基本ノウハウ
オンラインでのアプローチが普及しマーケティング戦略が進化したことにともない、これまでのアウトバウンドマーケティングだけでなく、インバウンドマーケティングという異なるアプローチが注目を浴びました。本記事では両者の違いやメリット・デメリットを詳しく解説しました。効果的なマーケティング戦略を選ぶ際のガイドとしてお役立てください。
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インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングは、双方ともに重要なマーケティング戦略です。しかしながら両者のアプローチや目的には大きな違いがあります。
ここではインバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティング、それぞれの特徴と違いについてご紹介します。
インバウンドマーケティングとは、顧客が自発的に企業やブランドに興味を持ちアクションを起こすことを重視する戦略手法です。
インバウンド(Inbound) とは「内向きの」という意味を持ちますが、ビジネスやマーケティングでは、主に外部から内部への流れやアプローチを指します。
また観光業界では「インバウンドツーリズム」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは国外からの観光客を受け入れる、国外から内部へ向かう観光客の流れのことです。
インバウンドマーケティングでは、コンテンツマーケティングやSEO(検索エンジン最適化)などの手法を用いて、ターゲットとする顧客を引き寄せます。
具体的な手法は、キーワードに基づくWeb記事やコンテンツの作成、ホワイトペーパーの配布、SNSの活用などです。このマーケティング方法は、顧客のニーズと関心に基づいて価値ある情報を提供することを重視しています。
顧客の信頼を得ることや長期的な関係を築くことに焦点を当て、顧客との優良なコミュニケーションを構築することを目的としており、マーケティングの中心がユーザーになっている点が一番の特徴です。
アウトバウンドマーケティングとは、企業が広告やプロモーションを通じて積極的に顧客に対してメッセージを送り、関心を引こうとするアプローチのことです。テレビ広告、ラジオ広告、ダイレクトメール、テレマーケティングなどが一般的な手法として挙げられます。
アウトバウンド(Outbound)とは「外向きの」という意味を持ちますが、主に企業やブランドが自ら顧客にアプローチを行う方法や戦略を指します。アウトバウンドマーケティングでは、企業が情報やプロモーションを送り、顧客に対して関心を喚起し、商品やサービスの販売を促すことを目指します。
テレビ広告やバナー広告などへの出稿費用がかかり、一時的な認知やセールスアップ、新規顧客を獲得することに焦点を当てています。しかし大量の広告によって、顧客のストレスや反感を招く可能性もあり注意が必要です。
一時的な成果を求める場合や需要の喚起などに有効な手法ですが、顧客との長期的な関係性を築くことには向いていません。
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの最大の違いは、企業とユーザーとの関係性にあるでしょう。インバウンドマーケティングは企業が顧客の関心に基づいてコンテンツを提供し、ユーザーに自主的に見つけてもらうことを目指します。
一方アウトバウンドマーケティングは企業側からのメッセージを、メディア広告などを利用し直接的に働きかけ提供する手法です。
企業の働きかけの方向性の違いから、インバウンドマーケティングは「プル型」、アウトバウンドマーケティングが「プッシュ型」とも呼ばれています。
インバウンドマーケティング | アウトバウンドマーケティング | |
---|---|---|
目的 | ユーザーに主体的に見つけてもらい、信頼関係構築後に購入やサービスを利用してもらう | 商品・サービス認知を直接的に上げ、購入やサービスを利用してもらう |
マーケティングの中心 | 顧客 | 企業 |
ターゲット | 明確 | 不特定多数 |
コミュニケーション | 双方向 | 一方的 |
効果測定 | 容易 | 困難 |
コスト | 低~中 | 高い |
期間 | 長期 | 短期 |
手法例 | Web記事やブログ 動画配信 SEO メルマガ SNS など |
テレビ・ラジオ広告 新聞・雑誌広告 ダイレクトメール テレアポ 展示会 など |
インバウンドマーケティングは、顧客に価値を提供することで信頼関係を構築し、長期的な顧客関係を育みます。一方で、アウトバウンドマーケティングは広告や宣伝を通じて一時的な需要を喚起できますが、信頼関係の構築は難しくなるでしょう。
インバウンドマーケティングは顧客に主体性を持たせ、関心を引き付けることで長期的な関係を築く一方、アウトバウンドマーケティングは即効性のある需要創出に向いています。それぞれの手法には長所と短所があり、企業の特性や目標に合わせて適切なマーケティング戦略を構築することが重要です。
インバウンドマーケティングは顧客を中心に置き、主体的に行動してもらうための手法ですが、ここでは具体的なメリットとデメリットを紹介します。
インバウンドマーケティングはコンテンツを通じて興味を持つ顧客を引き寄せるため、ターゲット層がより精緻になります。これにより、効果的な顧客ターゲティングが可能となります。
有用なコンテンツや情報を提供することで、企業は顧客との関わりを高められます。顧客関与の向上は、長期的な顧客ロイヤルティの構築や好感度の向上に繋がります。
インバウンドマーケティングは検索エンジンからの自然な流入やSNSでのアプローチなどオーガニックな手法を多用するため、マスメディア広告が中心のアウトバウンドマーケティングに比べ広告費を節約できます。
またインバウンドマーケティングでは、ユーザーのニーズに応じたコンテンツを提供することで、検索エンジンの上位表示やSNSでの情報拡散など、無料で大量の流入を得られる可能性があります。
コンテンツからの流入などは、PV数、クリック数、CV数など効果測定が容易です。
インバウンドマーケティングは成果を上げるまでに時間がかかります。コンテンツの作成やSEOの最適化に時間と労力が必要なことに加え、リリースしたコンテンツを顧客に見つけてもらうまでにも時間がかかるためです。
インバウンドマーケティングの人気が高まるにつれ、競合他社も同様の戦略を採用する可能性があります。さらに、Googleのアルゴリズムの変更にも継続して対応していく必要があるでしょう。他社より優れたコンテンツを提供するだけでなく、常に改善と改良が必要になります。
ターゲット層を絞り込んでアプローチするため、ターゲット層以外への訴求が難しくなります。ターゲットやペルソナ設定が間違っていた場合や、想定以外のターゲットが実は顧客になり得た場合などに機会損失を起こしている可能性があります。
インバウンドマーケティングに関してもっと詳しく知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。
関連記事:「インバウンドマーケティングとは?注目される背景や実施のステップを紹介」
アウトバウンドマーケティングは企業が顧客にアプローチし、商品やサービスを提供するマーケティング手法です。具体的なメリットとデメリットを紹介します。
アウトバウンドマーケティングは広告やプロモーションを通じて、ユーザーに直接的に購買行動を促進するようにアプローチします。これにより、企業は自らの製品やブランドを積極的にアピールし、目標の顧客の意識を喚起することが可能です。このため短期間での結果が期待できます。
テレビやラジオ広告、新聞や雑誌などの手法を使用することで、不特定多数の人々にブランドや商品を広く知ってもらえます。またザイオンス効果(単純接触頻度が上がることで好感度が上がる効果)も得られるでしょう。
大量の広告やプロモーションに晒されている現代社会では、ユーザーは広告に対する免疫を持つことが増えており、メッセージが届きにくい場合があります。また顧客のニーズに合わない広告や大量の露出は、かえって好感度を下げる可能性もあります。
アウトバウンドマーケティングでは顧客の行動を正確に計測できないため、どのマーケティングが効果的だったのか詳細な分析ができません。潜在・見込み顧客へ必要な情報が届いているか判断が難しく、来店や購入者からのアンケートなどの一部の情報から全体を推測する必要があります。
テレビやラジオといったマスメディアを使った広告や宣伝活動は、コストが高くなりやすくなります。また効果を実感するにはある程度の露出ボリュームが求められるため、予算の制約が厳しい場合は戦略的な工夫も必要になるでしょう。
インターネットが普及し、ユーザーが購入前に商品情報を自ら調べることが普通になりました。パンデミックの影響でBtoC市場だけでなく、BtoB市場においても同様の現象が加速しています。
経済産業省の調査では、日本国内BtoB-EC市場規模は2019年の350.0兆円から2020年には372.7兆円に伸び、EC化率は35.6%増加したと発表しています。※1
またストリーミングや録画で視聴し、広告をスキップして動画を楽しむことが普通になり、テレビ広告のパワーは以前ほどではなくなりました。新聞の折込チラシやダイレクトメールも見ずに捨てる方が多いのではないでしょうか。このようにマスメディアの影響力が下がったこともあり、インバウンドマーケティングに注目が集まりました。
一方で一時的なプロモーションや特定の商品の宣伝を行う場合には、アウトバウンドマーケティングが有効なことに変わりありません。この手法では企業側がスケジュールをコントロールし、即効的にアプローチ頻度をあげることが可能です。また「テレビで観たことがある」「雑誌でみかけた」というのはそれだけで信頼に繋がるでしょう。最終的には両方の手法を組み合わせて総合的なマーケティング戦略を構築することが成功の鍵となります。
※1 経済産業省:「国内電子商取引市場規模(BtoC及びBtoB)調査 2022年」より
本調査におけるEC化率とは、すべての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合
インバウンドマーケティングは顧客の関心を引くためには努力が必要ですが、一度関心を持ってもらえると長期的な関係性を築けるメリットがあります。一方、アウトバウンドマーケティングは効果が直接的に早くでることが特徴ですが、継続的な広告出稿が必要となります。
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングはそれぞれ独自のアプローチを持ち、メリットとデメリットが存在します。企業は自社のビジョンや目標に合わせて適切なバランスを見つけ、効果的なマーケティング戦略を構築することが重要になるでしょう。
この記事がマーケティング活動の一助になれば幸いです。