基本ノウハウ
自社サイトで期待した成果が上がっていない場合には、リニューアルが有効です。しかしSEOにどのような影響が出るか分からず、最初の一歩をなかなか踏み出せない方もいるでしょう。
本記事ではサイトリニューアルを行う際、押さえておきたいSEO上の注意点を解説します。リニューアルがSEOに与える影響や、リニューアルを実行すべきタイミングもあわせて紹介しています。リニューアル時のチェックにもご活用ください。
サイトリニューアルはSEO評価に影響を及ぼします。まず、リニューアル後はクローリングがリセットされるため、一時的に検索順位が下がることを前提として理解しておきましょう。
ここでは、一時的に順位が下がるとしてもサイトリニューアルを行った方が良いタイミングと、検索順位が継続的に下がってしまう原因、および評価を上げるためのポイントについて解説します。
サイトリニューアルを進めるタイミングは、まず大前提として「Webサイトの成果が出ていないとき」です。
これらの場合、まず自社のWebサイトに求めている成果と現状の比較検討を行います。現状のWebサイトでは求めている成果目標が達成できない、そしてその原因がWebサイトそのものにあると判断された場合は、サイトリニューアルを行う価値があります。
Webサイトにおいて「成果が出ていない」原因として、主に次の5つが考えられます。
Webサイトに関連するトレンドや技術は、日々変化しています。その分古い・使いにくいと感じるとユーザーが直帰してしまう可能性もあり、時間をかけて作ったWebサイトでも効果を発揮できないケースがあります。
Webサイトを通じたCV数などが伸び悩んでいる場合、上記が原因の1つとなっている可能性はないか振り返り、必要に応じてリニューアルを検討しましょう。なおタイミングの詳細や外注時の注意点を詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「Webサイトリニューアルの成功手順とは?具体的な方法や失敗の要因を初心者でも分かりやすく!」
サイトリニューアルによってSEOの評価が下がり、検索順位が継続的に下落してしまう場合があります。原因は主に次の5つです。
リニューアルはWebサイトの抜本的な改善に向けて行われますが、新しさを求めるあまり重要な要素まで削除・減少するとSEOに悪影響を与えます。改善後も旧サイトの評価が引き継がれるよう、手を加える部分の取捨選択や範囲は慎重に見極めましょう。
サイトリニューアルによってSEOの評価を上げ、検索順位を上昇させるには、主に次の3つのポイントを押さえましょう。
なおほとんどの場合、上記によって表示順位が上昇するのは、リニューアルからしばらく経過した後です。リニューアル直後の一時的な下落に一喜一憂せず、長期的な視点で数字を追うようにしましょう。
また、サイトリニューアルの目的は、検索順位を上げることだけではなく、それにより流入数が増えた結果としてCV数が増えるなどの成果を上げることです。サイトリニューアルによって成果を上げているのは、多くが「表層的変更」ではなく「構造的変更」を行った場合です。「表層的変更」がサイトリニューアルであると思われているケースも多いので、注意しましょう。
「表層的変更」とは、サイトの「見た目」の変更です。具体的には以下のようなものが含まれます。
「構造的変更」とは、サイトやCVの「内容」の変更です。具体的には以下のようなものが含まれます。
安易にサイトの「見た目」を変えてしまうと、既存ユーザーが「いつもと違う」と感じて直帰してしまうリスクもあります。サイトリニューアルを行うときは、検索順位の結果のみを重視するのではなく、目指す成果に向けてサイトの何を変えるべきなのか、よく検討する必要があります。その上で、SEOの評価を下げてしまわないようポイントを押さえてサイトリニューアルを実施しましょう。
サイトリニューアルを実施する際、評価を下げないためのSEO上の注意点を以下の4つに分けて解説します。
公開準備を進めている方も、各項目について最終チェックしてみてください。
サイト構造で注意する必要があるのは、次の4点です。
サイトリニューアル後に内部リンクが大幅に減ると、適切なSEO評価を受けられません。内部リンクはユーザーの回遊性を高めるだけでなく、コンテンツ同士の関係性や重要なページをクローラーに伝える役割を持っているためです。内部リンクは減らしすぎず、かつユーザーのページ間移動を促すよう、より関連性の高い遷移先を設定しましょう。
なおリニューアルで自社サイトのURLを変更した場合は、内部リンクのURLも新しいものに変える必要があります。後述のリダイレクトを挟む方法もありますが、移動時間が伸びる分、ユーザーの離脱につながる恐れがあるため、URLを変更する方が良いでしょう。
meta要素の適切な設定も、サイトリニューアル時に重要です。meta要素とはWebサイト上にあるデータの説明情報であり、次のような種類があります。
meta要素に入れていたキーワードを削除すると、当該キーワードでのSEO評価が下がりかねません。
しかし、サイトリニューアルにともないmeta要素を個別に設定できないタイプのCMSを導入してしまうと、キーワードを別途titleに入れられないなどの問題が起きる可能性があります。テンプレートでの一括変更とページ個別での変更、双方が可能なCMSの利用がおすすめです。
既存のCMSによる変更・管理がスムーズに進まない場合は、サイトリニューアルのタイミングにあわせて新しい製品へ乗り換えるのも良いでしょう。CMSの種類や選定基準などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「CMSとは? メリット・種類・選ぶ基準などわかりやすく解説」
新サイトにおけるクローラビリティは、XMLサイトマップを作成しサーチコンソールを通じてGoogleへ送信することでも改善します。XMLサイトマップにはWebサイトのページ情報がまとまっており、クローラーにコンテンツ内容を伝える役割があるためです。
なおXMLサイトマップは、sitemap.xml Editorなどによって自動で生成できます。特に社内エンジニアがいない企業では、ツールを有効活用すると良いでしょう。
サイトリニューアル時はスマホユーザーでも見やすいよう、表示デバイスごとの最適化が大切です。パソコンとスマホとで表示を最適化する方法は、下表に挙げる3つになります。
最適化の方法 | 内容 | モバイル用コンテンツ | モバイル用URL | URL変更にともなう対応 |
---|---|---|---|---|
ダイナミックサービング | 1つのURLに対しHTMLが2つあり、アクセスするデバイスによって表示するHTMLを切り替える | あり | なし | 必要 |
セパレート | 2つのURLに対しHTMLが2つあり、アクセスするデバイスに合わせて適切なURLへリダイレクトする | あり | あり | 必要 |
レスポンシブ | 1つのURLに対しHTMLが1つあり、アクセスするデバイスに合わせてコンテンツの表示自体を変化させる | なし | なし | 不要 |
運用のしやすさで考えると最も理想的なのはレスポンシブ、次点がダイナミックサービングといえるでしょう。
リダイレクト設定で注意する必要があるのは、次の2点です。
URLの変更(ドメイン変更やSSL化も含む)がある場合、リダイレクトは必須になります。設定はエンジニアなどの技術部門と協力し、少しずつ進めることが大切です。エンジニアがいない場合は.htaccessファイルを使用し、1つずつ丁寧に作業しましょう。
削除して存在しないページや表示が乱れるページは、404エラーページ(Not Found)を設定します。あるいは次のような方法も有効です。
またソフト404エラー(※2)になっていないかも、チェックが必要です。ソフト404エラーを放置すると、ユーザーは目的のページを見つけられません。
※2存在するページとしてステータスコード200を返す動作
リニューアル後のSEO評価に悪影響を与えないためにも、エラーページは1つ残らず対処しましょう。
旧サイトにたどり着いたユーザーが新サイトの同ページへ遷移できるよう、301リダイレクトの設定も大切です。301リダイレクトとはURLの永続的な変更を検索エンジンに伝える転送処理コードを指し、旧サイトの評価を引き継ぐ上でも必須となります。
新サイトに同じページがない場合は、下図のように1つ上の階層へ転送しましょう。
コンテンツ内容で注意する必要があるのは、次の2点です。
テキストはSEO上、重要な評価対象の1つであるため、サイトリニューアルにともない削減しすぎないように注意してください。
もちろん不要な文言は削除する必要があります。しかしテキストには、制作者側が知らぬ間に検索エンジンが高く評価している単語や、文章が含まれている可能性があります。必要な情報まで大幅に削除すると、評価が下がりかねません。
特にデザインを刷新する際は、サイトのデザイン性を高めるためにテキストの画像化や削除が発生しやすく要注意です。画面上に表示する文字数を減らしたい場合は、アコーディオンやタブを利用すると良いでしょう。
表示速度の低下は、視認性を追求するあまり画像の挿入が多くなっていることが原因です。このケースは、前述したテキストの削除と同時に起きやすい傾向にあります。
サイトリニューアル時に表示速度を落とさないためには、主に次のような対処が必要です。
なお遅延読み込みとは、画面上に表示されるまで画像の読み込みを遅らせる方法であり、遷移直後におけるページの読み込み速度を向上させるメリットがあります。画像については、Webデザイナーと相談しながら挿入の可否や容量削減などを検討しましょう。
サイトリニューアルで上記以外に注意する必要があるのは、次の3点です。
クローラーの拒否は、robots.txtの外し忘れが原因です。robots.txtとは、アクセス可能な範囲(URL)を示すファイルになります。
リニューアルの作業中はサイトを非公開にする、あるいはクローラーを拒否するケースが多いでしょう。しかし作業完了後はrobots.txtを外し、クローラーが適切に巡回できるよう整えることが大切です。
noindexによってインデックスを拒否すると、適切なSEO評価を受けられません。前述したrobots.txtと同様に、リニューアル作業中は設定するケースが多いものの、外し忘れには十分注意してください。
新サイトにおいて価値が低いと判断されるページにあえてnoindexを設定し、重要ページが優先的に評価されるようにする方法もあります。運用後にページの効果測定を進め、必要に応じて設定を変えていきましょう。
リニューアルの際はGoogleサーチコンソールに対し、ドメイン変更やサイトマップの更新などを知らせる必要があります。検索エンジンにサイト移転を知ってもらい、かつインデックスの促進を図るためです。
SEOに好影響を与えられるよう、早めにアドレス変更ツールでクロール申請しつつ、サイトマップを送信しましょう。
なおリダイレクトが適切にされていない場合、Googleサーチコンソールではエラーを検知し通知するようになっています。不適切な箇所を早期発見し対処するためにも、早急かつ正確に新サイトの情報を登録することが大切です。
以上、サイトリニューアルを行う際の、SEOに関する11の注意点を紹介しました。
これらSEO上の注意点を踏まえた上で、コンテンツやCVへの経路を適切に設置し、成果の上がるサイトリニューアルを目指しましょう。
サイトリニューアルの仕方によっては、SEOに悪影響を与える可能性もあります。投じた費用以上の成果を上げるためには、検索順位を落とさないよう、さまざまなポイントへの注意が必要です。
サイト構造を整えるだけでなく、リダイレクトの設定やコンテンツ内容の見直しも重要になってきます。またGoogleサーチコンソールへサイト移転に関する情報を登録すると、エラーの早期発見と解決に役立てられます。
自社サイトをリニューアルする際は、SEO上の注意点も意識しながら作業を進めましょう。