基本ノウハウ
Webサイトを改善するためには、自社のアクセス解析だけでなく競合サイト分析も大切です。しかし運営に携わって間もないと、「どのように進めれば良いか分からない」という方もいるでしょう。
本記事では競合サイト分析を行うメリットや、チェックすべき7項目を解説します。分析の流れや無料・有料の役立つツールも、あわせて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
競合サイト分析とは、自社の競合にあたるWebサイトを分析することです。分析によって得られた知見に基づき、より成果の出やすい自社サイトの構築や、SEO対策を始めとするマーケティング施策の改善を図ります。競合サイトの流入状況や流入キーワード、コンテンツの質などに着目して自社サイトとの差異を明らかにするため、自社の課題の発見にも役立てられます。
競合サイト分析のメリットは、主に次の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
競合サイト分析では次のような情報から、競合サイトの施策をある程度想定できるようになります。
例えばSNSからの流入が多い場合、競合サイトはSNS施策で認知拡大を図っている可能性が考えられるでしょう。既存顧客との関係性維持だけではなく、見込み顧客の獲得にも注力しているといえます。
自社サイトを初めて運営するときはもちろん、なかなか成果が上がらないときも競合サイトのマーケティング施策を分析し参考にすると良いでしょう。
自社サイトの強みと弱みを再発見できるのも、競合サイト分析のメリットです。自社サイトにあって競合サイトにないものは、強みとして今後の戦略に生かせます。また競合サイトにあって自社サイトにないものは、弱みとして改善する、強みを生かしてカバーするなどの方向性が考えられるでしょう。
例えば流入経路に着目したとします。競合サイトは広告からの流入が圧倒的に多いものの、SNSからの流入は少ないとしましょう。一方自社は、SNS運用のノウハウ保有という強みがあります。この場合はSNS施策を強化し、Webサイトへの流入を増やすという戦略を立案できます。
このように競合サイト分析は自社サイトの魅力や弱点を発見するきっかけにもなるため、定期的に行いたいところです。
競合サイトのマーケティング施策や自社サイトの強み・弱みは、差別化戦略の立案に役立ちます。基本的には差別化ポイントとなる強みを生かすのが得策です。ただし競合と自社の弱みが同じ部分にあった場合、積極的に改善することでそれ自体も差別化ポイントになる可能性があります。
また競合サイトで成功している施策は、自社でも取り入れると効率的に成果を上げやすいでしょう。ただし丸々真似してしまっては著作権侵害にあたるため、あくまでも参考程度に留めてください。
競合サイト分析でチェックすべき7項目を解説します。
アクセス数は最も変化が分かりやすい指標であり、最初に確認しておきたい数字です。競合サイトの方が多い場合、コンテンツ数や集客施策にどのような違いがあるか要因を分析します。
このうちコンテンツ数は、「site:○○(競合サイトのドメイン)」を検索窓に入力すると簡単に調べられます。1,000以上ある場合は、かなり手強い競合サイトといえるでしょう。また集客施策は次項の流入キーワードや経路から分析できます。
WebサイトからのCVは、そもそも流入が少ないとなかなか伸びません。自社サイトの流入を増やすためにも、同指標の競合性も定期的に確認しましょう。
流入キーワードからは、競合サイトへ流入しているユーザーの検索クエリが分かります。同じようなターゲットの検索意図を把握できれば、自社サイトの流入施策にも生かせます。
特に狙いたいキーワードで多くの流入を獲得している競合サイトは、ベンチマークとして参考になるでしょう。
競合サイト分析では、次に挙げるようなユーザーの流入経路(トラフィック)を調べることも大切です。
流入が多い経路は、自社サイトでも取り入れると成果を上げやすくなります。ただしやみくもに手を出しても、コストがかさみ費用対効果は望めません。そのため強化する流入経路を選定する際は、ターゲット層やノウハウの有無などからある程度絞ると良いでしょう。
ドメインパワーが強いと、上位表示しやすい傾向にあります。競合サイトのドメインパワーが自社よりも大きい場合、相応の予算を捻出しコンテンツの質と量を確保しないと太刀打ちできません。場合によっては潔く諦め、別のキーワードを攻めるのも1つの方法です。
ドメインパワーとは何か、概要や調べ方について詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「ドメインパワーとは?調べ方から上げる方法まで解説【無料あり計測チェックツール7選!】」
競合サイト分析は、次のような記事の設計面も確認しましょう。
競合サイトが上位表示されている場合、上記について検索エンジンが評価しているといえます。自社サイトの検索順位を上げるためには競合サイトの良い点は踏襲しつつ、ユーザーファーストを意識したより質の高いコンテンツづくりが必要です。
記事設計などSEOライティングの手法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「SEOライティングとは?初心者必見!プロも使う11のコツ」
競合サイト分析では記事の内容はもちろん、構成やデザインも大切なチェックポイントです。業界によって事実上の標準(デファクトスタンダード)があり、そこから外れすぎるとユーザビリティが低下します。
馴染み深い構成やデザインは一見すると独自性に欠け、避けるべきではないかと考える方も多いでしょう。しかしユーザー視点で考えると、「どこに何があるか」を容易に把握でき使いやすいメリットがあります。
構成やデザインは基本の形をとらえつつ、競合サイトの参考にすべき点と失敗事例として避けるべき点を見極めることが大切です。
競合サイト分析では、被リンクの状況も確認します。被リンクとは外部サイトからのリンクであり、関連性が高くドメインパワーも強いサイトから得られると上位表示されやすくなるためです。
自社サイトの被リンク数が競合サイトよりも少ない場合、増えるように改善策を検討・実行する必要があります。被リンクの調べ方や増やし方を知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
関連記事:「被リンクとは?調べ方からSEOに重要な良質な増やし方・対策まで徹底解説11選」
ここでは競合サイト分析の流れを、3つのステップに分けて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
まずは競合サイトを探しますが、次のように参考としたいポイントによって手本とすべきベンチマークは異なります。
また「事業や商材上の競合=Webサイト運営における競合」とは限りません。キーワードによっては、畑違いの企業が競合になる可能性もあります。競合サイトの探し方は、次の通りです。
SEO上の競合を正確に把握し、自社サイトの制作や改善に生かしましょう。
手本とする競合サイトが見つかったら、前述したようなSEO対策に関するデータを収集・比較します。自社サイトはアクセス解析、競合サイトは後述の分析ツールを利用すると効率的でしょう。
アクセス解析の進め方やツールについて知りたい方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
関連記事:「アクセス解析ツールを使うと何が分かる?解析の目的や実施方法、ツールを紹介」
データの収集・分析後は、具体的な施策の検討・実行に移りましょう。競合サイト分析でよくある失敗が、情報を収集して満足するケースです。そのような状態では自社サイトの成果は、一向に上がりません。具体的な施策への反映もワンセットに考え、競合サイト分析を進めることが大切です。
最後に競合サイト分析に役立つツールを、無料版と有料版に分けて解説します。手軽に始めたい方は無料版を、詳細な分析を進めたい方は有料版を中心にチェックしてみてください。
無料の分析ツールとして紹介するのは、次の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
SEOチェキは競合サイトのURLを入力するだけで、SEO対策情報を得られる無料ツールです。主な機能は、次のようなものが挙げられます。
このうちメイン機能であるSEOチェックでは、次のようなSEO対策情報の取得が可能です。
SEOチェックや検索順位チェックの利用制限は、1IPアドレスあたり200回/日です。その他のツールは回数制限がありません。URLの入力から表示までの時間が非常に短いため、手軽に競合サイトの情報を集めたい方におすすめのツールとなっています。
SEO META in 1 CLICKは、Google chromeの拡張機能です。chromeに追加すると、閲覧している競合サイトのページに関するSEO対策情報を得られます。チェックできる内容は、次の6つです。
chromeへ追加しておけば、上記のような内容を1クリックで即座に取得できます。そのためこまめに情報を得たい方や、ページ単位で細かく分析したい方におすすめのツールです。
Wayback Machineは、国外産の競合サイト分析ツールです。URLを入力すると、デザイン面の改変を時系列に沿って確認できます。サイト全体のレイアウトはもちろん、サムネイルのテイストやコピーもチェック可能です。
変更時期はカレンダーで表示されるため、いつどのような改善がされたかを簡単に把握できます。特にサイト改善後に成果が上がっている競合サイトは、要チェックです。どのような意図で変更点が加えられたかなどを考えることで、より深い競合サイト分析が可能となるでしょう。
有料の分析ツールとして紹介するのは、次の3つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
導入企業の例 | ・Google ・Adobe ・adidas など |
主な機能 | ・競合サイト分析 ・キーワード調査 ・広告運用サポート など |
料金プラン | ・無料プラン ・有料プラン:167ドル/月~※1 |
※プランごとの料金は要問い合わせ
SimilarWebは国外産ですが、世界の主要なデジタルブランドも利用しているツールです。競合サイト分析では、主に次のような内容が分かります。
有料版ではより詳細な情報の取得や、SEO対策の最適化に向けたサポートサービスの利用が可能です。Googleアナリティクスとの連携もできるため、競合サイトを多面的に分析したい方におすすめのツールとなっています。
導入企業の例 | ・Meta ・shopify など |
主な機能 | ・競合サイト分析 ・ランキング調査 ・有料検索広告のキーワード調査 など |
料金プラン | ・無料 ・ライト:12,500円 ・スタンダード:25,000円 ・アドバンスド:50,000円 ・エンタープライズ:125,000円 |
ahrefsはSimilarWebと同様に、国外産ながらも国内での導入も多い競合サイト分析ツールです。データベースは現在も増え続け、2022年の時点では26.9兆もの巨大なリンクデータを保有しています。
一方でインターフェースは見やすく、SEO対策初心者でも簡単に操作・分析可能です。CSVなどのエクスポートにも対応しており、チームや他部署との情報共有もスムーズにできます。競合サイト分析以外にも豊富な機能が備わっているため、1つのツールで情報の取得や分析を完結させたい方におすすめのツールです。
競合サイト分析では他社と自社のサイト情報を収集・比較することで、より効果的な戦略の立案が可能になります。特にアクセス状況やコンテンツの内容は、最低限押さえておきたい項目です。
競合サイトを探す際は参考にしたいポイントをあらかじめ洗い出し、ツールでデータを収集します。ただし情報を集めて終わりではなく、改善策を検討・実行するまでがワンセットです。
競合サイト分析を通して、自社サイトの制作・改善を進めていきましょう。