基本ノウハウ

新規開拓の営業手法とは?8つのアプローチ方法と成功のポイントを紹介

新規開拓の営業手法とは?8つのアプローチ方法と成功のポイントを紹介

企業の安定した成長を実現するために欠かせないのが、新規開拓です。新規開拓にはさまざまな手法があり、それぞれ特徴も異なっているため、成果を出すには事前にターゲット設定などの事前準備を行い、戦略的に取り組む必要があります。

本記事では新規開拓の概要や代表的な種類・特徴、必要な事前準備を詳しく解説します。

目次

1.新規開拓とは

新規開拓とは、これまで取引がなかった新たな顧客を獲得するために行う営業活動のことです。新規営業や新規開拓営業などとも呼ばれ、既存顧客に対して行うルート営業とはアプローチ方法が異なります。

新規開拓の必要性

新たな顧客の獲得は、売上を伸ばしリスク回避につながるため、企業が成長し続けるために必要です。既存顧客だけに依存していると、安定的な売上の維持が難しくなります。

今まで取引のなかった企業から新たな売上が発生すれば、全体の売上金額が増加し自社にとって大きなメリットとなります。さらに最初の取引を成功させることによって、今後長く取引を継続してもらえる可能性も出てきます。

また新規開拓によって取引先を増やしておくことは、万が一既存顧客との取引継続ができなかった場合のリスクヘッジとなります。新規開拓を行っていなければ、既存顧客の取引が終了した場合に失った取引分が売上の減少につながります。

アウトバウンド施策とインバウンド施策

新規開拓の手法は、企業から見込み顧客にアプローチする「アウトバウンド施策」と見込み顧客から企業にアプローチしてもらう「インバウンド施策」の2種類に大きく分けられます。

アウトバウンド施策

アウトバウンド施策とは、企業から見込み顧客にアプローチする営業スタイルのことです。企業や製品・サービスのことを認知していない相手に積極的に働きかける手法であり、代表的な新規開拓のアウトバウンド施策は飛び込み営業やテレアポ営業です。

企業側が営業したい相手を選ぶため、設定したターゲットにアプローチができるのが特徴です。明確なターゲット設定と戦略設計ができていれば、高い商談化・受注率が期待できます。ただし、相手が必ずしも製品・サービスを必要としているわけではないため、事前準備を行わないとアポイントを獲得するのが難しい傾向にあります。

インバウンド施策

インバウンド施策とは、アウトバウンド施策とは逆に見込み顧客の方から自社にアプローチをしてもらえるようにする営業スタイルのことです。見込み顧客にとって有益な情報・コンテンツを発信し、顧客の自発的な行動を促す手法であり、代表的な新規顧客のインバウンド施策は広告運用やセミナー運営です。

Web上での情報収集が一般的になり、ビジネスにおいても必要な情報は営業担当からではなくWeb上で入手し、多くの見込み顧客が問い合わせの段階である程度比較検討を終えています。そのため、企業の直接的なアピールよりも顧客のニーズに沿ったコンテンツを発信するインバウンド施策に力を入れる企業が増えています。自社に対する関心が高い見込み顧客にアプローチできるため商談化につながりやすい点が特徴です。一方でコンテンツの準備にコストがかかり、顧客の関心を引き出す必要があり受注につながるまでに時間がかかります。

アウトバウンド施策とインバウンド施策のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違いとは?

2.新規開拓で成果を出すための事前準備

新規開拓は初対面の相手にアプローチするため、関係性の構築に時間がかかり難易度の高い営業活動です。成果を出すために必要な事前準備4つを紹介します。

ターゲットを明確に設定する

新規開拓を行うにあたり、はじめに戦略を立てることが重要です。どのような企業をターゲットにするのか、自社の製品・サービスの優位性を明確にしましょう。

ターゲットを明確にできていないと、効果的なアプローチ方法や製品・サービスのアピールポイントが決められず、新規開拓施策を行っても顧客のニーズに合わず成果につながりません。成果を出すためには事前にターゲットを選定し、それをもとに戦略設計、営業リストの作成を行います。

ターゲットの選定には既存顧客の業種・業態・企業規模に傾向があるのかデータをまとめることから始めましょう。データをもとになぜ顧客になってもらえたのか、どのようなアプローチに効果があったのかを分析し、ターゲットを絞り込みます。

ターゲットが選定できたら、顧客はどのようなニーズを抱えているのか仮説を立て、それに対して自社製品・サービスの効果的なアピール方法を検討し戦略を立てましょう。

営業リストの作成と管理

新規開拓を行う際、見込み顧客になる可能性のある企業情報をまとめた営業リストの作成が必要です。設定したターゲットをもとに該当する企業をリスト化しましょう。

営業リストはただ見込み顧客の住所や電話番号を記載するのではなく、付帯情報も添えておくと効果的な営業につながります。顧客情報については、以下の項目を把握しておくと良いでしょう。

  • 決裁者・担当者
  • 決算月
  • 課題・ニーズ
  • アプローチの履歴

アプローチ履歴については名刺交換をした場所や、参加したセミナーの内容など一言記載しておくとスムーズにコミュニケーションが取りやすくなり、信頼関係の構築に役立ちます。

顧客情報の管理は社内での円滑な情報共有においても重要です。顧客情報の共有によって社内連携が得やすくなり、効率的なアプローチにもつながります。そのためにはSFA/CRM、エクセルなどのデジタルツールの活用もおすすめです。

顧客管理について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「案件化前の顧客はどこで管理する?MA・SFAの運用を考える際の見落としたくないポイント

リソースを確保する

新規開拓を進める上では、新規開拓の施策を行うためのリソースと、新たに顧客を受け入れられるリソースが必要です。一方で新規開拓の必要性を感じていても、既存顧客への対応でリソースが足りないという場合もあるでしょう。

リソース確保にもデジタルツールの導入は効果的です。SFAなどのツールを活用すれば、既存業務の効率化や時間の短縮になり、浮いたリソースを新規開拓に利用できます。SFAは新規開拓に必要なターゲットの明確化や戦略立案にも役立ちます。

施策の特徴を把握する

新規開拓のための施策を選定するには、施策ごとのメリット・デメリットを把握し、自社の製品・サービスやターゲットの特徴に合っているか確認しましょう。限られたリソースで最大限の成果を出すためには自社のターゲットと戦略、リソースに合った施策の選定が重要です。

営業、マーケティング施策は業界・業種・ビジネスの形態により成果を出せる施策が異なります。また短期間で成果が出やすい施策、コストはかかるが長期的な成果が期待できる施策など、取り組む期間やコスト面も事前に確認しておきましょう。1つの施策に頼るのではなく複数の施策を併用すると、それぞれの施策のデメリットを補えるため成果を出しやすくなります。

3.新規開拓のための方法【アウトバウンド施策】

新規開拓のためのアウトバウンド施策を5つ紹介します。

  • 飛び込み営業
  • テレアポ営業
  • メール・レター営業
  • 問い合わせフォーム営業
  • 展示会出展

【1】飛び込み営業

事前にアポイントを取りつけず企業に直接訪問し、製品・サービスの紹介を行う方法です。

製品・サービスを知らない相手に直接アプローチできる可能性があり、対面でコミュニケーションを取りながら詳しく説明できるというメリットがあります。また、製品の実物や資料を見せながら営業できるのも特徴です。

営業を受け入れてもらえれば、その熱意を買ってもらえたり、信頼関係を構築できたりする可能性もあります。ただしアポイントを設定せずに訪問するため、担当者が不在であったり断られたりするケースも多々あります。また訪問の手間がかかるため、アプローチ数をかせぐためには十分なリソースが必要です。

【2】テレアポ営業

営業リストから企業に電話をかけて、製品・サービスの紹介をしたり、資料送付やアポイントのきっかけをつかんだりする方法です。

直接訪問せずに電話で営業するため、飛び込み営業に比べて営業効率が良く、直接コミュニケーションを取ることで相手に必要な情報を十分に伝えられるというメリットがあります。また電話で見込み顧客の課題をヒアリングし、課題を解決するソリューションとして製品・サービスを紹介することで、アポイント獲得の確率を高めることも期待できます。

一方、担当者が不在であったり断られたりするケースも少なくないため、テレアポのテクニックを磨きながら根気よく数をこなしていく姿勢が求められます。

テレアポのコツについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「効果的なテレアポのコツ11選を解説【準備・実践・モチベーション】

【3】メール・レター営業

メールや郵送で製品・サービスの案内やアポイントメントの依頼を送り、アポ獲得につなげる方法です。

相手のメールアドレスが入手できれば、一度に大量の相手に連絡を取れるので効率的です。メールアドレスが分からない相手にはDMを送ります。ただし開封率や返信率が低い傾向にあるため、アクションを起こしてもらうには相手の興味をひく件名や文面、DMの紙面づくりが重要です。メールやDMで相手に認知してもらった上でテレアポを行うと、担当者につながるきっかけとなるでしょう。

手紙の場合、担当者の名前つきで出せば必ず手元に届き珍しいので中身に目を通してもらえる可能性もあります。一方で、手書きの手紙の場合は作成に時間がかかるので、厳選した相手に対して効果的に使うと良いでしょう。

【4】問い合わせフォーム営業

企業Webサイトの問い合わせフォームに、自社のセールス文章を記入しアプローチする方法です。メール営業とは異なり、連絡先を知らない担当者に対してアプローチできます。

共通のセールス文を作成しておくと文章作成の手間が省けるため、低コストで多数のアプローチが可能です。問い合わせフォームは企業にとって顧客との接点であるため閲覧率は期待できますが、企業のニーズに合わず返信がもらえない場合も少なくないでしょう。

認知拡大やアプローチ数を増やしたい場合には向いていますが、ニッチな製品・サービスを扱う場合や顧客からの信用が重要となる場合にはおすすめできません。

【5】展示会出展

展示会に出展し自社の製品・サービスを知ってもらい、名刺交換などで見込み顧客を獲得する方法です。大規模な展示会では、大量の新規リード獲得が期待できます。

来場者は展示会テーマに関する製品・サービスに興味がある、または情報収集の目的を持って参加しています。すぐには商談につながらない場合も多い一方、計画的に後追いを行うことで商談化が見込めます。

展示会に出展するには時間や費用面でコストがかかるため、事前に目的や費用対効果をしっかりと検討しましょう。

展示会出展で新規顧客を獲得するコツを詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「展示会で失敗しないためには?当日の集客と展示会後の商談につなげるための9つの方法

4.新規開拓のための方法【インバウンド施策】

新規開拓のためのインバウンド施策を3つ紹介します。

  • 広告運用
  • セミナー運営
  • Webサイト運用

【6】広告運用

オンライン上でのWeb広告、看板やテレビなどのオフライン広告を用いて顧客にアプローチする方法です。

Web広告はターゲットの検索行動を予測、分析し、興味関心のある顧客へアプローチできます。検索キーワードに連動するリスティング広告や、自社サイトを訪問した顧客に表示できるリターゲティング広告など、ニーズが顕在化している顧客にアプローチが可能です。またニーズが顕在化していない顧客にもディスプレイ広告などでアプローチできます。

オフライン広告では、テレビや屋外の看板など多くの人の目に留まりやすいため、Webでの検索を行わない顧客にもアプローチできます。ただし、Web広告に比べターゲティングが難しいため、新規開拓には費用対効果が良くなく、認知拡大向けです。

Web広告の種類と特徴について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「Web広告の7種類を解説 基礎知識や選定ポイントも紹介

【7】セミナー運営

Webやオフラインでセミナーを開催し、そこに訪れた見込み顧客に営業を行う方法です。

セミナーでは1回の開催で多数の顧客に情報提供や自社製品・サービスのアピールができるため効率的です。参加者は課題解決のための情報収集を目的にしている場合が多く、その後のアポイントにつながる可能性があります。オンラインで開催するウェビナーであれば、場所の制約がなく広く参加者を集めることができるでしょう。

セミナーの開催には事前の準備や集客にリソースが必要です。自社の認知度が低いと集客がうまくいかない可能性があるため、その場合は他の企業と協力し共催で開催することも検討しましょう。

ウェビナーの運営について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「ウェビナー運営は何をする?うまくいく運営のコツ7つ解説!【188名集客成功事例配布中】

【8】Webサイト運用

自社でWebサイトを運営し製品・サービスの情報発信から興味を持ってもらい、問い合わせや資料請求のあった顧客に営業を行う手法です。

顧客から興味を持ってサイトに訪問しアクションを起こすため、商談や受注につながる可能性が期待できます。多くの顧客にサイトに訪れてもらうには、顧客が検索するキーワード、ニーズを分析し、SEO対策に力を入れる必要があります。

Webサイトへの流入を増やすためには、検索エンジンで上位を獲得できるよう長期的にコンテンツを制作・発信する必要があるため、ある程度時間とコストがかかります。

Webサイト運営について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

関連記事:「Webサイト運営とは?業務内容や求められるスキル・成果を出すための注意点までプロが解説!

5.新規開拓を成功に導くポイント

新規開拓を成功させるためには、ただやみくもにアプローチするのではなく、相手に合わせて戦略的にアプローチすることが必要不可欠です。ここからは、新規開拓を成功に導くためのポイントを紹介します。

顧客目線で考える

新たな顧客を生み出す新規開拓は、信頼関係を一から構築しなければならないため、既存顧客に対するルート営業よりもハードルは高くなっています。

見込み顧客の数だけ課題があり、それによってアプローチ方法や提案すべき解決策も異なります。相手の状況、悩みに合わせカスタマイズされた提案が新規開拓には必要不可欠です。そのため、まずは見込み顧客の情報や課題を理解するところから始めましょう。その上で、課題解決に向けて自社ができることを提案していくことが大切です。

そうしたステップを踏まず一方的に商品やサービスを勧めても、それはただの押し売りにしかならず、成約には至りません。

アウトバウンド施策では営業リストの質を高める

メール営業などのアウトバウンド施策では、営業リストの質の高さも新規開拓において重要です。

購買意欲のない見込み顧客からの受注は難易度が高く時間もかかりますが、製品・サービスに対してニーズのある顧客に集中的にアプローチできれば、効率的に多くの受注が期待できます。そのためには、ニーズが高い顧客を選定するための質の高い営業リストが必要です。

質の高い営業リストは、ニーズがあるかどうか、購入の可能性が高い時期はいつなのかといったターゲットの具体的な情報が更新されている状態のリストです。また、リストの量が少なければすぐに枯渇して営業施策を打てなくなってしまうため、十分な量を確保しましょう。

事前に営業リストの情報を充実させておくと、ターゲット情報からニーズに合った提案が可能となるため、アプローチが成功する可能性が高まります。しっかりと準備をした上で新規開拓に臨みましょう。

6.まとめ

新規開拓営業のための具体的な施策やポイントについて解説しました。企業の売上を伸ばしてリスクを回避するためにも、新規開拓に取り組むことは必要です。

新規開拓を成功させるためには、事前の準備が重要です。顧客を理解し、施策ごとの特徴を把握した上で、自社に合った戦略を立てて取り組みましょう。


この記事に関連するお役立ち資料

この記事を書いた人

BeMARKE編集部
BeMARKE編集部

BeMARKE(ビーマーケ)は、BtoBマーケティングの課題解決メディアです。 BtoBマーケティングのあらゆる局面に新しい気づきを提供し、リアルで使える「ノウハウ」を発信します。

SNS:XYouTube

著者の最新記事

もっと読む >

あわせて読みたい