製品です。そのまま除外設定すると広告の無駄な表示やクリックが減り、より確度の高いユーザーの流入が見込めます。

類義語の追加

ユーザーの検索クエリとリスティング広告に設定した検索キーワードがマッチしやすいよう、類義語を追加することも大切です。例えば「安い」というキーワード1つを取っても、次のように類義語はたくさんあります。

  • 安価
  • 低価格
  • 格安
  • 廉価
  • 安上がり など

安さを求めるユーザーに抜け漏れなくリスティング広告を届けるためには、上記のような類義語もキーワードとして設定することが必要です。なお類義語はWeblio類語辞典連想類語辞典で、簡単に検索できます。追加するキーワードの選定に迷ったら、積極的に活用してみてください。

広告グループの作成

同じようなキーワードの広告は、広告グループとして1つにまとめましょう。例えばCRMのリスティング広告であれば、「CRM クラウド型」や「CRM クラウド型 安い」などのキーワードを1つのグループにまとめます。

広告グループを作成する理由は、効率的かつ正確に運用管理するためです。キーワードの追加や削除が一括で可能になる分、人的ミスが減ります。特に担当者が少ない、あるいは時間的リソースがなかなか取りにくい場合は、広告グループを上手に活用して運用を効率化していきましょう。

3.リスティング広告のキーワードで着目したいポイント

リスティング広告のキーワード選定・設定では、次の3つを意識することが大切です。

  • キーワード数
  • 入札単価
  • 予算

それぞれ詳しく見ていきましょう。

キーワード数

リスティング広告に設定できるキーワード数は、1アカウントごとに上限があります。Google広告で設定できるキーワードは500万個、広告グループごとでは2万個が最大です。Yahoo!広告は5万個、広告グループごとでは2,000個になっています。

リスティング広告の運用では、キーワード数がすぐに上限へ達するケースはほとんどありません。しかし長期的な運用を考えると、設定するキーワードの必要性や優先順位は早期から十分検討することが大切といえるでしょう。

またリスティング広告に設定するキーワードは、業界や予算によって適切な数が異なります。例えば次のような例を考えてみましょう。

【①サービス名×②掛け合わせワード、部分一致の場合】

前後の入れ替えを考慮すると、①×②と②×①の2パターン

①2個、②5個の場合は2×5×2パターン
=20個が設定するキーワード数の最低ライン


上記はあくまでも参考値であり、実際には関連ワードや予算によって増減します。なおGoogle広告とYahoo!広告は同じキーワードを設定しても、成果の異なるケースが少なくありません。そのためリスティング広告のキーワードは効果測定しながら、それぞれ定期的に見直すことが大切です。

入札単価

リスティング広告の出稿時には1クリックあたりにかかる費用、つまり入札単価(CPC)を設定します。入札単価を高く設定すれば、掲載順位の向上が期待できるでしょう。ただしその分コストはかかり、広告ランクが低いと上位表示は難しくなります。

広告の質を上げてランクも高まれば、低い入札単価でも掲載順位の向上が可能です。この場合は競合に勝てそうか、事前によく分析すると良いでしょう。特に競合の出稿が少ないキーワードは狙い目であり、相応の広告ランクを獲得できれば多くの流入が期待できます。

CPCの計算方法や改善方法について知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【具体例付き】CPCの計算方法|相場や改善方法も解説

予算

リスティング広告に必要な予算は、目標CV数から逆算し最低ラインの目測を立てましょう。具体的には単価とCV数から赤字にならない予算ラインを決定し、企業が理想とするROIと照らし合わせて予算を算出します。例えば次のような例を考えてみましょう。

  • 1件のCVで得られる売上が10万円
  • 利益が5万円
  • 広告からの売上を500万円増やしたい場合

この場合は50件のCVが必要です。つまり赤字にならないリスティング広告の予算ラインは、500万円になります。企業の理想とするROIが150%の場合、必要な予算は次の通りです。

【広告費をxとして計算】

ROI=(1件あたりの利益×CV数-広告費)÷広告費×100%

150%=(5万円×50件-x)÷x×100

x=100万円


上記よりROI150%を達成するためには、100万円の予算内でリスティング広告を運用する必要があります。

なお予算が少ない場合は、顕在層向けでCVに近いキーワードを設定すると良いでしょう。特に製品名などの指名系や、「〇〇 費用」などの購入系キーワードは積極的に狙いたいところです。また予算が多い場合は、潜在層や準顕在層向けの幅広いキーワードを設定し、認知拡大も含めた流入を目指すのも1つの方法です。

4.リスティング広告のキーワード選定に役立つツール

最後にリスティング広告のキーワード選定に役立つツールを、3つ紹介します。

  • キーワードプランナー
  • Googleサーチコンソール
  • ラッコキーワード

それぞれ詳しく見ていきましょう。

キーワードプランナー

キーワードプランナーは、Google広告内で利用できる選定ツールです。利用できる機能は大きく分けると、次の2つです。

  • 新しいキーワードを見つける
  • 検索ボリュームと予測のデータを確認する
キーワードプランナーにある2つの機能
キーワードプランナーにある2つの機能

画像左側の機能を利用すると分かるのは、主に次の3つです。

  • 関連キーワード
  • 競合性
  • 予測単価

また画像右側の機能では、主に次の5つが分かります。

  • 上限クリック単価
  • 平均クリック単価
  • 表示回数
  • クリック数
  • クリック率 など

費用あたりの獲得クリック数が予測データとして表示されるため、予算と現状を照らし合わせて適宜キーワード設定を調整すると良いでしょう。

Googleサーチコンソール

Googleサーチコンソールは、前述した選定手順【2】の「軸になるキーワードの選定」で役立つツールです。利用すると、主に次の3つが分かります。

  • 流入のある検索クエリ
  • 表示回数
  • クリック数

基本的にはSEO対策時に活用するツールですが、検索クエリはリスティング広告のキーワード選定時も参考になります。特にLPへの流入が多い検索クエリとリスティング広告の設定内容を照らし合わせ、取りこぼしていたキーワードが見つかったら追加すると良いでしょう。

ラッコキーワード

ラッコキーワードは、前述した選定手順【3】の「掛け合わせるキーワードの決定」で役立つツールです。利用すると、次のようなキーワード情報を一括で収集できます。

  • サジェストキーワード
  • Googleトレンド
  • 共起語
  • 連想語
  • 類義語 など

例えばCRMを入力した場合の結果画面が、下図です。

ラッコキーワードの結果画面(一部)
ラッコキーワードの結果画面(一部)

関連性の低い語句は省く必要があるものの、掛け合わせキーワードとしては十分参考になるでしょう。

5.まとめ

リスティング広告のキーワード選定では準備段階として、自社や競合他社、ターゲットニーズの現状分析が大切です。軸と掛け合わせる言葉が決定したあとは、マッチタイプの設定や除外・追加などの調整も必要になります。

またリスティング広告ではやみくもにキーワードを設定するのではなく、必要性や優先順位をよく見極めることが重要です。入札単価と予算を照らし合わせ、費用対効果が望めるような運用を進める必要があります。

リスティング広告で成果を上げたい方は、ツールなどを活用しながらCVにつながりやすいキーワードを選定していきましょう。


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BeMARKE編集部
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